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お話 https://blog.goo.ne.jp/shin-nobukami

日々思いついた「お話」を思いついたままに書く

或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!

伸神 紳
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2007/11/10

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  • ジェシルと赤いゲート 87

    「メキドベレンカ……」泣き続けるメキドベレンカにジャンセンの声がかかる。その声は手で覆った顔に真っ直ぐ届く。メキドベレンカは思わず覆っていた手を下ろし、声の方へと顔を向けた。片膝を突いたジャンセンがじっと見つめていた。ジャンセンは優しく笑んでいた。「ジャンセン様……」泣いた後のメキドベレンカの声はかすれている。「……わたくしがお嫌いなのに、そのような優しい笑みはお止め下さいまし……」「……ぼくは君が嫌いではないよ」ジャンセンは笑みを崩さない。「ただ、ぼくは直接そんな言葉をかけられたのが初めてだったんで、戸惑っただけだよ」「そんな言葉、とは……?」メキドベレンカは涙を湛えた瞳でジャンセンを見つめて言う。「その、あれだ。あ……愛してるって言葉だよ……」ジャンセンは言うと耳まで真っ赤にして下を向いた。「マーベラ...ジェシルと赤いゲート87

  • ジェシルと赤いゲート 86

    「……何だあ?」突然聞こえてきた泣き声に、ジャンセンはメキドベレンカから顔を離す。泣き声のする方を見ると、マーベラが座り込んで顔を両手で覆い、わあわあと泣く姿があった。そのそばにはジェシルとトランが困り果てた顔をして立っている。「どうしたんだろう……?」ジャンセンは首をひねりながらマーベラの方へと歩きだす。その腕をメキドベレンカがつかんだ。ジャンセンは振り返る。彼女は再び美しい笑顔を見せている。「ジャンセン様……」メキドベレンカは目を伏せて、恥じらう様に呼びかける。「どこへ行かれるのです?」「いや、マーベラ……デスゴンが泣いているので、気になってね」「そうですの……」メキドベレンカもマーベラを見る。途端にくすっと笑う。「あれが邪神デスゴンとは……いいえ、デスゴンが離れた、只の人ですわ。あんな者のために力を...ジェシルと赤いゲート86

  • ジェシルと赤いゲート 85

    「偉大な大師……」そう呼びかけたジャンセンにメキドベレンカは頭を左右に強く振る。「いいえ!そう呼ぶのはお止め下さい!」メキドベレンカはジャンセンの瞳を見つめる。「わたくしはもう大師でも呪術者でもありません……」そう言うと、彼女は再び顔を伏せ嗚咽を始める。「……じゃあ、メキドベレンカ……」ジャンセンは彼女に呼びかける。「もう泣くのは止めるんだ」ジャンセンが彼女の肩に置いた手に少し力が入る。その力の変化に彼女は顔を上げる。涙の溢れる瞳の奥には、幾ばくかの期待の光がある。「わたくしを名で呼んで下さいますのね……」メキドベレンカが囁くように言う。「嬉しゅうございますわ……わたくしも伝達者様を名前で呼びたい……」「ぼくはジャンセンって言うんだよ」ジャンセンは優しく笑む。メキドベレンカは顔を伏せた。悲しみでは無く、恥...ジェシルと赤いゲート85

  • ジェシルと赤いゲート 84

    メキドベレンカにしがみつかれたままのジャンセンは、困惑の表情をジェシルに向ける。「……ジャンセン、あなたに助けを求めているようよ……」マーベラがジャンセンを見ながらジェシルに言う。「どうするの?」「そうねぇ……」ジェシルもジャンセンを見ながらマーベラに気う。「わたしは恋愛なんて全く分からないわ。わたし個人としてはさっさと戻って、コルンディたちを罰してやりたいんだけど……マーベラならどうする?」「わたし?……わたしもさっさと戻って、熱いお風呂に浸かりたいわ」「あ、それも良いわね!」ジェシルとマーベラはくすくすと笑い合う。「姉さん、そしてジェシルさん!」割って入って来たのはトランだ。憤慨した表情を二人に交互に向ける。「何よ、トラン?そんな怖い顔しちゃって?」「そうよ、トラン君。可愛い顔が台無しよ」マーベラトジ...ジェシルと赤いゲート84

  • ジェシルと赤いゲート 83

    「挨拶に来るなんて、さすがは呪術大師だわ」マーベラは感心したように言う。「まだ回復していないようだけど、大したものだわ」「そうね。立派だわ!」ジェシルも感心している。「責任を全うするって言う姿勢、わたしも見習わなくちゃね」メキドベレンカはジャンセンの前に立った。ケルパムは圧倒されたかのように脇へとよけた。じっとジャンセンの顔を見つめる。「大丈夫なのかい?」ジャンセンは民の言葉でメキドベレンカに優しく声をかける。「貴女のお蔭で全てを終える事が出来た。後は元の世界に帰るだけだ。悪党どもは戻ってから裁きが下る」ジャンセンの言葉が聞こえているのか判断が付かないほど、メキドベレンカは表情を変えずにジャンセンを見つめている。「伝達者様……」メキドベレンカはやっとつぶやくように言う。その声は弱々しい。ジャンセンは心配そ...ジェシルと赤いゲート83

  • ジェシルと赤いゲート 82

    「うわああああっ!」突然、悲鳴が上がった。その方へと皆が振り向くと、悲鳴の主はコルンディだった。腰を抜かしたのか、座り込んでいる。その傍らにはトランが驚いた顔で立っている。コルンデイの首のロープは、首を絞めるまでにあと少しと言うところまで縮んでいた。トランがむしり取った草の湿り気をロープに与えたのだ。「トラン!」マーベラが叱る。「何を勝手な事をしているのよ!」「本当かどうか、試してみたくって……」トランは呆然とした顔のままで答える。「結論としては、本当だったよ……」「でも、どうしてコルンディなのよ?」「みんなに迷惑をかけまくった元凶だろう?」トランはマーベラに答えると、にやりと笑う。「だったら、良いじゃないか」「あらあら……」ジェシルはマーベラを見ながら言う。「マーベラの乱暴者の気質の血筋かしら?」「血筋...ジェシルと赤いゲート82

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