私がとどまれば そこは廃園になる 輝く緑はことごとく消え 心は渇き 希望も失われる 誰もが顔を背け 去って行く こうして廃園は広がって行く
合成樹脂のブロックで 組み上げた城が 音もなくくずれてゆく 城壁が崩れて 晒されるのは 王の真似をして 誰も座らぬ玉座に座った バカな道化師 いまは落ちてくる ブロックから逃れるのが
アイツは金色の汗をかく カネの匂いに敏感な 雌グモが わらわらとしがみつき なんとか自分の糸で 絡めとろうとする アイツは雌グモを まとわせて歩く 気に入らなければ 潰せばいい 他
廃園の乾いた赤土を 巻き上げた風の中に 懐かしい面影を見た いや 思い出していたから 赤い風の中に見たのだ 断片的に無人の街角が スライドのように 左目の奥でちらちら 切り替わってゆ
滴る涙滴は 錆のように鉄臭く 思わず唾を吐くと 赤い斑点が 白いコンクリートの上で たちまち腐ったように 黒く色を変えた 涙をぬぐった シャツの袖は なにか後ろめたい 色に汚れた
黒々とした曲面は 鈍くつややかで いかにも硬く重い 印象を与える 左目の視野の下半分 曲面は地平線の ミニチュアのよう だがなにもない 曲面の上にはなにも 存在せず 傷も歪みもない
私は夢を 見ているのかもしれない 自分が生きている夢 本当はどっかで 人知れず くびをくくっていたり 飛び降りて頭を 割っていたり しているんじゃないか 死んで見る生活の夢
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