chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
フォロー
住所
岐阜市
出身
伊万里市
ブログ村参加

2014/10/10

arrow_drop_down
  • 大晦日に 岐阜市の降雪:第3弾!

    あららら、ですよ。今日はお墓掃除でも、と考えていたのに。まあしかし明るい空ではありますから、積雪とまていくかどうか……。積雪でお困りの北陸・東北・北海道の皆さんは大変でしょうが、誤解を恐れずに正直な感想を言えば、少し嬉しい気持ちがあるんですよね。なんというか、童心に帰れるというか、ですね。雪というのは不思議なもので、降り始めや積雪始め(なんて語彙はある?)は、心躍りません?10cm以上になると「もういい、止んでくれ!」という思いになるんですがね。初雪や二の字二の字の下駄のあとでしたっけ?なんとも風情のある俳句ですよね。スキー場なんかは待ち焦がれる降雪と積雪でしようが、1mを超えると今度は、道路が遮断といった具合で、困ったことになるんですよね。わたしも岐阜市に来てから、本当の雪というものに接しましてね、嬉しくもあ...大晦日に岐阜市の降雪:第3弾!

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十)

    「皆さん。お花、ありがとうございます。小夜子です。よろしくお願いします」深々と頭を下げる小夜子に、一斉に大きな拍手が沸いた。階段を上がるとき、ふわふわとした感覚に襲われる小夜子。ともすれば階段を踏み外しそうになる。地についていない自分に気付き、武蔵にしがみついて上がった。高揚した己を、叱咤する小夜子。“あたしらしくもない、しっかりしなさい小夜子!”。しかし緩んだ頬は、小夜子の意思を無視している。武蔵と小夜子が二階の社長室に消えた後、そこかしこで小夜子談義が始まった。「あたし、安心した。何かこう、姉さん姉さんした女性を奥さまにされて、威張り散らされるって思ってたけど」「そうそう。あの、熱海の旅館の女将みたいな女性をね」「小夜子さんでよかったわ」「そうよ!断然、小夜子さんよ」「でもさ。奥さまって言うより、あたしたち...水たまりの中の青空~第二部~(百八十)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十九)

    小夜子の初お目見えに、店内は蜂の巣を突付いたような騒ぎとなった。ある者は絶叫し、ある者は万歳をし、また中には泣き出す者も居た。「見えたぞー!奥さまが見えたぞー!」「ばんざーい!社長ー、ばんざーい!」「ああぁ、シャチョー!いや、もう!」奥の事務室から、どっと出てくる。そして、皆口々に囃す。「かわいぃぃ!お人形さんみたいぃぃ!」「素敵いぃ!やっぱり、お姫さまだわ!」「そうよ、そうよ。富士商会のおひめさまよ!」顔を真っ赤にして、武蔵の背に顔を隠す小夜子。まさかこれ程に歓待されるとは、思いも寄らぬことだ。武蔵の妻としての小夜子だ、拍手ぐらいはあるだろうと思ってはいた。しかし、この歓声。武蔵の背から降りた小夜子。ぴったりと背に張り付いて、顔を隠している。「ほら、みんなに挨拶しろ。みんな、待ってるぞ」武蔵に急かされて、おず...水たまりの中の青空~第二部~(百七十九)

  • 岐阜市の初雪です!! 第2弾です

    岐阜市の初雪報告、第2弾です。午後6時38分の写真です。(フラッシュを失敗です)。雪は止んでいます。午後5時30分頃、眼科に寄った折には、まだ降っていたんですがね。ところが、僅か20分後(午後6時56分)です。気になってもう一度カーテを開けると、降り出していました。明日の朝には積雪となりそうです。参考までに、午後6時のニュース(眼科で観ました)において、岐阜市内の積雪=4cmと出ていました。岐阜市の初雪です!!第2弾です

  • 岐阜市の初雪です!!

    12月27日(月)岐阜市の初雪です。「降らせるぞ、降らせるぞ!」と、狼少年になりかけていた冬将軍さん。とうとう、というか、やっと、というか、雪が降っています。チラホラという感じではなく、しっかりと降り続けています。朝方、「寒っ!」とカーテンを開けてびっくり!です。今シーズンの初雪です。駐車場や道路に積雪はありませんが、公園内はうっすらと白くなています。ローンレーンジャー3号も、すっぽりと白無垢帽子です。大きな牡丹雪での降り方を見ていますと、今日は一日中が雪の模様ですなあ。お昼に出勤ですが、積もっているかも?朝方はこの程度ですが、帰宅後にはどうなっているやら。スタッドレスタイヤ装着済みとはいえ、慎重の上にも慎重な運転をせねば。ではまた、帰宅後に。岐阜市の初雪です!!

  • ボク、みつけたよ! (二十八)

    高校に入って初めての夏休みのことです。声をかけられたのは夏休みに入る少し前のことです。上級生の女子生徒に声をかけられました。純朴な青年じゃなくて、まだ少年ですね。「すこし話をしたいんだけど」だったか「楽しいところに行かない?」だったか、そんなようなことだったと思います。女子生徒との会話なんて、挨拶のことばすらまともに言えない時期のことですから、初めてのことでした。いや女子生徒だけではなく、同性とも話をした記憶がありません。学校に着いて1時間目の授業を受けて、給食を食べて2、3、4時間目の授業を受けて、ひと言も声を発することなく帰路についた日もありました。すみませんねえ、いつものくせで。中々本題に入ら、、、入ります、すぐに。そんなわたしですから、声を発することなく、ただただ頷くだけでした。どこかで待ち合わせをして...ボク、みつけたよ!(二十八)

  • ボク、みつけたよ! (二十七)

    尻切れトンボ的に、地獄巡りからの退出です。遊び歩いていた20代前半ですが、どう位置付けすればよいのか。人生における華と捉えるべきか、禍と評すべきか。ただこの時代がなければ、老となった現在を悠然と過ごせぬのも事実だと思えるのです。当時にしても現在にしても、わたしがわたしであることに変わりはありません。意味不明ですか?正直わたし自身もどう伝えたらいいのか、言葉が見つからないんです。「人間は変われる」。「人間は変われるものじゃない」。どちらもよく聞く言葉です。わたし自身の経験から言えば「変われる」ですし、「でも変われない」なんです。矛盾してますよね、矛盾してます。哲学論を聞きたいんじゃない!お叱りはごもっともです。それではわたしの経験をお話ししましょうか。わたしが心臓をやられて、現在ペースメーカーを植え込んでいること...ボク、みつけたよ!(二十七)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十八)

    「明日、昼前に迎えを寄越すから」「ええ!来てくれないの?」。拗ねた表情を見せる小夜子で、恨めしげに武蔵を見る小夜子だ。「分かった、分かった。俺が来る、多分大丈夫だろ」「だめ!多分なんて。絶対来て!じゃなきゃ、行かない!」。頬をぷーっと膨らませて、迫る。「分かった、分かった。だったら、振り袖着てろ。お互いの、約束だ「うーん、分かった」と、渋々といった表情を見せる小夜子だが、内心では“それも悪くないか”と、思えてきていた。夜半に降り出した雨だったが、朝にはすっかり上がっていた。「プップー!」。閑静な住宅街に、車のクラクションが鳴り響く。大通りから1本中に入った路地の中ほどに、武蔵の住む二階建てがある。「もう建てたらどうです。いつまでも借家住まいでは、格好がつかんでしょう。銀行からも勧められているでしょうが」。幾度と...水たまりの中の青空~第二部~(百七十八)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十七)

    “どう、羨しいでしょ?これからお買い物よ”大声で叫びたくなる衝動を、ぐっとこらえる小夜子だった。今日の小夜子は、いつもの小夜子とは少し違っていた。“ひょっとして今夜……”。そんな予感がある。“もしも迫ってきたら、どうしょう”。武蔵に言われているわけではないし、そんな素振りを見せているわけでもない。ただ何となく、感じるのだ。そしてそれが、ちっともいやではないのだ。むしろ当たり前の如くに思える。その夜、小夜子が泣いた。激しく泣いた。その涙が、悔し涙なのか嬉し涙なのか、小夜子にも判然としない。だただ、武蔵の胸の中で、激しく泣いている。武蔵は、小夜子の濡れたように輝く黒髪を、ゆっくりと撫でている。赤児をあやす父親のように、時折唇を押しつける。「いいか、娘々した服にしろよ。うん。いっそのこと、振り袖にするか?二十歳の誕生...水たまりの中の青空~第二部~(百七十七)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十六)

    「小夜子。どうだ、俺の嫁にならんか。こんな時に、と思いもしたがいつまでもだらだらしても仕方がない。小夜子の爺さんも大事にする。小夜子には内緒だったけれども、月々仕送りをしてた。心配するな、小夜子の名で送ってるから。それと、相場の方も片は付けてある。だから何の心配もいらん。そうだ、ここで一緒に暮らすか?」「タケゾーはどうしてそんなに優しいの?」「何でかな、俺にも分からん。案外惚れるというのは、こういうことなのかもな」武蔵からの真摯な言葉に、思わず涙してしまう小夜子だ。そして情の薄さを覚える正三に対する思いが、薄れていく小夜子だ。一通の手紙、一葉の葉書さえくれない――情の薄さを感じさせる正三が憎くさえ思えてしまう。。“そうよ、あたしにはお爺さんがいるんだわ。これから恩返しをしなくちゃいけないのよ。正三さんにそれがで...水たまりの中の青空~第二部~(百七十六)

  • ボク、みつけたよ! (二十六)

    「聞いたことがない話だ」。「この地では初めて聞いた」。そりゃそうでしょ。この話は、いま思いついた、わたしの創り物ですから。そんな怒らないでくださいな。初めに申し上げたでしょ?わたし、嘘吐きだって。まだお怒りですか?なんだか旅行記みたいな風になっていたので、あくまで物語りなんですよと、いうことなんです。でね、帰りはバスにしました。テクシーはもうイヤですし、タクシーはお金がかかりますしね。第一、目の前にバス停があるのですから。ちょっと休憩しながら待ちますよ。待ち時間は、15分ぐらいでしょうか。ところが、時間になっても中々来ません。電車は正確ですが、バスとなると交通事情が違いますからやむを得ませんかね。ああ、竜巻地獄のことをお話ししていませんね。今のうちにちょこっとばかし、行きましょうか。どんな地獄なんだと、正直わく...ボク、みつけたよ!(二十六)

  • ボク、みつけたよ! (二十五)

    おとよの献身的な世話によって、みるみる若者も元気になりました。雪のように白かった若武者の肌も赤銅色に変わりまして、村人たちと変わりません。手ぬぐいでほっかむりなどしておれば、村に入り込んでも見咎められることもなくなりました。おなごの世話ばかりにはなっておられんとばかりに、時に浜の大網引きに入ったりもしました。「そんな腕じゃおなごにも負けるぞ」とからかわれつつも、次第になじみ始めました。しかしさすがにどこの誰とも分からぬ若者でございます、不審がる者が出てきてもおかしくはありません。「どこのむらのものだ」と騒ぎ出して、とうとうその正体がバレてしまいました。よりにも寄って平家の落ち武者だということで、更にはかくまっていたということになれば、どんな難事になるかもしれません。すぐにも突き出せということになりましたが、おと...ボク、みつけたよ!(二十五)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十五)

    「富士の御山の絵を飾っていますとね、『HOKUSAI,HOKUSAI!』と大騒ぎするんです。彼らには、富士の御山を描く絵師は、葛飾北斎だけなんですよ。ケバケバしい飾りなんぞ、辟易しているんですな。『WABI,SABI』だと大喜びします」小声で話すようなことでもないのだが、親密感を感じさせるがための、武蔵の常套手段だった。そして「もっとも、ここで終わるはずもない。この後に大人のお遊びがj待ってるんですがね」と、更に小声で続けた。そして「いやいや、それは僕の仕事じゃない。千夜子さんもご存じでしょう、専務の加藤に任せています」と、僕は聖人君子だとばかりに手を振った。「まあ本音を言いますとね、むさ苦しい男たちとこの部屋ではねえ」と、大きく笑い声を上げた。武蔵が千夜子の傍から離れたとたんに、「社長さま、千夜子と呼び捨てに...水たまりの中の青空~第二部~(百七十五)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十四)

    「へい、いらっしゃいぃ!」「いらっしゃいませ。まあ、やっとお出でいただけましたですね。首を長~くしてお待ちしておりました」威勢の良い声がかかる中、鼻にかかった艶っぽい声があった。「そうしょっちゅうは、来れんさ。こんな高級鮨店には」「あらまあ。富士商会の社長さまともあろうお方が、そんな情けないことを。あの可愛い奥、、、」千夜子の姿に気付いた女将、次の言葉を呑み込んだ。「おいおい、変な気を回すなよ。このお方は、小夜子の恩人だ」「あら、そうでしたの。それは失礼致しました」眉をへの字にした大将が、いつもの仏頂面で握っている。その隣の職人はニコニコと愛想の良い笑顔を見せながら、軽く武蔵に会釈をした。武蔵が足を踏み入れたときから、カウンター席の若い女が値踏みするような視線を投げかけている。その若い女に、初老の男性がひと言ふ...水たまりの中の青空~第二部~(百七十四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十三)

    「おう」。千夜子に対する見栄が働いている武蔵が、女将に横柄に答えた。普段の武蔵はこんな横柄な言葉遣いはしない。“やはり人の子、世の男性とお変わりないわ”。女将の表情かふっと緩んだ。「大将お任せ、ということでお宜しいでしょうか」「あ、わたくしが」女将が差し出す徳利を、千夜子が受け取った。「さ、どうぞ。さすがに丁度お宜しい燗具合でございますわ」「ごゆっくりどうぞ」下がりかけた女将に、武蔵が声をかけた。「ああ、かまわんよ。美味いものを食べさせてくれ。大事なお客さんだから、よろしく頼む。小夜子の命の恩人だ」「かしこまりました。そのように申し伝えます」“小夜子さんの恩人ねえ。でももう一つの魂胆が見え見えですよ”。笑いをこらえきれなくなる女将だったが、顔を畳にこすりつけて、何とかその顔を見せずに済んだ。襖に手をかけた女将に...水たまりの中の青空~第二部~(百七十三)

  • ボク、みつけたよ! (二十四)

    まあ、諸説あるみたいでして。そこは、郷土史家さんやら学者さんたちにお任せしますわ。そんなことよりも、血の池地獄の色ですよ。赤色というよりは、橙色に近いんですがね。毒々しい色にも見えはしますよ。でもどうして?「酸化鉄やら酸化マグネシウムを含んで……」。ストップ、ストップ!科学的見地は結構ですから。言い伝えとか昔話を聞きたいわけですが。例えば、一遍上人さまに退治された鬼たちの流した、それだとか何だとか、そういったことをお聞きしたいわけですが。ということで、「ものごとには表とウラというものがあるもの。では、そのウラの話でもさせてもらいましょうか」ということばを頂きましたよ。むかしむかしのこと。山口県下関市壇ノ浦、源氏と平家の最後の戦いは、皆さんご存じのことでしょう。平家滅亡が声高に喧伝されましたがの、実のところは数人...ボク、みつけたよ!(二十四)

  • ボク、みつけたよ! (二十三)

    観光バスが「そこのけ、そこのけ」とばかりに、やってきました。慌てて、端っこに寄りました。なのに、端っこに寄ったはずのわたしの元に、またやってきます。慌てて横にずれましたが、プンプンです。なんでわたしを追いかけてくるんですかね。まあ真相はと言えば、どうやらわたしが逃げた場所が悪かったようです。駐車スペースなんですね。でも表示はなかった気がするんですが。歩き疲れているわたしに鞭を打つようなこんな仕打ち、恨んでやるう!なんてね。こんな年寄りをいじめてなにが楽しいか!ですよ。へへへ、こういうときだけ、年寄り扱いして欲しいんですよ。さあそんなことより、中に入りますよ。良い天気です、ほんとに。汗ばむ陽気ですわ、ほんとに(「マジで」などと若者ことばは使いません)。でもですね、ほんとのところを言って、「マジ」と言う言葉は、我々...ボク、みつけたよ!(二十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十二)

    「実はご相談と申しますのは、奥さまがお使いになってらっしゃるシャンプーの件でございます。お恥ずかしい話ですが、あたくしどもの店では手に入らないような商品のようでございまして。ですのでなんとか、あたくしにお分け頂けないものかと、思いまして」「はあ?シャンプー、ですか?ハハハ、こりゃ失礼。思いもよらぬことでしたので」拍子抜けしてしまう武蔵だ。思いも寄らぬ話に、つい腹を抱えて笑ってしまった。「髪は、女の命でございます。美しい髪は、永遠の願いなのでございます」真剣な眼差しで武蔵に迫る、千夜子だ。「そんなものですか?男の僕には、分からんことですなあ」“こいつは驚いた、金の無心じゃないのか。参ったぞ、こりゃ。当てが外れたな”「お恥ずかしい話でございますが、同業者が増えてまいりまして。何か特色を出さないことには、じり貧でござ...水たまりの中の青空~第二部~(百七十二)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十一)

    「お姫様みたいだって聞いているんですけど」「小夜子奥さまって美人ですか?」「背丈はどれ位ですか?」「笑顔が素敵だって、聞いたんですけど?」あっという間に千夜子を取り囲んでの質問攻めとなった。「いい加減にしろ!困ってみえるだろうが。失礼しました、中へどうぞ」と、中山が一喝した。「じゃ、一つだけお答えしますわ。とっても素敵な方ですよ、皆さん。お会いになられたら、きっとため息をつかれますわよ」一斉に、拍手が沸き起こった。「こら!何を騒いでるんだ!」と、奥まった部屋から武蔵が顔を出した。「社長!ほら、美容室の方ですよ」「ああ、これはこれは。うーんと、俺の部屋でお待ちしてもらえ。ああ、もう五時になってるじゃないか。すみませんな、少し押していまして」「お忙しいようでしたら、また日を改めまして」若者たちの熱気に押され、またし...水たまりの中の青空~第二部~(百七十一)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百七十)

    「どんなことでしょう?」「明日、お会いできませんでしょうか?」突然に、すがるように両手を合わせる様が武蔵の脳裏に浮かぶ。「明日ですか?うーん、そうですなあ……」「申し訳ありません、無理なお願いを致しまして。まだ日にちも経っていないというのに、ご無理を申しました」千夜子の溜め息に、艶を感じた。どうにも気になる声だと、浮気の虫が騒ぎ出した。そろそろ銀座にでも足を伸ばすか、と考えていた矢先のことだ。「待ってください、そうですなあ。明日というわけにはいきませんが、何やらお急ぎのようだ。二、三日後ということなら。こちらから連絡しますよ。小夜子の状態も良くなっていることですし」そして翌日、明日の夕方で良ければと、連絡を入れた。「かしこまりました。五時過ぎでございますね。ご無理を申しまして、本当に申し訳ありません。その時間に...水たまりの中の青空~第二部~(百七十)

  • ボク、みつけたよ! (二十二)

    充実感でいっぱいです。遂に、歩ききりました。血の池地獄に着きました。意外なことに、低血糖の症状は治まりました。たまたま飴玉を持っていたので、早速に口に放り込んで道路に地べた座りというんですか、コンビニの駐車場なんかで女子高生たちがお尻を、でんとばかりに座っているじゃないですか、そんな風に座りました。そういえば、小学生の頃ですか、運動場でこんな格好で座った記憶があります。朝礼で校長先生の話を聞きました。なにせ団塊の世代ですから、体育館なんかでは入りきれなかったんじゃないですかね。ひとクラス50人ほどで、6クラスありましたから。それで6学年です、2000人近い児童数なわけです。中学時代なんか、凄かったですよ。こちらはひとクラス55人ほどで、然も16クラスあるわけです。3000人なんて、オーバーにいわれてましたからね...ボク、みつけたよ!(二十二)

  • ボク、みつけたよ! (二十一)

    向こうから帰りのタクシーでも来てくれると助かるのですがねえ。そんな都合良くはいかないでしょうなあ。「物語りならば作者の思い通りに出来るのでは?」ですか。まあ確かに、そうなんですけどね。そんなご都合主義は取りたくないですし……。「浮遊術は?」。あなたも嫌みな方ですねえ。ではでは、続けましょうか。ああ、だめだ。今日は荷物が多すぎる。現在75kgの体重です。そして荷物が、多分7~8kgはあるでしょう。ということは、80kgを超えているわけです。わたしの浮遊術では、80kgまでなんですよね。というのは冗談ですが。お分かりだと思うのですが、浮遊術というのは、純真な心持ちでなければ使えません。70歳のわたしです、世俗の垢に汚れに汚れています。もう使えませんよ、SuperManじゃないんですから。ほんとのことを言いましようか...ボク、みつけたよ!(二十一)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百六十九)

    一週間我慢した千夜子だった。翌日にも何らかの連絡が入るものと思っていた千夜子だった。でその折りの受け答えを、一言一句間違えてはならぬとメモ書きしていた。それが、二日、三日と経ってもなお連絡が入らない。よほどに非道い状態なのかと気を揉むが、入院したならしたで、その旨の連絡があるはずと思った。案外に世間知らずな非常識人間なのかと恨みたくなる。GHQとの繋がりがあると言っていたが、ひょっとして裏社会?とも思えてきた。そうなるとおいそれと話をするわけにはいかないかも?と不安な思いが募る。しかし、それならそれでいいじゃないの、とも思う。千夜子は意を決して電話をかけた。会社に連絡を取り、不在だと聞くと「ぶしつけですが」と、自宅にかけ直した。非常識だと思いつつも、背に腹は代えられない。じり貧の店を立て直す切り札になるのだと、...水たまりの中の青空~第二部~(百六十九)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百六十八)

    五平と、一升瓶を座卓ではなく畳の上に置き、茶碗酒と決め込んでいる。武蔵との出会いから彼是十年になる五平だが、これ程までに上機嫌の武蔵を見たことがない。「八年だ、八年だぞ。分かるか、五平。富士商会を立ち上げてから、早や八年だ。感慨深いじゃないか。今まで猪突猛進してきたんだ。突き進んだんだ。列を作る奴らがいれば蹴散らして先頭にたち、罵声をあびせかける奴らをぼこぼこにして来たんだ」「そうですな、武さん。今夜は、武さんと呼ばせてもらいます。頑張りましたよ、武さんは」「何言ってる、五平だって頑張ったじゃないか」「いやいや、あたしの頑張りなんて。武さんに比べリゃ、屁みたいなもんです。いつも武さんの後ろに隠れて、小さくなってましたから」「怒るぞ、五平。俺はお前が居てくれるから、どんな無茶もやってこれたんだ。それにだ、何といっ...水たまりの中の青空~第二部~(百六十八)

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、敏ちゃんさんをフォローしませんか?

ハンドル名
敏ちゃんさん
ブログタイトル
敏洋 ’s 昭和の恋物語り
フォロー
敏洋  ’s 昭和の恋物語り

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用