ホタルブクロ画像は〈季節の花300より〉昼間白いホタルブクロの前でふたりの女の子がしゃべっていたねえクレハちゃんこのホタルブクロの中に妖精が隠れているのようそだメミルちゃん見たことあるの?クレハのことだましちゃいやだよ見たことはないけどきっと妖精がいる夜中にホタルブクロを見るとボウっと明るいんだって道草していた女の子二人はお布団の中でスヤスヤきっとたくさんの妖精がダンスをしている夢でも見ているんだろうなポエム383『ホタルブクロの秘密』
斬新な切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設17年目に入りました。
自然と共生しながら、生きてきました。 ここでは4,000字(原稿用紙10枚)程度の短い作品を発表します。 <超短編シリーズ>として、発表中のものもありますが、むかし詩を書いていたこともあり、コトバに対する思い入れは人一倍つよいとおもいます。
それぞれの退場休暇が終われば出勤してくる人間に、課長はなぜ電話をかけてきたのだろう。吉村は、熊本から帰ってきたばかりの疲れた頭で考えていた。(契約のことで、また不備でも探し出したのか)それとも、辞めさせることができなかったので他局へ放り出す算段でもしているのか。蒲団にくるまっても真意が分からないために苛立ちを感じていた。となりの部屋では、久美と乳児が休んでいる。何時間置きかに授乳させる久美とは、寝床を別にすることで互いの睡眠を確保する方法をとった。眠れないまま転々としていると、苛立ちの原因がもう一つあることに気付いた。どんな用件があったにせよ、家庭にまで電話をしてきたことへの不満だった。久美から報告を受けたとき、ほんとうは家の中まで押し入られたような嫌悪を覚えたことを、いまになってはっきりと思い出していた...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(21)最終回
密息その日仕事から戻ると、課長から局長室へ出頭するよう申し渡された。「すぐにですか」と問い返すと、事務処理を済ませてからでいいと歯切れの悪い言葉が付け加えられた。何事だろう。頭が高速回転をしている。集金カードの集計が覚束なくなるほど気になった。(こんなときこそ密息だ・・・・)いつか雑誌で読んだ気功の記事が頭に浮かんだ。もともとは高僧が修行のなかで会得した呼吸法らしいのだが、武術や芸術の世界でも、奥義を極めたような人はこの息遣いの秘密に気付いていたようなのだ。吉村などにできるワザではないが、たまたま試みた手かざしで熱とも圧力とも解らない<気>を掌が感知したことがあるので、密息なるものも習得できそうな気持ちになっていたのだった。金銭授受が終了すると、待ち構えていたように課長が近付いてきた。「あとは、後でいい」...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(20)次が最終回
〇世耕さんそれはセコイよしっぽ切り(会計責任者に罪を押し付けて恥じない人=橋下徹が怒っていました)〇平然と萩生田もシラなすりつけ(安倍派幹部はドイツもバウムクーヘン=生地のグルグル巻き}〇翔平は犬(デコピン)まで稼ぐポチ見習え(広告業界あたふた)〇ウクライナ主役奪われ資金切れ(ハマス・イスラエル紛争の勘にアメリカの支援細る)〇伊藤美誠代表漏れかつるべ落とし(パリ五輪卓球女子シングルス代表枠2名に入れず)川柳復活12『じじいの時事ばなし』
流砂のごとく急いで事務室に戻ると、内務の総務主任が慌てたように立ち上がった。返還しておいた集金カードをめぐって何かの動きがあったらしい。「吉村さん、遅いですよ」「おお、こっちだって気になってるさ。だけど課長が放してくれないんで仕方がないんスよ」言いながら壁の掛時計に目をやると、二時五十五分を指していた。吉村は思わずヒェ―ッと奇声を上げた。いままさに客の要請してきたタイムリミットを目前にしているではないか。「少し前にポケベルで代理を呼んで持っていってもらいましたけど、すごい剣幕で怒ってましたよ」「えっ、どっちが?」「外務代理ですよ」「へえ、仕事だからね・・・・」契約募集の途中で急遽呼び戻された課長代理の仏頂面が目に浮かんだ。いくら文句をいっても、緊急事態が起これば遊軍としてなんでも処理しなければならないのが...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(19〉
視線のゆくえ夏の日差しが顕著となった休みの一日、吉村は久美と連れ立って近くの水天宮にお参りにいった。ふたりの住むマンションからはゆっくり歩いても二十分ほどの距離だから、その程度の運動はむしろ久美にとって望ましいものだった。梅雨明け宣言のあと、ぐずついた天候が戻ってきて気象庁が慌てる一幕もあったが、この日は朝から夏到来に太鼓判を押してもいい気温の上昇が見られて、部屋の中にはいられない気分になっていたのだ。「暑いけど大丈夫かな」「わたしのこと?」「そうだよ」「日傘を差しているんだし、むしろ気持ちがいいわよ。ねえ・・・・」そろそろ目立つようになった腹部に手を置いて、育ち始めた命に語りかけるような仕種をした。水天宮はいかにも都会の神社というたたずまいで、コンクリートで固めた竜宮城のようにせり上がった場所にある。目...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(18〉
新世界より腰を痛めて集配課から貯金課に移った間宮が、久しぶりに演奏会のチケットを送ってきた。今回のプログラムには、ドボルザークの『新世界より』が入っていた。他の楽曲も含めて三つのパートで構成されていた。アマチュア・バイオリニストの彼は、休日や勤務終了後の時間を使って練習に励んでいるらしく、郵便局の同僚とはあまり交流する時間がないようであった。酒は嫌いではないので、仕事帰りに気の合った仲間と居酒屋に寄ったりすることもあるらしいが、趣味の違いが大きすぎてとことん付き合うところまではいかないようであった。むかし一緒に草津へ旅行したときは、年上の八田とウマの合うところを見せていたが、今はどうしているのだろう。同じ局舎の中とはいえ間宮が貯金課へ転属してしまってからは、以前のような付き合いはできないだろうとおもった。...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(17〉
天草薫風吉村と久美の新家庭がスタートして半年、こんどは八代の兄が嫁取りを考え出したとの連絡が母からの手紙に記されていた。相手は地元のスナックで働く二十八歳の女性とのことだった。兄が米屋の会合の流れで立ち寄った際、カウンターの奥でママを手伝う控え目な女の様子に心を引かれたらしい。「本人がいうには天草生まれの家庭的なオナゴで、浮いた話など何もないんじゃと。ばってん、よかオナゴがこれまで嫁の話がなかちゅうんはどうしたわけじゃろと、かえって身分ば心配しとんのよ」その相談のためによこした手紙のようであった。しかし吉村にも相手のことはわからないし、かといって母の危惧も理解できないではなかったので、ありきたりのことを書き送るしかなかった。兄は、弟の洋三が完全に実家を離れ東京に所帯を持ったことで、長年わだかまっていた心が...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(16)
カウベルの響く町唐崎の後について会社訪問を繰り返す中で、中堅の旅行代理店との商談が有望になりつつあった。そうした進行の途中、経理畑の役員との懇談の際、近ごろの若者の旅行事情が話題になったことがあった。「まあ、短期のレジャーではハワイ、グアム、韓国、台湾といった近場が主流ですが、このごろは新婚旅行も含めてタヒチ、モルディブ、バリ島あたりが人気になってますねえ」「いやいや、豪勢ですなあ」唐崎がうなずいてみせた。「・・・・それじゃあ、御社はますます儲かる一方ですな。うらやましい限りですわ」「まあ、しかし経費のほうもかさみますから・・・・」会社契約の有利さに興味を示しながらも、あと一歩の踏み出しができないでいた。そんな役員に、何か決断させる決め手はないかと策を練る唐崎の表情を見ながら、吉村は自分の新婚旅行のことを...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(15)
〇「おい、近ごろ空耳を聞くことが多くなってな」「ご隠居、空耳って空が何か言うんですか」〇「ゴリアルタイケンとかいうんだが何のことかわかるか」「わかりませんよ、ひょっとしてラーメンでも食べたくなったんですか」〇「能登はいらんかね・・はどうだ?」「それは多分、坂本冬美の『能登はいらかいね』の覚え違いじゃないですか」〇「気になってしょうがないんだが意味わかるか」「さあ、あとで歌詞を調べてみますよ」〇「このままじゃ夜も眠れない、早く調べて教えてくれ」「ハイ、ハイ、のと、のと、のと・・」紙上『大喜利』(44)
かわたれどき十二月半ばに転勤の辞令が出た。翌日から皇居をはさんで反対側の郵便局へ出勤することになった。通勤時間は以前より短くなった。職種が変わった際の規定に従い、二週間ほど局内での職場研修が行なわれることになった。課長が講師になって、保険業務の基礎的な知識を教えられた。その間に、送別会と歓迎会が相次いで催された。片や居酒屋チェーン店、他方も寿司屋の二階と似たり寄ったりの会場だったが、拍手で迎えられた保険課の二次会で、初めてクラブというものに付き合わされた。その日がちょうどクリスマスイブに当たっていたからだろうか、店内は混みあっていた。吉村は経験したことのない嬌声を聞いて、落ち着かない表情であたりを見回した。職場環境が変わったことを、実感した瞬間だった。そうした喧騒のなか奥まったテーブル席の一郭で、保険課の...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(14)
瓢箪から駒秋の将棋大会で保険課の蜂谷を破ったことが、吉村の予想もしない評判を呼んでいた。同じ屋根の下に居ながら、自分の所属する課以外の職員に妙な対抗意識を持っている者が少なくないことを、つくづく感じさせられる顛末でもあった。「あいつ今年も優勝できると思ってそっくり返っていたけど、おまえに負けてへこんでたぞ」吉村を讃えるというより、蜂谷をくさすことに熱中しているのだ。蜂谷が背を反らすのは、単なる癖かもしれないし、もしかしたら腰が悪いための姿勢ではないかと考えられる。どちらにしても人を見下すような仕種には見えないと、吉村は仲間の言に戸惑いを覚えていた。そして、一部の人間とはいえ集配課に漂う卑屈な空気を、あらためて思い知らされるのだった。「将棋が強いからって威張る人は、あんまり居ないっスよ。大体勝負なんて、どっ...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(13)
指運郵便局の公社化を睨んで、集配課への締め付けも更に厳しくなってきていた。民間企業を見学した足での業務研修や、デパート地下売り場での体験実習など、組織の活性化とサービス向上を念頭においてのスケジュールが頻繁に組まれるようになってきた。流行の自己啓発セミナーにも中堅の職員を参加させ、さらには郵政局のホールに講師を招いて主任クラスの意識改革を図ったりした。局内では班の編成を再構築する試みも勧められていた。人員削減が現実のものとなって、班員一人ひとりの受け持つ作業量を増やすことで定数減に対応する方針が示された。吉村はいままでの伸びやかな環境が、しだいに失われていく状況を肌で感じ取っていた。九州の地から東京へ、下へも置かぬ扱いで迎えられた日のことが懐かしく思い出される。わずか十年で、磐石に見えた組織がほころび始め...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(12)
不知火の町一度はお母さまに会っておきたいという久美の希望で、五月の連休を利用して八代に帰郷することになった。東京駅を朝の九時前に出て、八代に着いたのは午後五時近かった。新幹線と特急で熊本へ。在来線に乗り換えて八代まで、ほぼ八時間をかけての長旅は、慣れているはずの吉村の方が音を上げそうになった。「久美さん、疲れなかった?」「岡山から先は来たことがないから、楽しかったわよ」新大阪を出てから買った車内販売の弁当を、二人であれこれ批評しながら食べたのも楽しかったと吉村を見上げた。この日の久美は、萌黄色のワンピースに白いリングのベルトでアクセントをつけていた。オレンジ系のニットのボレロが若々しい印象を与えている。この日のために新調した気配が、足先まで漲っていた。「おふくろは迎えに来たいと言ったんだけど、到着時刻がは...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(11〉
年賀状狂想曲富士山に初冠雪があったとのニュースが、朝のテレビ画面に流れていた。平年より一週間ほど早かったとのことで、吉村の住む高円寺のアパートでも、明け方の寒さは冬近しを思わせるものだった。一昨年までなら、ウールのシャツ一枚でせんべい布団に横たわり、冬山に備える訓練を課していた時期だが、去年は久美の祖母の他界、自分のバイク事故と続き、今年は早川の滑落死が追い討ちをかけるなど、身辺に暗雲が漂った感じであまり前向きの気持ちになれないでいた。振り返れば、早川が笑顔を残して逝ってから四ヶ月が経つ。岳沢へ下る途中で見た焼岳が、なぜか早川の笑顔と重なって想い出されるのだった。遭難現場から戻ったあと、結局早川の遺体を確認することなく東京に戻った。あのとき松本から松代病院に向かうには、時間も気力も残っていなかった。奥穂高...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(10)
滑落七月の第二月曜日、早川が無断欠勤したというので、集配課はみな大慌てしていた。班長は欠員となった配達区の穴埋めに、自ら郵便物の区分を始めていた。その間、課長は早川の自宅に電話を入れて状況把握に努めていた。しばらく呼び出し音が続いた後、やっと電話口に出たのは早川の母親らしかった。それは課長席から聞こえてくる会話のやり取りから推察できた。「えっ、息子さん家に居ないんですか」課長の不満そうな声があたりに響く。「・・・・ええ、金曜日の夜に自宅を出て行ったきり、まだ帰っていないんですか」今度は不安げなトーンに変わっていた。一体どう解釈したらいいのか、課長が思いあぐねて助けを求めるように周囲の者を見回した。「はい、はい、愛用のオートバイで出かけたのですか。お母さんにも行き先を言ってなかったんですね。・・・・そうです...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(9)
(ウェブ提供画像)より〇「おい、今年は甲辰(キノエタツ)だそうだが東京地検特捜部のように見えてこないか」「ご隠居、たしかに雲中に炎を吐く勢いはいかにも今年もやるぞと宣言してるみたいですね〇「むかしリクルート事件というのがあって自民党の派閥領袖クラスが軒並み摘発されたんだがその中に安倍慎太郎の名前も登場しているんだ」「へえ、そのころからですか」〇「江副浩正という人物からリクルートの未公開株が渡されていたんだがこの時の大騒動で政治家は襟を正したはずなんだが・・」「今度はパーテイ券売り上げのキックバックですか」〇「あの時は野党や有力省庁のトップまで摘発されたから政治とカネの問題は繰り返して起こっている」「ご隠居、リクルート事件は1998年のできごとですね、干支で言えばほぼ二巡りですね」〇「安倍派6人衆をはじめ全...紙上『大喜利』(12〉
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ホタルブクロ画像は〈季節の花300より〉昼間白いホタルブクロの前でふたりの女の子がしゃべっていたねえクレハちゃんこのホタルブクロの中に妖精が隠れているのようそだメミルちゃん見たことあるの?クレハのことだましちゃいやだよ見たことはないけどきっと妖精がいる夜中にホタルブクロを見るとボウっと明るいんだって道草していた女の子二人はお布団の中でスヤスヤきっとたくさんの妖精がダンスをしている夢でも見ているんだろうなポエム383『ホタルブクロの秘密』
〇「芦田愛菜ちゃんはますます活躍してるな」「ご隠居、急にどうしたんですか。鈴木福君ともども成人になって知的なタレントになりましたよ」〇「いや、親がここまでよく育てたなと思ってさ」「そうですね、2人とも反抗期とかなかったんですかね。子育ての本でも出せば売れますね」〇「北朝鮮のゴミ風船は飛ばした50パーセントは韓国に届いているらしいぞ」「いやですね、イメージが・・飛ばす方の品格が問われますね」〇「日本も先の戦争末期には風船爆弾を飛ばしたけれど何個かアメリカ本土に届いただけだ」「太平洋を越えてよく届きましたよ。北朝鮮と韓国は隣同士の諍いで始末が悪いですね」〇「大谷翔平は背番号と同じ17号に到達したけど、ヤンキースのジャッジに大差をつけられたな」「相手投手の攻め方にも大差があるように見えますよ」〇「小池百合子さん...紙上大喜利60『じじいの時事ばなし』
駐車場の奥の崖下に黄色い百合が咲いていた梅雨入り前の真夏日の午後人間どもがあえぐ日盛りに黄色い百合はいとも涼しげに大きな花を咲かせていたなんだかノカンゾウに似ているがきみは野の百合だよね群れてないところが最高だ花言葉は「陽気」というんだってきみに出合ってよかったよ運勢がよくなる前兆だってさ駐車場の雑草の中で輝く黄色い百合これから仕事に出かけるけどよろしくなポエム382『黄色い百合』
茨城県に五浦海岸〈いづらかいがん〉という場所がある。岡倉天心のもとに集まった横山大観、下村観山、菱田春草らが日本画の美を極めようと切磋琢磨した北茨城市の景勝地である。海水浴場にもなる砂浜には海風にもめげず松が枝を伸ばし、岩場を望む六角堂にこもると打ち寄せる波の音が思索を深化させるようだ。天心は後に六角堂を日本美術院の本拠地にした。横山大観のいわゆる朦朧体などは五浦で生まれたものである。冬場はボストン美術館の中国・日本美術部長を務める天心は、夏場は五浦に戻って日本美術界の改革に注力した。もともと日本美術品の研究・収集に造詣の深かったフェノロサの通訳を務めていた天心は、自らも日本美術の研究にのめりこむ。弟子たちはみな家族とともに五浦で夏を過ごし、橋本雅邦ら若き天才画家たちが日夜日本画の可能性を追求した歴史的な...真夏の怪談その5『五浦海岸』
昨日のニュースで嘴太ガラスを肩に乗せて散歩する青年のインタビューに答える様子を放映していたとにかくカラスは頭がよくて可愛い同居していて新たな発見があり伴侶として申し分のない存在だという話変わって都内の繁華街からカラスが激減いま何が起こっているのかとミステリー仕立ての特集でもあった有力な答えは頑丈なゴミ箱の設置だカラスを兵糧攻めにする施策がやっと浸透してきたのだろうというその一方で鷹やハヤブサが増えているらしい都心の高層ビルは崖みたいなもので天敵を避けて営巣するには最適なんだとか新たな悩みに都知事候補はどう応えますか小池さんはまだ出馬表明せず蓮舫さんならビルに網かけろとでも・・ポエム381『カラスをペットにする男』
海野太吉は千葉県内をよくドライブした。勝浦や御宿が好きで、家族を乗せて行楽に引き回した。自宅が都内にあったので、あるとき茂原から四街道を経由して家に帰ることにした。自動車の道路ナビなどない時代に地図を頼りに近道を探して強行突破してきた。すると四街道に近づいたと思われる頃いきなり目の前に竹襖が現れた。「えーっ、なんじゃこれ?」家族も身を乗り出して怖がった。「おとうさん、引き返しましょう」「いや、竹藪が道までせり出しただけだ、道がないわけじゃない」農道なのか畑の中の私道なのかわからないがギリギリ通り抜けられそうだ。太吉は運転席のミラーを引っ込め、竹の幹にこすりそうになりながらなんとか通過した。「いやー、水木しげるの妖怪が出たかと思った・・」「お父さん無謀だから、いつもヒヤヒヤするわよ。いつか青梅の方でコンクリ...真夏の怪談その4『四街道の竹藪』
〇10代二人がバールを持って民家に押し入ったアーソレソレ主人殴って妻からカネ奪うソレカラドーシタあわてて逃げたが忽ち捕まった〇架空の投資で60億円集めたアーソレソレ社債を印刷くばってその場をごまかしたソレカラドーシタいくら稼ごうが悪銭身につかず〇詐欺をしようが強盗だろうがお札に色はないアーソレソレ金を使えばクラブは恵比須顔ソレカラドーシタ焼酎飲み飲みマルサ対策考えた当世あきれ節2
「羽衣の松」という小説を書いた仲間がいた。老境に入ってロマンスには無縁と感じ始めていた時、突然女性の方から思いを告げられたのだ。彼は驚き、うれしくも感じた。若い時は何度か恋愛をしたことがあったが、縁あって現在の女房と結婚し40年を共に過ごしてきた。それだけに同じ同人誌に所属する女性に誘われて食事をし、その後一夜を共にしたことはそれとなく記録しておきたかった。天女からふわりと羽衣をかけられたと表現したのは彼の心境そのものだ。富士山が世界遺産になったとき三保の松原もその一部に認定された。羽衣伝説は世界中に説話として存在し、日本では滋賀県や京都府の風土記に残されているのが最も古いのだが、富士山がよく見える場所として世界遺産に含まれたことから三保の松原が有名になった。本来、羽衣伝説とは関係のない話であるが、三保の...真夏の怪談その3『三保の松原浮気考』
〇八冠が叡王戦で踏みとどまる〇連敗のあと1勝返し2対2に〇挑戦者伊藤匠はAI通〇子供のころから聡太のライバル互角の才〇現棋界勝率1位の匠立つ〇21歳聡太・匠の若武者戦〇八冠は先に名人位防衛す〇藤井聡太に過密日程発汗やまず〇AIにもまれて予備軍虎視眈々〇もはや大人の出る幕なしか将棋界俳句川柳7『藤井聡太八冠』
〇牽制球が足に当たって痛い顔〇そんな翔平見たことなかった心配だ〇監督が復調予言ほっとした〇翔平が10試合ぶり14号〇トップまで2本差いずれ追いつくさ〇とはいうが守りの姿勢が垣間見え〇水原に受けた裏切りトラウマに〇新住居〈十数億円〉へ移って心機一転か〇ロバーツ〈監督〉のおねだり〈自動車〉変じてミニチュア・カー〇背番号〈17〉譲った選手と違うわい〈奥さんにポルシェ贈って話題に〉俳句川柳6『心配させんなよ』
現在はにかほ市になった秋田県の象潟町で重吉は炭焼きを生業にしている。東京の大学を卒業したあと実家の山を預けられ、楢や橡の木を切り倒しては木炭づくりを目指した。ところが重吉は炭窯に火を入れた後持ち込んだ哲学書を読みふけるものだから、火を止めるタイミングを失い出来上がった木炭はほとんど灰に近い状態になってしまった。「重吉さんなばダメなもんだ。炭つくってんだか灰つくってんだか売り物になるのは一本もなかった」口さがない住民が噂するうちはよかったが、そうち呆れて誰も近寄らなくなった、そうして一年が過ぎ炭の材料になる木を伐りに遠くまで足を運ばなくてはならなくなttころ、重吉さんの炭の品質がきゅうによくなった、聞きつけた住民が重吉さんから話を引き出したところでは本に夢中になっていても木の精が勝手に話しかけてくるのだとい...真夏の怪談その2『にかほ市の哲学者』
〇「どうだ、やっぱり大の里が優勝したろう?」「ご隠居の言う通りでしたね。しかし、中日のあと2敗したんでハラハラしましたよ」〇「負けを肥やしにしてどんどん強くなったよ」「最後の3日間は自信に満ちた顔をしてましたね」〇「大の里はあと何場所かで大関になる、横綱も遠くないだろう」「そう簡単にいきますかね、人生何が起こるかわかりませんよ」〇「大丈夫だ。オーラがある。謙虚さもある。相撲の型もある」「へえへえ、ご隠居を信じますよ」〇「ライバルの琴桜もうまく育ってほしいな、尊富士も復帰してくれば面白くなる」「平戸海や熱海富士も見どころありましたしね」紙上大喜利59『じじいの時事ばなし』
市ヶ谷駅は僕がよく利用した駅である。夏の深夜、大急ぎで改札口に降りていくと頭上から人のすすり泣く声が降ってきた。声の主はたぶん女性だろうと気になったが、こちらも電車に乗り遅れる心配があったので確かめることなくホームへ走った。何日か経って市ヶ谷駅のすすり泣きのことが週刊誌に載っているのを中吊り広告で知った。早速買って読んでみると、僕が体験したよりも大分前から噂になっていたらしい。誌面によると夫に捨てられた女性がJRの線路上で飛び込み自殺した事件があり、その時の状況がこだまのようによみがえって夜な夜な誰かしらの耳に届いていたらしい。よほど無念だったのか、聞いたのは男性ばかりで男への恨みも感じられる話だった。週刊誌の記事を読んで以来、僕は市ヶ谷での乗降を避けるようになった。総武線ではなく中央線の快速や準急電車を...真夏の怪談その1『市ヶ谷のすすり泣き』
天・点天を仰ぐ暑い直視できない点黒点子供の絵なら簡単ゴマのような黒点太陽フレアまでクレヨンカナダでオーロラ電離層パニック気象衛星多数墜落・点天天を仰ぐ熱い直視できない黒点気象も天文学も天に始まり点に終わる人生は天の思し召しポエム380『天』
〇社長が一瞬目をかけたアーソレソレ早くあと継がせろと焦る娘婿ソレカラドーシタ魂胆読まれると匿名人間を雇って深い闇深い闇〇政党交付金の使い道報告下限はいくらアーソレソレ与党の協議はいくらやっても折り合わずソレカラドーシタ自民は10万以下に切り下げず国民無視国民無視〇クマがやたと人を襲うアーソレソレ暖冬で冬眠短め腹が減ってたまらないソレカラドーシタ民家に侵入し貯蔵庫開けて好き放題好き放題当世あきれ節1
〇「おい、小相撲って知ってるか」「えッ?大相撲なら今やってますが」〇「横綱照ノ富士をはじめ大関貴景勝、霧島、関脇若隆景、朝乃山など注目力士がみんな休場で元気なのは小物ばかり」「それで小相撲ですか、ご隠居」〇「今場所の優勝は大の里で決まりだな」「またまた、気が早い。まだ8日目ですよ」〇「先場所だって尊富士か大の里のどっちかといったろう、今場所は大の里の番だ」「へえへえ、外しても知りませんよ」〇「大谷翔平が13号を打ってトップに並んだな」「打率もトップだし三冠王が狙えるんじゃないですか」〇「ロサンゼルス市が大谷翔平の日を制定したな」「5月はアメリカ政府がアジアやハワイ、太平洋の島々にルーツを持つアメリカ人の歴史・文化や功績をたたえる月間でそれにあやかったらしいですよ」紙上大喜利57『じじいの時事ばなし』
巣鴨プリズンが解体されたとき、ある独房の壁の中から奇妙な塊が転がり出てきた。公には報道されなかったが、それは高温の熱によって溶かされたコンクリートが、冷えて固まった状態に見えた。普通、ブルドーザーで破砕された壁は、捻じ曲がった鉄筋を除けば、セメントと砂、砂利による組成が一目瞭然だった。それに対し、発見された塊は内部でガラス質の粒子が滾り、流れ出たような形跡が見られた。飴を塗りつけたような表面には、わずかながら人をほっとさせる暖色系の彩りがあった。なぜ、コンクリートが溶けたのか。壁の一部だけが、どうして他と違う様相を見せるのか。独房に収監された囚人が、脱獄を図るために薬品で壁の腐食を狙ったと考える者もいた。壁の解体に携わった業者は、上司を通じて拘置所の責任者に報告した。あり得ないことだが、少しの疑いでもあれ...思い出の短編小説『壁の中』
『東海道中膝栗毛』〈とうかいどうちゅうひざくりげ〉で名の知られた十辺舎一九は1802年~1814年にかけて初刷りされた滑稽本である。「膝栗毛」とは、自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行の意で人気作品となり刊行は『東海道中膝栗毛』と『続膝栗毛』あわせて20篇に及んだ。後世に読みつがれ、主人公の弥次郎兵衛と喜多八コンビのキャラは歌舞伎や映画等で現在でも活躍が続いている。文才とともに絵心のあった作者による挿絵が多く挿入され、江戸時代の東海道旅行の実状を記録する、貴重な資料でもある。版木による出版が何版にもおよび、今でいうベストセラー作家となった十辺舎一九は文筆業だけで生計を立てたわが国最初の人物ともいわれている。通称「弥次喜多道中記」のあらすじは、江戸の神田八丁堀の住人である栃面屋弥次郎兵衛と居候の喜多八が二人と...新作KAIDANその10『十辺舎一九』
那須野が原には「九尾の狐」が住んでいるといわれている。最近、那須野が原を舞台にいやな事件が勃発しているが、ご当地の九尾の狐がどう思っているか世間の口端も喧しい。「ぼくは九尾の狐はワルだから冷ややかな顔で見ていたんだと思う」「いや、わたしは九尾の狐は憤慨していると思います。もともと伝説では神獣といわれて王朝を支えてきたのだから今回の事件はイメージダウンになると怒っているはずです」「読み本屋、曲亭馬琴の受け売りだな?」「そういう貴方こそ玉藻前〈平安時代末期に登場する『玉藻草紙』で鳥羽上皇の姫に化けた狐〉にたぶらかされているんでしょう」「九尾の狐をワルだと言っているぼくが騙されるわけがないだろう、何を考えているんだ」「全身〈心〉全霊で化かすというから、あんたなんかイチコロよ」「ちょっと待った,お二人さん、九尾の...新作KAIDANその9『九尾の狐』
〇「大谷翔平が11号ホームランで両リーグトップに立ったな」「3連発の後このまま突る可能性がありますね」〇「護衛艦『いずも』をドローン撮影した奴はドロンしちゃったのか」「中国のSNSに投稿されたということですが誰かはわかりませんね」〇「政治資金規正法はどうなった?」「連座制は決まりみたいですが問題は使い道ですよね」〇「何に使ったか記録し党に報告する金額を10万にするか5万にするかで自民・公明の折り合いがつかないんだろ」「ザルの目を粗いままにしたい自民が引き延ばししているようですね」〇「宇野昌磨が今シーズン限りで引退するらしいぞ」「男子フィギアという激しいスポーツでよく頑張りましたよ」紙上大喜利57『じじいの時事ばなし』
〇「ホームラン数トップに立った大谷翔平のファン」とかけて「ネズミ捕りの警察官」とときますそのこころは「まだ加速するの?、ジャッジ(計測)できないほど飛ばさないでよ」と嬉しい悲鳴をあげるでしょう。〇「生成AIへの危惧」とかけて「原子爆弾を完成させたオッペンハイマー博士の後悔」とときますそのこころは「歯止めの効かない知識欲(禁断の木の実〉はやがて人類を滅ぼす」でしょう〇「キーウへの集中ミサイル攻撃」とかけて「ずばり、アフリカ諸国首脳とウクライナの接近阻止」とときますそのこころは「NOTOに入るかもしれないウクライナとアフリカの関係は喜望峰まわりの遠い国」にしておきたいからでしょう新企画『ととのいました』(21)
三が日が明けた仕事始めの日、出勤しようとしていた雅夫は賃貸マンションを経営する大家と珍しく顔を合わせた。「おはようございます」背後から声をかけられて振り向くと、膝上まである防寒コートを羽織り、そのくせ帽子もかぶらずにニコニコと立っていた。一度か二度すれ違ったことがあるが、その時は目を合わせることもなく、雅夫は内心愛想のないオヤジだなとこちらも無視する気持ちになっていた。だが、年が変わって心境が変化したように挨拶されてみると、もともと悪意を持っていた訳ではないから悪い気はしなかった。「おや、おでかけですか?」「うーん、・・・・二、三日留守にしますんでよろしく」返事とは裏腹に、どこか遠くを視るような目付きでぼそりと答えた。ふだん入居者のことなど無関心かと思っていたのに、どうした風の吹き回しか。家の中で雑煮など...思い出の短編小説『よたれそつね』
〇「台風は通り過ぎたけど、別の風が吹き始めたな」「解散風でしょう?内閣信任案が出たら刀を抜くらしいですよ」〇「立憲民主は不信任案を出す勇気があるかな?」「さあ、どうでしょう。今選挙をしたら遺骨も拾えないと言われていますが」〇「総理の息子が官邸でヘマをやっても秘書官を辞めさせただけで大丈夫か」「株も上がってるし、防衛予算は先送りして、選挙に勝ったら信任受けたと大手を振って増税するつもりですよ」紙上『大喜利』(25)
ガリラヤ湖はヨルダンの大地溝帯の端にある死海につぎ2番目に標高の低い湖だ魚がよく獲れるので30隻もの舟が操業していたというイエスはこの湖を見おろす丘の上に立って布教した漁師ペテロはそれを聞いてイエスの一番弟子になったたちまちガリラヤ湖周辺の人びとはイエスに帰依したガリラヤ湖西岸とイスラエルを結ぶ街道を通ってキリスト教は世界に広まっていったそれにしてもイエス・キリストの生涯は烈しすぎる現代に続く宗教戦争の原点はそこにある一神教ではないが他の神を従属させようとするゼウスを頂きながら宗派の違いをも受け入れない日本人はいいな自然崇拝が身に沁みているから森の木や川の水それに岩石にまで神が宿る八百万の神が身近にいる幸せよ古代からの太陽信仰が生きているんだろうなポエム366『ガリラヤ湖から』
〇「高齢者の自動車事故」とかけて「完全試合を達成した時の佐々木朗希」とときますそのこころは「全力でアクセルを踏み続けた」結果でしょう〇「梅雨前線」とかけて「能無し大臣の国会答弁」とときますそのころろは「どちらも湿舌(失舌)を伴なう」でしょう〇「立憲民主党」とかけて「弱虫の番犬」とときますそのこころは「吠えるだけで他に何もできない」でしょう新企画『ととのいました』(20)
<さくら貝の歌>美わしきさくら貝一つ去りゆけるきみに捧げんこの貝は去年の浜辺にわれ一人ひろいし貝よその子の名は、キララといった。入学式の日に、小学四年生として編入してきた。担任の先生は、キララが福島からの転入者であることを告げた。この町へ避難してきたのは、キララとお祖母ちゃんの二人だけだった。福島で海産物店をやっていた両親が津波に攫われ、行き場をなくして能登半島の親戚を頼ってきたのだ。親戚といっても、キララのお母さんの妹の嫁ぎ先だから受け入れの余裕がなかった。それで、町の施設がキララとお祖母ちゃんを受け入れたのだった。地域の人々は、キララたちをこぞって歓迎した。昔から日本海の漁業で生きてきた町に、真反対の太平洋岸から二人がやってきたことで注目を集めたのだ。先生は、震災の後始末が付くまで二人は志賀町に滞在す...思い出の短編小説『さくら貝の歌-異聞』
六合村の応徳温泉に行きたいな2年ほどご無沙汰だけど変わりないかな伝統的建造物群保存地区の清潔さも保っているかなおいしい蕎麦屋さんもまだやっているかなもう何十年も前に一年間湯治して糖尿病で瘦せ衰えた体を治してもらったぬるめだけど内臓の芯まで温めてくれる効能あらたかなあの温泉だ村の入り口に咲いていた黄花コスモスよいつもぼくを快く迎えてくれたね今はどんな花を咲かせているのかな村の中の道はどこも花に満ちていたな野草の宝庫で知られた野反湖への中継点登山やハイキングのグループがよく利用してたなみんな温泉から出た後ゴロンと横になって仮眠した食べ物の持ち込みも自由だったから人気があった六合村よ応徳温泉よもうすぐ行くからね黄花コスモスの時期には少し早いが新緑が滴るような木々の彼方から温泉を覗きに来る風と再会できるかもしれな...ポエム355『新緑の風』
〇「線状降水帯の被害は想像以上だったな」「ご隠居、特に愛知と静岡・埼玉がひどかったですね」〇「ところで戦場降参隊のほうはどうなっているんだ」「キウイも被害を受けましたけどロシアの領内まで反撃されてますからね、勝敗はまだ分かりません」〇「NHKはタレント総取りだな、タモリ・鶴瓶はもうなくてはならない存在だし」「ほんと、民放全盛時代には反NHK的スタンスをとるタレントも居ましたがね」紙上『大喜利』(24)
大蔵さと子が工房を辞めたのは、秋が本格化した九月下旬のことだった。ヨシキにとっては、先輩でもあり憧れの女性でもあった。ガラスの扱い方を丁寧に教えてくれただけでなく、仕事を超えて近しい存在になっていた。ヨシキが所属する工房では、主にアクセサリーに関する素材や技法を研究している。顧客のニーズを掘り起こして、さまざまな装飾品にトライする試作室みたいなものだった。経営者である寺田瑛彦は、奇抜なデザインと新旧の素材を融合したユニークな作品を発表して急速に頭角を現してきた装飾デザイナーだった。輝石をポイントにしたバッグやハイヒールなどを、一点物として女優やモデルに提供していた。さと子はもともとネイルサロンで働いていたのだが、客との会話の中で寺田瑛彦の存在を知り、創造的な仕事がしたいからと弟子になった。「給料なんて出な...思い出の短編小説『人生とんぼ玉』
〇「梅雨時に台風かよ」「ご隠居、まだ5月で恥ずかしいから石垣島あたりで一休みして6月に上陸するつもりらしいですよ」〇「ゼレンスキーが反転攻勢に出たな」「モスクワは繰り返し無人機攻撃を受けてプーチンもオチオチしてられませんね」〇「卓球の早田ひなが大活躍してるな」「ひなひなした印象なのに中国選手を破って銅メダル獲得しましたよ」〇「錦木は千秋楽まで7連勝で9勝6敗で終えたな」「ご隠居、お見事でした。このままいけば来場所には関脇も狙えますよ」紙上『大喜利』(23)
サスペンス小説の作家として売れっ子だった有村優斗は、近ごろ雑誌社からの注文が減っていることを気にかけていた。担当の編集者にそれとなく訊いてみると、読者アンケートの分析から有村の小説が目新しさに欠けるとの評価が下されたらしい。某誌の人気作家ランキングでも、ベストスリーに入れず低迷していると聞かされた。ピーク時には寝る間もないほど依頼が殺到し、いずれ自身が小説に殺されるのではないかと覚悟をしたほどだった。しかし、さしもの人気もピークを過ぎ、いまは自分のペースで仕事をすることができた。夜型の彼は夕方の五時ごろ起き出し、朝方の七時に寝床に付くという生活を繰り返していた。望み通りに十分な睡眠時間が取れ、食事も散歩も意のままになったのだから、昔の奴隷のような生活と較べれば楽なものだった。健康のためにも、仕事量が減った...思い出の短編小説『ウィスパーボイス』
〇「どうだ、錦木はほんとに覚醒しただろう」「ご隠居、すごいですよ。若元春を寄り切ってから4連勝で7勝6敗と勝ち越し目前です」〇「このところ地震が続いているが大丈夫か」「能登から始まってトカラ列島、千葉南部、伊豆諸島など震度6~5が続いていますね」〇「ワグネルの創設者ブリゴジンはプーチンの料理人と言われているが本当か」「レストラン経営のほか人間の料理もやってるわけだ」新企画『ととのいました』(19)
2年前に当ブログで異様に成長した<木のような草>を紹介したことがある。正体がわからないのでお尋ねしたら、さっそく『一年生のブログ』さんが画像検索してオオブタクサという外来種の雑草ではないかと教えてくれた。オオブタクサ(画像は2921年9月撮影のオオブタクサ)2年前の5月頃ヤツデのような形の幼草を見てどんな植物になるのか観察していたら、9月には手の付けにはような怪物になってしまった。4か月後には花穂にたくさんの実をつけたのを見て(これはヤバイ)と伐採にかかったのだが、時すてに遅し・・・・去年も今年も飛び散った種がしぶとく生き延びていたのである。見つけるたびに引き抜いて処分し、もうないだろうと思っているとまだ残っている。今年の幼草2年前に「一年生のブログ」さんから送られてきた画像検索のURL(https://...木のような草『オオブタクサ』の繁殖力
〇「おい、錦木が覚醒したぞ」「ええ、大関の貴景勝を横綱相撲で寄り切るなど覚醒しましたね」〇「大谷の6勝目はお預けだな、1失点で勝敗つかずとは残念」「ご隠居、わかります。早い回に援護がほしかったですね」〇「広島サミットも終わったな」「まさか対面の会議には出れんと思っていたゼレンスキーさん来ちゃいましたね」紙上『大喜利』(22)
少年たちにとって、マツ子の存在は眩しすぎるものだった。好奇心を最大に膨らませながら、戸惑い、戸惑いの後に排斥のポーズをとった。学校が終わって家に帰るマツ子を追って、男子生徒たちは後方から囃し立てた。「メンス、オンス、メンス、オンス」二組に分かれて、単純な掛け合いを繰り返すだけなのだが、しばらくすると皆気が滅入ったようになって、声が小さくなった。喜市も、将太や三郎とともに村はずれの雑木林まで付いて行き、マツ子が振り返って駆け出すのを見送ったあと、それが目的だったようにクヌギの大木に近づいて、虫が舐めた樹液の跡を確認する。木肌に残る茶色のおがくずが、夜通し働いた昆虫たちの宴のあとだった。虫や動物に対する喜市の執着は、彼の生命の源でつながっていた。近くの枝に、まだカミキリムシが隠れていないか、足下の草むらにウマ...思い出の短編小説『狂犬のいた坂道』(3)
日が傾きかける頃、喜市は川漁師の父と連れ立って、カエル獲りに出かけた。ライギョの生餌にするため、こぶりの青蛙が必要なのだ。沼に続く湿地には、蛙だけでも何種類も生息している。ニホンアマガエル、ニホンアカガエル、トノサマガエルに、食用蛙とも呼ぶウシガエルもいる。そのあたりには、他に蛇や蜥蜴もいる。草の実や稲穂が間近にあるから、鼠も隠れている。だが、川漁師の目的は蛙だけである。そのカエル獲りには、喜市が欠かせない存在なのだ。名人喜市は、濡れた草むらを中腰で進む。人の気配に驚いた蛙が、あちこちからピョンピョン飛び出す。その瞬間、喜市もまた蛙のように地面を跳び、着地したばかりの生餌を手で押える。捕らえた蛙は、竹で編んだ平たい魚籠に入れる。蓋を閉じ、次の獲物を狙って、再び忍び足で前に進む。追っ手の気配に怯えた蛙が草陰...思い出の短編小説『狂犬のいた坂道』(2)
5月5日はこどもの日、行事的には端午の節句ということになる。みなさんのブログを拝見していても、この日の前後には鯉のぼりが泳ぐ雄々しい画像がたくさん登場していた。関東北部のある地方では毎年ジャンボ鯉のぼりが話題になる催しがあり、ブロ友さんとNHKのニュースで同時配信していたので大いに興味をそそられた。それにくらべるといささかショボい話で恐縮だが、我が家でも孫の節句を祝ってベランダ用の鯉のぼりを購入し昨日まで泳がしていた。実はこどもの日と誕生日が近いので取り付けたままにしていたのだが、昨日やっと晴れたので取り外しの作業をした次第である。しかし、この間よく雨が降ったよね。鯉のぼり自体はナイロン製だから濡れてもすぐ乾くのだが、かなりの風がなけtれば泳がない。それでも上部に取り付けた矢車と金飾りがクルクル回るのを見...端午の節句は終わったが
喜市は、夏が一番好きだ。川漁師の父親とともに、近くの沼で雑魚や小海老を採り、また、さまざまの仕掛けを使ってライギョやウナギを獲る。きらめく夏の日々は、喜市にとってわくわくする時間の連続であった。昭和二十年代の半ば、喜市が小学五年生になった頃のことである。沼の北西で、事件が起こった。それは新聞に載るほどの出来事ではなかったが、ふだん平穏な生活に慣れている村人に、めったに無い話題を提供した。とりわけ子供たちは、興奮のために夜寝つきが悪くなった。その事件は、彼らの村から林の中を通って沼に至る坂道の途中で起こった。一人の中学生が狂犬に遭遇し、勇敢にも犬を撲殺したのである。犬は灰色の中型犬で、口から涎を流していたという。目は黄色に濁り、坂の上からまっすぐに中学生に向かってきた。中学生は道端に転がっていた棒切れを拾い...思い出の短編小説『狂犬のいた坂道』(1)
〇「ひきこもり」治療とかけて「不親切な役所」とときますそのこころは「窓があるのに(心の)窓が開かない」でしょう〇「生成AI」とかけて「いのしし」とときますそのこころは「暴走すると手に負えない」でしょう〇「村上春樹」のノーベル賞とかけて「大勲位」とときますそのこころは政治が優先されるが「文学としては最高レベル」でしょう新企画『ととのいました』(18)
素封家の新座右衛門には、なかなか跡取り息子ができなかった。二十歳の時に嫁に来た最初の妻は、五年間生活を共にしたが子ができずに離縁した。二度目の嫁も、妊娠はするのだが五か月目を待たずに流産し、二度三度と失敗して自ら実家に出戻った。新座右衛門に子種があることは明らかだから、すべては女の側の問題として片付けられた。三度目の嫁にも子ができないと分かった時、三十五歳を超えて焦りの見える当主は、飼い猫のタマに疑いを持った。人づてに、猫が好きな女は子ができにくいと聞かされたからだ。タマはもともとこの家で飼われている三毛猫だ。最初の結婚のときから新座右衛門の家にいたから、猫好きの嫁が連れて来たというわけではない。それでいて嫁が猫好きに見えるのは、いつの間にかタマがすり寄って甘えるようになるからである。タマには人の心を蕩か...思い出の短編小説『猫』