深夜魚

無き影は廃園の住人

誰が訪れたかも知らず ただカウントだけが 上がってゆく 何かの実験の結果を 数字だけでチェック 知り合いは もういないはず ただのBotなのか 何をかいたらBotは 悦ぶだろうか…………

2012/10/28 22:44

夕陽を斬る、または耐え難い痛み

赤錆た水は金気臭く そのくせ妙に 生臭くも感じた 今切り裂いたあとから 流れ出す夕焼けの 暗い血潮のよう かすむ雲の向こうの 夕日は腫れぼったく 輝く化膿した腫瘍 きらきらした自慢の

2012/10/20 22:46

追放者の街、または発電する心

フィラメントが真っ赤に 輝いて 音もなく 焼き切れた まだ熱い電球を 握り潰して その痛みで自分の中に 光を灯す 部屋は真っ暗だ 開いた窓の外すらも 今のが今夜最後の明かり 誰も

2012/10/19 23:05

旅先1.3

莫とした平原を 吹きわたる風に なびく五色の布 平原一面に細く裂いた 布をくくった棒ぐいが 整然とならび それぞれ色を風の中に 流している 色は重なり 絡み ほどけて 打ち合い まる

2012/10/15 19:33

左目のこと

左目で視たものを 信じてはいけない その目は自分の内と外を 重ね合わせて 幻を見せる

2012/10/12 12:48