<初出:2008年の再掲です>巻三の一信長、於久地の戦いに臨むこと永禄五年(一五六二)初頭、織田上総介信長は三河の松平元康と対等同盟を組んだあと、周辺諸国に「あの国は戦費不足で身動き取れない」と思われないように、見栄えのよい軍を行なう必要があった。がしかし、「できれば今は軍はしたくない。するにしても戦費は最小限で抑え、秋口の米収穫時の相場形成により美濃侵攻に要する費用を稼いでおきたい」というのが信長の本音である。このとき、実働部隊の頭『柴田勝家』、諜報活動部隊の頭『丹羽長秀』、経済活動部隊の頭『松井友閑・木下藤吉郎』の活躍目覚しく、本当は美濃の斎藤家を内側から崩壊させる準備は整っており、「美濃侵攻を早く!」と進言されていたのだが、もとより慎重な信長は九割がた確実になるまで皆に「行け!」と命じない。調子に乗...巻三の一信長、於久地の戦いに臨むこと