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  • 『闘争領域の拡大』/ミシェル・ウエルベック

    ウエルベックの小説第一作。この自由資本主義社会において、人間の闘争の領域は、経済領域のみにとどまらず、性的領域においてまで拡大している。経済の自由化を止めることができないのと同様、セックスの自由化もやはり止めることはできず、そこには必然的に格差が生じてくる。すべての男と女は、勝者と敗者、持てる者と持たざる者とに分けられるのだ。だから我々は、モテる人を羨んだり、モテない人を蔑んだりし、その上下関係のなかで、階級闘争を行っていくことになる。いまや誰もが皆その価値観を内面化しているために、性的領域における闘争の外部に自分を置くなどということはまず不可能で、我々はただただ孤独なレースを続けていく他ない…というのが、本作の主人公の考えであり、おそらくはウエルベックの主張だと言えるだろう。

  • 『怒りの葡萄』/ジョン・スタインベック

    1930年代、折からの大恐慌に加え、厳しい日照りと大砂嵐が続いたことで、アメリカ中西部の小作農たちの多くは土地を失った。銀行と大地主たちは彼らの土地をトラクターで耕し、資本主義の名の下、合理化を進めていく。土地を追い出され、流浪の民となった彼らは、果物の収穫に大量の人手を募集しているという宣伝ビラを頼りに、トラックに家財道具一式を積み、ルート66をひたすら西へ、カリフォルニアを目指して進んでいくのだが…!

  • 『ホームシック 生活(2~3人分)』/ECD、植本一子

    レーベルとの契約打ち切り、アル中、閉鎖病棟入院、鬱、家は猫のマーキングで荒れ放題、ってまさしく無頼の日々を送っていた40代後半のECDが、24歳年下のカメラマン、植本一子と出会い、付き合うようになって、同棲、妊娠、結婚、出産といったイベントを迎えていく…という、家族のはじまりとその生活の記録が収められた一冊。ECDによる文章が大半だが、植本による文章も一編、収められている。 新しい家族との生活というやつの、その美しさ、壊れやすさに、読んでいて胸がきゅーんとなってしまう。そうかこういうのが「生活」するってことなのか、なんておもわず得心してしまいそうになるくらい、素朴で剥き出しになった生の輝きが感じられるのだ。

  • 『資本主義の終焉と歴史の危機』/水野和夫

    まず水野は、タイトルの通り、資本主義システムの行き詰まりはもう目前にまで迫ってきている、と述べる。その理由として上げられるのが、先進各国で続いている超低金利状態だ。たとえば日本では、2.0%以下の超低金利がもう20年近く続いているわけだけれど、利子率(金利)=資本利潤率とかんがえれば、利子率が極端に低い=資本を投下することで得られる利潤が極端に少ない→資本主義は機能不全になっている、という風に理解するべきだろう、ということだ。

  • 『21世紀の資本』/トマ・ピケティ(その3)

    21世紀の資本作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (127件) を見る 資本に対する累進課税を実施するとしても、それは全世界的に行われなければならない。タックスヘイブンというやつがあるのだから、各国がばらばらに課税を行ったところで、資本は別の国に逃げていくだけだからだ。そしてもちろん、課税実施の際には、全世界に存在するあらゆる資産(金融資産と不動産)を一元的に把握し、管理する必要もある。だから、この政策の実施のためには、かなり強力な権力を持った、グローバルな政治機能が必要ということ…

  • 『21世紀の資本』/トマ・ピケティ(その2)

    21世紀の資本作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (127件) を見る 前回まとめたような分析をもとに、ピケティは、なぜ格差が拡大していくのか、というメカニズムを説明するための理論を提示してみせる。先に書いたとおり、統計は、資本蓄積の速度は総所得の伸び率よりも大きいということを示しているわけだけれど、これをシステムに内包された法則としてかんがえてみよう、というわけだ。 それが、本書によってすっかり有名になった「r>g」という公式である。資本収益率(r)(=株式や預金、不動産などのす…

  • 『21世紀の資本』/トマ・ピケティ(その1)

    21世紀の資本作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (127件) を見る 世間の多くの人と同じく、俺も2015年の正月休みを利用して『21世紀の資本』を読んだのだった(けれど、感想をまとめたりブログを更新したりするのが億劫で、気がつけば読み終えてから3年半も経ってしまっていた…)。読み終わっておもったのは、何しろボリュームのあるこの本だけれど、別にすごく意外なこととか、まったく予想もできないようなことが書いてあるわけじゃないんだなー、ということだ。その代わり、経済的格差が着実に拡大し…

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