ジェシルと赤いゲート 87
「メキドベレンカ……」泣き続けるメキドベレンカにジャンセンの声がかかる。その声は手で覆った顔に真っ直ぐ届く。メキドベレンカは思わず覆っていた手を下ろし、声の方へと顔を向けた。片膝を突いたジャンセンがじっと見つめていた。ジャンセンは優しく笑んでいた。「ジャンセン様……」泣いた後のメキドベレンカの声はかすれている。「……わたくしがお嫌いなのに、そのような優しい笑みはお止め下さいまし……」「……ぼくは君が嫌いではないよ」ジャンセンは笑みを崩さない。「ただ、ぼくは直接そんな言葉をかけられたのが初めてだったんで、戸惑っただけだよ」「そんな言葉、とは……?」メキドベレンカは涙を湛えた瞳でジャンセンを見つめて言う。「その、あれだ。あ……愛してるって言葉だよ……」ジャンセンは言うと耳まで真っ赤にして下を向いた。「マーベラ...ジェシルと赤いゲート87
2024/10/25 10:38