芭蕉の名句㊳ 『嵐山』
「六月や峰に雲置く嵐山」この句は芭蕉が京都に滞在した晩年の作品である。解説では、嵯峨の落柿舎で句会を催した時に詠んだ。嵐山は京都随一の名所で日本各地から観光客が訪れる。賑わいは今とあまり変わりなかったのだろう。「峰に雲置く嵐山」の情景は陰暦6月〈現在の8月ごろ〉のうだるような暑さを感じさせる。芭蕉は実際に入道雲を目にしたのかもしれないが、嵐山に合わせた表現かもしれない。席亭に招待を受け多くの門人と連句を連ねて大いに楽しんだことだろう。しかし、この句が亡くなる4か月前・・となると、いろいろのことを想像してしまう。「おくの細道」の旅の疲れが出たのだろうか。紙子一枚での野宿が体を痛めつけたのではないか。覚悟のうえの冬越しの長旅〈おくの細道〉がいかにありがたいものか改めて感慨を覚える。芭蕉の名句㊳『嵐山』
2025/06/30 03:50