未熟者という表現は、いいたとえとしては使われませんね。じゃあ未熟者だから悪いのかと言えば、それはどうかな、と。そうでしょう? 誰であっても、熟する前のステー…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
未熟者という表現は、いいたとえとしては使われませんね。じゃあ未熟者だから悪いのかと言えば、それはどうかな、と。そうでしょう? 誰であっても、熟する前のステー…
第十話 帰還(5) ショックでしゃがみこんでしまった綾瀬さんを力任せに野原から引きずり出し、豊島さんが待っているところまで戻る。俺と綾瀬さんのやり取りを見てい…
第十話 帰還(4) これまでの豊島さんなら、付き合いが長い俺にすら身の上話なんか絶対にしなかっただろう。だが、孤独に耐える強靭な精神力があっても、一人で生きて…
第十話 帰還(3) 鬼のような形相を崩さないまま。それでも豊島さんはきっぱり言った。「あたしは運がよかったんだ」 そのあと豊島さんがだあっとまくしたてた一部始…
第十話 帰還(2) 家にいれば、どうしても身の回りのことをこなさなければならない。実際にするしないは別にして、家事山積の中にすっぽり嵌ってしまうとちっとも気が…
第十話 帰還(1) 「ふう……俺もトシだな」 少しずつ枯れ草の藁色が混じり始めた野原を見渡し、牧柵に両腕を預けて溜息をつく。 俺は鈍臭いから、同時並行で何かを…
すぺしゃりすと なんでもできるのが必ずしもいいわけではないのです。一芸に秀でるといわれるように、一つのことをとことん突き詰めるのもまた生き残る道なのですから。…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 生き物中心に写真を撮っていますのでどうしても判じ物は多くなりますが、珍しいものに遭遇する機会はそうそう…
《ショートショート 1490》『幻の色』 (カラー・ミー 5)「ぐええ、こんがり丸焼けだー」「むー、困ったあ。どうする? モル」「むうう」 イーゼル立ててキャ…
臭いものに蓋と言うが、ちゃちな蓋で隠せるような汚点や恥部なら最初から大したもんじゃない。蓋なんざしないで、ちゃんとどぶさらいした方がいい。 そもそも蓋っての…
読書ノートの290回め。近況と読書状況をちびっと。 長すぎた夏の酷暑がやっと治ったと思ったら、今度は怒涛の繁忙期がやってまいりました。(^^;; 今年はイベ…
昨年の猛暑少雨が今年も続くとは思いませんでした。予想外の事態に慌てたのは我々人間だけではなく、植物も同じなんですよね。 梅雨明け十日どころか二ヶ月以上まとも…
《ショートショート 1489》『影の色』 (カラー・ミー 4) 影に色なんざあるものかと、父は鼻で笑った。持論にとことんしがみつく人だとわかっていたから、私は…
言いたいことを言わないのと言えないのは違う。言わないのは我慢だが、言えないのは強制だ。我慢は強弱を自己調整できるが、強制される箝口(かんこう)にはひたすら忍…
読書ノートの289回めは、小野寺史宣さんの『今日も町の隅で』(2020年発表。文庫版は角川文庫)です。小野寺さんの近作ですね。電子本での読書。 小野寺さんに…
西風の精が群舞を踊る季節になりました。 外来植物でありながら、まるでずっと昔からそこにいたかのように秋雨に合わせて咲き出すゼフィランセス。夏の終わり、もしく…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 例年だともっと虫ネタが多くなるんですが、今夏が極端な高温少雨だったせいか虫の姿がさっぱり見られなくて……
《ショートショート 1488》『オレンジとピンク』 (カラー・ミー 3) 仕事帰りに立ち寄るショッピングセンターの入り口付近に、小さな花屋のブースがある。一坪…
「そろそろ長かった猛暑も一段落。日傘をしまう前に、ちゃんと広げて乾かしておかないとね」「……そうね」(オオシロカラカサタケ)「この傘には一つもいい思い出がない…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ようやく猛暑が一段落しましたが、七月、八月の暑い最中に撮った中・遠景の画像はもれなく白飛びしていました…
読書ノートの288回めは、瀬尾まいこさんの『優しい音楽』(2008年発表。文庫版は双葉文庫)です。瀬尾さんの作品としては比較的初期のものになりますね。 瀬尾…
出穂。出水ではなく、穂が出ること。 イネ科やカヤツリグサ科などの単子葉植物では、蕾が上がるというより穂が出るという表現の方がしっくりくる。 穂が出るのは好ま…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)「反魂の秘法が存在すると思うかい?」「思いません」「即答だな」「そんなものがあれば、現世が亡者だらけになります」「…
シーズン8 第十話 純白(2) 執務室に二人の執事、ソノーとペテルを呼び、対策を話し合うことにする。ドアを閉めて部屋を魔術で封鎖したのち、二人に筆記を禁じた。…
シーズン8 第十話 純白(1) そろそろスカラの修了が見え隠れしていたレクトはともかく、こちらに来てスカラに通い始めたばかりのクルムまでもが屋敷を出て鍛冶屋に…
美しい薔薇が春に咲いていれば春の歓びを堪能することができる逞しい薔薇が夏に咲いていれば夏の疲れを癒すことができる健気な薔薇が冬に咲いていれば冬の凍えを和らげる…
もうとっくに秋だったはずなのに夏がいつまでもこちらを見ていた強い視線に怖じたかのように秋の諸々が駆け去っていく優雅さも静謐さもたなびかせることなくただ足早に(…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)(キマワリ)とんでもなく暑かったんだ(アオドウガネ)かんかん照りばかりだったし 生きているように見えますが、どちら…
アポロンの火矢はあまりに強すぎた万物は陽光の恩恵を受けきれず逆に熱を持て余して焼け焦げただから私は陰が欲しかったのだ火矢を遮ることのできる陰をだがようやく得ら…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)秋空になったから掲げられた旗に気づいたんじゃない(シマトネリコの翼果)旗が掲げられていたのはずっと前からわかってい…
《ショートショート 1487》『染まる、映す、帯びる』 (カラー・ミー 2) ガーデニングなんてわたしのがらじゃないんだけど、新居に猫の額ほどの庭ができたらち…
食べ方というのは個々人に流儀がございまして。 お行儀云々はともかく「こういう食べ方が好きー」というのは厳然と存在するのであります。 ソフトクリームを必ずコー…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)「なんだかんだ言っても、もうすぐ十月だもんなあ。雲がすっかり秋仕様になった」「気のせいだ。今日も猛暑日。かなわんわ…
わたしはこてこてのマクロユーザーです。 なにせど近眼ですから、遠景を撮るとか離れたところから表情や動きを確かめながらアクティブに撮るというのが極端に苦手。ぎ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)薄暗く希望の乏しい世界にいるから天使の群舞は美しく見えるのだ美しく澄み渡った世界にあればいかな天使と言えどその一部…
読書ノートの287回めは、恩田録さんの『ブラザー・サン シスター・ムーン』(2009年発表。文庫版は河出文庫)です。 恩田さんの作品はこれまで何度か取り上げ…
他人のそら似と言いますが、まるっきり違う種なのにそっくりに見えることがあります。これからご紹介する二種類のきのこ。特に幼菌のうちはおそろしくよく似ているんで…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ さて。 みなさまよくご存知の樹木の画像を二つ並べます。それぞれ何かを当ててみてください。どちらも赤系の…
《ショートショート 1486》『エリア・レッド』 (カラー・ミー 1)「ミスター・サトムラ。私はフェンドと申します。エリア・レッドにようこそ」 車を降りると、…
えとわの総和数がぼつぼつ1500話に近づいてまいりました。区切り直前の十話はフリーに書き下ろすつもりなので、その前に一つ、久しぶりに新しいサブテーマを投下し…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「ねえ、パパ。家族でお出かけはいいけど、外はまだぎんぎらぎんなんでしょ? あたし、肌焼きたくなーい」「し…
第九話 台風一過(6) ぐずり始めたこのかちゃんをあやしながら、敬士さんがふっと吐息を漏らした。「ただ……」「うん?」「ゆーちゃんが人になんでも押し付けようと…
第九話 台風一過(5) 俺としては、由仁に最大限の怒りと拒絶を突きつけたつもりなんだが、こういう強い警告は本人の面前で直接ぶちまけないと効果が薄い。これまでも…
第九話 台風一過(4) 「ふう……」 台風一過で涼しくなってくれればいいんだが、地球温暖化のせいなのかまだまだ残暑が厳しい。孫娘の愛理(あいり)がまだゼロ歳児…
第九話 台風一過(3) くそ部長は親と雅美さんを離縁させ、生計面で生殺与奪の権利を握り、大吾という枷をはめることで雅美さんをカネのかからない若い愛人……という…
第九話 台風一過(2) 雅美さんの台風がでかかったから、牟田さんの退職という台風は社にはともかく俺には大きな影響がなかった。牟田さんはきっとカレシとの結婚に踏…
第九話 台風一過(1) 優と雅美さんの一件は、孫の世話が絡むだけに対応を急ぐ必要があった。鈍臭い俺が何から何まで調べて立ち回ることはできないので、知り合いの弁…
散らばるのはよくないことか。 いや、必ずしもそうではないと思うのだ。(ベビーサンローズ) 思考が散らばる。うまくまとまらない。確かにいらいらさせられる時もあ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 鮮やかな色が好きという人もいれば、抑えめの色が上品でいいという人もいる。 夏を彩る赤にも、そうした個々…
読書ノートの286回めは、森博嗣さんの『もえない』(2007年発表。文庫版は角川文庫)です。 森さんについては、先だって『どきどきフェノメノン』を取り上げた…
赤は活力の色、情熱の色、生命の色だ。 真夏の赤は暑苦しいと敬遠する人もいるが、赤ほど夏をぴったり装飾できる色は他にないと思う。 ただ……。 赤にはもう一つの…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^) 以下の画像には間違いがあります。 間違いを探してください。(1)(2)(3) お解りになったでしょうか。実は、三…
《ショートショート 1485》『救えないが掬うことはできる』 (オーバーテン 11) 「すくう」という動作には二種類ある。救済する「救う」と水から引き上げる「…
八月は あまりに暑過ぎたぼくは ひたすら日陰に 隠れているしかなかった九月は 暑さが少しましになったけどそれでも 日向を歩くのは辛かったぼくは 日陰を選んで歩…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「大人ってやーね。子供だからってすぐバカにしてさ」「しゃあないだろ。大人ってのは図体のでかい子供なんだか…
読書ノートの285回めは、深木(みき)章子さんの『猫には推理がよく似合う』(2016年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 深木さんは、初読みの作…
ちち。いえ、ファザーの方ではなく、ミルクの方です。乳ですね。わざわざ言うまでもないと思いますが、わたしたちヒトも哺乳動物の一員ですから、乳児の時には乳で育ち…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 別物に見えても、実際には個性の幅の中に収まる……生物の世界には結構見られることです。ナミテントウの背中…
《ショートショート 1484》『大車輪と補助輪との違い』 (オーバーテン 10)「辞めるって……そんな」「すみません」 激しく狼狽していた社長から、新採の滝野…
あと少しの間、子供のままでいたい。(オヤブジラミの未熟種子) 子供は大人の前段階。今大人であれば、必ず子供を経ているのだ。子供が大人にまで成長できずに潰えて…
どくしょのーと 284 それほどおしゃれじゃないとうきょうすとーりー
読書ノートの284回めは、小池真理子さんの『東京アクアリウム』(2010年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 小池さんは小説家藤田宜永さんの奥様…
最初に言っておこう。この世に完全なものなんざ一つもないよ。もしあると言い張るやつがいるなら、そいつのどたまが不完全なんだ。 完全であってほしいという願望は、…
季節画像のための臨時増刊です。(^^) 何が残暑だ! 残り物に福があるのは食い物と籤(くじ)だけでいい! 暑さなんか残されたって厄介なだけだ! ふざけやがっ…
シーズン8 第九話 飛翔(2) 話し合いを終え、私と男児二人はこれから世話になるオルソー師匠の元に出向いた。 レクトがオルソーじいさんと呼んでおったゆえ、さぞ…
シーズン8 第九話 飛翔(1) 変化には、ゆっくりひたひたと生じるものもあれば、突然起こるものもある。どちらがいい悪いというわけではなく、事実として二種類ある…
九月、長月。 長月の語源は、夜長月に由来するという説がある。だが近年の九月を鑑みるに、違う見方もできると思うようになった。 暦の上では九月は秋。それも真っ盛…
「八月は暑すぎて、空の青も海の青も冴えなかったな」「俺たちの方がずっと青かったぜ」(ヤグルマギク) 青はうんと深くないと涼しくならない。熱に炙られて褪せた青は…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ なあにが夏バテだ! がっつり食わないからバテるんだよ。原因と結果が逆だ!(クヌギを食害中のヒメクロイラ…
《ショートショート 1483》『割符の破片と欠けた印璽』 (オーバーテン 9)「また、ずいぶんとけったいなものが出てきたなあ」 俺がぼやいたら、ヤン教授が平然…
それはほんのちいさな穴に過ぎない。 穴が欠点を意味するのであれば、その穴が大きければ大きいほど面倒なことになる。だが、大きな穴は目に見える。穴があることに気…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「すみませーん、テレビ局の者なんですけど、インタビューさせてくださーい。あなたたちはカップルなんですか?…
読書ノートの282回めは、東川篤哉さんの『もう誘拐なんてしない』(2008年発表。文庫版は文春文庫)です。電子本での読書。 東川さんは初読みの作家さん。推理…
何事にもルールを当てはめたがる人がいる。 もちろんルールの遵守は大事なことだが、ルールにどのような意味があるのか、そもそもそんなルールがあるのかについてはき…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 猛暑の影響もあってか、今年は例年以上にアカメガシワが豊作なように思います。 アカメガシワは身近に多く在…
「不思議だとは思わんかね」「何が、ですか?」「生きているものが生きていないものを彩るってことだよ」「さあ。どこにでも普通にある光景なので、意識したことはありま…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「納得いかんよなあ」「まったくだ!」(アベリア)「萼(がく)ってのは花を支えるバイプレーヤーだよな」…
《ショートショート 1482》『留まる者から旅立つ者へのメッセージ』 (オーバーテン 8)「ここに残るのか」「残る」 私の宣言を聞いた全員が絶句ししていた。だ…
虫けらのように扱われても僕らは人間だと思っているし実際に人間だだから僕らは虫けらを見下ろしている見下ろす意識はなくても見下ろしている(エノコログサ)虫にならな…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「シダってさ。なんでシダって言うわけ?」「下に生えてて、ちょっと重いから、てんてん付き」「ほんとー?…
読書ノートの283回めは、北夏輝さんの『狐さんの恋結び』(2014年発表。文庫版は講談社文庫)です。 北さんは大学在学時に作家デビューされた学生作家さんで、…
「こう暑いんじゃあ、ぱりっとなんかできひんわなあ」「どうにも冴えんわ」(エボルブルス) もっと青いはずだと言われてもなあ これが地色なんだよ もっと赤くなれと…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「こう毎日毎日猛暑続きじゃねえ。どこかで涼んでいかないとやってらんないわ」「同感、同感。カフェでお茶しま…
第八話 夏休み(5) 優の『俺の子じゃない』発言や雅美さんの登場はまるっきりの予想外だったが、優よりは会話しやすい雅美さんが来たことで、あっさり一件落着になっ…
第八話 夏休み(4) 感情が落ち着くまで結構時間がかかると思ったんだが。雅美さんはよろよろと立ち上がって膝の土を払った。今日はスーツじゃなく、カジュアルなスタ…
第八話 夏休み(3) 優の暴露は、大ショックなんていう生易しいものじゃなかった。天地がひっくり返るかと思ったわ。よくマンガで見かける驚きの表現。両目が飛び出し…
第八話 夏休み(2) ぼーっとしたままの優に「いいかげんにしろ」とでかい雷を落としたところで、暖簾(のれん)に腕押しだろう。どういう風に話を切り出したものかと…
第八話 夏休み(1) 八月も後半に入って、野原の草もいささか緑の色が褪せてきた。猛暑を凌ぎ切ったところで疲れが出るのは、俺たちとそれほど変わらないということな…
「裏がある? そらそうだがよ。表しかないようなやつはお化けだ」 ということで、裏があるセイシボクです。青紫木と書いて、セイシボク。どこが青紫色なんだと思います…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「今時、黒服なんて流行らんよなあ」「暑いし、重いし、いかついし」「その筋の人とか、お水系とか、スパイとか…
すぐに枯れてしまう花は捧げないよ見たい花はいつでもどこのものでも見下ろせるだろうからすぐに傷んでしまう供物は備えないよ食べたい甘いものも飲みたいお酒も無制限に…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)君は夏に焼き落とされて影になってしまった己を取り戻すと言った(ケヤキ)僕は逆さ焼き落とされて棘が目立たなくなっ…
《ショートショート 1481》『いかなる法も心を縛ることはできない』 (オーバーテン 7)「やっと終わりましたね」「裁判はな」 傍聴を終えて裁判所から出てきた…
怒るというところまで行かなくても、「ちょっとやめてよー」というイライラが口から出てしまうことがあります。わたしの場合、どうしても言い過ぎちゃう。相手の言動や…
どくしょのーと 281 ぷろのかぎやもこころのかいじょうにはてこずる
読書ノートの281回めは、黒野伸一さんの『鍵のことなら、なんでもお任せ』(2016年発表。文庫版は徳間文庫)です。電子本での読書。 黒野さんについてはこれま…
「日常なんてものはないよ」「どうしてですか?」「同じ状況がずっと続くってことはありえないからさ」「そうかなあ。代わり映えしない日々がずっと続いています。それは…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「この前の噴水はどうにもあかんかったな」「そもそもあれが噴水かっていう話やったし」「俺ら、保守本流に回帰…
(アーティチョーク)「やべえ、完全にせんこーに目ぇつけられちまったぜ。髪ぃだらしねえって」「でもよう、俺らライオンズの高橋光成みたいなロンゲじゃねえぜ」「おっ…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「俺たちは、誰かや何かに縛られた生き方なんざまっぴらだ」「同感。誰かや何かを縛るのは大好きだけどな」…
《ショートショート 1480》『透けて見えるもの』 嫁いでいった姉貴があっさりと出戻ってきた。いや、出戻ってきたというのは語弊があるかもしれない。そもそも家族…
「鬼が人に飼われるなぞ論外だ。恥ずかしいと思わんのか」 草むらの中から伸び上がっていた鬼百合が、不愉快そうに吐き捨てる。その姿を見て、ああそうだったなと得心す…
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未熟者という表現は、いいたとえとしては使われませんね。じゃあ未熟者だから悪いのかと言えば、それはどうかな、と。そうでしょう? 誰であっても、熟する前のステー…
第十話 帰還(5) ショックでしゃがみこんでしまった綾瀬さんを力任せに野原から引きずり出し、豊島さんが待っているところまで戻る。俺と綾瀬さんのやり取りを見てい…
第十話 帰還(4) これまでの豊島さんなら、付き合いが長い俺にすら身の上話なんか絶対にしなかっただろう。だが、孤独に耐える強靭な精神力があっても、一人で生きて…
第十話 帰還(3) 鬼のような形相を崩さないまま。それでも豊島さんはきっぱり言った。「あたしは運がよかったんだ」 そのあと豊島さんがだあっとまくしたてた一部始…
第十話 帰還(2) 家にいれば、どうしても身の回りのことをこなさなければならない。実際にするしないは別にして、家事山積の中にすっぽり嵌ってしまうとちっとも気が…
第十話 帰還(1) 「ふう……俺もトシだな」 少しずつ枯れ草の藁色が混じり始めた野原を見渡し、牧柵に両腕を預けて溜息をつく。 俺は鈍臭いから、同時並行で何かを…
すぺしゃりすと なんでもできるのが必ずしもいいわけではないのです。一芸に秀でるといわれるように、一つのことをとことん突き詰めるのもまた生き残る道なのですから。…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 生き物中心に写真を撮っていますのでどうしても判じ物は多くなりますが、珍しいものに遭遇する機会はそうそう…
《ショートショート 1490》『幻の色』 (カラー・ミー 5)「ぐええ、こんがり丸焼けだー」「むー、困ったあ。どうする? モル」「むうう」 イーゼル立ててキャ…
臭いものに蓋と言うが、ちゃちな蓋で隠せるような汚点や恥部なら最初から大したもんじゃない。蓋なんざしないで、ちゃんとどぶさらいした方がいい。 そもそも蓋っての…
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言いたいことを言わないのと言えないのは違う。言わないのは我慢だが、言えないのは強制だ。我慢は強弱を自己調整できるが、強制される箝口(かんこう)にはひたすら忍…
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季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 例年だともっと虫ネタが多くなるんですが、今夏が極端な高温少雨だったせいか虫の姿がさっぱり見られなくて……
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「そろそろ長かった猛暑も一段落。日傘をしまう前に、ちゃんと広げて乾かしておかないとね」「……そうね」(オオシロカラカサタケ)「この傘には一つもいい思い出がない…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ようやく猛暑が一段落しましたが、七月、八月の暑い最中に撮った中・遠景の画像はもれなく白飛びしていました…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第四話 分離に挑む (2)「よし! 成功だ」「ふう。やっぱり緊張するっすね」「いや。おまえ…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第四話 分離に挑む (1) 封止にとりかかる前に、バンスと入念な打ち合わせを繰り返す。これ…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第三話 セラの懇願 (2)「なるほどな」「納得っすね」 セラのような森の妖精は、その森が消…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第三話 セラの懇願 (1) 一度作業場に戻り、道具を片付けてから面会室に戻る。室内に充満し…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第二話 薔薇の真意 小走りに作業場を出て、汗まみれのまま面会室に向かう。辺りに甘ったるい香…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第一話 酷暑の工房で (2) 俺が営んでいるオークリッジ工房は、ウエルクラフト地方にいっぱ…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第一話 酷暑の工房で (1)「くそったれ! 暑すぎだっ!」 真っ赤に焼けている窯の中を睨み…
十月ももう後半ですね。一年でもっとも過ごしやすい時期のはずなんですが、業務的にはこれから一ヶ月ちょいが地獄の毎日で。(^^;; 腰を落ち着けて執筆や読書に勤…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 白刃のような鋭い陽光に突き刺されている間は、目を開けることができなかった。その間の記憶は白いままだ。(…
読書ノートの248回めは川上弘美さんの『わたしの好きな季語』(2020年発表。NHK出版)です。電子本での読書。 川上弘美さんについてはこれまでいくつか作品…
「冴えないなあと思ったから、ボリューム出そうとしてみたわけよ」「うん。その意欲だけは買う」(ミヤギノハギ)「やっぱさあ。ぼっち感強くて寂しいじゃん」「そだね」…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「最近、どうもぼんやりしててなあ」「最近? 生まれつきやん」「ええー?」「何ぃ撮ろう思うたん?」「とんぼ…
《ショートショート 1432》『小休止』「よう、三ちゃん。そろそろ一服しようぜ」「ああ、そうだな」 先を歩いていた徳さんが足を止めて、休憩を切り出してくれた。…
秋の野花。七草に歌われるものばかりが秋の代表ではないわけで。必ずしも秋専門ではない花も交え、一言添えながらつらつら並べて参りましょう。 一部夏花も混じってい…
季節画像消費のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「いつも言われるんだよねー。少しはてぃーぴーおーを考えなさいって。いつもコスプレしてちゃだめだよってさ」…
読書ノートの247回めは、旦部幸博さんの『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』(2016年発表。講談社ブルーバックス)です。電子本での読書。 …
永き渇きを隔て。 今、彼岸を臨む。「手前が煉獄の炎、隔てられた向こうが極楽浄土……か」「ほう? そう見えるのか」「俺たちは永劫に炎で焼かれ、涅槃には辿り着け…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ わいら、な。動きたないねん。(クマゼミ) いつもやったら儂、儂、儂、儂ぃ言うてがっつり自己主張するんや…
《ショートショート 1431》『代わりの色』「さて。どうしたものかな」 机の上に両足を投げ出し、だらしない格好で考え事をしていたら。同業者のロルカがずかずかと…
とりあえず、実るところまでは行った。 あとは熟すのを待つだけだ。 今はまだ青いけれど、完熟まであと1マイル。(ニオイシュロラン)「そいつは果実か?」「そうだ…