我 自らの命削りて 鬼とならん 鬼となりて 階上にて器楽を騒々しく 鳴らす者に災いをもたらさん 闇を抜け夢の中にて 奏者の耳をちぎり 指を引き抜こうぞ 我は鬼 狂った夢の怨の鬼なり
赤土の果てなく広がる 廃園の朽ちたベンチより 風に舞う土にくすむ 空を望む 凝らす目に一瞬 空を光の帯が 地平の一方から一方へ 素早く去るのを見た ただ一度この世界に 時の流れを知ら
闇は冷えると 質量を増して 心にのしかかる 目をつむれば 光ささぬ世界で 凄まじい圧力の下で 生きながらえる 海鼠の姿を思い出す 彼らはなにを考える? 考える手がかりも乏しい 海底
アルバムに残った 色褪せた写真 日記帳のかすれた 数行の文章 あとは真っ白に焼けたか 真っ黒に汚れたか そんなものを見たって 心は空疎に冷えて 息をしても肺が軋む ように痛いだけだ
私がとどまれば そこは廃園になる 輝く緑はことごとく消え 心は渇き 希望も失われる 誰もが顔を背け 去って行く こうして廃園は広がって行く
合成樹脂のブロックで 組み上げた城が 音もなくくずれてゆく 城壁が崩れて 晒されるのは 王の真似をして 誰も座らぬ玉座に座った バカな道化師 いまは落ちてくる ブロックから逃れるのが
アイツは金色の汗をかく カネの匂いに敏感な 雌グモが わらわらとしがみつき なんとか自分の糸で 絡めとろうとする アイツは雌グモを まとわせて歩く 気に入らなければ 潰せばいい 他
廃園の乾いた赤土を 巻き上げた風の中に 懐かしい面影を見た いや 思い出していたから 赤い風の中に見たのだ 断片的に無人の街角が スライドのように 左目の奥でちらちら 切り替わってゆ
滴る涙滴は 錆のように鉄臭く 思わず唾を吐くと 赤い斑点が 白いコンクリートの上で たちまち腐ったように 黒く色を変えた 涙をぬぐった シャツの袖は なにか後ろめたい 色に汚れた
黒々とした曲面は 鈍くつややかで いかにも硬く重い 印象を与える 左目の視野の下半分 曲面は地平線の ミニチュアのよう だがなにもない 曲面の上にはなにも 存在せず 傷も歪みもない
私は夢を 見ているのかもしれない 自分が生きている夢 本当はどっかで 人知れず くびをくくっていたり 飛び降りて頭を 割っていたり しているんじゃないか 死んで見る生活の夢
誰が訪れたかも知らず ただカウントだけが 上がってゆく 何かの実験の結果を 数字だけでチェック 知り合いは もういないはず ただのBotなのか 何をかいたらBotは 悦ぶだろうか…………
赤錆た水は金気臭く そのくせ妙に 生臭くも感じた 今切り裂いたあとから 流れ出す夕焼けの 暗い血潮のよう かすむ雲の向こうの 夕日は腫れぼったく 輝く化膿した腫瘍 きらきらした自慢の
フィラメントが真っ赤に 輝いて 音もなく 焼き切れた まだ熱い電球を 握り潰して その痛みで自分の中に 光を灯す 部屋は真っ暗だ 開いた窓の外すらも 今のが今夜最後の明かり 誰も
莫とした平原を 吹きわたる風に なびく五色の布 平原一面に細く裂いた 布をくくった棒ぐいが 整然とならび それぞれ色を風の中に 流している 色は重なり 絡み ほどけて 打ち合い まる
左目で視たものを 信じてはいけない その目は自分の内と外を 重ね合わせて 幻を見せる
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