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小杉 匠
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2013/06/08

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  • ここにいること(即興詩)

    「ここにいること」わたしは今生きているそれは、前を向くこと立ち上がること朝焼けを眺めること全身に日の光を浴びること帰り道で雨に打たれること濡れた髪をタオルで拭うこと生暖かいコンビニ弁当と一人きりの晩酌狭い湯船につかって鼻歌を歌いペタンコの布団に寝ころんで天井を眺めれば普段より緊張感を増した私の心に眠気が襲う今日一日ここにいることが許されたそう安堵して枕を抱きしめるそんな狂おしい日々がまだまだ続く振り返ると少しつらくなるから前を向くここにいることここにいることかつて世界がこんなに狭いなどと思わなかった逃げ場のない時間と空間の中で唯一わたしの手のひらの中にあるそれがここだったここにいることここにいることいま世界はここでしかないのだから世界中の人々とここを共有しようもしそこに行けずとも世界がなくなることなどないたとえ...ここにいること(即興詩)

  • ある夫婦の幸せ

    精巧な積み木細工のような離島の家屋想像力に満ち溢れた創造力の結集今にも崩れそうな絶妙な均衡を保つ島人達の驚く顔が最大級の賛辞匠は呆然と立ち尽くす私に尋ねる「アナタは何でできていますか?私はコンビニの総菜コーナーに並ぶカレーパスタチープな食材でできています」島を一回りして帰ってきた飼い猫我が新居の軒先に寝転ぶ日日是好日門出となる今日という日を夢見て毎日を慎ましく暮らしてきた私達匠の技で終の棲家を手に入れた縦の糸はあなた横の糸はわたし紡ぎあげた絹のベールが君の表情を隠すわずかな隙間から垣間見える唇の動き「ありがとう」とつぶやいたのかい?隣からじんじんと伝わる体温が今日の幸せ、そして明日から永遠に続く幸せある夫婦の幸せ

  • 少年の涙

    薄桃の花びらがはらはらと舞い降り風は空っぽの心の細道を吹き抜ける少年はちっちゃな手指を差し出して白灰色に沈積した路上の塵芥を拭う道端に咲く花が揺れてダンスダンスダンス限りなく白に近い薄桃に誰かが色を付ける少年が開け放った白い扉の向こうにはモノクロームの日常が群れをなして待つ少年よ、少年よもはや涙すら涸れ果てた私朽ち果てて黒の亡骸になるのを待つほかないその間ただひたすら祈るのだ君が憂い、流す涙の一粒一粒に世界のあらゆる黒が閉じ込められるよう涙は真実でできていると知ったあの日から誰かがついてきた優しい嘘をすべて許そうそしてすべての罪と罰に色をつけよう、春色を口づけのようなやわらかなタッチで少年の涙

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