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お話 https://blog.goo.ne.jp/shin-nobukami

日々思いついた「お話」を思いついたままに書く

或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!

伸神 紳
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2007/11/10

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  • ジェシルと赤いゲート 81

    ジェシルとマーベラはマスケード博士に笑みを浮かべながら話をしている。しかし、博士は二人の先程までの剣幕に圧倒され、口数が少なく表情もあまり変わらない。「博士……」トランが割って入って博士に声をかける。「どの時代でも、女神と言うのは、怒らせると怖い存在なんです」トランの言葉にジェシルもマーベラも眉間に皺を寄せる。「この二人には、まだ女神の澱(おり)のようなものが残っているんです」トランは背中に殺気を感じつつ、博士の方だけを見て話す。「いずれはいつもの二人に戻りますから、安心してください」「……そうなのかね」博士はほっと息をつく。「生涯独身であるわしには、女性の事はさっぱりと分からないんだが、あれは二人に憑いた神の名残と言う事だね。わしは女性の本性かと思ったよ……」「まあ、二人とも結構活発ではありますが……」...ジェシルと赤いゲート81

  • ジェシルと赤いゲート 80

    ジャンセンの言葉にジェシルとマーベラは顔を見合わせる。「やっと、静かになってくれたねぇ……」ジャンセンは二人を交互に見ながら言う。「君たちが黙ってくれないと、ぼくは話が出来ないよ。そう言う意味じゃ、君たちに割って入れるトラン君は勇者だね」変な褒められ方をしたトランは曖昧な笑みを浮かべて誤魔化している。「じゃあ、聞くけど……」一気にしゃべりすぎたのか、ジェシルが呼吸を整えて言う。「ジャン、あなた、メギドベレンカを抱きとめていたじゃない」「あれは、彼女の足元がおぼつかなくなったから、支えたんだよ。見ていたら分かるだろう?」「でも、あんなにしっかりと抱きとめなくても良かったんじゃないの?」マーベラが言う。「それに彼女、あなたに抱きとめられた時、すぐに離れようとしたじゃない?嫌がられていたのは明白だわ!」「そうよ...ジェシルと赤いゲート80

  • ジェシルと赤いゲート 79

    金色の眩い光が少しずつ治まって行く。それに連れ、博士の視界は取り戻されて行く。民たちは立ち上がり、光を見つめている。鎮まる金色の光の中に人の姿が現われてくる。光がすっかり消えると、そこにはジェシルとメギドベレンカが並んで立っていた。「おおおおおっ!」民たちが一斉に声を上げ、一斉に頭を下げて両の手の平を上に向ける。神アーロンテイシアへの畏敬の念だ。しばらくして、民たちはゆっくりと顔を上げ始めた。「アーロンテイシア!」大きな声で叫んだのはケルパムだった。それに促され、民たちはアーロンテイシアの名を呼ばわった。「……ジャンセン君!」マスケード博士も興奮気味な声で言う。「何と言う事だ!このような奇跡の場面に出会えるとは!」「そうですね。ぼくも初めてです」ジャンセンはうなずく。「どこかの惑星で『百聞は一見にしかず』...ジェシルと赤いゲート79

  • ジェシルと赤いゲート 78

    メギドベレンカは優しい笑顔を湛え、ゆっくりとデスゴンに向かって歩み出した。雨風が緩んだ。「これは、一体……」「笑顔は神々に対抗する手段なんですよ」ジャンセンはマスケード博士のつぶやきに答える。「デスゴンがメギドベレンカにちょっとだけひるんだ、って事でしょうかねぇ……」「それは心強い事だ」ジャンセンはそれには答えず、メギドベレンカの動向を見ている。メギドベレンカはデスゴンの前まで来ると、右膝を突いて身を屈め、頭を深く下げ、手の平を上にして高く掲げた。「ダーレク・ダ・ザイーレ・デスゴン」メギドベレンカは至極穏やかな声で言う。「マ・レッサ・クルンツ・アーロンテイシア」「何だってぇ……」ジャンセンの表情が強張る。「ジャンセン君、彼女は何と言ったのだね?」博士が訊く。「アーロンテイシアだけは聞き取れたのだが……」「...ジェシルと赤いゲート78

  • ジェシルと赤いゲート 77

    不意に陽が陰った。ジャンセンは空を見上げた。上空には重々しい雲が広がっている。「うわぁ……」「……どうしたのだね?」ジャンセンの不安そうなつぶやきにマスケード博士が訊く。博士も不安そうな表情だ。「デスゴンの怒りが復活したと言うのかね……」「そう言えると思います」ジャンセンは、すっかりと空を覆った雲を見ながら言う。「デスゴンの怒りに関しての文献では『天は悪しき雲に呑み込まれ、無限の風と雨とが生じ、地は全て覆される』ってのがあります。それが起こりそうですねぇ……」「だが、デスゴンはマーベラ君から離れたのではなかったのかね?」「マーベラの激しい怒りに、邪神デスゴンが呼応したようです。大暴れ出来そうだって……」ジャンセンはため息をつく。「何と言っても、デスゴンですからね。暴れられれば良いんで、後先なんか考えてはい...ジェシルと赤いゲート77

  • ジェシルと赤いゲート 76

    鋭い風切音が鳴った。先陣を切って跳びかかった傭兵が、いきなり真横に吹き飛ばされ、地面に転がった。転がったのは傭兵だけでは無かった。大の大人の身長以上もある、ゼライズ鉱を幾重にも重ねて鍛え上げた、柄と本体とが一体となった大剣だ。磨き上げられた両刃の刀身は陽光を反射して静かな銀色に輝いている。皆、何が起こったのか判断が付かず、動きが止まっている。「アーロンテイシア!デスゴン!」不意に甲高い叫び声がとどろいた。皆は声の方を見る。ダームフェリアの長である巨漢のドゥルンガッテが素手で、ベランデューヌの若い長で戦闘に長けたサロトメッカが重そうな大剣を肩に担いで立ち並んでいた。傭兵に叩きつけられた大剣は、ドゥルンガッテのもので、自ら抛ったものだった。その二人の前にケルパムが立っていた。声を上げたのはケルパムだった。恐れ...ジェシルと赤いゲート76

  • ジェシルと赤いゲート 76

    突然、何かが落ちる音と低い呻き声がした。ジェシルがその方を見ると、コルンディが地面に転がっていた。からだを丸めて呻いている。デスゴンの力が急に失せたので、コルンディの宙づりが解けたのだ。傭兵の一人がコルンディの元に駈け寄り、コルンディの上半身を抱き起した。こちらも、デスゴンの力が失せたので、金縛り状態から解放されたようだ。「くっ……」喰いしばった歯をむき出しにしたコルンディがトランと抱き合うマーベラを睨み付ける。「貴様ぁ……許さんぞぉぉ……」低く唸る獣のような声でコルンディは言う。コルンディは介抱している傭兵の助けで立ち上がった。「散々オレをコケにしやがって……」コルンディは怒りで震えている。手にしている銃をマーベラに向けて構えた。震える指が引き金に掛かる。「死ね!死んでしまえ!」コルンディは引き金を引い...ジェシルと赤いゲート76

  • ジェシルと赤いゲート 75

    宙でぐったりしているコルンディと、下着姿のまま身動きのできない傭兵たちは、ジェシルとマーベラを目で追っていた。「おい、何をするつもりなんだ……」コルンディは叫ぶ。だが、散々悲鳴を上げたせいで声がかすれていて、やっと聞き取れる程度だった。マーベラは仮面をコルンディに向ける。目にはまだ青白い光がある。コルンディは短い悲鳴を上げた。ジェシルは傭兵たちを見た。ジェシルの口元に笑みが浮かんだ。その笑みは慈愛に満ちたものでは無く、酷薄な冷たさがある。傭兵たちは、命乞いをする敵を同じような笑みを浮かべながら許さなかった過去を思い出していた。「……こりゃあ、神の怒りの大爆発ですねぇ……」ジャンセンがつぶやく。「ぼくたちも巻き込まれるかもしれません……」「ならば、君だけでも安全な場所へと行きなさい」マスケード博士が言う。「...ジェシルと赤いゲート75

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