未熟者という表現は、いいたとえとしては使われませんね。じゃあ未熟者だから悪いのかと言えば、それはどうかな、と。そうでしょう? 誰であっても、熟する前のステー…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
2024年10月
未熟者という表現は、いいたとえとしては使われませんね。じゃあ未熟者だから悪いのかと言えば、それはどうかな、と。そうでしょう? 誰であっても、熟する前のステー…
第十話 帰還(5) ショックでしゃがみこんでしまった綾瀬さんを力任せに野原から引きずり出し、豊島さんが待っているところまで戻る。俺と綾瀬さんのやり取りを見てい…
第十話 帰還(4) これまでの豊島さんなら、付き合いが長い俺にすら身の上話なんか絶対にしなかっただろう。だが、孤独に耐える強靭な精神力があっても、一人で生きて…
第十話 帰還(3) 鬼のような形相を崩さないまま。それでも豊島さんはきっぱり言った。「あたしは運がよかったんだ」 そのあと豊島さんがだあっとまくしたてた一部始…
第十話 帰還(2) 家にいれば、どうしても身の回りのことをこなさなければならない。実際にするしないは別にして、家事山積の中にすっぽり嵌ってしまうとちっとも気が…
第十話 帰還(1) 「ふう……俺もトシだな」 少しずつ枯れ草の藁色が混じり始めた野原を見渡し、牧柵に両腕を預けて溜息をつく。 俺は鈍臭いから、同時並行で何かを…
すぺしゃりすと なんでもできるのが必ずしもいいわけではないのです。一芸に秀でるといわれるように、一つのことをとことん突き詰めるのもまた生き残る道なのですから。…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 生き物中心に写真を撮っていますのでどうしても判じ物は多くなりますが、珍しいものに遭遇する機会はそうそう…
《ショートショート 1490》『幻の色』 (カラー・ミー 5)「ぐええ、こんがり丸焼けだー」「むー、困ったあ。どうする? モル」「むうう」 イーゼル立ててキャ…
臭いものに蓋と言うが、ちゃちな蓋で隠せるような汚点や恥部なら最初から大したもんじゃない。蓋なんざしないで、ちゃんとどぶさらいした方がいい。 そもそも蓋っての…
読書ノートの290回め。近況と読書状況をちびっと。 長すぎた夏の酷暑がやっと治ったと思ったら、今度は怒涛の繁忙期がやってまいりました。(^^;; 今年はイベ…
昨年の猛暑少雨が今年も続くとは思いませんでした。予想外の事態に慌てたのは我々人間だけではなく、植物も同じなんですよね。 梅雨明け十日どころか二ヶ月以上まとも…
《ショートショート 1489》『影の色』 (カラー・ミー 4) 影に色なんざあるものかと、父は鼻で笑った。持論にとことんしがみつく人だとわかっていたから、私は…
言いたいことを言わないのと言えないのは違う。言わないのは我慢だが、言えないのは強制だ。我慢は強弱を自己調整できるが、強制される箝口(かんこう)にはひたすら忍…
読書ノートの289回めは、小野寺史宣さんの『今日も町の隅で』(2020年発表。文庫版は角川文庫)です。小野寺さんの近作ですね。電子本での読書。 小野寺さんに…
西風の精が群舞を踊る季節になりました。 外来植物でありながら、まるでずっと昔からそこにいたかのように秋雨に合わせて咲き出すゼフィランセス。夏の終わり、もしく…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 例年だともっと虫ネタが多くなるんですが、今夏が極端な高温少雨だったせいか虫の姿がさっぱり見られなくて……
《ショートショート 1488》『オレンジとピンク』 (カラー・ミー 3) 仕事帰りに立ち寄るショッピングセンターの入り口付近に、小さな花屋のブースがある。一坪…
「そろそろ長かった猛暑も一段落。日傘をしまう前に、ちゃんと広げて乾かしておかないとね」「……そうね」(オオシロカラカサタケ)「この傘には一つもいい思い出がない…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ようやく猛暑が一段落しましたが、七月、八月の暑い最中に撮った中・遠景の画像はもれなく白飛びしていました…
読書ノートの288回めは、瀬尾まいこさんの『優しい音楽』(2008年発表。文庫版は双葉文庫)です。瀬尾さんの作品としては比較的初期のものになりますね。 瀬尾…
出穂。出水ではなく、穂が出ること。 イネ科やカヤツリグサ科などの単子葉植物では、蕾が上がるというより穂が出るという表現の方がしっくりくる。 穂が出るのは好ま…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)「反魂の秘法が存在すると思うかい?」「思いません」「即答だな」「そんなものがあれば、現世が亡者だらけになります」「…
シーズン8 第十話 純白(2) 執務室に二人の執事、ソノーとペテルを呼び、対策を話し合うことにする。ドアを閉めて部屋を魔術で封鎖したのち、二人に筆記を禁じた。…
シーズン8 第十話 純白(1) そろそろスカラの修了が見え隠れしていたレクトはともかく、こちらに来てスカラに通い始めたばかりのクルムまでもが屋敷を出て鍛冶屋に…
美しい薔薇が春に咲いていれば春の歓びを堪能することができる逞しい薔薇が夏に咲いていれば夏の疲れを癒すことができる健気な薔薇が冬に咲いていれば冬の凍えを和らげる…
2024年10月
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未熟者という表現は、いいたとえとしては使われませんね。じゃあ未熟者だから悪いのかと言えば、それはどうかな、と。そうでしょう? 誰であっても、熟する前のステー…
第十話 帰還(5) ショックでしゃがみこんでしまった綾瀬さんを力任せに野原から引きずり出し、豊島さんが待っているところまで戻る。俺と綾瀬さんのやり取りを見てい…
第十話 帰還(4) これまでの豊島さんなら、付き合いが長い俺にすら身の上話なんか絶対にしなかっただろう。だが、孤独に耐える強靭な精神力があっても、一人で生きて…
第十話 帰還(3) 鬼のような形相を崩さないまま。それでも豊島さんはきっぱり言った。「あたしは運がよかったんだ」 そのあと豊島さんがだあっとまくしたてた一部始…
第十話 帰還(2) 家にいれば、どうしても身の回りのことをこなさなければならない。実際にするしないは別にして、家事山積の中にすっぽり嵌ってしまうとちっとも気が…
第十話 帰還(1) 「ふう……俺もトシだな」 少しずつ枯れ草の藁色が混じり始めた野原を見渡し、牧柵に両腕を預けて溜息をつく。 俺は鈍臭いから、同時並行で何かを…
すぺしゃりすと なんでもできるのが必ずしもいいわけではないのです。一芸に秀でるといわれるように、一つのことをとことん突き詰めるのもまた生き残る道なのですから。…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 生き物中心に写真を撮っていますのでどうしても判じ物は多くなりますが、珍しいものに遭遇する機会はそうそう…
《ショートショート 1490》『幻の色』 (カラー・ミー 5)「ぐええ、こんがり丸焼けだー」「むー、困ったあ。どうする? モル」「むうう」 イーゼル立ててキャ…
臭いものに蓋と言うが、ちゃちな蓋で隠せるような汚点や恥部なら最初から大したもんじゃない。蓋なんざしないで、ちゃんとどぶさらいした方がいい。 そもそも蓋っての…
読書ノートの290回め。近況と読書状況をちびっと。 長すぎた夏の酷暑がやっと治ったと思ったら、今度は怒涛の繁忙期がやってまいりました。(^^;; 今年はイベ…
昨年の猛暑少雨が今年も続くとは思いませんでした。予想外の事態に慌てたのは我々人間だけではなく、植物も同じなんですよね。 梅雨明け十日どころか二ヶ月以上まとも…
《ショートショート 1489》『影の色』 (カラー・ミー 4) 影に色なんざあるものかと、父は鼻で笑った。持論にとことんしがみつく人だとわかっていたから、私は…
言いたいことを言わないのと言えないのは違う。言わないのは我慢だが、言えないのは強制だ。我慢は強弱を自己調整できるが、強制される箝口(かんこう)にはひたすら忍…
読書ノートの289回めは、小野寺史宣さんの『今日も町の隅で』(2020年発表。文庫版は角川文庫)です。小野寺さんの近作ですね。電子本での読書。 小野寺さんに…
西風の精が群舞を踊る季節になりました。 外来植物でありながら、まるでずっと昔からそこにいたかのように秋雨に合わせて咲き出すゼフィランセス。夏の終わり、もしく…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 例年だともっと虫ネタが多くなるんですが、今夏が極端な高温少雨だったせいか虫の姿がさっぱり見られなくて……
《ショートショート 1488》『オレンジとピンク』 (カラー・ミー 3) 仕事帰りに立ち寄るショッピングセンターの入り口付近に、小さな花屋のブースがある。一坪…
「そろそろ長かった猛暑も一段落。日傘をしまう前に、ちゃんと広げて乾かしておかないとね」「……そうね」(オオシロカラカサタケ)「この傘には一つもいい思い出がない…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ようやく猛暑が一段落しましたが、七月、八月の暑い最中に撮った中・遠景の画像はもれなく白飛びしていました…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第四話 分離に挑む (2)「よし! 成功だ」「ふう。やっぱり緊張するっすね」「いや。おまえ…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第四話 分離に挑む (1) 封止にとりかかる前に、バンスと入念な打ち合わせを繰り返す。これ…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第三話 セラの懇願 (2)「なるほどな」「納得っすね」 セラのような森の妖精は、その森が消…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第三話 セラの懇願 (1) 一度作業場に戻り、道具を片付けてから面会室に戻る。室内に充満し…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第二話 薔薇の真意 小走りに作業場を出て、汗まみれのまま面会室に向かう。辺りに甘ったるい香…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第一話 酷暑の工房で (2) 俺が営んでいるオークリッジ工房は、ウエルクラフト地方にいっぱ…
§‡§ オークリッジ工房封止録 §‡§第一章 夏の封止 セラとサニー第一話 酷暑の工房で (1)「くそったれ! 暑すぎだっ!」 真っ赤に焼けている窯の中を睨み…
十月ももう後半ですね。一年でもっとも過ごしやすい時期のはずなんですが、業務的にはこれから一ヶ月ちょいが地獄の毎日で。(^^;; 腰を落ち着けて執筆や読書に勤…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 白刃のような鋭い陽光に突き刺されている間は、目を開けることができなかった。その間の記憶は白いままだ。(…
読書ノートの248回めは川上弘美さんの『わたしの好きな季語』(2020年発表。NHK出版)です。電子本での読書。 川上弘美さんについてはこれまでいくつか作品…
「冴えないなあと思ったから、ボリューム出そうとしてみたわけよ」「うん。その意欲だけは買う」(ミヤギノハギ)「やっぱさあ。ぼっち感強くて寂しいじゃん」「そだね」…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「最近、どうもぼんやりしててなあ」「最近? 生まれつきやん」「ええー?」「何ぃ撮ろう思うたん?」「とんぼ…
《ショートショート 1432》『小休止』「よう、三ちゃん。そろそろ一服しようぜ」「ああ、そうだな」 先を歩いていた徳さんが足を止めて、休憩を切り出してくれた。…
秋の野花。七草に歌われるものばかりが秋の代表ではないわけで。必ずしも秋専門ではない花も交え、一言添えながらつらつら並べて参りましょう。 一部夏花も混じってい…
季節画像消費のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「いつも言われるんだよねー。少しはてぃーぴーおーを考えなさいって。いつもコスプレしてちゃだめだよってさ」…
読書ノートの247回めは、旦部幸博さんの『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』(2016年発表。講談社ブルーバックス)です。電子本での読書。 …
永き渇きを隔て。 今、彼岸を臨む。「手前が煉獄の炎、隔てられた向こうが極楽浄土……か」「ほう? そう見えるのか」「俺たちは永劫に炎で焼かれ、涅槃には辿り着け…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ わいら、な。動きたないねん。(クマゼミ) いつもやったら儂、儂、儂、儂ぃ言うてがっつり自己主張するんや…
《ショートショート 1431》『代わりの色』「さて。どうしたものかな」 机の上に両足を投げ出し、だらしない格好で考え事をしていたら。同業者のロルカがずかずかと…
とりあえず、実るところまでは行った。 あとは熟すのを待つだけだ。 今はまだ青いけれど、完熟まであと1マイル。(ニオイシュロラン)「そいつは果実か?」「そうだ…