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金色銀色茜色 https://blog.goo.ne.jp/knjaskmstkzk

ごめんなさい。 新しい物語になっています。 和洋折中の時代を舞台にしました。

渡良瀬ワタル
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2008/05/30

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  • 昨日今日明日あさって。(テニス元年)13

    俺はサンチョには会えなかったが、代わりにクラークに仕事を命じた。嫌な奴だが、加えてご老体だが、まだまだ働けると思う。けど、全幅の信頼を寄せている訳ではない。ちょっとだけ、持ち前の気質がねっ。だから表の人間からも情報を得よう。アルファ商会の保安警備全般を担っている連中を屋敷に呼んだ。その系統は二つ。一つは傭兵団『赤鬼』。もう一つは冒険者クラン『ウォリアー』。共に木曽領地にて常時雇用しているので、その主力は留守がち。それでも、本部事務所が国都にあるので留守居を複数置いていた。その者達にアルファ商会の保安警備全般を委ねていた。留守居とはいうが、役に立たないという意味ではない。多くは、古参と新人の二種。留守中に、現場に出すには早い新人を古参が指導していた。そこへ提案されたのが、今回のアルファ商会の保安警備。渡りに...昨日今日明日あさって。(テニス元年)13

  • 昨日今日明日あさって。(テニス元年)12

    アルファ商会を代表してシンシアとルースが屋敷に来た。二人は初っ端に、迎え出たダンカンに注文した。「室内じゃなく、庭園じゃ駄目かしら。この所、事務仕事で疲れているの。新鮮な空気に触れたいわ」それをダンカンから聞かされた。ご要望にお応えして、池の畔の四阿で面会した。行くと、二人は見るからに疲れ切った表情でお茶していた。果たしてそれでお茶の味が分かるのだろうか、甚だ疑問だ。それでも態度は立派なもの。俺の視線をしっかり受け止めた。シンシアに尋ねられた。「この場合は商会長ですか、それとも伯爵様」「身内だけの時は昔通りにダンで」「それではダン、まず朗報から、売れ行きは好調よ。お貴族様向けの高価版も、一般向けの廉価版も品切れ寸前ね。各工房の尻を叩いているけど、熟練工が育つまでは無理みたい。だから商圏は、暫くの間は国都に...昨日今日明日あさって。(テニス元年)12

  • 昨日今日明日あさって。(テニス元年)11

    センターホールは満席であった。双方の家族、縁戚、友人、職場の者達、寄子の貴族、土地の有力者、伯爵家の主立った者達が顔を揃えていた。ただ一頭、チョンボのみは除外されていたが、誰も気にしない。列席者は左右の隅の小さな方のドアから入った。ホール真ん中の観音開きのドアは締め切られていた。そのドアの前に、邪魔にならぬ形でブースが置かれ、楽器を手にした者達が位置に着いていた。バイオリン二名、ヴィオラ一名、チェロ一名。もう一名は楽器なしの楽団課長。俺はダンカンを連れていた。そのダンカンが俺の目色を読み、演奏課長に合図した。演奏が始まった。歩き易さを眼目とした曲。小さな編成だが、ホールを満たすには充分だった。高音部が天井へ走って下へ跳ね返る。低音部が足下を擽り、横壁を揺るがせる。そんな中をダンカンは俺から離れ、ゆっくりし...昨日今日明日あさって。(テニス元年)11

  • 昨日今日明日あさって。(テニス元年)10

    屋敷で椅子を暖めている暇はなかった。毎日、件の施設に出向いた。そこで各担当者と打ち合わせした。宮司や司祭は当然として、他には現地雇用の料理課長、メイド課長、警備課長、楽団課長、雑務から人事経理事務までを担う総務課長。こういった面々と当日のスケジュールを綿密に組み立てた。当日を迎えた。箱馬車で施設に向かった。俺にカールにイライザ、ダンカン。当然、イライザがテイムしたチョンボが馬車脇を並走した。「クエクエ」と煩い。野生の勘で、祝いを述べているのかも知れない。ここまで来るとカールも疑問を抱いたらしい。「ダン、何かおかしくないか」「なにが」「何かが・・・、何かが引っかかるんだ。ここ数日のダンの様子も変だったし、屋敷の者達も」「そうかな」カールは同乗していたダンカンを見た。「何か隠してないか」「別に」イライザもカー...昨日今日明日あさって。(テニス元年)10

  • 昨日今日明日あさって。(テニス元年)9

    山城から美濃は近い。途中に近江を挟むのみ。それでも途次に領地を拝領している貴族への挨拶は欠かせない。格上の貴族が領地に居るのなら俺自ら寄って挨拶し、格下の貴族なら執事長を挨拶に出向かせ、代官が治めているのならなら只の執事を。とにかく面倒臭いのだ。夜もそう。本来の俺なら野営でも一向に構わないのだが、貴族の作法がそれを許さない。冗談で口にしたら皆にお説教された。だから、夜はその地で一番の宿に泊まり、大金を湯水の様に流す。まあ、短い旅であったので我慢できた。でなければ途中で発狂していた自信があった。美濃地方に入った。すると国境でアドルフ宇佐美が騎士団と歩兵隊を率いて待っていた。馬車の前で下馬すると、綺麗な所作で敬礼した。「お待ちしてました」地位が人を作る、とは良く言ったものだ。アドルフが別人に見えてしまった。そ...昨日今日明日あさって。(テニス元年)9

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