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  • 胃倉・魂門の刺激目標

    筆者は2022-06-26のブログで「急性胆嚢痛に対する胃倉の刺針技法と理論」と題した内容を報告した。しかしその後進展があったので、そのブログを消去するとともに、改訂版として本稿を発表することにした。1.胃倉代田文誌が行って有名になった方法に、胃痙攣や胆石症による強い腹痛に対して、胃倉(Th11棘突起外方3寸)に刺針するものがあった。なおここでいう胃痙攣とは、現代では急性胆石痛の痛みだとされている。中背を刺激するのではなく、なぜ胃倉を特効穴とする理由についての説明はされていない。昭和の鍼灸治療書は、アセスメントがないのが普通だった。2.魂門話は変わるが、私はかって胆石の激しい痛みに対して、側臥位にして魂門(Th9棘突起外方3寸)から脊柱棘突起方向に向けて深刺して、良い結果が出ていて、失敗した経験がなかった...胃倉・魂門の刺激目標

  • 小児鍼の歴史と疳の虫の治療 ver.1.2

    筆者は2011年5月27日、「小児かんの虫の鍼灸治療」と題したブロクを発表したが、最近、長野仁・高岡裕「小児鍼の起源について小児鍼師の誕生とその歴史的背景」(神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野ゲノム医療実践学部門)平成22年7月20日受理の論文(ネット上で公開)を読む機会があり、小児針に対する今日の常識的理解が誤りであることを知った。この論文の知見を含めて、小児針法について書き改めることにした。小児鍼の歴史は、小児特有の胎毒や丹毒に対して、刺絡することが原点だったが、明治時代になって鍼師が鋒鍼(刃物のような鍼)を使うことが禁止されたため、按摩針とよばれた擦ったり叩いたりする軽刺激の鍼に変わったという経緯があったという。長野仁、高岡裕:小児針の起源についてhttp://jsmh.umin.jp/...小児鍼の歴史と疳の虫の治療ver.1.2

  • 臓腑の官職 ver.1.1

    古典「素問」霊蘭秘典論では、臓腑の機能を古代中国の官職に例えている。臓腑の機能は、これだけにとどまらないが官職に例えることで、親しみやすくなっている。臓腑の官職については、これまでにも大勢の人が説明しているが、私も整理してみることにした。なお官職の説明の最後は、ほとんどが「○○出ず」となっているが、これは出ないという否定形ではなく、どうして出ないことがあろうか、という反語表現となっている。①肝将軍の官②胆中正の官③心君主の官④小腸受盛の官⑤脾倉廩(そうりん)の官⑥胃同上⑦肺相傅(そうふ)の官⑧大腸伝導の官⑨腎作強(さっきょう)の官⑩膀胱州都の官⑪心包臣使の官⑫三焦決瀆(けっとく)の官1.肝将軍の官、謀慮出ず肝は「月」+「干」で、干は幹の原字。身体の中心となる幹のことでその重要性が知れる。「謀慮」とは人間の...臓腑の官職ver.1.1

  • 澤田健「十二原之表」の解説

    ko1.代田文誌、「十二原之表」との出会い上表左の一文:上表は、『鍼灸治療基礎学』中のもの。<毎朝六十六難の図に対し、原気の流行・衛栄の往来を黙座省察することで身中の一太極を知り、自らを万象にぴったりと符号する態度を貫き通す>広岡蘇仙の言(『難経鉄鑑』の著者)代田文誌が長野で鍼灸治療を開始して間もない頃のこと、東京市雑司ヶ谷の澤田健の治療院に初めて見学に行った(満27才)。『鍼灸神髄』にはその時の状況が書かれている。治療室に入ってまず目に入ったのは、「五臓之色体表」と、「十二原之表」だった。十二原の表は初めて目にするものだったので、「どうか御説明を」と御願いしたが、「簡単に説明できるものではない。毎日見ていればよい。そのうちにわかってくる」と叱咤されてしまった。「五臓之色体表」と「十二原之表」は、巻紙に毛...澤田健「十二原之表」の解説

  • 代田文誌の年譜(代田文誌の鍼灸姿勢その1)ver.1.3

    1.「鍼灸真髄」を著した頃代田文誌先生(以下敬称略)の鍼灸は、前半生が沢田流太極療法、後半生は現代鍼灸に変化したことはよく知られている。沢田健の神業のような治療効果に仰天し、心酔したことは「鍼灸真髄」に詳しく記されているが、文誌の年譜を調べてみると、沢田健の治療を初めて見学した時は、文誌は鍼灸免許を取得して、わずか1年しか経過していないことを知った。すでにこの段階で、沢田流を受け入れる下準備ができていたことに驚いた。ところで沢田流太極療法とはどのような治療法なのだろうか。今となっては、その名前だけしか知らない鍼灸師が多くなってしまったので、その概要を解説する必要があるだろう。これは次回ブログに書くことにする。2.科学派鍼灸への転向また文誌の後半生は、現代鍼灸に変化したが、私は沢田健の治療である沢田流太極療...代田文誌の年譜(代田文誌の鍼灸姿勢その1)ver.1.3

  • 頸動脈洞刺の意義 ver.1.3

    1.頸動脈洞刺1)洞刺(とうし)の開発※洞刺は「どうし」ではなく、「とうし」と読む。1942年、中山(千葉大医学部教授)らは頸動脈球摘出術を施し、この手術が特発性壊疽、喘息、高血圧、狭心症等に著効あることを発表した。これをヒントに頚動脈洞の血管壁に針で刺激する方法を考案した。肺結核患者の訴える呼吸困難・極度の不整脈・高熱に対してこの技法を行ってみると卓効を得た。またある胆石疝痛患者の痛みに対して行うと即時に鎮静効果を得た、というエピソードが洞刺の始まりで、このことを契機として代田文誌と細野史郎(漢方専門医)が1948年に創案研究したもの。頸動脈洞は、経穴でいう人迎穴がある部であることから、その血管壁刺針を、代田文誌は洞刺(頸動脈洞刺針の略)あるいは人迎洞刺と命名した。2)洞刺の方法①仰臥位にして、頸を過伸...頸動脈洞刺の意義ver.1.3

  • 石坂宗哲著『鍼灸茗話』より(兪穴の俗称、妊娠と不妊の治療、五十肩治療のコツ) Ver1.3

    石坂宗哲著『鍼灸茗話』は、江戸時代の鍼灸書の中も広く知られている。そのせいもあって、鍼灸師の基礎知識として学校教育で学習済みの内容が多く、その意味で新鮮味は少ないが、中にはオヤッと感じる記載があるので、いくつか紹介する。なお、鍼灸茗話は、久次米晃訳による。茗話は<みょうわ>ではなく、<めいわ>と読むのが正しい。「茗」とは遅く摘んだ茶葉のことで、通常の季節に摘んだ茶葉のことは単に「茶」という。すなわち茗話とは、「のんびりと回想しながら書き溜めた茶飲み話」といった意味になるだろう。なお※印は、筆者の注釈である。『鍼灸茗話』は和綴じ本で、昔は医道の日本社から普通に購入できた。1.兪穴俗称1)ちりけ第三胸椎棘突起下の「ちりけ」は、元々小児の痰喘壅盛(今日の小児喘息)の病名であると鷹取の書にもある。今日の人が兪穴の...石坂宗哲著『鍼灸茗話』より(兪穴の俗称、妊娠と不妊の治療、五十肩治療のコツ)Ver1.3

  • 喉頭症状に対する前頸部の針灸治療点の整理 ver.1.1

    1.舌骨上筋刺針(舌根穴など)適応:舌痛症、喉の詰まり感、位置、刺針:舌根穴とはいわゆる舌の根もとの部分で、下顎骨の正中裏面。寸6#2で直刺1~2㎝数本刺入。刺入したまま唾を飲ませる動作を行わせる。解説:舌骨上筋とは、舌骨と下顎骨を結ぶいくつかの筋をいう。顎舌骨筋、顎二腹筋後腹など。ノドのつまり感は、嚥下の際に強く自覚する。嚥下運動は、咽頭にある食塊を喉頭に入れることなく食道に入れる動作で、この食塊の進入方向を決定するのが喉頭蓋が下に落ちる動きである。この喉頭蓋の動きは喉頭蓋が能動的に動くのではなく、嚥下の際の甲状軟骨と舌骨が上方に一瞬持ち上がる動きに依存している。嚥下の際のゴックンという動作とともに甲状軟骨が一瞬上に持ち上がり、喉頭蓋が下に落ちる動きと連動している。2.上喉頭神経ブロック点刺針適用:上喉...喉頭症状に対する前頸部の針灸治療点の整理ver.1.1

  • Ⅰb抑制を応用した膝蓋靱帯炎の治療(40才、女性)

    1.主訴:膝屈伸時の、右膝骸骨下際の痛み2.現病歴満一才幼児の育児でだっこすることが多い。1ヶ月前頃から歩行で膝を曲げ伸ばしする際に右膝蓋骨下が痛くなり、整形受診して膝蓋靱帯炎との診断を受けた。X線は正常。治療はロキソニン軟膏と痛みが強い時の頓服用としてロキソニン錠、および右膝関節部のサポーターを処方された。痛み止めを使って、痛みが止まっても本当の治療にはならないと思い、当院に数年ぶりに来院した。3.所見内・外膝眼と犢鼻に強い圧痛あり。脛骨粗面の圧痛はあまりない。他に陰包、鵞足にも圧痛を認めた。4.考察大腿直筋短縮→膝蓋骨上方移動→膝蓋靱帯の牽引ストレス。膝蓋靱帯炎は犢鼻圧痛(++)により明瞭。脛骨粗面の圧痛(-)なのでオスグッドとはいえない。内・外膝眼は撮痛は伏在神経膝蓋下枝の興奮で、鵞足の撮痛は伏在神...Ⅰb抑制を応用した膝蓋靱帯炎の治療(40才、女性)

  • 切迫性尿失禁が中髎の灸1回で改善した自験例(69才、男)

    1.主訴:突然尿意が強くなり、トイレが間に合わない2.現病歴1週間ほど前の就寝中、少々尿意を感じたので、起き上がりトイレに向かって十数歩歩いた。そのわずかな間に、我慢できないほど尿意が強くなった。トイレまであと数歩となった時、我慢できずにパンツやパジャマのズボンだけでなく、廊下やトイレの床などにも小便を漏らした。一度排尿を始めると、膀胱にある尿全部が出終わるまで尿の勢いは止められなかた。それ以降、1日数回は我慢できない尿意が急に出現し、たびたびパンツを取り替える必要があった。こういう状況になって紙製の尿漏れパンツを使おうかとか、寝床のすぐ隣に携帯トイレ(ポリバケツ)を置こうかと考えるようになった。まるで後期高齢者のようであった。3.診断切迫性尿失禁であり、その原因となるのが過活動膀胱によるもの。腹圧性尿失...切迫性尿失禁が中髎の灸1回で改善した自験例(69才、男)

  • 痔疾に対する孔最刺激の検討

    1.孔最の語源正穴名に「孔」の字が入っているのは孔最のみである。一般的にツボは穴という字が使われるので、あえて孔最と命名した以上、何か理由がありそうだと思った。「孔」の語源は顖門(=大泉門すなわち顖会穴)で、骨と骨の間隙を示している。孔と穴の違いについて、窪んだアナには「穴」、突き抜けたアナには「孔」を使うとの見解もあるが、例外が多いのでこの区別はあまり成立しない。ただ「孔」は、「瞳孔」「鼻孔」などで用いられるように、何かが通っているアナをいう。たとえば「針孔」は糸を通すためのアナのことである。孔最を押圧すると橈骨と尺骨、そしてその両骨間のつくる大きな間隙も触知できる。この間隙を満たしているのは、肌肉しっかりと触知できる肌肉(腕橈骨筋など)や脈中を流れる血(橈骨動脈など)、脈外を流れる気(正中神経など)と...痔疾に対する孔最刺激の検討

  • 内転筋管症候群の針灸治療 ver.2.0

    1.内転筋管とその役割大腿神経は大腿前面の知覚と四頭筋筋力を支配するが、その一部は伏在神経となり、大腿内側下方で内転筋管(=ハンター管)に入る。この内転筋管は、大腿内転筋群と内側広筋が互いの筋収縮により干渉しないための間隙にある管で、いわば配管配線のために設けられたスペースである。内転筋管内は大腿動・静脈と伏在神経が縦走している。伏在神経は大腿動・静脈とともに内転筋管に入るが、膝内側~下肢内側皮膚知覚をつかさどる必要性があり、中途で別れ内転筋管から出てくる。伏在神経は筋を支配することなく、大腿内側~下腿内側の皮膚知覚を支配している。すなわち今日でいうとことの浅層ファシアの障害と関わってくる。2.内転筋管症候群(=ハンター管症候群)内転筋管の中で伏在神経が圧迫を受けて生ずる伏在神経神経絞扼障害を内転筋管症候...内転筋管症候群の針灸治療ver.2.0

  • 気管支喘息に対して天突から胸骨裏への水平刺が効いている例 ver.1.3

    岡本雅典氏レポート2022年7月18日A.気管支喘息の症例報告普段から体月2回ほど身体のメンテナンスで来院する48才男性。ある日の来院時、「今回また喘息発作が治まり、呼吸が浅くて息苦しい。いつもこの状態が1カ月ぐらい続く」と訴えることがあった。その時は、仰臥位にて迷走神経刺激目的で天突に2寸♯5の鍼で、鍼体を90度くらいに曲げ、胸骨の裏に這わすように刺針。「喘息には天突」というのは教員養成科での授業で教わったもの。天突から直刺しなかったのは、気管壁へ直接刺激するのを回避する意味。固いところに当たったら「響きましたか?」と問うとYesと返答するような具合に行った。得気が得られたらそれ以上深刺せず、また廉泉には寸6#5で刺針し、両者をクリップでつないで1ヘルツ20分間の通電を行った。廉泉刺針は、喉の奥への響き...気管支喘息に対して天突から胸骨裏への水平刺が効いている例ver.1.3

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