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ツンデレ姫と美貌の付き人などの恋愛ファンタジー毎日連載。『アルファポリス』『小説家になろう』参加。

男勝り姫君ユーノと美貌の付き人アシャのハーレクインロマンス的なファンジー小説『ラズーン』毎日連載。『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』は出戻り姫シャルンと腹黒王レダンのラブコメディ、時々連載。

segakiyui
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2006/11/25

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  • 『青の恋歌(マドリガル)』8.夏の恋歌(マドリガル)(4)

    **************** コンコン。「…」 コン…コン。「ん……」 夢の中で響いたノックがまだ聞こえてやがる、と思いながら寝返りを打つ。 昼間見た光景のせいか訳のわからない夢で、あの礼拝堂の扉

  • 『青の恋歌(マドリガル)』8.夏の恋歌(マドリガル)(3)

    **************** 「滝さん!」 苛立たしげな声に、我に返る。 バルセローナ、ゴシック地区の一角、大悟の知り合いの家とかを、周一郎は探し当てたらしい。「何をぼうっとしてるんですか」 は

  • 『青の恋歌(マドリガル)』8.夏の恋歌(マドリガル)(2)

    **************** そうやって、過去の傷は時折深く、周一郎の心に口を開けていく。 再会したイレーネは、RETA(ロッホ・エタ)と組んで、周一郎の口からなんとか『青の光景』の行方を引き出そう

  • 『青の恋歌(マドリガル)』8.夏の恋歌(マドリガル)(1)

    **************** バルセローナ。 スベイン北東、カタルーニャ地方の都会。ピカソが育ち、天才建築家ガウディが育んだ街。新しい思想と芸術、植民地戦争の敗北、政治の激動、20世紀末のこの都

  • 『青の恋歌(マドリガル)』7.村(6)

    **************** 汚れた床の上、倒れたイレーネの側に上尾が膝をついている。左腕に巻いたハンカチを右手で解き、片手で不器用に広げ、無言のままイレーネの顔にかけた。ステンドグラスの破れ目

  • 2010000ヒット、御礼!『ラズーン7』2.羽根の誇り(2)

    **************** 「南で『鉄羽根』と『運命(リマイン)』が再びぶつかり出したそうだぞ」「大丈夫なのか、『鉄羽根』は」 与えられた私室の扉の外で、声高に話す者がいる。 アリオは臥せって

  • 『青の恋歌(マドリガル)』7.村(5)

    **************** 改めて見れば、本当にとびきりの美人、どうしてこんな『忙しい』ときにしか美人と関わらんのだろーか。俺は平時にこそお付き合いしたいと切に切に願っているんだが。まあ、カッ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』7.村(4)

    **************** 仰け反って頭を打ち、泡立った脳味噌の整理にうろたえる俺の耳に、聞き慣れたハスキーヴォイスが届く。(上尾?) どうしてここに、と思うまもなく、上尾は振り返ったイレーネ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』7.村(3)

    **************** それほど大きな丘でなかったにせよ、俺がそこへ辿り着くまでには、数回ルトに指を齧られていた。「ぎゃわ!」 指先に激痛が走って、思わず跳ね上がり立ち止まる。はあはあと

  • 『青の恋歌(マドリガル)』7.村(2)

    **************** 「けれど、わからないのは」 お由宇の声に我に返る。「どうして、イレーネはあの2人を殺したのかってことね」 俺は、再び、お由宇から丘の上の十字架に目をやった。 俺達がイ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』7.村(1)

    **************** きっ、と軽い音とともに車が止まる。ドアを開けて足を下ろすと、靴の裏で乾いた土が音を立てた。「志郎」「ああ…」 助手席から先に降りたお由宇の白く細い指がさす先、いじ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』6.騎手の歌(4)

    **************** 回教徒のモスク跡に1402年から100年ほどかかって建てられた116m×76mの規模はスペイン最大のカテドラル、入り口のパロスの門を足元に、『ヒラルダの塔』はある。 高さは97.5m

  • 『青の恋歌(マドリガル)』6.騎手の歌(3)

    **************** 「由宇子さん」 唐突に『ランティエ』の声が響いて、俺は我に返った。「『ヒラルダの塔』と言うのは当たってたみたいですよ。残念ながら、すぐには行けそうにないが」「え?」

  • 『青の恋歌(マドリガル)』6.騎手の歌(2)

    **************** 「くっ……はっはははは…」「?!」 唐突に『ランティエ』が大笑いを始めてぎょっとした。反対に、高野が苦り切った顔で黙り込む。ただ一人、お由宇が肩越しに視線を投げ、歌うよう

  • 『青の恋歌(マドリガル)』6.騎手の歌(1)

    **************** 夜を衝いて走る車の中には、外の闇よりも重苦しい沈黙が満ちていた。ハンドルを握る『ランティエ』、助手席で前方を見つめているお由宇、後ろで暗い表情で体を強張らせて座っ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』5.晩鐘(4)

    **************** 「話してもらおうか」 コルドバでも指折りの4ツ星のホテルの最上階の一室で、俺は上尾を睨めつけた。もっとも、俺1人ではたいした凄みはなかっただろうが、手持ち無沙汰な様子

  • 『青の恋歌(マドリガル)』5.晩鐘(3)

    **************** 夜は深々と、家々の壁に、黒い鉄の茎で支えられた8本のカンテラの真下に、その明かりに浮かび上がった十字架のキリスト像の、削げたような頬に、あばらの浮いた体に、その身

  • 『青の恋歌(マドリガル)』5.晩鐘(2)

    **************** 「知り合い?」「知り合いと言うか……確か、上尾旅人とか言う奴だよ」 大学に居たろ、と振ってみたが、お由宇は覚えがなさそうに首を傾げる。「気のせいか、俺達の行く所行く所に

  • 『青の恋歌(マドリガル)』5.晩鐘(1)

    **************** ぽつりぽつりと建つ黄色の塔で弔いの鐘が鳴っている。一本の道を萎れたオレンジの花を頭に乗せた『死』が歌いながら通っていく……不吉でやり切れない、乾いた光景。(読まなき

  • 『青の恋歌(マドリガル)』4.騎手の歌(4)

    **************** 「だから、『ランティエ』に贋作を依頼して、それを渡した、と」 考えはお由宇の声に遮られた。「パブロは最後まで気づかなかったでしょう。彼にとって、必要なのは『あの絵』で

  • 『青の恋歌(マドリガル)』4.騎手の歌(3)

    **************** 「何?」「その様子じゃ」 お由宇はほ、と軽い溜息をついた。「今度も、訳が分からずに飛び込んで来たみたいね」「今度も、とは何だよ」 むくれて言い返した。「言っとくが、

  • 『青の恋歌(マドリガル)』4.騎手の歌(2)

    **************** 彼に続いて恐る恐る小さな暗い間口を潜って入ると、中は小舞台風に中央を空けた、居酒屋のような店だった。まだ時間が早いせいだろう、人影は少なく、外国人の俺達を舐め回す

  • 『青の恋歌(マドリガル)』4.騎手の歌(1)

    **************** 「おっ…おいっ…」 俺ははあはあ言いながら、前を歩くアルベーロと高野に呼びかけた。緩やかになったり急になったり曲がりくねる坂道を登り、入り組んだ街並みを通り抜けはじめ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』3.月と死神(3)

    **************** 「ふ…う…っと」 ソファから反動をつけて立ち上がる。スペインに来て、2日目の夜が来ようとしていたが、周一郎の行方は相変わらずわからないまま、最後の頼みの綱と掛けたお由

  • 『青の恋歌(マドリガル)』3.月と死神(2)

    **************** (人が必死に探していたのに、心配するなとは) 高野もさすがにムッとして周一郎の側に立つと、少年はついと河の方を指差した。「高野」「はい」「もし、ぼくがここに落ちたら

  • 『青の恋歌(マドリガル)』3.月と死神(1)

    **************** 「…象牙の…歯を……」「滝様!」 高野の声に本を閉じる。 タホ河河畔、乾いたスペインの中で豊かに水をたたえる沃野、アランフェス。そこには、河の蛇行に沿って緑溢れる庭園と

  • 『青の恋歌(マドリガル)』2.三つの河の小譚詩(4)

    **************** ガタッと音を立てて急に車が止まり、高野は話を止めた。運転手に札を渡す。ちらりとこちらを見た相手は、にっ、と唇の端で笑って見せた。「¡Buen viaje!」「Gracias. どうぞ

  • 『青の恋歌(マドリガル)』2.三つの河の小譚詩(3)

    **************** 今から約10年前の夏。「その頃、南欧、特にスペインを中心として手を広げている貿易商で、パブロ・レオニと言う者がおりました。もっとも、それは表向きのこと、裏では『青(

  • 『青の恋歌(マドリガル)』2.三つの河の小譚詩(2)

    **************** 「ぐ、ぐわ…っ」 空港に降りて、寒さに思わず呻く。「だ…誰がスペインを南国だと言った……っ」 周囲の注視を避けて小さくなりながらぼやく。 とにかく冷え込む。日本の冬とと

  • 『青の恋歌(マドリガル)』2.三つの河の小譚詩(1)

    **************** 「ったく…何だ?」 俺はぼやきながら、受話器を置いた。「お由宇もどっか行ってんのか?」 どうも周一郎のことが気になって(第一、今までの商用旅行に高野が付いて行ったこ

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