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  • Estoy loco por espana(番外篇167)Obra, Joaquín Llorens

    ObraJoaquínLlorensTécnica.Hierro72x25x20S.M.NLaformadelpedestalcambiódeplanaacúbica.Laobratieneunamayorsensacióndeestabilidad.Lafuerzadelacerosetransmiteensilencio.台座の形が平面から立方体に変わった。作品の安定感が強くなった。鉄の持っている強さが、静かにつたわってくる。Estoylocoporespana(番外篇167)Obra,JoaquínLlorens

  • Jose Manuel Belmonte Cortes

    私は、リアリズムよりも抽象を好む。リアリズムは視覚を修正されるようで苦手だ。しかしJoseの作品をFacebookで見たとき、視覚を修正する以上のことを感じた。Luisが裸でチェスをしている作品。これはいったい何なのだろう。どうしてこんな醜い肉体が彫刻になるのか。Luisをモデルにした作品はどれも異型のいのちとして迫ってくる。それは私の未来だが、現在であり、過去かもしれない。というのは、過去に考えたこと。実際に作品に接すると、肉体の細部の自己主張に圧倒される。目はもちろんだが、手の指、足の指の表情に見とれてしまう。そして、いま私は細部の自己主張と書いたのだが、その細部は全体を壊さない。より強靭にする。これは巨大な作品を見たときに、より強く感じる。ExposiciónyestudiodeJoséManuel...JoseManuelBelmonteCortes

  • 池田清子「小さい子供のように」、杉恵美子「蛍火」、徳永孝「雨の日の窓」、木谷明「あの時から」、青柳俊哉「窓」

    池田清子「小さい子供のように」、杉恵美子「蛍火」、徳永孝「雨の日の窓」、木谷明「あの時から」、青柳俊哉「窓」(朝日カルチャー講座・福岡、2022年07月18日)受講生の作品。小さい子供のように池田清子小さい子供のように楽しい時は楽しいと詩いたい悲しい時は悲しいと詩いたい淋しい時淋しいと詩いたいせつない時もむなしい時も思いが言葉にならない時も小さい子供のようにただただ大きい声で泣きながら詩いたい二連目の「思いが言葉にならない時」が、とてもいい。それで、受講生に「思いがが言葉にならない時」とはどういう時か、質問してみた。ほかのことばで(自分のことばで)言い直すと、どうなるか。たとえば「楽しい時」「悲しいと時」「淋しい時」「せつない時」「むなしい時」は、思いがことばになるのか。「楽しい」「悲しい」「淋しい」「せ...池田清子「小さい子供のように」、杉恵美子「蛍火」、徳永孝「雨の日の窓」、木谷明「あの時から」、青柳俊哉「窓」

  • Jesus Coyto Pablo

    JesusCoytoPabloのアトリエ。ポルトガル国境の近くの小さな村にある。一枚目の絵は、私をJesusの世界へ導いてくれたシリーズの作品である。私はいまスペインを旅行している。いわば空間の旅人である。Jesusが描いているのは、時間の旅人である。彼らは時間を旅している。記憶を彷徨っている。誰にも過去がある。そしてその過去、あるいは時間というものは、不思議な構造をしている。10年前が昨日より身近にあらわれることもあれば、昨日がすべての時間を支配してしまうこともある。複数の人物が複数の時間をかかえ、同時に存在し、生きている。彼の絵には、いくつもの塗り重ね、さらに別の紙で描かれた張り重ねとでもいうべきものがある。それは何かを、たとえば過去を物理的に隠そうとしているのか、あるいは隠している過去があるというこ...JesusCoytoPablo

  • Miguel González Díaz

    MiguelGonzálezDíazの作品を見て回った。ArenasdeSanPedro。緑の谷間の村。車を止めて見渡すと、羊の鳴き声、鈴の音が聞こえてくる。空気が澄んでいて、とても美しい。その村のいたるところの彼の作品がある。村に貢献した医師のレリーフも彼の作品だ。ギャラリーへ行った。彼の作品のほかに、双子の兄弟のLucianoの作品も展示してあり、ワインも売っている。ワインはギャラリーの裏でつくっている。Lucianoの家でも飲んだが、おいしい。RecorridoporlasobrasdeMiguelGonzálezDíazenArenasdeSanPedro.Unpuebloenunvalleverde.Cuandosedetieneelcocheysemiraasualrededor,seoyee...MiguelGonzálezDíaz

  • 瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』

    瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』(思潮社、峯澤典子『微熱期』(思潮社、2022年07月04日発行)瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』の「夜の準備」。その書き出しの二連。ここからは崖の上に止まっている大きなトラックがよく見える夕刻になるとあの崖上に戻ってくるのだが少し前に進むだけで崖から落ちてしまいそうだそんなぎりぎりの場所でいつも夜をすごしている昼の間はどこかへ作業をしに行っているのだろう溶けたものを運びつづけているのだろう恨みや妬みを溶かして言葉が重く揺れてうねる悪路でトラックは跳ね荷台からこぼれたものは路上に点々と跡をつけるとてもおもしろいと思った。しかし、このあと「言葉」は、この詩のなかでは動かず、「幼い日」や「姉」が登場する。それを出すくらいなら、二連目でやめておけばいいのに。そんなことを思っていたら、...瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』

  • Javier Messia

    JavierMessiaJavierの作品をfacebookで見たとき、私は、こんなことを書いている。JavierMessaの作品が、どんな素材で構成されているか、私は知らない。わかるのは、分割と統合があるということ。画面を区切りながら、その区切るという行為が全体を構成している。縦の線と横の線。青緑と金赤。補色。相反するもの。そして、それぞれの領域には、なにかしら制御できないものもある。でこぼこがある。それは絵の具の塊なのか、それとも絵の具の下の素材のでこぼこなのか。わからないが、そこにも、何かしら相反するものが共存している。写真ではなく、自分の目で、直接見てみたい。NosédequématerialestácompuestalaobradeJavierMessía.Loqueentiendoesqueh...JavierMessia

  • 竹内K「通勤」

    メールをつかっての「現代詩オンライン講座」のなかから一篇紹介する。通勤竹内Kある晴れた秋の日、バスはいつもの込み具合で四丁目バス停を出発した。太りすぎを気にして駅まで歩こうとしている潤三さんを追い越して、バスは先を急いだ。バスの窓から宗和さんは歩道をいそぐ中年の男の後ろ姿を何気なく見ていた。雨の日だった。四丁目バス停で少しおくれて、バスは出発した。二丁目バス停に到着したとき、八人の乗客が待っていた。潤三さんは足下が濡れるのを気にしながら、並んでいる乗客を横目に駅に急いだ。また雨の朝だった。潤三さんの健康志向に水を差す強い雨だった。宗和さんをのせたバスが、背後から近づいていた。今日は健康でなくてもいい、あきらめて十一人が並ぶ二丁目バス停の列に続いた。雨にぬれた乗客が次々に入って車内はいっぱいになった。中に入...竹内K「通勤」

  • 峯澤典子『微熱期』

    峯澤典子『微熱期』(思潮社、2022年06月20日発行)峯澤典子『微熱期』の、詩篇に入る前のページに、次の三行がある。すべては青い微熱のなかへこの三行を読んだ瞬間に、この詩集の特徴がわかる。「青い」ということばが、すべてを語っている。これが「茶色」だったり、「黒」だったり、「薄汚れた紫」だったりすると、少し複雑である。しかし「青い」から私が連想するのは「透明」とか「美しい」とか「静か」とか「哀しみ」ということであり、実際に、詩はその通りに展開する。巻頭の「夏の雨と」明け方の雨は散ってしまった花びらのあとを追うように夢のなかの夏の地図を濡らしていったね、美しいでしょ?そして、その美しさに「矛盾」がないでしょ?想像どおりのことが起きるのである。雨が降る、花が散る、散ったもの(なくなった/失ったもの/たぶん恋人...峯澤典子『微熱期』

  • Vicente Barbera Albalat y Ángel García

    VicenteBarberaAlbalatyÁngelGarcía詩人にも会った。VicenteBarberaAlbalatとÁngelGarcía。Vicenteはとても話しやすい詩人だ。私は、ろくにスペイン語が話せないのだが、会話していて困ることがない。スペイン語が突然上達した気持ちになる。なぜだろう。Vicenteは言う。「それは、私が君の話を聞いているからだ」この答えに、私は絶句した。そうか、ことばは聞いてくれるひとがいると、伝わった気持ちになるのか。伝わるのか。Víadospoetastambién.VicenteBarberaAlbalatyÁngelGarcía.Vicenteesunpoetaconelqueesmuyfácilhablar.Nohablobienelespañol,per...VicenteBarberaAlbalatyÁngelGarcía

  • 新井啓子『さざえ尻まで』

    新井啓子『さざえ尻まで』(思潮社、2022年04月29日発行)新井啓子『さざえ尻まで』のなかに「旅の話」がある。以前、書いたかもしれないが、この作品がいちばんおもしろい。親戚で旅したときのことを、親戚が集まったときに思い出す。具体的なことは、前半に少し紹介される。それを受けての、後半部分。集まるたびにみなが思い出話をする何度もなんども同じ話が語られる語る人数は減っていくが語られるひとは変わらないいなくなっても必ず語られるひとがいる本当にあれだよねしょうもなくあれさなどとよくもわるくも繰り返し語られる何度もなんども語られるのでいったきり帰れそうもない「思い出話」は「旅の話」とは限らないだろう。「語る人数は減っていくが/語られるひとは変わらない」はさりげなく、ひとが死んでいくことを語っている。葬式には、ひとが...新井啓子『さざえ尻まで』

  • 岩佐なを「亀なく」

    岩佐なを「亀なく」(「孔雀船」100、2022年07月15日発行)岩佐なを「亀なく」は俳句の季語「亀なく」という「ことば」を題材にしている。例によって強風にのって転校してきたはいく君の家では亀がなくというまじで。いじめているのか亀なかして「まじで。」ということばで、突然、現実がはいりこみ、「いじめているのか/亀なかして」にくると、もう季語なんか関係ないね。「人間関係」が浮かび上がってくる。どうも、人間関係というのは「ウソ」が入り込めない。「ほんとう」が動いてしまう。「亀がなく」というのは「ウソ」だとしても。この詩の場合、最初の「ほんとう」は子供は腹がへる、ということ。そして、何かを食べる。おかあさんもおとうさんもなんの気配がなくても友情をみしみしと感じてむはむはと和菓子を食べると灰苦君がほんとは亀は家にい...岩佐なを「亀なく」

  • 読売新聞の「忖度」

    2022年07月23日の読売新聞(西部版、14版)の政治面(13S版)に統一教会と政治家とのことが見出しと記事。(番号は、私がつけた))↓↓↓①旧統一教会との関係注目/自民・野党とつながり②安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件を受け、政治と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係に注目が集まっている。旧統一教会は反共産主義の「勝共思想」を掲げ、自民党だけではなく野党ともつながりが指摘されてきた。③安倍派に所属する末松文部科学相は22日の記者会見で、同連合の関係者が自身の政治資金パーティー券を購入していたと明らかにした。末松氏の事務所によると、2020年、21年にパーティー券計4万円分が購入されていた。④末松氏側は、同連合に関連する集会に複数回、祝電も送っていた。末松氏は「常識の範囲内で何らやましい...読売新聞の「忖度」

  • 朝日新聞の「忖度」

    https://www.asahi.com/articles/DA3S15364477.html?fbclid=IwAR2dy9U45WS9dYBfp2I9OZMBpDfysyAAucmY1ynOq6Sr7wnvxP8liGaCmNQ朝日新聞の「社説」(2022年07月22日)。以下の部分、意味がわかりますか?*******************************************************************************選挙活動の組織的支援や政策への介入など、教団と政界の関係は種々取りざたされる。岸信介元首相以来の付き合いといわれる自民をはじめ、各党・各議員は自ら調査し、結果を国民に明らかにする必要がある。***************************...朝日新聞の「忖度」

  • Lu Gorrizt

    LuGorriztの画廊、アトリエを訪問。最初に驚かされるのが、この画廊とアトリエの関係である。画廊に入ると、すぐ足元がガラス張りになっていて、地下が見える。その地下がアトリエである。地下でつくった作品を、1階のアトリエで展示し、売る。産地直売ということばがあるが、アートの産地直売という感じである。そして、私はここで、産地直売ならではの話を聞いた。アメリカから客がやってきた。絵をじっと見ている。気に入ったのか、気に入らないのか。その客は、一枚の絵を、縦のものを横に、さらには天地を逆にして眺める。そして、横にした絵か、天地を逆にした絵かわからないが、こういうのだ。「これが気に入った」Luは、どうしたか。「OK、サインを書き直そう」それまであったサインを消し、客の好みにあわせてサインを書き直した、というのだ。...LuGorrizt

  • 稲川方人「自由、われらを謗る樹木たち、鳥たち」

    稲川方人「自由、われらを謗る樹木たち、鳥たち」(「イリプス」37、終刊号、2022年07月10日発行)稲川方人「自由、われらを謗る樹木たち、鳥たち」をどう読むべきか。その一連目。あなたの掌を解き、握られた紙片をふたたび世に戻すと陽の翳りに、遠く生き急いだ命の数々が短く在ったみずからの声の幸福を響かせているラジオの鳴る冬の縁側に一旦はただ人として座ったあなたが郵便配達人の自転車を待つ間その数日の間に、わたしは僅かな未来へとあなたの遺志を繋げるために、蒼空の幼い階音(はるもにあ)を聴き続けたうまいないあ。でも、うまければいいのかどうか、よくわからない。なぜ、うまく感じるか。ことばの「呼応」がしっかりしているからだね。しっかり呼応し、しっかり完結している。問題は、そのあと。いまどき「ラジオの鳴る縁側」って、いっ...稲川方人「自由、われらを謗る樹木たち、鳥たち」

  • Borja Trénor Suárez de Lezo

    BorjaTrénorSuárezdeLezoのアトリエを訪問した。有名な画家の作品がいっぱい。大好きな彫刻家の作品もたくさんある。写真に撮ろうとしたら、「それは撮らないで」。「君は私の作品を見に来たのかね、他の人の作品を見に来たのかね」私は最初の計画はすぐに忘れてしまう人間のようだ。私はもともと写真で記録するより、目の記憶を信じる人間だけれど、あまりの感激に頭が混乱しそう。LavisitaalestudiodeBorjaTrénorSuárezdeLezo.Haymuchasobrasdepintoresfamosos.Inclusomuchasobrasdemiescultorfavorito.Cuandointentéhacerlesunafoto,medijoqueNO."Hasvenidoave...BorjaTrénorSuárezdeLezo

  • 安俊暉『武蔵野』

    安俊暉『武蔵野』(思潮社、2022年05月17日発行)安俊暉『武蔵野』は短いことばがつらなっている。28ページに、こう書いてある。古里の葦の葉急ぎ揺るわれ君に会いてのち揺るごと君に会いてのちより古里の葦の葉の急ぎ揺る最初の連と次の連とどこが違うのか。どちらかひとつでいいと思うが、安は一方を削除するのではなく、両方を残している。55ページは、こうである。君生けし花山ごぼうとすみれ小ビンの中に君生けし野菊小ビンの中にまた小さく何にこだわっているのだろう。83ページから84ページにかけて。無花果伸びゆく幾度かの思い重ねつつ幾度かの思い重ねつつ今無花果の葉散りゆく「思い/重ねつつ」が繰り返される。あ、安は繰り返すことで「思い」を重ねているのだ。「重ねつつ」あるのだ。この「つつ」が安のことばの動きの基本なのかもしれ...安俊暉『武蔵野』

  • 石毛拓郎「車夫のことばで書け!」

    石毛拓郎「車夫のことばで書け!」(「潮流詩派」270、2022年07月10日発行)石毛拓郎「車夫のことばで書け!」は魯迅の「小さな出来事」に関する感想(批評)である。私は、魯迅の作品の中で、この作品がいちばん好きである。その好きな作品を石毛が取り上げて書いている、と書いただけで、私は、石毛の文章への感想を書いた気持ちになってしまう。あ、石毛も、この作品が忘れられないのだ、と思うと、それだけで石毛を信頼できると思うのである。魯迅は、ある日、人力車に乗る。急いでいる。街角で、老婆と人力車がぶつかる。老婆はケガをしているようにはみえない。老婆をほっぽりだして、そのまま走ってくれ、と思う。ところが車夫は老婆を助け起こし、なんと派出所へ「事故届け(?)」に行く。そのときのことを書いている。私は、この作品を読み、はっ...石毛拓郎「車夫のことばで書け!」

  • Antonio Pons

    AntonioPonsのアトリエを訪問。彼の作品をみて、すぐに思い浮かぶことばは「ソフィスティケート」である。形にむだがなく、どのラインにも迷いがない。シンプルなのに、それが何をあらわしているか、すぐに想像できる。造形が、抽象と具象のあいだを素早く行き来している。あまりにシンプルなので、もしかすると私にもつくれるかな、と思ってしまう。つくってみたい、という誘惑してくる。VisitoalestudiodeAntonioPons.Lapalabraquevieneinmediatamenteamimentealversuobraes"sofisticación".Nohaydesperdiciodeforma,nivacilaciónenningunadelaslíneas.Essimple,peroesfá...AntonioPons

  • デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(3)

    デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(3)(七月堂、2022年05月05日発行)デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』を読み進むと、だんだん暗い気持ちになる。それが、なかなか気持ちがいい。「自由とは」の途中から。わたしは、責任をもってじしんの身体のケアをする男だ、身体と切り離しえぬみだしなみもきちんと整える男だ。着るものにも意を用いるし、容貌にも、わたしは鏡のなかのわが容貌をうつくしいとおもうものだが、それもきっちりと手入れをする。でも、知りたいのは、歯を磨くことからも自由になり、顔や首のあたりも洗わずにいたり、足指のあいだも洗わずにいたりするとして、それはどんな感じのものなのだろうということだ。知りたいのは、排便も怠り、健康維持のための食物も遠ざけ、下着は替えぬままにいたりすると...デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(3)

  • デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(2)

    デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(2)(七月堂、2022年05月05日発行)「プロローグ」という詩は、「わたしのじんせいはくるうようにつくられた人生でした。」という行ではじまる。「じんせい」と「人生」がつかいわけられている。そのつかいわけについては、ここではそれ以上考えない。ただつかいわけられている、ということだけを意識しておく。このあと、わたしじしんをゆるし、このさきものをたべつづけるためには、わたしは、あなたと、おなじことをしなくてはなりません。「あなた」が出てくる。だれのことか、わからない。わからないけれど「あなた」が出てくる、ということだけを覚えておく。読み進むと、抽象的だったことばの世界が、突然、生々しく変わる。わたしは、ささやかななぐさめをもとめあったちちとははからうま...デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(2)

  • Joaquín Llorens

    Joaquinのアトリエを3年ぶりに訪問することができた。私をスペインの芸術家に導いてくれたフェニックスはきょうも私を温かく迎えてくれた。フェニックスの子ども(?)も元気だった。このアトリエは私にとっての古里のようなものかもしれない。帰省するように何度も何度も訪ねたい場所だ。VisitoelestudiodeJoaquínporprimeravezentresaños.Phoenix,quemepresentóalosartistasespañoles,mediounacálidabienvenidahoy.ElniñoFénix(?)tambiéngozabadebuenasalud.Esteestudiopuedesercomounviejohogarparamí.Esunlugarquequiero...JoaquínLlorens

  • 岡井隆『あばな』

    岡井隆『あばな』(砂子屋書房、2022年07月10日発行)岡井隆『あばな』は遺稿歌集。「あばな」は「阿婆世」と書く。ああこんなことつてあるか死はこちらむいててほしい阿婆世といへどという歌に出てくる。「阿婆世」を私は「あばよ」と読んでしまうが、それは死と向き合っている、死んでいく人間の声として聞こえるからである。この歌だけでは、何が書いてあるかわかりにくいが、この歌の前には、この歌がある。死がうしろ姿でそこにゐるむかう向きだつてことうしろ姿だこれは、すごいなあ、と思う。死んだことがないからわからないが、よく「お迎えがくる」という。「お迎え」というからには、向こうからだれかが岡井のところへやってくる。そう想像する。しかし、岡井はそうではない、という。「お迎え」なら、当然、岡井の方を向いているはずなのに、その誰...岡井隆『あばな』

  • 読売新聞の「文体」

    2022年07月16日の読売新聞(西部版、14版)に安倍銃殺事件のことが書かれている。なぜ、容疑者は安倍を狙ったか。(番号は私がつけた。)↓↓↓①山上容疑者が理由として挙げるのが1本の動画だ。「朝鮮半島の平和的統一に向けて、努力されてきた韓鶴子総裁に敬意を表します」。昨年9月、民間活動団体「天宙平和連合(UPF)」が韓国で開いた集会で、安倍氏が寄せた約5分間のビデオメッセージが流された。(略)②安倍氏を巡っては、首相在任中から同連合とのつながりを指摘する声が一部にあった。そうした中、安倍氏が公の場で韓氏を称賛する動画が流れたことで、SNS上では安倍氏と同連合が深いつながりがあるかのような根拠不明な投稿が広がった。(略)③「動画を見て(安倍氏は同連合と)つながりがあると思った。絶対に殺さなければいけないと確...読売新聞の「文体」

  • Calo Carratalá

    CaloCarrataláの展覧会。ここには、私がブログで書いた感想が、そのまま展示されている。日本語とスペイン語で。(私のスペイン語は、もちろん間違いだらけなのだが、それをそのままつかってくれている。)写真では見えにくいだろうから、ブログに書いたものをそのまま転写しておく。*ほぼ同じ構図の2枚の「ジャングル」。私は茶色いジャングルの方に、引きつけられる。こういう絵を見たことがないからだ。空気が乾いていて、光が軽い。しかし、それは印象派の描く光ではない。そう書いて、すぐに、いや緑のジャングルの方がいいなあ、と思う。重たく湿った空気のなかで、光は動くというよりも、緑の上にとどまっている。これも、印象派の描く光ではない。鏡のように、遠いところにある光を受け止めて、動かずにいる。この光の中にいると、光とは別なも...CaloCarratalá

  • デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)

    デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)(七月堂、2022年05月05日発行)デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)は、読み始めてすぐにひきつけられる詩である。「病院の受付係」。その人の名前と住所をその人の年齢と生地をその人自身の口から聞き取って以来、もうその人たちは何人死んでいったのだったか?新生児の登録もした出産の番号札をつけて受付係だから三行目の「その人自身の口から聞き取って」が、一行目と二行目の事務的手続きを強く揺さぶる。「口」という肉体の存在、聞き取るときの、書かれてはいない「耳」と「手」の動き。そこに他人の肉体と、詩人の肉体の交渉がある。「その人自身」という個へのこだわりが、必然として個の消失、死を暗示させる。どきりとさせられる。だから、その後につづく「死ぬ」...デイヴィッド・イグナトー詩抄『死者を救え』(千石英世訳)

  • 高野尭『アルマロード』

    高野尭『アルマロード』(思潮社、2022年07月20日発行)高野尭『アルマロード』を読む。私は最近までスペインにいたので、日本語の詩を読むのは約一か月ぶりである。だから、そこに書かれていることばに、うまく適応できない。読み違いをしてしまううだろうが、まあ、そこにはそれなりの必然がある、と「弁解」から書いておく。高野の詩が、よくわからないのである。「蝦蟇の罠」という作品。逆流にあらがう蛙はうつくしい、おとなになる書き出しの一行で、私は私の青春時代、つまり1970年代にもどる。そのころの、詩のことばを思い出す。私の詩、というよりも、60年代の、安保敗北後の詩のことば、ことばの屈折を思い出してしまう。まず「逆流」がくる。ここには社会と個人の対立が象徴されている。まだ社会に対して、立ち向かう若者がいた。反抗する若...高野尭『アルマロード』

  • 「お友達政治」を徹底追及する好機

    安倍は殺害された。しかし、それは安倍の政治信条が原因ではない。たとえば、安倍の提唱する改憲運動に反対する誰かが安倍を殺害したのではない。アベノミクスによって貧困に陥れられた誰かが安倍を殺害したのでもない。安倍は、悪徳商法団体(宗教団体を名乗っている)の宣伝をしていた。悪徳商法に深く関係していると思われていた。(実際、無関係ではないだろう。)そして、悪徳商法の被害者(そのひと自身は、被害者とは思っていないかもしれない。なぜなら、そのひとにとっては、その団体は「宗教団体」だったからだ)の家族によって殺害された。ここには、ふたつの認識が交錯している。どの認識の側に立つかは、それぞれの「宗教観」「道徳観」によって違うだろう。私は「無宗教/無神論者」なので、単純に悪徳商法団体と被害者(の家族)、悪徳商法団体とそのP...「お友達政治」を徹底追及する好機

  • 第二の豊田商事事件

    私は、宗教にはぜんぜん関心がないので、統一教会は宗教団体だと思っていた。で。もし、統一教会が悪徳商法団体だったと仮定すると。思い出すのは、豊田商事事件(豊田商事社長殺害事件)だなあ。そうなると、もうこれは、政治とは関係がないなあ。あるいは逆に、政治そのものだなあという気もしてくる。安倍に、統一教会から、いくら金が流れていたか。金の流れが、自民党を支配している。自民党は、金さえ入ってくれば、それがどんな金か気にしない。自民党は「マネーロンダリング組織」ということになるかもしれない。私はテレビを見ないし、新聞も熱心に読んでいるわけではないが、どうしてだれも豊田商事事件を引き合いに出さないのだろうか。豊田も、たしか、白昼堂々(?)と殺されたと記憶しているのだが。まあ、豊田を出せば、安倍殺害は、「第二の豊田商事事...第二の豊田商事事件

  • Luciano González Dia

    Lucianoの作品を仕事を見て、私は思う。これは何?なぜこの形なのか?なぜこの色なのか?作者がこの作品に込めた思いとは?たとえば、ユニコーン。輪郭はユニコーンを想像させる。その顔のなかに空間がある。これは一体何なのか。その時、突然、私の耳に、私の心に、声が聞こえてきた。Holaamigo、君はだれだ?なぜここに来たのか?君は何を見たいのか、何を知りたいのか。私が作品を見るのではない。作品が私を見るのだ。そして、その作品に答えることばを持っていないことに気がつく。そして、自分を見つめる。でも、作品を自分自身の目で見るのはむずかしい。私には、やらなければならないことがある。必要なのは、たったひとつ。他人のことばを使うな。自分自身のことばで語ることだ。それは、私自身が生まれ変わることだ。古いことばを捨ててLu...LucianoGonzálezDia

  • Jose Javier Velilla Aguilar

    廃墟を思わせる建物がある。その茶色の壁に青い影が点在している。それは、いつからそこに存在するのか。それらの建物があったときから、影は存在した。それは最初から青い影だったのか。それとも時間が経つうちに青い色に変わったのか。私には、時間の経過が影をあおくしたもののように感じられた。それは言い直せば、ほんとうは青い影ではない。Joseが影に気づき、影を見つめているうちに、影が青くなったのだ。それはJoseの心象の色である。孤独で純粋な青。青は、彼の孤独をあらわしているように思える。そして、その孤独は彼のこころ、彼の肉体のなかにあるのではない。彼のこころ、肉体の外にある。それは、遠い世界にある。Joseは画家であり、写真家であり、旅行者だが、そのうちもっとも大切なのは旅行者である。世界を旅しながら、彼は自分の孤独...JoseJavierVelillaAguilar

  • 現代詩講座再開

    現代詩講座(メール、テレビ会議)を再開しました。20行1000円、その後20行単位で1000円追加。テレビ会議は30分1000円です。詳細は、yachisyuso@bmail.comまでメールで問い合わせてください。現代詩講座再開

  • 安倍暗殺と宗教

    安倍暗殺事件の展開が、私には、とても奇妙に見える。容疑者は、宗教団体に反感を持っていた。そして、宗教団体の幹部を狙うかわりに安倍を狙った。その宗教団体はカルトである……。私は無宗教(無神論者)であるから、どの宗教が正しくて、どの宗教がカルトかという区別はしない。宗教は、個人の問題であって、その好みについて、私は判断することを最初から放棄している。宗教ではなく、論理の問題としてなら語りたいことはあるが、州境については語りようがない。さらに気になるのは、容疑者と宗教の関係が、彼自身の宗教ではない、ということである。彼が統一教会か何かを信じていて、その教義にしたがって安倍を狙ったというのなら、まだ「カルト宗教」と犯罪の関係を追及するということも意味があると思うが、新聞の報道で読む限りはそうではない。むしろ、母親...安倍暗殺と宗教

  • NATO拡大の裏で何が起きているか

    参院選の開票速報が報道されている。憲法改正がこれからのテーマになるが、見るでもない、聞くでもなしに、やり過ごしながら、スペイン旅行を思いだしながら、こんなことを考えた。9条改正、緊急事態条項とは別なことである。原発問題である。電気代の高騰が、友人たちのあいだで常に話題になった。ロシアのウクライナ侵攻以来、石油、ガスが高騰している。電気代の高騰は、このあおりである。これを解消するために、きっと、これから原子力発電が重視されるだろう。いまのところヨーロッパでは、フランスが原発推進派に見える。ドイツは慎重派だ。スペインは風力発電に力を入れいているが、この先の動きはフランス追随になると思う。フランスが原発を増設すれば、その動きはドミノ倒しのようにヨーロッパ全体に広がっていく。石油、ガスを持たない国は、発言を原子力...NATO拡大の裏で何が起きているか

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