巻二の十二 松平元康、全てを語ること
<初出:2007年の再掲です>巻二の十二松平元康、全てを語ること「二郎三郎殿は『吾妻鏡』を読んでおられるとの事だが、あれは難しくはないか?」「多少難しくはあります。が、やはり佐殿(すけどの:源頼朝)の起こした鎌倉幕府がどのように平氏(北条氏)の政権に移行していったかがわかり、大変勉強になります。ところで上総介殿は『源平盛衰記』を読んでおられるとの事。だれが源平期最強と思われますか?」「うむ。政治的には平清盛・重盛父子、戦術的には平能登守教経殿、個別の戦闘では源大夫判官義経殿といったところか・・・」「確かに・・・」対話は突然始まった。互いに「何で儂の好きな書物を知っている?」と聞かないまま、間合いをはかった切り出し方である。信長は『皆紅に月出だしたる扇(地が真紅で銀の月が書いてある扇)』で紅潮した胸元をあお...巻二の十二松平元康、全てを語ること
2025/05/25 00:00