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生きるってなに? 百人百様の営みに“虫瞰”の視点で迫るメッセージ・ブログ。

小林史明
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2014/06/17

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  • ガイドにがっかり

    10年前、カンボジアのキリングフィールド(ポルポト政権下の強制収容所)を訪問した際、人間はここまで悪魔になれるのかと強い衝撃を受けた。以来、アウシュビッツもこの目で確かめてみたいと思っていた。目を背けたいものこそしっかり見て、同じ悲劇を繰り返さないことがのちに続くものの務めだと思うからだ。 先月末ロンドンに所要ができて、その行きがけに立ち寄る機会が生まれ、この博物館にひとりだけいる日本人ガイドの…

  • 底なしの劣化<br />

    自民党の総裁選が始まって9人も立候補したのは、派閥がほぼなくなったせいらしいが、このまま派閥がなくなるとは思えない。1回目の投票で決まらず、決選投票で党内右派、中道、左派にシャッフルされてあらたなグループがいくつも再編成されるだろう。政策集団と言えば当然のなりゆきだが、実態は票とカネ集めの勢力集団にすぐ戻る。 今回の総裁選は、支持率低迷の岸田政権では次の選挙に勝てないから、とにかく自民の顔をす…

  • 夏休みのお出かけ先

    夏休みはどこへ行っても渋滞や混雑になるので、毎年どこにも出かけないことにしている。ただ今年は13日に定期健診を入れておいた。「お盆のころは空(す)いていますよ」と総合病院の予約係にすすめられたからだ。確かにふだんより早く終わった。 その1週間ほど前から声がかすれるようになり、続いて咳が出始め、だんだんひどくなるので休診明けの町医者に行こうと考えていたが、総合病院なら盆休みの最中でも診察することに…

  • なんのための反戦平和か

    長崎市が「原爆の日」の平和記念式典にイスラエルを招待しなかったことから、日本を除く先進6か国とEUの駐日大使が、式典を欠席することになった。理由は「パレスチナを招待し、イスラエルを招待しないのは式典を政治化するもの」であり、また「ウクライナ侵攻を理由に招待していないロシアやベラルーシとイスラエルを同列に置くことになる」というのだが、雁首そろえて詭弁もはなはだしい。 イスラエルはパレスチナに核兵器…

  • 「生きる」から「七人の侍」への継承

    映画「リビング」(2022年)が、黒澤明の「生きる」(1952年)をカズオ・イシグロの脚本でリメイクされた。 舞台をロンドンに移しているが、時代とストーリーはほぼ原作を後追いしており、ガンで余命半年と宣告された区役所の市民課課長(勘治→ウイリアム)が、遅れず休まず働かずのお役所仕事から一転、長年放置されていた公園建設の案件実現に執念を燃やし、やり遂げて死ぬ。部下たちは束の間、役所の活性化を誓うが、彼の…

  • バスも世につれ

    最近、足腰の運動のため市バスを利用するようになって、子どものころ乗っていたバスとはずいぶん様変わりしたと感じている。 ひとことで言えば高齢者仕様なのだろう。全部で28ある座席のうち8席が優先席だから、電車と比べてかなり比率が高い。しかもそのうち4席は車イス用2席に変更できる。乗降に負担のかからぬよう低床のノンステップタイプになっているが、車イスの乗客があれば降車口とバス停にスロープを渡して車イスご…

  • 死者を祀る

    兄の33回忌と父の27回忌を終えた。近ごろは法要の簡略化が進んで、こんなに先までやる人は少ないだろうが、私にはむしろ2人に長く葛藤が残っていて、気持ちの切り替えをするのに時間がかかった。特に兄には最近、懐かしさや共感をしばしば覚えるようになった。肉親への感情には、死後もなにか理屈で始末できないものが形を変えながらついて回る。 墓は兵庫県の山の中にあり、高速道路がつながってそこそこ観光地化はしたもの…

  • 突然の電話が2回

    彼女から突然電話が来て驚いたのは1カ月あまり前だった。 私が30代のころお世話になった方で、遠く離れても年賀状のやりとりは続いていた。ところが4年ほど前からぷっつりと消息が切れた。私の賀状は返送されて来ないから届いてはいるだろうに、亡くなったとしたら喪中はがきぐらい来るだろうに、と思いながら、通知漏れかなにかあったんだろうと、昨年末、私の年賀状送り先リストから下ろしていた。 その本人からいきな…

  • 個性派の歯医者

    歯医者は昔、穴掘り職人みたいなところがあったが、近ごろはインプラント治療の広がりで羽振りがいいらしい。それと関係あるのかないのか、歯医者の数がやたらに多くて、治療の腕はピンキリだから、よく選ばないと治療のつもりが大事な歯を失う羽目になる。 私もいろいろな医院を経験したが、最近は現在のかかりつけ医で落ち着いている。他の医院でなんとかもたせていた上側の歯がいよいよダメになり、インプラントを希望した…

  • きょういく?

    高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えて事故を起こしたり、高速道路を逆走したりすると、すぐにニュースになる。警察も認知症患者に車で走り回られたら怖いので、75歳以上の免許更新者には実技テストと認知機能テストを義務付けている。 認知機能テストが苦手な人は市販の模擬問題集を買って受験勉強するが、めでたく合格して更新できても警察に信用されたわけではない。その後交通違反があると、一旦停止など軽微な場合で…

  • おしゃれに注意

    冬の間、防寒用にニット帽を被っていたら、娘がもっとおしゃれなのにしようと、なんだかモンゴル帽ふうのようなのをプレゼントしてくれた(プレゼントといっても代金は私のカードから振り込まれたが)。それを見て妻が「馬子にも衣裳」だの「少しは利口そうに見える」などと面白がってはしゃいでみせた。 おしゃれなんてものは、中身に自信のないやつが外見を取り繕ってよく見せようとするためにするもので、内心の弱点を自…

  • 眼瞼下垂

    何年か前から、脊柱管狭窄症という言葉をしばしば目にするようになって、なんのこっちゃと思っていたら、昨年2月、朝目覚めると突如激痛に襲われた。立ち上がることもできない。 あわてふためいてあちこちの病院を回ったり回されたりして、幸い痛みは痛み止めですぐに引いたが、ようやく落ち着き先が決まってひと息ついた。そこで「この病名は最近急に目立つようになったがなぜか」と聞いたら、「高齢化に伴って患者が増えた…

  • どう生きて、どう死ぬか

    我ながらずいぶん長生きをしてきたと思うものの、平均寿命までまだ4年近く、平均余命となると10年もある。いつまで命があるか分からないが、それまでどういう生き方をしてゆくか、時に考えが少し揺れる。 気力、体力、知力、いずれもだんだん衰えているのが分かる。くたびれたり面倒になって、時間はあるのに何もしたくない時がある。だからもう現状に逆らわないで、気楽な隠居生活を受け入れようかとちょっと思う。しかしそ…

  • 車内マナー

    平日の夕方、久々に映画を見ての帰り、地下鉄に乗って席を取った。ひと駅、ふた駅で乗客が増え、込み合うほどではなかったが、立ち席の人で社内は奥まで見通せないほどになった。 私の隣に座っていたおばあさんが、つと立って扉付近に立つおばあさんに席を譲ろうと申し出た。そこは優先席ではなかったし、譲った方も譲られた方も歳の違いはさしてなさそうに見えた。 なぜだろうとようすを見ると、誘導されながら「ありがと…

  • 勝手なもんだ

    ガソリンスタンドで洗車を頼むことにした。長らくほったらかしだったので、ホイールも室内清掃も追加したが、スタッフが少ない上、手洗いなのでかなり時間がかかりそうだ。そこは計算の上で、道路の向かいの喫茶店に入って、読みかけの本の続きを読み、いくらでもひまつぶしをすることにしていた。 終わったら知らせて、と番号を教えておいたスマホに電話がかかってきたのは、2時間を過ぎていた。長かったなと思いながら財布…

  • 小さなカラオケスナック

    小学校の同級で、今も付き合いのある定食屋のオヤジから電話があり、久しぶりに手近な顔ぶれを集めるから来いよ、と誘われた。 土曜の昼どき、都心の和食店にそろったのは、男5人と女4人。元床屋の娘、元売れない演歌歌手、元結婚式場の支配人、元歯医者の嫁らで、どうでもいい世間話を2時間半しゃべって店を出たが、まだ日が高い。カラオケ好きの定食屋のオヤジに、歌いに行くぞと促され、そういえばコロナからあまり歌う…

  • 数独がはやる事情

    日曜の朝刊に、8ページの日曜版がオマケでついてくる。この先1週間分のテレビ番組表やテーマを決めた図解欄のほかにクイズ問題を集めたページがある。休日の朝は慌ただしくないので、私もいつしか日曜版を楽しみに待つようになった。 クロスワード、間違い探し、漢字の読み書き、漢字の4分割ジグソーは、解くのにたいして時間がかからない。手ごわいのが数独だ。ナンバープレイス、略してナンプレともいう。 タテ9マス…

  • 不具合に利あり

    会社指定の定期健診を同じ病院で30年以上受けており、60代後半で潰瘍性大腸炎、その後糸球体腎炎疑いが見つかったときは、院内の担当科に引き継がれて精密検査、服薬治療、継続観察を続けてきた。会社から車で10分と便利が良かったが、そろそろ運転をやめる歳になり、自宅から歩ける総合病院に移ることにした。 病院の地域連携室に申し出れば、移動先の病院と連絡を取って、段取りをつけてくれる。だがなんだかスイスイとは進…

  • 受難の人々

    ロシアのウクライナ侵攻から1年10か月、イスラエルのガザ地区侵攻から2カ月になる。その長きにわたって、破壊され瓦礫となった病院や学校、逃げ惑う市民、砲弾に吹き飛ばされ路上に放置された死体、血まみれの子供、息をしない赤ん坊を抱いて泣き叫ぶ女、怒りをぶちまける男、その悲惨なニュース映像が、毎日のように流れてくる。 ロシアはウクライナを全部取って、さらにジョージアに手を伸ばすつもりだ。イスラエルはガザと…

  • 安倍後遺症

    物価が上がり続けて止まらない。 パラパラと五月雨式かというと、地響きを立てるバッファロー大移動のごときスケールで始まり、ひとしきりで収まるかと思ったら、第2派、第3波の波状攻撃が続いてどこまで行くのか先が見えない。 無理もない。食料自給率37%、石油、天然ガス自給率はほぼゼロのまま、長い間輸入頼みでほったらかして置いたら、ここへ来て手痛い円安打撃を食った。そもそも小泉純一郎と竹中平蔵の新自由主義…

  • こっちのグローバル化

    ことしは1年中、大谷祥平の話題が途切れなかった。WBC決勝でのアメリカ戦の前、チームメイトに呼び掛けた「今日だけは大リーグに憧れるのはやめましょう」は、のちに流行語大賞の候補に挙がり、シーズンが始まると特大ホームランを連発しつつ、大きく曲がる変化球スイーパーで三振を取り、途中ひじの故障で心配を集め、それでも44本塁打、10勝、20盗塁は人間業ではない「地球外生命体」と称され、満票で2度目のMVPに推され、…

  • こんな生徒にだれがした

    昨年1月東大前で、大学入試共通テストの受験生ら3人を刺傷させた当時私立高校2年の生徒に、懲役6年から10年の不定期刑とする判決が、先ごろ東京地裁で言い渡された。生徒は東大理Ⅲを目指していたが、成績不振から自暴自棄になり、無差別殺人を犯し自殺しようと計画していた。 東大理Ⅲばかりが大学でもなかろうに、殺人だの自殺だのと、どんな勘定をするとこんな極端な選択になるのかと、だれでも思うだろう。挙句の懲…

  • クモの消息

    座敷の壁の天井付近に、足を広げると7、8センチにもなるクモがいるのを見つけた。ちょっと大きいなと思いながら、巣を張る気配もなく、クモは益虫というし、そのうちどこかへ行くだろうと見過ごしておいた。 ところが2,3日して今度はカミさんの寝室に現れた。殺生は穏やかでないので捕獲して外に出そうと思ったが、意外に素早くあっという間にタンスの後ろに姿を消した。どうしようと言われても手がないので、まあ友達…

  • 運転やめますか、続けますか

    高齢者の運転による自動車事故がしばしばニュースになる。70代の老人が、コンビニや病院の駐車場に停めようとして、ブレーキとアクセルを踏み間違えた、というのがよくあるパターンだ。 認知症の場合はどうだか知らないが、年寄りだからといって、乗り慣れたクルマのブレーキとアクセルを、そう何人もつぎつぎと踏み間違えるだろうか、と私は疑問に思っている。 事故率から言えば、自動車保険料の高い10代、20代の方が多い…

  • 喫茶店に未来はあるか

    運動不足を補おうと散歩を始め、ただ歩くだけではすぐにやめてしまいそうなので、途中で喫茶店に入って読書を1時間ほど、という対策を立てて始めてみた。日課というわけにはゆかない。週に1回程度。もう少し増やさなければいけないが、さしあたって全然しないよりはましだと思っている。 コーヒーがうまくて、本を読むのに暗くない静かな店はないかと、歩きながら探すのだが、画一的なチェーン店以外となると、なかなか見つか…

  • 寛解状態

    3月初めに突然、左大腿部の裏側に痛みが走り、歩くのも起き上がるのも困難になった。驚いて病院に運ばれ、MRIを撮った結果、脊柱管狭窄症と診断された。 歩けないほどの痛みは発症後2、3日で治まったが、このあとどうなるのか、どうすればよいのかさっぱり分からず、近所の整形外科へ行ってみたり、解説本を読んでみたり、友人の治療経験を聞いたりしながら1カ月ほどかけ、市委託のリハビリセンターに落ち着いた。その後は…

  • 私の第5ステージ

    先月喜寿を迎え、もうそんな歳かと思ったが、別におめでたくもないのでふだんと変わらぬ一日を送った。曲折あった私の人生も残り少なくなり、若いころのようには頭も体も働かないが、幸い健康寿命の域内にあり、できればあと10年、もうひと働きして悔いなき第5の人生をと思っていた。 計画はすでに立っていた。2019年9月に広島平和記念資料館がボランティアガイドを募集していたのを締め切り間際に知った。不定期だが数年ご…

  • 「七人の侍」が描いたもの

    しばらく離れていた英会話学習を再開して4年になる。講師に恵まれて充実していたが、仕事の都合で大分に引っ越されたので、いったん終幕になった。それでもしつこくカーテンコールを送っていたら、スクールの采配で特別に公開講座がリモートで実現した。だがそれも2回限りとなり、さらにラブコールしたらプライベートレッスンはどうかとスクールに勧められ、1時間半の授業を2回で、「七人の侍」を取り上げるよう提案した。「…

  • コロナにかかった

    月曜の朝、出勤したがどうも体がだるい。前夜、なぜだかよく眠れなくて、寝不足のせいだろうと思っていたが、調子が出ないので昼前に早引きした。 鼻水、咳、くしゃみがさかんに出るようになり、薬箱から市販の風邪薬を捜して飲んでみたが効きそうにない。熱っぽい感じはしないが、念のため体温を測ってみたら37度8分もある。こりゃあ古い体温計だからあてにならないな、と思いながら、ひょっとするとコロナかも、いや、まさ…

  • 散歩に目的地

    リハビリにも基礎体力作りにもウオーキングがよいようだが、私の場合もうひとつ、減量が課題になっている。70キロぐらいまでがよいのだが、このところ74キロに迫ってきて、ズボンもベルトも困っている。 だが散歩などという目的地のないウオーキングは、とても続きそうにない。なんとなくぶらぶらと歩くなんてことが私にはできない。わき目も降らず一直線に目的地に進むのが小さい時からのクセになっている。通勤にバス、電車…

  • 見慣れぬ風景

    「70歳になったら周りの風景が変わった。75になったらまた変わった」と30代終わりの3男に話したら「風景が変わるってどういうこと」と聞かれた。どういうことと言っても、たとえば山の峠を越えると景色が変わるようなものだが、ピンと来ないようだ。 電車に乗って都心から内陸へ移動をすると、高層都市から住宅地を通り抜け、広々とした田園地帯に出て、やがて山道に差し掛かり、と車窓からの眺めが変わってゆくようなものだ…

  • 自動運転、iPS、そして生成AI<br />

    昔、昔、「日進月歩の世の中」という言葉が流行った。技術の進歩で日々の生活が予想を超える速さで様変わりしてゆくようすを、驚きを交えながら唱える決まり文句だった。白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機の3種の神器のころだったか、カー、クーラー、カラーテレビの3C時代だったか。ワープロ、パソコンよりも前だった。 そんな言葉が今ではのんびり感じるほど陳腐化して、死語になってしまったようだ。それほど近ごろの世の中の変…

  • 不思議な国

    4月は2度の統一地方選挙が実施された。選挙と言えば年々低調だったが、今回はさらに一層の深刻さを露呈した。 まず選挙をしようにも相手がいない首長選、あるいは定数ぎりぎりの地方議員選。無風、無投票で費用も掛からず、しかし曲がりなりにも選良と呼ばれるためのフルイがけもない。 次に与野党相乗りの出来レース。争点がないというよりも、ほかに勝てそうな独自候補が見当たらず、ここは喧嘩せず無難にやり過ごそう…

  • 6種混合

    ロンドンで絵描きをしている娘が、久しぶりに帰ってきた。 幼児のころから絵が好きで、美術科の高校から芸大を目指し、3浪してやっと入れてもらったのに、卒業時にはこのまま院生になっても刺激が少ないと、海外留学を企てた。入学にはなんとかいう英語検定で必要なランクを取らねばならず、これは時間がかかるなと思ったらフィリピンで語学研修に集中し、案外早めに追いついてシカゴの美大の院生に滑り込んだ。 アメリカ…

  • 後期高齢者の身構え方

    名古屋と東京在住の、中学高校同学年の10人ほどの私的な同窓会があり、毎年5月末に1泊旅行を続けていて、今年も2月に幹事から蓼科で開催の案内が入った。この時点で、健康に不安のある4人から欠席の連絡があり、残り6人のうち2日目恒例のゴルフは参加者2人で成立せず、周辺の観光に切り替えて、今後の運営を見直そうという話になった。 ところが4月に入って、6人のうち1人が肺炎で入院、もう1人が脊椎管狭窄症の手術後で大…

  • 差別や偏見はなぜ起きるか

    いつの世もどんな国でも、差別や偏見は絶えない。人種や民族、宗教、性別、貧富、障害者、LBGTQ——タテ、ヨコ、ナナメ、どんな切り口で分類しても混在せざるをえない人間集団の中で、マジョリティがマイノリティを、強者が弱者を見下し、いじめ、攻撃し、排除し、時には大虐殺に発展する。 差別したくなるほど何がそんなに問題なのかというと、深い観察に基づく分析の結果ではなく、単なる外観から受ける第一印象に違和感を…

  • 職業適性

    前々回で歯痛の話をしたばかりだが、実はそれと並行して腰痛が再発し、こっちの方が大変だった。弱り目の話が続くのもどうかと思うが、ものにはついでということがある。 腰痛は10年ほど前からたまに起こり、デスクワークの途中でイスから立とうとすると背筋が伸びず、前かがみのまましばらく我慢していると、やっと上体が腰の上に乗るという症状だった。整形外科でレントゲンを撮っても骨には異状ないと言われ、接骨院や整体…

  • 半ドキュと半フィク

    映像や著作にはドキュメンタリーとフィクションがあり、ドキュメンタリーは事実を記録したもので虚構がなく、フィクションは脚本家、小説家、監督が自ら内心で構築した世界を描いたものということになっている。 ところがその区別はそう明確ではない。とりわけフィクションのドラマには「この話はフィクションで、実在する登場人物はいません」と最後によくテロップが流れる。わざわざ断り書きをするのは、モデルがいると誤解…

  • 入れ歯騒動

    私は大きな声でよくしゃべるので、まだ当分くたばりそうにないと思われているが、そんな見かけとはかかわりなく、老化は確実に進行している。 歯の左上一番奥が、食事でものを噛むと痛むので歯医者に行くと「噛み合わせが悪いのでしょう」との診断で2回調整した。歯医者によると、歯を無意識に食いしばる癖があり、ダメージを与えているらしい。自分ではそんなに頑張って生きているつもりはないのだが、無意識の癖ならばしか…

  • ディベイト下手

    YWCAの英会話教室に出るようになってそろそろ3年になる。英会話学校というと、どこでもたいていは海外旅行用、資格試験用、ビジネス会話用、時事英語用、なんとなく日常会話用、とひと通り揃えているが、YWCAにはシェークスピアや短編小説、映画、あるいは画家と絵画を教材にするクラスがある。 あっちこっちのクラスを試してみて、私はその後、TEDという講演の動画と映画を交互に取り上げるコースに落ち着いた。映画はプライ…

  • 核兵器は抑止力を持つか

    ロシアのプーチンが、半年たっても思うに任せぬウクライナにいら立っているようで、戦術核の使用を再三ちらつかせている。戦術核というのは、大規模で広域を狙う戦略核と違い、極地攻撃に使える小型の核兵器で、使い勝手がよいのだそうだ。 核は、アメリカが広島、長崎でその空前節後の破壊力を見せつけて以来、ソ連、イギリス、フランス、中国の戦勝国が次々と開発し保有国となり、核拡散防止条約で先行特権を保とうとした…

  • 国葬でよかったのか

    安倍元首相の国葬が、ゴタゴタ続きの挙句やっと終わった。ずいぶん手間がかかったのに、こんな葬式ならやらない方がよかった。故人もそう思っているのではないか。それとも、なにはともあれよくぞ名誉ある国葬で押し切ってくれたと喜んでいるのか。 そもそもは岸田首相が閣議決定だけでさっさと国葬を決めてしまったところから火が付く。どんな政敵でも亡くなれば弔意を示し、過去を称えるのが政界の習わしだから、野党にも…

  • 悪人の自覚

    太平洋戦争末期、核兵器開発(マンハッタン計画)を主導したロスアラモス国立研究所の初代所長、オッペンハイマーは、戦後、大きな後悔とともに反核の立場に立ち、古代インドの聖典に出てくる化身に自らを重ね「我は死神なり、世界の破壊者なり」と公に述懐した。国は彼を危険人物として公職を事実上追放し、FBIの監視下に置いた。 開発を急がせ、実際に投下命令を下したのはトルーマンで、死神というなら大統領こそ主犯だが…

  • 私の76年とこれからのこと(4)

    戦後77年、被爆体験の語り部がいなくなれば、ヒロシマが風化してゆくと心配する声があるが、私はそうは思わない。膨大な映像や資料が残っている。生き証人が絶えても、残された記録を見よう、聞こうとする気持ちがあれば、後世の関心が絶えることはない。問題は、語る側でなく見る側,聞く側にある。 語り部を語り継ごうとする高校生や大学生の活動がある一方で、日本がアメリカと戦争をしたことさえ知らない若い世代もいる。…

  • 私の76年と,これからのこと(3)

    小さな新聞社と中堅の製造業、兼務の期間もあってそれぞれ30年働いてきた。このうち製造業の方は、なりゆきでそうなり、与えられた任務をこなす努力はしてきたものの、いつもどこかで自分の本領とはいえない居心地の悪さを感じてきた。 もとより人生は、だれしも自分の思い通りに貫けるものではない。「置かれた場所で咲きなさい」と渡辺和子は書いた(幻冬舎文庫刊)。私自身も新入社員には「青い鳥などどこに探しに行っても…

  • 私の76年と、これからのこと(2)

    私はさらにフィクションも書き始めた。新聞、雑誌の記事はいくら書いても書き飛ばし、読み飛ばされっぱなしで、書いた端からつぎつぎ消耗してゆく。それがたまらなくむなしくて、直木賞作家の井出孫六さんの教室に通い、何作かの習作を書いた。作家として立つのは困難でも、取材記者で生計を立てながら、自らの思いを見つめた世界を描いてゆこうと考えた。 ところがちょうどそのころ、生活のベースにと考えていた新聞社が経営…

  • 私の76年と、これからのこと(1)

    「古稀おめでとう」のメッセージを孫からもらった時は、別におめでたくもないけどな、と思っていたが、気が付けば来年は喜寿になる。この先は傘寿で、その先は米寿かいな、いやはや、もういつ死んでもおかしくないと思いつつ「線路は続くよ、どこまでも」みたいな毎日をどう受け止めたらよいのだろう。 確かなことは言えないが、一応の心づもりはある。この歳の平均余命はあと10年ちょっと、誤差がプラスマイナス5年と考えれ…

  • 選挙で動いたもの

    私は昔からずっと無党派で、与党が安定多数を続けると、思い上がって好き勝手の暴走を始めるから、与野党拮抗で牽制が働くのが健全、という考えでいる。衆参ねじれだと何も決まらないのでそれも考えものだが、ときどき政権交代が起きるぐらいがよいと思う。安倍一強は最悪だった。 支持政党がないので、選挙のたびに苦労する。迷わずこの人、この政党ということがめったにない。まず消去法で、入れたくない候補を消してゆく。…

  • スーパーマーケットの風景(2)

    スーパーに来るのは主婦中心かというと、近頃は昔と違って老若男女、さまざまな人がひとりで、あるいは連れ立ってスーパーにやってくる。時間帯やエリアにもよるが、年寄りが目立つのは高齢化社会の反映か。 ひとりで来店のじいさんは見かけによらず動きが早い。機敏というほどではないが、品物を選ぶのにあまり迷わない。独居生活に手慣れたリズムがある。 これと反対なのか、ばあさんとペアのじいさんで、ただばあさんの…

  • スーパーマーケットの風景(1)

    山形の貧農の子、おしんの一代記「おしん」(NHKの朝の連続ドラマ)で、長男が当時ハシリのスーパーマーケット経営に乗り出すのは、いつごろだったか。私が初めてスーパーに入ったのは、60年近く前だった。 そのころ私は上京したての大学1年生で、ひばりヶ丘にある先輩のアパートに遊びに行ったら、駅前のスーパーで食材を買うのに付き合わされた。手料理をふるまってくれたのはありがたかったが、若い男が出入りするにはちょ…

  • ブログ再開のお知らせ

    2019年8月から2年半も休筆していました。休筆というよりもうやめたつもりでしたが、後期高齢者になって仕事を減らしたし、それでなくてもMRIを撮ったら脳が縮んで頭蓋骨との間に隙間ができているので、どうもこのままではまずい。で、無駄な抵抗と知りつつ、憎まれ口を叩いていれば何かの足しになるかと、ブログを再開することにしました。ご愛読いただければ幸いです。

  • 1周回って戻る

    腎臓内科の検査結果に判断が出るまで1カ月待たされた。その間、まさかとは思うが、人工透析の開始なんでおおごとになったらどうしようと気がかりだった。 ちょっと予備知識をと、健康雑誌の特集記事を読んでみた。すると、腎臓は機能が30%程度まで低下しないと自覚症状が表れないので、日ごろからわずかなサインを見逃さないようにと注意を促しつつ、具体的にはむくみ、疲労感、息切れ、体重増加などを挙げている。 ウー…

  • あちら立てればこちらが立たず

    春先から太りだし、73キロを超えるようになった。これまでならちょっと気をつければ70キロまで戻せたのに、今回はなぜか歯止めが利かず、74キロを突破した。歳のせいで代謝が悪くなったんだろうと子どもに言われ、首を傾げていてハタと思い当たった。昨年秋にタバコをやめたからに違いない。太り出すまで間があったので、すぐには原因にたどり着けなかった。 喫煙は、肺機能の低下を止めるためにやっとやめたので、体重調整の…

  • 続・第1.5の人生

    体力の衰えを感じて、この春から勤務時間を3割減らして、夕方帰ることにしてみた。 さて、家に戻って夜までの間、何か少しまとまったことに取り掛かろうと思うが、どうもやる気が出て来ない。くたびれて仕事を切り上げたのだから、帰宅してもくたびれているのは同じことだ。だらだらとしているうちに、退屈だから早めの晩酌を始める。なんだかこんなことじゃ意味ないなと思う。 余暇の活用と思って、英会話や料理教室通い…

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