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  • 不昧公との縁/花ひらく茶と庭園文化(荏原畠山美術館)

    〇荏原畠山美術館開館記念展III(急)『花ひらく茶と庭園文化-即翁と、二万坪松平不昧夢の茶苑』(2025年4月12日~6月15日)リニューアル開館記念展の第3部は、畠山即翁をはじめ、近代茶人の憧れの存在だった大名茶人・松平不昧の茶の湯と庭園づくりに着目する。第1展示室、この日は曇り空で室内が暗かったので、天井の金の波模様が目立って美しかった。『古瀬戸肩衝茶入(銘:円乗坊)』は、不昧にも評価された大名物。円筒形の無骨な姿だが、本能寺の変で被災したという由緒に心惹かれる。即翁の茶道具コレクションは、全体にシンプルで自然志向で好き。特に模様も色変わりもない『備前八角水差』や無文で筒形の『東陽坊釜』(辻与次郎作)も気に入った。不昧公遺愛の品だという『唐物籐組茶籠』は、女性持ちの巾着袋くらいの小さなバスケットで、ち...不昧公との縁/花ひらく茶と庭園文化(荏原畠山美術館)

  • 暴力と差別の由来/イスラエルについて知っておきたい30のこと(早尾貴紀)

    〇早尾貴紀『イスラエルについて知っておきたい30のこと』平凡社2025.2パレスチナ・ガザ地区の状況は、断片的なニュースから推測しても本当に惨いらしい。しかし私はイスラエル・パレスチナ問題について、きちんと思考できるほどの知識がないので、一から勉強するつもりで読んでみた。本書は30の疑問と回答を通じて、十字軍とレコンキスタから今日に至るユダヤ人の歴史が分かるようになっている。十字軍は、イスラーム統治下のエルサレムを奪回するための運動だったが、ヨーロッパでは、イスラーム教徒だけでなくユダヤ教徒への攻撃・迫害も強まった。1492年、グラナダが陥落し、レコンキスタが完成する。直後にスペインでは、ユダヤ教徒にキリスト教への改宗を迫る追放令が出された。同年8月に出港したコロンブス船団の乗組員の大半は、改宗と追放を逃...暴力と差別の由来/イスラエルについて知っておきたい30のこと(早尾貴紀)

  • マンガ原作の武侠SF/中華ドラマ『異人之下』

    〇『異人之下』全27集(優酷、2023年)見たい新作ドラマが途切れていたので、2023年公開で気になっていた本作を見てみた。原作は『一人之下』というウェブ漫画で、2018年には日中合作のアニメにもなっているらしい。へえ、全く知らなかった。ストーリーは、漫画原作らしく速いテンポでどんどん進む。平凡な大学生の張楚嵐は、ただ一人の家族だった祖父を幼い頃に失っていた。祖父の張懐義は、常人にない能力を持つ「異人(アウトサイダー)」の一人で、張楚嵐はその能力を受け継ぐとともに、成長するまで封印することを言い渡されていた。大人になった張楚嵐は、異人の一味に次々に襲われ、祖父から受け継いだ「炁体源流」の秘術を解禁する。この世界には、多くの異人が存在じており、いくつかの勢力グループがあった。張楚嵐を助けてくれたのは、表向き...マンガ原作の武侠SF/中華ドラマ『異人之下』

  • 2025年5月関西旅行:MIHOミュージアム、細見美術館

    ■MIHOミュージアム春季特別展『うつくしきかな-平安の美と王朝文化へのあこがれ-』(2025年3月15日~6月8日)先週末の関西旅行の記録、ようやく最終日に到達である。日曜は朝イチ、石山駅から路線バスに乗ってMIHOミュージアムに向かった。本展は、古筆をはじめ、工芸品や仏教美術、琳派の源氏物語図屏風、歌仙絵など、貴族文化の誕生から桃山初期に興る王朝文化への憧れがこめられた作品を織り交ぜて展観する。冒頭は二月堂焼経、賢愚経断簡(大聖武)などの古経と小さな誕生仏(飛鳥時代)、迦楼羅の伎楽面(奈良時代)など、大陸文化の香り高い「王朝前史」から始まる。そして王朝文化のあゆみが始まるのだが、『宝相華鳳凰文平胡籙』は初めて見たような気がする。ニワトリのような鳳凰が2羽ずつ対面で4羽、螺鈿で描かれている。宝相華には青...2025年5月関西旅行:MIHOミュージアム、細見美術館

  • 2025年5月関西旅行:悠久なる雅楽(国立文楽劇場)

    〇国立文楽劇場令和7年5月特別企画公演・第29回特別企画公演『悠久なる雅楽-天王寺楽所の楽統』(2025年5月31日、14:00~)先週末、関西旅行2日目の続き。土曜の午後は、奈良から大阪に移動して、雅楽公演を見た。開場してすぐ2階に上がると、ロビーに長い列ができていた。なんだろう?と思って「最後尾」の札を持っているお姉さんに聞いたら、ステージ見学の列だという。「申し込んでいないんですけど…」と躊躇していたら「どうぞ、どうぞ」と並ばせてくれた。しかし私から数人後ろのお客さんで「終了」になってしまったので、運がよかったというべきかもしれない。ステージ上には、朱塗の高欄で囲われた四角い舞台がしつらえてあり、舞台上には鞨鼓や鼓、琵琶や筝などの楽器が展示されていた。また舞台後方には、楽人・舞人の衣装も並んでいた(...2025年5月関西旅行:悠久なる雅楽(国立文楽劇場)

  • 2025年5月関西旅行:龍谷ミュージアム、京都文化博物館など

    ■龍谷ミュージアム春季企画展『大谷探検隊吉川小一郎-探究と忍耐その人間像に迫る-』(2025年4月19日~6月22日)関西旅行初日に訪ねた展覧会をあと2つ。明治時代後期、大谷探検隊の隊員として中国や中央アジアに赴いた吉川小一郎(よしかわこいちろう、1885-1978)の人間像に迫る。大谷探検隊が将来し、龍谷大学図書館に入った西域の文物や古文書、吉川家が所蔵する写真帖や現地から送られた書簡などが展示されていた。加えて、吉川が16歳で、同い年の大谷尊重(光明。光瑞の弟)の「相談役」になったというのが、ちょっと庶民には窺い知ることのできない世界で、興味深かった。■京都文化博物館特別展『和食〜日本の自然、人々の知恵〜』(2025年4月26日~7月6日)科博での開催を見逃していたので、巡回先の京都で見ることにした。...2025年5月関西旅行:龍谷ミュージアム、京都文化博物館など

  • 2025年5月関西旅行:帰ってきた泉屋博古館(リニューアル)

    〇泉屋博古館リニューアル記念名品展I『帰ってきた泉屋博古館いにしえの至宝たち』(2025年4月26日~6月8日)関西旅行初日。京博のあとは、見たかった展覧会を順番に訪ねた。まずは1年の改修工事を経て再開した同館へ。建物へのアプローチがちょっときれいになった感じがした。玄関を入ると、新しいチケット売り場のカウンターができ、グッズ売り場が広くなるなど、細やかな改修が施されている。しかし基本構造は変わっていないのかな、と思いながら、企画展示室のある2号館に向かったら「←(左向きの矢印)」が表示されていて戸惑った。今まで企画展示室の入口は右手の奥だったのだ。左手に進むと、遮光性の高い黒い扉が開いて、初めて見る空間が現れた。なるほど、以前の展示室の突き当りに(狭いながらも)新しい展示室を設けたわけだ。冒頭には能面の...2025年5月関西旅行:帰ってきた泉屋博古館(リニューアル)

  • 2025年5月関西旅行:美のるつぼ(京都国立博物館)

    〇京都国立博物館大阪・関西万博開催記念・特別展『日本、美のるつぼ-異文化交流の軌跡-』(2025年4月19日~6月15日)5月最後の金曜に年休を取って、2泊3日で関西で遊んできた。最大の目的はこの展覧会、「大阪・関西万博開催記念」の3企画のうち、最後に残していた展示である。10:30頃に京博に到着して、入場待ちの列がないことにほっとする。会場内は、まあまあ我慢できる程度の混み具合だった。最初の展示室に入ったとたん、名前を呼ばれて振り向いたら、三重県在住の友人だった。お互い仕事持ちなので「金曜に、なんでいるの」と笑い合ってしまった。展示は、開催中の大阪万博に敬意を表して(?)明治政府が当時、欧米各地で開催された万博に出品した美術品から始まる。この場合、やっぱり薩摩焼だよね。そして江之島を描いた蒔絵額。「世界...2025年5月関西旅行:美のるつぼ(京都国立博物館)

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