昼下がりの少し眠気が襲う頃そろそろ届く、母さんの好きな花かごあなたの趣味を思いながら子どもの頃を思い出したよワガママだった僕はずいぶん手がかかる子どもだったろう母さん、あるときはとても気弱で寝込むこともあったね姉さんと二人で、布団に横になっているあなたを案じた家族を養うプレッシャーがどれほどかなんて知ることなく愛情をいつも求めていたその重さに気づかない子供の特権あのひ、僕はちっぽけな我が家の庭で椅子にすわってあなたがさばくハサミの奏でる音に聴き入っていたなんの不安も抱かず、なんの苦労もせずにこのままいつか大人になるのだろうと無神経に思ってたリズミカルに、ラララ、時計は幸せを差して止まってた今遠い異国にいる僕はふるさとの大地を踏めないけれどスイッチひとつであなたの声や表情を知ることができるそれは味気ないコミュニケ...らら、ららら
灰色の雲の切れ目からすべてを照らそうとする光の筋分厚い雲に行く手をはばまれて夕空はすっかり雨雲に覆われるもうすぐ雨降りの季節あじさいの花びらのうえ一匹、二匹懸命にはいつくばっているもしも真っ暗な夜空が晴れならばあなたは一番星の名乗りをあげてわたしの視界にぽっと灯るだろううすのろだってゆるされますか星がいつ消えたのかさえ知らずわたしは懸命に緑葉の上を這うあこがれ(改稿版)
太陽灰色の雲の切れ目から降り注ぐ光はすべてを照らすけれど分厚い雲にはばまれては手出し無用気づけばすっかり雨雲に覆われた夕空季節もうすぐ雨降りの日々がふえてあじさいにかたつむりが現れるはいつくばっていきてきた半生うすのろだってゆるされますかねばりづよく、あなたのように回想もしも真っ暗な夜空が晴れたならあなたは一番星の名乗りをあげてわたしの視界にぽっと灯るだろうやり直すことなどできないけれどあの頃と同じ夢をみていたいのだ夢みる若者を応援していたいのだあなたはいつまでもあなたやすらかな笑顔をたやさなかったあなたの勝ちやせほそった身体をみせなかったあなたの勝ちかなしみは海よりも深くそしておもいでだけが記憶を彩る星が消えたのはいつ?子どもたちは行き場を失ったあなたは今どこを泳ぐのですかわたしは葉の上を這うかたつむりあこがれ
大切なものは目に見えませんこころこの世にうまれ出たときから常に脈動し続ける胸の臓物が目の前三十センチ四方の空気をぶるぶるとゆらす脳内に搭載した顕微鏡を使ってその複雑な動きを分析する入り乱れる感情が生むのは滝のように雪崩落ちる罵詈雑言幼い頃にはピンク色していた心のひだが自分でも気づかぬうちに怒りや苛立ちや焦りで能面のようにツルンとしてきた今日この頃誰かの感情のつぶてがすりぬけてゆくかつてより美しくなくなった世の中にあらがいわたしは自分史を再構築しようとする老眼鏡が手放せなくなったわたし歩くために杖が必要になったわたし今よりほんの少し優しくなった社会を先の未来に期待するけれどもわたしはわたし庭先で熟した無花果の収穫時がわからない縁側で座ってひとり考え込むわたしもいで持ってきたのは隣家に住む少年だったありがとうとどめ...熟した果実
ゆめうつつはらはらと細い指のあいだをすりぬけてゆく音がおどるそして流れゆく時先端が響くのかカラカラと揺れるかすかな気配をたどっては朝の光のしぶきに目をそらしそして夕風はなきごえのようにひゅるひゅると鳴いて誰もたどりつかなかった夢世界へすべてをいざなう答えはただひとつではないと誰かが信じたのかもしれない朝は空を見上げたそして夜は床に就こう何気なく目に映った天井の歪んだ木目が未来への入口だと子どもたちは知っている気づいている小さな寝音を立てながら眠りに落ちる母よあなたはどこへゆくゆらりゆらり心地よくそして私もこくりこくりゆめうつつゆめうつつ
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