人生の半分はとうに過ぎたはずなんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バーベナ) 六十代の半分も今日過ぎたんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バ…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
『搬出後』 搬出後のがらんとした倉庫に 一人で立っている(ツバキ) 鉄骨に寄りかかって缶コーヒーを飲んでいたら もう一人のアルバイトの青年が声をかけてきた「終…
最終話 永遠の野原(8) 綾瀬さんは、携帯に高木さんからメッセが入っていたのを見て慌てて帰っていった。いや……そういう言い訳をした。失った五十年が無神経な越権…
最終話 永遠の野原(7)「謎かけだけだと話が進まないから、私がどう考えたかを披露しておく。答えじゃないからね。あくまでも私見だよ」 野原に背を向け、眼下の家並…
最終話 永遠の野原(6)「佐々木さん」「うん?」 さあてこれからどうしたものかなあと足元のゴミを見下ろしていたら、背後で綾瀬さんの声がした。「ああ、綾瀬さんか…
最終話 永遠の野原(5) 俺が部屋を訪ねた時、豊島さんはレンズの分厚い眼鏡をかけてノートパソコンのキーをものすごい勢いで叩いていた。「豊島さん、その後いかがで…
最終話 永遠の野原(4)『抜いて放っておけば萎びて土に戻る草と違い、穂坂さんの入植以降野原に持ち込まれたものは、ずっと残るものばかりです。少量なら都度野原の外…
最終話 永遠の野原(3) ラインの方には短い案内だけを出しておく。短文の連打で膨大な情報量をさばくのは、少なくとも俺には無理だからな。『野原ラインのみなさま。…
最終話 永遠の野原(2)「佐々木さん、大変でしたね」「まいったよ。こう続けざまだとなあ」 お袋のあれやこれやで走り回っている間に四月も後半。どんな事情があって…
最終話 永遠の野原(1) お袋の葬儀と施設退所の手続きでばたついた三月下旬。俺たちは、寂しさや悲しさを年度末の慌ただしさで紛らせるようにして予定内外の変化をこ…
ものすごく不幸とか不運というわけじゃないんだが、こつこつ小出しで困ったことが積み重なり、気力ががっつり削がれる。『やなことジャブ』というやつは、本当にしんど…
うちでは、多肉系の面々を冬でも室内に入れず年中ベランダに出しっぱなしにしています。一年に何度かは気温が零下になることがあるので、寒さに弱いものは凍みてアウト…
いや、ふと思ったものですから。 その差はどこから来るのかなあと。 最後に咲き残ったビンカとバラ。どちらも冷気で傷んでぼろぼろです。二者の間で大きな違いはない…
久しぶりに、画像一枚のネタです。 次の画像、違和感を覚えませんか? 特に珍しい植物ではありません。 デンドロビウムですね。 でも。地植えはかわいそうでしょう…
花苗は時期はずれでない限りリーズナブルな価格で購入できますし、毎年新しい苗を使った方が早くきれいに仕上がります。多年草であっても、翌年使わずに新苗に入れ替え…
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、だあ? ふざけんな! ぽいっと捨てられたら、自力で浮かぶしかないんだよ!」 漂流中、亀に間違えられてさ。 本物の亀に怒られたん…
『裏声(ファルセット)』る あらあ あれ あるあある あれ お あれ るうううあああこちこちとステンドグラスにぶつかって散り光る賛美歌マリアの足元に横たわる…
ぼくが 枯れ葉に似ているわけじゃない枯れ葉が ぼくに似ているわけでもないぼくのご飯が 枯れ葉ってことじゃないしぼくの子供が 枯れ葉を食べて育つわけでもないぼく…
自分が幸福か不幸かを考える時。 どうしても他人と比べたくなる。 よくわかってるよ。 そんなことをしてもナンセンスだってね。 幸福も不幸も相対値さ。 絶対基準…
色のない世界で、私だけが色を有している。私の鮮黄色は生命の象徴。闇を照らして素晴らしい印象を残すはずなのに。 なぜか世界から疎外され、不恰好にぎらついている…
斃れゆく古い者の合間から新たな者が立ち上がる(ナヨクサフジ)古い者は新たな者を羨まない(ヨモギ)新たな者は古い者を敬わない(ヤハズエンドウ)彼らはよく知ってい…
「鋸なのに、ちっとも切れないんだね」「逆だよ。切り取られたから鋸になったんだ」「切り取り線ばっかで、残る身がないじゃん」「てか、切り取れるもんなら切り取ってみ…
あしあととそくせき。漢字表記は同じ『足跡』。訓読みと音読みの違いだけだ。だが、意味は微妙に異なる。 あしあとは残るものだが、そくせきは残すものなのだ。 自ら…
《ショートショート 1510》『パッチワーク・シンドローム』 (ラフ・キャンバス 5)「こんなの、聞いてないよ。どうしよう……」 応接室に一人残ったわたしは、…
わたしたちはいつの間にか野から連れ出されたのだ(スイセン)並べられて花壇で微笑むようにと強いられたのだ(ヒメリュウキンカ)それはわたしたちの望みではないだから…
これでおわりではない(オオオナモミ)これからはじまるのだ(ホシアサガオ?)みずからおわらせることなどできないはじめなければすぐおわりになってしまうのだから(セ…
世界が白と黒に塗り分けられようとしているだが私はそのどちらにも与したくない(ロウバイ)だから赤を残すほんのわずかでもいい赤を残す(ウメ)塗り分けに抗う意思の熱…
シーズン9 第四話 黄金(2) テオはオルムと同じ、北国ガレリアの出自じゃ。ガレリアは王制国家だが、継代の仕組みが他国と異なっており、国を代表する五つの名家が…
シーズン9 第四話 黄金(1) 寒が緩み、雪が完全に退いて、野山が徐々に薄緑の芽吹きで覆われるようになってきた。待ち望んだ春の到来を受けて、畑を耕す農夫たちの…
(ホトケノザ)Across The Sky by Pat MethenyAcross The Sky大空を大胆に横切り 春の予感が現実に変わるPass Tim…
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人生の半分はとうに過ぎたはずなんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バーベナ) 六十代の半分も今日過ぎたんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バ…
シーズン9 第七話 航路(2) 有能な魔術師であれば、魔術で万事を解決できるか。決してそんなことはない。むしろ、精進すればするほど魔術で成しうることの限界が見…
シーズン9 第七話 航路(1) 巨竜との戦いは、能うる限り短時間で終わらせねばならなかった。事実その通りになった。だが滅したのは巨竜だけだ。月にあるオストレク…
底は天上よりも涼しいのだだから望んで底にいる底にいれば光が当たらない卑屈になるそれはあながち誤りではないんだがよく考えてみたまえ本当に光が届かない暗所ならば底…
田水が引かれる前。乾いた圃場のそこここに不規則な水たまりができていた。それが六月の始まりだった。 田ではなく畑であっても、まとまった雨が降ったあとに水たまり…
《ショートショート 1512》『流紋』 (ラフ・キャンバス 7)「ううー、うまく描けないなあ」 通っている高校の近くに結構大きな公園があって。そこの中央噴水周…
一面に敷き詰める。 敷き詰められることで面の印象は単調になるはずだが、我々はなぜかその光景を愛でる。(クリーピングタイム)「一面ピンクっていうのはエロくない…
全国一千万のもふもふファンのみなさま。 お待たせいたしました。 ごちゃごちゃ面倒くさいことは申しません。 心ゆくまでもふもふをご堪能くださいませ。 ひあうい…
いや……事実そのものなので、コメントのしようがございませぬ。ナデシコ科の園芸植物は、ほとんどが外来のお客様ですね。しかも。どういうわけか濃いピンクの花が多い…
先だっての記事でもちょこっと触れましたが。 長らくユリ科という寄り合い所帯に同居していた一族は、分子生物学的系統分類の進化に伴って、現在ばらばらに解体されて…
太陽を天空から下ろし夜に仕舞うまでのわずかな時間帯その間だけ太陽は偽物になる地を温めることはできず闇を焼き尽くす力もなくまといつく夕雲を払い除けられずぼんやり…
干してあったパンツが風で飛ばされてしまうのは、事故だから仕方がない。 だが、これみよがしに路上に捨てるのは、趣味の悪い軽犯罪だ。 そうだろ? 気づいた人が見…
映画は、明るいタイトルで男前が主演なのにどろっどろのミステリーでしたが。 冬から春にかけてのお寒い時期に地を照らすキク科の太陽たちは、ミステリー抜きの『太陽…
春花のまとめもなかなか画像在庫が減っていきません。六月いっぱいは引っ張ろうかな。 で、此度登場の面々はキンポウゲの仲間です。美しい花を咲かせる園芸植物が多い…
先日、運転免許証を更新してまいりましたが、毎度のこと写真がひどい有様で。(笑 まあ、年も年やし、身繕いもいい加減なので、最初から盛りようがないと諦めておりま…
シロツメクサの葉は三枚でワンセット。 四つ葉を見つけたらラッキー……ですね。 三枚でなければならぬという規則があるでなし。葉っぱなんか何枚セットでもええやん…
スイバ(酸葉)はごくありふれた雑草だ。 冬の間は地面に張り付いて寒さに耐え、春の足音が聞こえてくると同時に花穂を上げる。スイバという名を知らない人でも、咲き…
サザンカも含め、ツバキの仲間は晩秋から翌春までの花の少ない時期を彩る花木だと思われている。 だが、ナツツバキやヒメシャラのように夏に咲くものもあり、交配の進…
季節は夏に向かってまっしぐらなので、春花の画像消化を急ぎます。同系統の記事を連投しますが、どうかご容赦くださいまし。◇ ◇ ◇ 人間は、何かと分けたがるもの…
抑えていた感情が溢れて涙に変わる涙はいつまでも流れ続けるわけではないだが誤解してはいけない涙は止まったわけでも涸れたわけでもないただ乾いたのだ 涙はいろいろな…
ああ、そうさ他の何かに生まれ変わることはできないよどれだけ転生だとか前世だとか言ったところでそうなったのを証明できた人は誰もいないただの一人もねでも新しい自分…
シーズン8 第七話 鷲羽(2) 「手出し無用もなにも、私の出る幕などどこにもないわい。ビクセン公もよう言うわ」 あまりに鮮やかなビクセン公の作戦行動に呆れてぼ…
シーズン8 第七話 鷲羽(1) ケッペリアが酷暑に侵される真夏がやってきた。もちろん、暑さが天敵であるソノーの機嫌はずっと悪い。だが、その機嫌の悪さは暑さがも…
木陰で憩うといい涼しいよ君はそう言ったああそうだね葉群に解き漉かれた優しい光は夏の棘を優しく丸めるきっと木陰は他の誰よりも優しいのだろうでも木陰で憩うことがで…
雨筋が見えない弱い雨にすら隠されてしまう内情がある雨滴の重さを感じられないのに無情にのしかかる定めがある降っている時間はわずかなのに雨音がいつまでも止まない洗…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ちょい興味があって、野生タヌキのおトイレを定期的にチェックしております。タヌキの溜め糞と言って、彼らは…
読書ノートの275回めは、桂望実さんの『嫌な女』(2010年発表。文庫版は光文社文庫)です。久しぶりにボリュームのある紙本を完読したなあ。(笑 桂さんについ…
「警報ってのは、迫り来る危機に速やかに備えなさいと鳴らされるものだろ?」「ああ」「その危機が来なかったら、俺たちは言うわけだよ。なんだ、脅かしやがってと」「ま…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「野菜が高くてかなわん」「特にブロッコリー。ついこの前、国の指定野菜に格上げされたんだろ? 安値で流通さ…
《ショートショート 1473》『俯くやつは嫌いだ』 すぐに俯くやつは嫌いだ。卑屈だとか意気地がないとか決めつけているからじゃない。俯くのはコミュニケーション遮…
夏の花が全て白いわけではない。 だが、気づけば白い花を追い、白い花ばかりを集めている。 ああ、そうだよ。 色なんかいつでも着けられる。 自分の色を選ぶまでは…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ずうっと待てるのはちゃんとメリットがあるからよ。 無目的にぼけっと待ってるなんて阿呆のすること。 そう…
読書ノートの274回めは、窪美澄さんの『いるいないみらい』(2019年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 窪さんについては『晴天の迷いクジラ』を…
花束と寄せ植え。 どちらも様々な花々の集合体だが、微妙に異なる。 花束はもらうと嬉しいけど、寄せ植えはびみょー。だって、花束は花がダメになったら処分できるけ…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ナズナにしてもタネツケバナにしても、春を代表する野草のはずなんですが、そういう季節感をさっくり無視…
《ショートショート 1472》『涙袋』「朝もはよから何をやっとるんだ、ちみは」「ほっといてんか」 部活の朝練明け。制服に着替えて教室一番乗りーと踏み込んでみた…
「鍛え方が甘いのか、最近は未熟者ばかりじゃのう」「時が来ればちゃんと一人前になりますよ」「尻の青い連中ばかりで頭が痛いわい」「未熟なのにもう赤かったら、尻の叩…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 変なやつだと言われて喜ぶ人はあまりませんよね。 いたとしたら、その人がリアルに変なのでしょう。(笑…
第六話 涙雨(5) しばらく黙っていた男が、俺にではなく自分に言い聞かせるようにしてぼそっと呟いた。「俺は……どうすりゃいいんだ」「さあ。それはあんたにしか決…
第六話 涙雨(4) 男は、俯いたまましばらく口を開かなかった。髪や髭に溜まっていた雨滴が、まるで涙のように一斉に男の足元に降り注ぐ。俺は男が何か言い出すまで黙…