間違っているから認めてほしい。誰からも正しいと承認されることなら、最初から、誰の承認も必要としていない。そして、誰からも不適切と思われることなら、その誤りを正すのは野暮というもの。コンテクストが試されているに決まっている。間違いを指摘するほうが恥ずかしい。 ―― 恋する心達のために/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2012、Words & Music >月よどうか今だけ >何処かに隠れ...
私はかつて正しかったし、今もなお正しい。 いつも、私は正しいのだ。 私はこのように生きたが、また別の風にも生きられるだろう。 私はこれをして、あれをしなかった。 こんなことはしなかったが、別なことはした。 そして、その後は? 私はまるで、あの瞬間、 自分の正当さを証明されるあの夜明けを、 ずうっと待ち続けていたようだった。 ―― 異邦人/...
厚生労働省 患者白書によると、令和2年における精神疾患を有する総患者数は419.3万人(C)、令和2年における日本の人口は12,614.6万人(E)、C/Eは3.32%、令和3年犯罪白書によると、令和2年における刑法犯の検挙人員総数は182,582人(A)、そのうち精神障害者とその疑いのある者は1,345人(B)、B/Aは0.74%、犯罪白書による検挙人員が、精神障害の疑いのある者まで含めていることを考慮すれば、なおのこと、精神障害者が罪を犯す割合...
例えば、ガソリンをかけたのは、ナンバー2 が作り出した幽霊に対してであり、人に対して浴びせたわけではない、という主張なら、幽霊を殺そうとして、人を殺してしまったことになる。でも、京アニの事件では、そんな主張はない。人を殺そうとして人を殺した。例えば、妄想に支配されていて、京都まで移動したのも、携行缶を用意したのも、ガソリンを買ったのも、バケツに移し替えたのも、まったく自分では制御不能だった、という主...
ある種の人々は、人間として認知されない ということに対して、とりわけ敏感である。 誰かがこの点できわめて敏感であるなら、 彼らが、分裂病者と診断される見込みは大である。 フロイトがヒステリー者について述べ、 のちにフロム=ライヒマンが分裂病者について いわねばならなかったことだが、 彼らは、たいていの人々よりも一層多くの愛情を 与えたり受け取...
第10回公判、目撃者の証人尋問。ガソリンを浴びせられた社員の証言。https://news.yahoo.co.jp/articles/d364557c09f61e327c6ab859693d5fa9539a8b95社員の女性は、頭や上半身にガソリンをかけられて、死ね、と言われて、火をつけられた。犯行時において、殺意は明白、と考えていい。青葉被告が殺そうとした対象は人である。人を殺してはいけない、という規範に直面して、それでも人を殺すことを選んで、人を殺した。青葉被告を非難...
逆に、自分に供せられ過ぎる人はいる。例えば、自分に向けられてもいない投稿や、自分に宛てられてもいないコメ欄に、いきなり戦闘態勢に入ってしまう。その中に、意味が取りにくい表現があると、自分が悪く書かれていると思い込む。怒りや憎しみを隠せないまま、いきなり反撃に打って出る。自分が話題になるはずもない隣人の会話、自分が写されるはずもない誰かのスマホ、自分を尾行するはずもない仕事帰りの会社員、自分に関心を...
好意的になれば、こんなにすごいアニメがあるんだ、って、原作を読んで、文体を真似て、自ら小説を書き始めて、7年かけて完成させる。そこまでする人はいない。https://www.sankei.com/article/20230919-G7NVUGCSMVIHBK5FL3VHPULDDQ/10年後、敵対したときにも、そこまでする人はいない。...
ただし、二極思考ではある。好意的になれば、一気に相手を理想化し、希望を見出して感涙する。ということは、敵対したときには、急に反転して絶望し、こき下ろして縁を切る。実は、どちらも不適切、と言わざるを得ない。不愉快ではあるけれど同意する、とか、理解はするけれど従えない、とか、おおよそ、世の中は、グラデーションの中の、振り切らない考えで出来ている。どんなに振り切れても、火を放ったりはしない。...
事件の当日の自分の行動などについては、「細かく覚えている余裕がなかったので、記憶にございません」と話しました。https://news.yahoo.co.jp/articles/6a6dcbe8464ab1baafe38fc0075c9c117ca3b75fここに来て、主張を変えてくる。なぜこんなに茶番劇のような裁判しかできないのだろう。公判9日めの、弁護人からの質問で、臆面もなく、記憶にない。...
映画「エレファントマン」の重要なシーン。フレデリック(主治医)の家を訪れたメリック(エレファントマン)は、フレデリック夫人がメリックを見ても恐怖に怯えることなく、会釈して差し出された握手に、感激して泣き出した。「僕は、美しい女性に優しくされるのは初めてです」彼女は、お茶をいれて、メリックをもてなした。...
ある人間が、他人に一杯のお茶を供するということは、 それほど容易な事柄ではない。…… その行動は、機械的なものであって、 そこには私に対する認知がひとかけらも存在していないといっていい。 一杯のお茶が私に手渡されたけれども、 私に一杯のお茶が供せられることはなかったといえるのである。 わが国のお茶のセレモニーにおいて、 真に彼の自己もしくは彼女の自己...
ペンギンは、海を飛ぶように泳ぐ。空のように海を飛ぶ。...
翼は退化して飛べなくなった。脚はひざを曲げたまま固定され、足首から下だけで歩く。最も過酷な場所を選んで暮らし、子育ては最も過酷な時季に行う。夏でも氷点下を超えることがない南極大陸は、冬には沿岸部でも-40℃を下回る。空を飛ぶこともできただろう。温暖な沿岸や湖沼で、生きることもできただろう。ほかにも方法はあった。鋭い爪と強靭な握力、暗闇を見通す眼。しかし、ペンギンは、ペンギン以外にはなれなかった。なれな...
2019年11月、京都新聞は、青葉容疑者が、大阪から京都の病院に転院する際に、治療に携わったスタッフに述べた言葉を報じた。「人からこんなに優しくしてもらったことは、今までなかった」https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/74638約4か月にわたって治療に当たった主治医は、治療とは別に、青葉容疑者と毎日15分の対話を続けたという。容疑者のフレーズを知って、僕がまっ先に思い出したのは、https://www.msz.co.jp/book/detai...
「逆に聞くが、京アニが(自身の)作品をパクったときには何か考えたのか」「パクりや『レイプ魔』と(被告自身が)言われたことに京アニは良心の呵責(かしゃく)はなく何も感じず、被害者としての立場だけ述べてどう思うのか」https://news.yahoo.co.jp/articles/0122d52e9b46f1a55336e97fa4290dd87596534c京アニはパクっていないし、レイプ魔とも言っていないが、どれだけ情理を尽くして説得しても、訂正は不可能と考えたほうが...
青葉被告はこの日の被告人質問で、コンビニ強盗事件の逮捕後に簡易鑑定を受けた際の言動として、「母と兄にガソリンをまいて殺してやろうと思った。無差別殺人をしてやろうと思った」と話したことを認めた。実行しなかった理由を検察官に問われ、「小説に対して、どこかで思いがあり、つっかえ棒になった」と説明した。https://news.yahoo.co.jp/articles/4812f6ac918fefce9cdbdc621797b9a07de8237a誰かの夢を笑わずに、応援するこ...
友だちとして、彼/彼女に沿うときは、正直でありさえすれば、>どんなに荒唐無稽でも、>どんなにつじつまが合わなくても、>どんなに言葉が通じなくても、彼/彼女にとっての事実と言っていい。すべての人に起こる出来事ではないし、程度も表われ方も人それぞれのとき、誰かをスタンダードなもの差しにして、照合することもできないときは、目の前のたった一人の友だちを、唯一のスタンダードに定めよう。いつかそう気づいたとき...
自分で決めたことなら、失敗も受け容れることができる。とか、もっともらしいことは言えるけれど、自分のことなら、失敗だけは避けたい。自分が失敗するくらいなら、成功なんかしなくても構わない。自分で決めたことだから責任を持てる。とか、かっこいいことは言えるけれど、自分が責任を負うくらいなら、差し当たり、何も決めたくはない。...
>検察側が「起訴される前には(公安に)監視されているという話をしていませんね」>「(警察の)取り調べや(精神)鑑定でも公安について質問されています」>「あなたは『公安は作り話』と答えていましたね」と詰め寄られると、>青葉被告は「そう答えていました」と発言したのだ。https://news.yahoo.co.jp/articles/2873423c26851082b3b8513051a870da7019ca1d?page=3妄想と作り話は違う。妄想なら、正直でありさえすれば、>どんな...
>ブログなんてものは、ランダムな、 >いろんな価値観がくっついた人たちに、 >それぞれの意味で読まれるほかはない。 > >救急車のサイレンがうるさいのは、 >自分の寝つきが悪かっただけのことであり、 >そして、なによりも、 > >自分の大切な人を運んでいないからである。この程度の文章でも、誤読は避けられない。次のうちから、最も正しいと思われる...
ブログなんてものは、ランダムに、いろんな価値観がくっついた人たちによって、それぞれの意味で読まれるよりほかはない。救急車のサイレンがうるさいのは、ともすれば、自分の寝つきが悪かっただけのことであり、そして、それよりも、なによりも、自分の大切な人を運んでいないからである。...
青葉被告は、加害者としての精神病理のつらさと、>被害者としての当事者性、つまり、>傷の癒えない負傷者のつらさも備えて、>焼死者のつらさまで垣間見ているような、稀にみる中立性を備えている。自分の実存に正しく向き合うことで、内面の法廷を成立させる希望がある。...
>検察官「呵責ということは、やろうとしていることが悪いことだと分かっていたということ?」>青葉被告「そうなります」>検察官「当時そういう風に思っていた?」>青葉被告「そうなります」https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/725504?page=6 「―― 28/xx」とは応答が異なる。 検察官は、「やろうとしていることが悪いことだと」、 「当時」、「分かっていた」ことにしたいけれど、 明確な回答で...
法廷における青葉被告の当事者性とは、京アニの事件の前から備わっていたものではなく、事件の当事者として、事件について問われて、当事者として語り、当事者として聞かれて、少しずつ獲得されて行くものである。青葉被告は、当事者性というなにやら本質めいたものを、自ら、予め備えていたわけではなく、それは、むしろ、自分ではなく、他人から、事件の当事者とみなされることによって、他人から、事件に関して付与されるものに...
わけの分からない想いに捕らわれたときに、わけが分からないままで放っておける人は少ない。空白を空白のままで空けておけるくらいなら、わけの分からない想いに包まれたりはしない。説明できない想いを、伝えにくいのなら伝えにくいままに、それでも、なんとか伝えようとする知性の働きを、抑え込むことができない人たちがいたから、僕たちは言葉を増やし、表現に工夫を凝らしてきた。作家なら、埋まらない空白は、言葉で埋めてほ...
客観的な語り手ではあるが、主観的に語ることさえ危ぶまれる。自らが統合失調症でない人なら、―― 統合失調症の人であっても、制御不能な個々人の妄想、それ自体は、誰とも共有できない出来事である。僕がいくら想像を働かせてみても、その想像は、京アニの事件における、青葉被告の主体性を反映しない。現実を離れて行く先には誰も随伴できず、そこで繰り広げられる人々の営みを、青葉被告と共有する人はいないと思われる。誰も青...
青葉被告は、当然ながら、妄想する側のつらさを知っていて、稀な事例になるけれど、被害者としての当事者性、つまり、傷の癒えない負傷者のつらさも具備し、焼死者のつらさまで垣間見ているような、いわば、客観的な語り手である。...
盗む側もつらい、とか、心の傷を負っている、とか。そのつらさは僕の理解を超えていて、軽々しく扱うつもりはない。しかし、盗まれる側には死活問題である。つらいとか心の傷はあとにしてほしい。経営が立ち行かなくなるつらさや心の傷は、盗む側の理解を超えてくる。妄想する側もつらい。確かにつらい毎日、毎月、毎年で、毎時、毎分、毎秒つらかった。そのつらさは僕の理解を超えていて、焼死者のつらさは、もう語られることもな...
商品を盗むのをやめられない病気はある。確かに、病気として、やめられないことはある。しかし、店員に見つからないように企図しながら、自分が欲しいものを、自ら自由に選択して、発覚したときに、やめられない、と病気の所為にして泣かれても、僕には、正直な甘えん坊に思えてしまう。窃盗罪が成立するのは、僕の理解に収まってしまうからだろう。公然と、欲しくもないものを盗めば、理解を超えてくるけれど。つまり、病気は、そ...
>ファクトとして、精神障害者の犯罪リスクは低い。例えば、放火殺人を実行するのは、健常者のほうが犯罪率が高い、とは言えないにしても、放火殺人なんてミッションは、健常でなきゃ成功できない。衝動的に闇雲に暴れても、建物は燃やせない。>動機の端緒は、妄想の影響を受けているとしても、>精神疾患を事件の動機にする短絡は偏見であり、青葉被告の犯行動機は、自分の人生を弄んだ者への反撃で、反撃の方法としての放火殺人...
https://news.yahoo.co.jp/articles/1342a6a3717ee663982c822bf91f246f816cb4e7>――ということは、悪いことだという自覚はあったのか。>◆あった。念を押すような質問に、明確な回答。ここで検察側は質問を終えたはず。質問は以上です。...
https://news.yahoo.co.jp/articles/6753064bf242ce4762f89699a7a77d5ed55b7e15こんな妄想ピラミッドは、統合失調症の典型だから、おそらく、検察は争わない。そして、争いがない以上は、どんなに荒唐無稽でも、どんなにつじつまが合わなくても、どんなに言葉が通じなくても、そのまま事実として、裁判の基礎になる。ここで、9月8日「―― 7/x」に戻る。 >今は、犯人の口から、 >犯人にとっての事実を語ってほしい。...
https://news.yahoo.co.jp/articles/6753064bf242ce4762f89699a7a77d5ed55b7e15こんな妄想ピラミッドは、統合失調症の典型だから、おそらく、検察は争わない。そして、争いがない以上は、どんなに荒唐無稽でも、どんなにつじつまが合わなくても、どんなに言葉が通じなくても、事実として裁判に積み上がる。ここで、9月8日「―― 7/x」に戻る。 >今は、犯人の口から、 >犯人にとっての事実を語ってほしい。 >...
9月7日に戻って、さらに、4年前の7月21日に戻る。この日は事件から3日め、やっと僕が何かを考え始めた日、死者は34人になっていた。https://qinggengcai.blog.fc2.com/blog-entry-1943.html >いつも問われる、原因究明と再発防止、 >しかし、どんな言葉を並べても、 >いつも、必ず、矛盾してくる。 >もとより、僕たちと犯人が、 >分かり合えるとは、とても思えない。 >では、原因...
https://news.yahoo.co.jp/articles/6753064bf242ce4762f89699a7a77d5ed55b7e15>それは積み上がった妄想ピラミッドの頂上の石。>最後に積まれた石1個を慎重に片づけたところで、>通算10年をかけた金字塔は揺るぎもしない。ここで、9月7日の「―― 5/x」に戻る。>さらには、動機と犯行をどこまで切り離せるか。>動機が、例えば、統合失調症などによる、>妄想の影響を受けたものであっても、>犯行は、自らの意思による自由な選...
第5回公判、弁護側の被告人質問までは、僕は、こんな印象。「前回同様3年半程度なら希望にも適うので、罪を認め、罰を受け容れたい。しかし、今回はやりすぎたから、精神疾患を使うことにする。幸いなことに、この国では、精神疾患と犯罪を結びつける誤解が根強く、妄想を犯罪に直結させる偏見が助長されてきた。死刑や無期を望んでの放火ではないので、今回は不本意な結果になった。なので、今回は妄想を強調して無罪を求めること...
パクられた、パクりには当たらない、普通なら、動機の妥当性に係わる重要な判断になるが、それは積み上がった妄想ピラミッドの頂上の石。最後に積まれた石1個を慎重に片づけたところで、通算10年をかけて築かれた金字塔は揺るぎもしない。...
ファクトとして、精神障害者の犯罪リスクは低い。例えば、コンビニ強盗を実行するのは、健常者のほうが多い、というよりも、強盗なんてミッションは、健常でなきゃできない。衝動的に闇雲に暴れても、金なんか奪えない。動機の端緒は、妄想の影響を受けているとして、精神疾患を事件の動機にする短絡は偏見であり、青葉被告の犯行動機は、作家になることを断念して、刑務所で生活することを選んだからである。実に合理性があり、実...
被害者の遺族はよく耐えている。からくも生き延びた被害者もよく耐えている。癒えない悲しみを抱えてよくよく耐えている。こんな裁判にもよく耐えている。僕なんか、とても正気を保てる自信がない。他人に理想や、きれいごとを言いたがる人たちは、想像しただけでも気が違ってしまうメンタルだから、きっと、リミッターをかけているだけなんだ。ストッパーを効かせているだけなんだ。きっと、自分がその立場に置かれたら、まっ先に...
おおよそ、言うだけ番長、って、自分で言うだけなら、期待せずに、取り合わないで、放っておけばいいけれど、他人に対しても、口だけ出して、何もしないのが恥ずかしい。嫌悪せずに、寛容さで対抗しろ、なんて説いたりするから困る。異見に対して、不寛容なその口で。...
日本の刑事裁判の有罪率は、99%以上。かつては99.9%だったけれど、裁判員制度になって僅かに低下した。それでも、裁判員裁判に限っても、99%を超えている。検察の起訴率は4割に満たず、確実に有罪になる事件しか起訴しない。つまり、有罪/無罪を決めるのは裁判であるが、実質は、検察の裁量で有罪/無罪が決められている。被告人は、基本的には、有罪確定と言ってもいいから、くだらない戦術などを弄することなく、すべてを正...
かわいそう+がんばる、僕たちは、そんな人が好き。かわいそうだけでは疎ましい。がんばるだけでは暑苦しい。かわいそうな人にがんばってもらわないと、いつまでもかわいそうなままで、恵まれた人にがんばられてしまったら、いつまでも追いつける気がしない。かわいそう+下着泥棒+コンビニ強盗、そんな人は嫌われるけれど、そこからでも、がんばる人が好き。...
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e13ba701a00f74ee0369e1619fb577b495f5cfa「そして、その人物とインターネット上で口論するようになり、下着を盗むなどして逮捕された前科を指摘され、「これ以上小説は書けない」と悲観的になった末、コンビニ強盗事件を起こしたと明かしました」端折っているから脈絡がないけれど、コンビニ強盗の動機は、小説を書くことで生計を立てることができなくなったので、刑務所で生活することを選ん...
無条件に共同体に受け入れられて、そこで人らしい扱いをされて、それで自分も人らしくなって、他人を人らしく扱える。反省の前には、そんな経験が必要だ。被告人の、治療を受けた病院での感想、「人からこんなに優しくしてもらったことは、今までなかった」という台詞は、そんな経験の乏しさを、端的に表わしている。...
更生の機会、なんて概念を、おそらくは、弁護士でさえ忘れている。京アニの事件は、犯行の結果が、反省の限界を超えている。反省ができる人であれば、もう、生きては行けないほどの犯罪を犯したとき、反省の先には、何があるのだろう。...
第4回公判、弁護側の被告人質問。https://news.yahoo.co.jp/articles/ce51caf72bf8ad09e875d411710300fffd7270a5「独自に収集した情報から、日本の財政問題は危険な水準まで来ており、破綻すると考えていた」なので、「当時の与謝野馨経済財政担当相宛てに「今辞任すれば助かる」という内容の警告のメールを送った」青葉被告はメールを送ることもできたし、送らないこともできたが、自らの選択によってメールを送った。こんなのは...
>今の今だって、この拙稿の、意味や価値が問われている。自分は意味や価値を巡る闘争を繰り広げているくせに、他人には、生きているだけで価値がある、そのままでいい、なんて言ってしまう矛盾は、寛さや、優しさまでも手中に収めようとする強欲さではないのかと、一周回れば、寛くもないし、優しくもなくなってくる。自分に対しては、生きているだけで価値がある、とも、そのままでいい、とも少しも思ってやしないのに。...
>犯人たちは、精神の言語化のつらい作業を厭(いと)わず、>既存の社会的枠組みからの逃走、ないしは漏出の描線を、>僕たちにも分かるように描き出してほしい。どうしても、犯人たちに、意味を見出す、既存の価値とは違う価値を付与する、って考え方になってしまうけれど、理想を言えば、>自己が持つ意味や価値に収めることの、>無意味さ、無価値さに気づくだろう。なんて帰結にしなきゃならないから難しい。今の今だって、こ...
>例えば、精神病理のゆえにその陥穽に落ち込み、>苦しい思いをしている人たちがいるのなら、その他者を理解するということは、理解できないことを知るという逆説になる。もとより、理解できないのが他者である。もとより、自己が持つ意味や価値に、収まってくれないのが他者である。どうしようもなく、はみ出してしまうのが他者である。その他者が、苦しい思いをしているから、間違った意味や価値の持ち主と思ってしまうけれど、...
ともすれば、当たりまえに思える社会秩序に、もしかすると、僕たちが見過ごしている陥穽があって、例えば、精神病理のゆえにその陥穽に落ち込み、思いがけず、苦しい思いをしている人たちがいるのなら、僕たちは、僕たちには見えない陥穽の在処(ありか)を、僕たちにも見えるように、その人たちに描いてもらう必要がある。犯罪によっても、非社会的、或いは反社会的な行動によっても、いつだって揺さぶりをかけられる社会秩序を維...
そうするしかなかった、やりすぎた。では、僕たちだって、やりすぎる人には、そうするしかないのか。...
これは、4年前の7月21日の記事。事件から3日め、死者は34人になっていた。https://qinggengcai.blog.fc2.com/blog-entry-1943.html >いつも問われる、原因究明と再発防止、 >しかし、どんな言葉を並べても、 >いつも、必ず、矛盾してくる。 >もとより、僕たちと犯人が、 >分かり合えるとは、とても思えない。 >では、原因究明は、僕たちの理解が、 >可能になるまで歪曲さ...
選択は、政治的なこと。具体的に、考えること。戦略を決め、戦術を選ぶこと。哲学的には、問うこと。抽象的に、考えること。選択の意味を決めること。選択についての言葉を選ぶこと。...
京アニの裁判、今日9月7日は被告人質問。被告人は起訴事実を争わず、争点は刑事責任能力に絞られている。妄想に取りつかれた制御不能な犯行か、自己愛的、他責的な恨みによる復讐か。さらには、動機と犯行をどこまで切り離せるか。動機が、例えば、統合失調症などによる、妄想の影響を受けたものであっても、犯行は、自らの意思による自由な選択であった場合、心神耗弱とされるべきか、責任能力が認められるべきか。...
>二択でも、三択でも、百通りでも、選ぶのなら、決めるのなら、それは、どれが正しいのか分からない、ってことと同じ意味になる。どれが正しいのか分かっていて、結果まで見通せるようなときには、選ぶ、ということはない。決める、ということはない。なぜ結果まで見通せないかというと、多くの場合、まだ何も始まってもいなくて、選んでからやっと始まるから。決めなければなにも始まらないから。そして、選ばれなかった選択肢は...
二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい 立派すぎることは 長持ちしないことだと気付いているほうがいい 完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと うそぶいているほうがいい 二人のうちどちらかが ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい 互いに非難することがあっても ...
ホワイトに働く人たちに、どこか、なろう系の異世界(たいした努力もなくチート能力を手に入れて、美少女たちに言い寄られ、容易に人々から賞賛を得る)を観てしまうのは、ブラックな僕のやっかみだろうか。楽ちんに働いて、卒なく仕事をこなして、キャリアを積み上げ、成長して行ける人たちは、僕なんかには及びもつかない、魔法使いのたぐいだろうか。...
二択でも、三択でも、百通りでも、その選択肢のうちの一つに、リスクは一切なく、確実に報われる肢があるのなら、選ぶことも、決めることも要せず、つまりは、そもそも、選択肢でさえもない。...
いい男、になろう、なんてのもまた、夏休みの宿題で、もうなれていたはずの最終日になっても、手をつけないまま、言い訳なんかを考えている。あるある。いづこも同じ秋の夕暮れ。...
なろう、といっても、なろう系の異世界(たいした努力もなくチート能力を手に入れて、美少女たちに言い寄られ、容易に人々から賞賛を得る)ではなく、もちろん、現実世界の話である。或いは、匿名のネットでなるのではなく、実名の現実で、なろう、って話だ。しょぼい話で申し訳ないが、僕たちは、しょぼい自分を置き去りにどこにも行けない。夢のない話をしてしまうが、僕たちは、夢のない現在からしか未来を語れない。どこに逃げ...
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間違っているから認めてほしい。誰からも正しいと承認されることなら、最初から、誰の承認も必要としていない。そして、誰からも不適切と思われることなら、その誤りを正すのは野暮というもの。コンテクストが試されているに決まっている。間違いを指摘するほうが恥ずかしい。 ―― 恋する心達のために/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2012、Words & Music >月よどうか今だけ >何処かに隠れ...
社会のせいとか、自分のせいとか。本当は、社会のせいにしたがる自分のせいとか、自分のせいにさせたがる社会のせいとか。本当は、対置していない社会と自分を正対させようとする、社会のせいとか、自分のせいとか。 ―― グロテスク/平井堅、安室奈美恵 ―― 平井堅 作詞、Matthew Tishler、Daniel J.Plante 作曲、2014、Ariola Japan >アイツの幸せ喜べますか? >あのコのもの欲しがってませ...
デカルトから始まって、ヒューム、カントまでは、まず自己が在って、そこから他者との関係が生じるけれど、ヘーゲルは、私が私であるためには、まず私は、私たちの一部でなければならない、と考える。自己は常に他者と共に在って、その関係の中で生きている。「客」のない世界に生まれて、「主」は有り得るか。つながりのない世界で生きて、「個」に成り得るか。 ―― 優しい歌が歌えない/槇原敬之 ―― 槇原敬...
ふわふわと、社会、なんて言うから、自分の外側に社会があると思って対立してしまうけれど、自分という現象が、社会現象の寄せ集めであり、自分は、世の中の現象をあれこれ抱え込んでいる。愛や、自由や、希望や、夢は、社会に見つけても、或いは、自分の足下に転がっていても、どちらに在っても同じこと、在ればいいんだ。 ―― 名もなき詩/Mr.Children ―― 桜井和寿 作詞作曲、1996、TOY'S FACTORY ...
自らの内に道徳法則を。自らの内に価値判断の基準を。自らの内に考える自らを。 ―― SIMPLIFY/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2000、Warner Music Japan >He's gonna be responsible >to simplify his own life. >ややこしく生きてるように見えても >彼は単純に自分を信じてるのさ >誰かのせいにしながら >生きるつもりはないだけなんだ >She's g...
誰のせいにしたっていいけれど、自らの意思によって道徳法則、―― それは、自分の外にあるモラルではなく、内にあるエティカ ―― を立てよう。知恵の実を食べたから、意思決定ができるようになったんぢゃない。楽園を追放されたから、考えて歩けるようになったんだ。自分で立って、どこにだって行こう。 ―― やさしい哲学/椎名林檎 ―― 椎名林檎 作詞、冨田恵一 作曲、2013、TOSHIBA-EMI >ついに自由を...
Xで誰かの悪口を書き連ねても、インスタで映え画像を並べても、ブログで陰謀論を拡散しても、それだって、自分らしい、というのなら、他人を黙らせる役には立つ。 ―― Ordinary Days/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2000、Warner Music Japan >当たり前さ それが普通さ >嬉しいことがないと >幸せと感じれないような >君のままじゃ疲れるだけさ >嬉しいこと 大事...
自分らしく、ってのは、もしかすると、底意地が悪いやつは意地悪のままに、意気地なしは意気地なしらしく、嘘つきは嘘つきらしく、ってことなのか。ことさらに、何も言ってないくせに、いいことを言ってる感だけで言ってないか。空疎なのに、中身がないのに、或いは、空疎であるゆえに、心地よく行き交うフレーズにしていないか。 ―― 太陽/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2000、Warner Music Japan ...
自分の心に正直に生きよう、とか、自分らしく生きよう、なんて、ポジティブなメッセージが飛び交っているけれど、そんなのは、何かを言ったつもりで、何も言っていないようなものか。 ―― I ask./槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2000、Warner Music Japan >I ask myself 僕は問いかける >I ask myself 僕の中に >I ask myself 僕の知らない僕がいて >慣れたはずの悲しみを...
或いは、荘子が言う「樸(あらき)」は、人為が加わる前の切り出してきたばかりの木。サルトルがよく例に挙げるペーパーナイフ以前の木。あるがままの素朴さを備えているものが持つ生来の力、何にでもなれる可能性を奪われる以前の木。しかし、一度は可能性を失ってみないと、可能性があったことにも気づけないのが僕たちではある。 ―― 名もなき詩/Mr.Children ―― 桜井和寿 作詞作曲、1996、TOY'S FACTORY...
>あるがままの心で生きられぬ弱さ>知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中まるでサルトルが言いそうなフレーズだ。本質の檻に囲い込まれた実存が逃走を企てる。実存が先立つのなら、あるがままの心は檻の外にいる。例えば、西田幾多郎なら、「主客未分」の中にいて、自分の人為が加わる前の、自分らしさの外に在る。 ―― 名もなき詩/Mr.Children ―― 桜井和寿 作詞作曲、1996、TOY'S FACTORY >ある...
変わろうとしても変われない、変わろうとしなくても変わる。そう考えるのなら、人は、変化を事後に追認するほかはないもの。それは、誰のせいであっても、或いは、誰のせいでもなくても、人もまた、自(おの)ずから然(しか)るもの。 ―― 名もなき詩/Mr.Children ―― 桜井和寿 作詞作曲、1996、TOY'S FACTORY >あるがままの心で生きられぬ弱さを >誰かのせいにして過ごしてる >知...
動的な平衡系においては、留まって動かないのは罪、時が止まってしまう罰。 ―― Mr.Children/Sign ―― 桜井和寿 作詞作曲、2004、TOY'S FACTORY >緑道の木漏れ日が君にあたって揺れる >時の美しさと残酷さを知る...
>何年もやせさせないのは、>自分が悪い、って気がしてくる。太ったことによる不都合、苦労、弊害と、やせるための不都合、苦労、努力と、どちらを選ぶのかは自分の責めに任される。 ―― センス・オブ・ワンダー/sumika ―― 片岡健太 作詞作曲、2020、Sony Music Records...
いくつもの例外があり、それぞれの事情があり、自分でもすぐに反論が思いつくけれど、唐突に、雑で強引に書き投げよう。肥満は社会のせい、といえる。つまり、自分を太らせる社会が悪い。しかし、太ってしまった自分を、何年もやせさせないのは、自分が悪い、って気がしてくる。 ―― アドレナリン/山崎まさよし ―― 山崎将義 作詞作曲、1997、Polydor Records >早めに治しましょう >こじらせ...
>生死は移りゆくひと時の位相。言うなれば、時間と生死は同語反復で、季節が巡るようなもの。 ―― 彗星/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲、2000、Warner Music Japan >あの桟橋から首を突き出して >訳もなく2人でながめていた >汚れていて 止まって見える >あの川は確かに流れていた >そんな風に僕らが >いくら抗っても >仕方がない程 時は流れ ...
身体は動的な平衡系。言うなれば、身体は仮のもの。常に入れ替わるパーツ。喩えれば、身体は借りもの。ひいては、生命は仮のもの。つまりは、生命は借りもので、生死は、移りゆくひと時の位相。 ―― 獣ゆく細道/椎名林檎、宮本浩次 ―― 椎名林檎 作詞作曲、2018、TOSHIBA-EMI >無けなしの命がひとつ >だうせなら使ひ果たさうぜ >かなしみが覆ひ被さらうと >抱きかゝ...
そのままのあなたでいてほしい、そんな願いも、また、動的な平衡系。変わることを願うのではないけれど、変わらないことを望むのでもない。変わることも、変わらずにいることも、そのままに、あなたの平衡状態を維持させる、そんなふうに、そのままのあなたでいてほしい。 ―― 卒業写真/荒井由実 ―― 荒井由実 作詞作曲、1975、TOSHIBA-EMI >人ごみに流されて変わってゆく私を >あなたはとき...
>時はいつの日にも 親切な友達都合よく何かを抽象して伏線を作り、いいとこ取りに他を捨象して回収する。而(しか)して、春は優しい、夜は優しい。 ―― 12月の雨/荒井由実 ―― 荒井由実 作詞作曲、1974、TOSHIBA-EMI >時はいつの日にも 親切な友達 >過ぎてゆくきのうを 物語にかえる...
歩くことも、また、動的な平衡系。平衡を崩しながら、平衡を保つこと。矛盾する二つのベクトルを同時に存在させて、動的な平衡状態を維持させる。川のせせらぎも、僕たちの足音も。 ―― 足音 ~Be Strong/Mr.Children ―― 桜井和寿 作詞作曲、2014、TOY'S FACTORY >夢見てた未来はそれほど離れちゃいない >また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ! >時には灯りのない 寂しい夜が来たっ...
奇妙なことに、弱者男性の敵は、なぜか女性になる。強者男性を敵とみなせば、ただの競争なのに。敵対させるのは、社会の性差別によって被害を受けてきた女性と、性差別が是正されることによって被害を受けることになった男性。なぜか対立する敵からの好意を欲しがっている男性の奇妙さ。...
>高度経済成長期から昭和の終わり頃までは、男女の賃金格差は今よりも顕著で、女性の収入は不当に低く抑えられ、その分、男性に振り向けられていた。>この国では、男であるだけで性別ガチャ当たり。皆婚は、女性が男性に依存しなければ、生きて行くことが難しかった時代の現象で、今となってはそっちのほうが異常だったと思える。もっと早くに是正されるべきだったと思える。...
国ガチャ、なんて言い方をするのなら、高度経済成長期から昭和の終わり頃までは、日本人であるだけで国ガチャ当たり。性別ガチャ、なんて言い方をするのなら、この国では、男であるだけで性別ガチャ当たり。日本人で男性ならシード権が得られた。たとえそれ以外に誇れるものが何もなくても。...
もしかしたら、生まれつき努力ができない人がいる、そう仮定するのなら、努力できるもできないもガチャ。努力が可能な努力族は、運命論的に成功を収めやすく、対して、非努力族は、失敗が運命づけられている。努力族は、努力するな、と禁じられても努力を止めないし、非努力族は、努力しろ、と命じられても努力ができない。自らコントロールができるものごとについては、自己責任論的に、自分で責任を負うことになるけれど、さて、...
小説でも、映画でも、日常は捨象されている。主人公は、小銭を数えたり、コンビニに行ったり、洗濯ものを干したり、ときにはうんちを漏らすとしても、日常=つまらないから、物語からは省かれる。日常=つまらないのは必然だから、おもしろい=物語から省かれるのは自然だ。どちらも、必ず然(しか)る、自ずから然ると言える。...
美味しかった、おもしろかった、楽しかった、なんて感想には、日常に戻される寂しさが混じっている。日常=つまらない、ってのとトレードオフにはなるけれど、でも、少し離れたら、日常もまた悪くないと思えてくるから不思議。結局、僕たちは、何をしても、いつかは楽しくなくなるんだ。...
身をもって知っている、そう言い合っている、日常=つまらない、このテーゼは事実らしい。つまらないから、僕たちは旅に出る、レストランを予約する、人に会いに行く。対価を支払って、期待通りにものごとを受け取って、それだけでも非日常ではあるけれど、さらには、もっと予期しない展開で、思いもかけない景色や味や思考と出会うときには、稀有な僥倖、軽々と僕たちの日常を超えてくる。 ...
所謂(いわゆる)、つまらない日常。つまらない、を日常の枕詞のようにして、おおよそ、日常はつまらない。所謂、同じことの繰り返し。繰り返されるから同じことになり、同じことでないのなら、即(すなわ)ち、非日常である。つまらなくないのなら、即ち、非日常である。...
>そう考えると、何を選んだとしても、おおよそは、>今の自分でしかあり得なかったような気がしてくる。そんなふうに、自分の選択の失敗を許容できた気になると、選択の及ばない、そもそもからの失敗に視点が移る。例えば、選ぶことさえできなかった親ガチャや、大きくは、他の選択肢の在りようも見つからない資本主義や、さらには、都合のいい異世界を仮想することで色褪せて映る日常や。...
>どんな選択も、ただの日常になり行く。>そう考えると、何を選ぶか、ってことは、>たいして重要ではないと思われる。何を選択したとしても、重要なのは、繰り返される日常の過ごし方にある。>まだ少しも報われない日常に耐え続けること。大きな決断は、ついつい先延ばしになり、長期的な計画は、なし崩しに短期的な快楽に負けて、そう考えると、何を選んだとしても、おおよそは、今の自分でしかあり得なかったような気がしてく...
例えば、資格試験を受験する、って選択の先には、例えば、半年で、例えば、300時間の勉強を要するのなら、毎日1時間半の勉強をする日常が始まろうとしている。選択は一時的なこと、日常は継続的なこと。まだ少しも報われない日常に耐え続けること。...
何を選んだとしても、例えば、どんな仕事に就いたとしても、選んだ後には、日常が待ち受ける。どんな選択も、やがては日常になり行く。そう考えると、何を選ぶか、ってことは、たいして重要ではないと思われる。選ばれなかった選択の先にも、繰り返される日常が待っているはずだ。どれが正しいのかが分かっていて、結果まで見通せるようなときには、選ぶ、ということはない。決める、ということはない。なぜ結果まで見通せないかと...
きっと、今日も、誰かの優しさが、優しさの価値を引き上げている。優しい人は、きっと、明日も優しい。優しい人にとっては、この世界は優しい。僕の今日が、少し荒(すさ)んだ一日だったとしても、その間にも、誰かの優しさが、僕に気づかれないうちに、僕に届けられているのなら、優しくなれない僕にとっても、やはり、掛け値なしに、この世界は優しい。...
考える人は、今日も考え続ける。優しい人は、きっと明日も優しい。読みかけの本のページをめくるように、人は、日常の経験によって、来たるべき日常を規定して行く。もしも、今夜、僕が、ていねいに、生まじめに書くのなら、それは、今夜の文章はもちろん、昨夜までの文章のていねいさと、生まじめさを説明してくれる。自分が正しいと決めてかかる人は、今日も執拗に他人を責め続け、自分を棚に上げる人は、明日になっても下ろさな...
自分が言われて傷つくことは、他人にも言わない。そんなのは多くの人が、日頃からできていると思う。自分が言われて傷つくことは、自分にも言わない。それは僕たちには、上手にできないことらしい。 ―― ダヴ:リアルビューティー スケッチ あなたは自分が思うよりもずっと美しい ―― 2013、ユニリーバ...
>誰かのために考えて、言葉にして、>さらには、伝えようとする工夫が、誰かの本来の美しさを言い当てる。 ―― ダヴ : リアルビューティー スケッチ あなたは自分が思うよりもずっと美しい ―― 2013、ユニリーバ...
自分のために考えることなら、夢見がちでも、曖昧なままでも、語尾を濁して言い切らなくても、さらには、言葉にしなくてもいい。誰かのために考えて、言葉にして、さらには、伝えようとする工夫が、表現を豊かにさせるのだろう。...
日常のちょっとした選択も、未来を変えるような選択も、同じ脳みそを使っているとするのなら、日常をナメちゃいけないな、なんて思ったりもするけれど、そんなことを考える脳みそ自体が、今夜も、僕を正気に戻してくれている。...
幸福な生活、なんてパッケージがあって、そのセットを揃えようとするのは、たぶん、得策ではない。セットを揃えて生活している人がいても、きっと、日々の生活は淡々と過ぎて行く。繰り返される日常は、当たりまえの日常で、幸不幸の埒外の、ただの日常である。...
どのようなものであっても、関係など持ちたくない、って思うときには、ブロックは、逆説を連れ立たせる。ブロックなんてことをしていると、ブロックしている/されている、という関係を作ってしまう。本当は、それさえも作りたくない。 人間の形をして 生まれたからといって 人間らしく生きているなんて 限らないと今は思う ―― 君が教えてくれるもの/槇原敬之 ―― 槇原敬之 作詞作曲...