春装

春装や立居にほのと香の動き行き会ひの風におしゃれを春の服春装

蛙の目借時

染まる色いまだ決まらず初蛙目借時不要不急の身であれば蛙の目借時

雪柳

雪柳澱みに橋と架かりけり清純てふ響き久しく雪柳雪柳

夫婦善哉

横丁の人情話春ともし春疾風過ぎりゃ順風夫婦道夫婦善哉

東映映画村

彼岸西風廓の門をくぐりけり廓にて生きて散りたる春思かな春袷江戸のめ組の法被かな東映映画村

蓮華草

道草の許される齢蓮華草初恋と知らずげんげの花冠蓮華草

春分

日野山を遥かす如くつくしんぼ春分や延命水に人の列春分や決断すべきこと一つ落椿侍たちの夢の終（つい）春分

おおいぬのふぐり

空の色こぼれ地上のイヌフグリ追憶の色は青かなイヌフグリおおいぬのふぐり

土筆

筆の花達筆我に遺伝せずせせらぎに愛のデュオかなつくづくし駄作句にもスランプのあり春の愁土筆

ホワイトデー

不器用な男ですけどホワイトデー春色や別れの色と出会ひ色旅立ちの衣まとへば春の色ホワイトデー

東北忌

鎮魂の日のまた巡り来てクロツカス東北忌歌声繋ぐ“花は咲く”東北忌

盆梅

虚と実と表裏なるらし盆梅花老梅の連れ舞ふ影も老いにけり盆梅

春禽

ものの芽や野生目覚むる飼はれ鳥鳥交るこれより先は十八禁春興やちよいと若ぶる黒毛染め春禽

春光

春光や患ふ目には余るほどまだできる幸せあるや春の光ものの芽や人恋初めし十二歳春光

雛祭2

激動を見来て静もる古雛かな激動を見来て古雛の乱れ髪雛の間に夜な夜な座敷わらしかなはっきりと意見を言ふ子雛飾り雛祭2

雛祭り1

店街の華やぐあたり雛飾りいにしへの子らの唄聞く古雛かな美源氏のかくてありしか男雛雛祭り1

春思

春思とや青春の日の忘れ物遠き日の子らの文読む春思かな母の愛の永遠とぞ思ふ春日かな春思

春眠、春興

春眠や亀が追いこす事もありたどたどしき子らの手遊び春の興春眠、春興