**************** 大石と別れていささか落ち込みながら部屋に戻った京介は、データ入力に勤しんでるはずの伊吹が、何度もぼうっと手を止めるのに気付いた。 さりげなく近寄って、見つけた名前
ツンデレ姫と美貌の付き人などの恋愛ファンタジー毎日連載。『アルファポリス』『小説家になろう』参加。
男勝り姫君ユーノと美貌の付き人アシャのハーレクインロマンス的なファンジー小説『ラズーン』毎日連載。『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』は出戻り姫シャルンと腹黒王レダンのラブコメディ、時々連載。
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 1.水龍の巫女(2)
**************** 「…よくまああれだけ集めましたね」 廊下から戻って来たガストが、感心したように呟く。「離宮の広間と、こちらの広間一杯にドレスを揃えたんですか」「一週間ぐらい時間は潰
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 1.水龍の巫女(1)
**************** 「…どうしましょう」「…どうしますかねえ」 離宮の広間の入り口に立ち尽くし、カースウェル=ハイオルト国の王妃シャルンと、侍女のルッカは溜息をかわす。目の前に広がる色
**************** 第6章後書き 今じれったくてなりません。 もっとこれは凄い物語です。人の運命を巻き込んで情け容赦なくラズーンという都が崩れて行く、そんなもの難いです。どこかのCMであ
**************** 「…見事なものだな」 ユーノが姿を消すのを見送っていたセシ公は、嘆息した。「揺らぎもせず、か」 くすりとジノが笑う。「無理ですよ、セシ公。あなたと雖も、彼の方の進む
**************** 「ひゅっ!」 悲鳴と呼吸の漏れる音が同時に空中に響き、鮮血がジュナの全身を染めた。 一瞬に絶命したイリオールの腕から力が抜ける。少年の喉笛を掻き切った短剣を放り出
**************** 泣きじゃくるユーノは気づいていなかっただろう。だが、顔を上げたアシャとは視線があった気がした。そのまま戸口から廊下へ、駆けるイリオールの手には、月光を浴びて光る
**************** 「お、おい…ユーノ…?」 アシャは突然始まったユーノの罵倒もさることながら、続いたことばにぎょっとした。(レアナの想い人……? 誰のことだ? まさか…俺、か?) うろた
**************** 「……そうして」 アシャは柔らかく息を吐き出した。「……セレドの姫に会って」「っ」 思わずアシャを見る。目を伏せているが、微かに頬が色づき、活気が戻った気がする。「俺
**************** 「もう少し側へ」「いや…ここでいい」 アシャの誘いにユーノは喉が絡んだ声で応じた。醒めた部分に必死にしがみつく。万が一にも、これが『魔』の操るアシャならば、ユーノが
**************** イリオールはユーノと入れ違いで広間に姿を見せた。騒いでいる面々の中にユーノがいないと知ると、通りかかった女官にそっと尋ねる。「ユーノ様は?」「さあ……先ほどまでそ
**************** あの焼け野原を歩きながら、ユーノはシャイラとグードスの遺体を捜した。だが、アシャの炎は人間どころか、全ての遺品まで浄化し尽くして土に還してしまっていた。踏めば脆く
**************** 「ユーノ様が戻られるぞ!」「ユーノ様が御帰還される!」 ばたばたと慌ただしく女官達が走る。風呂の用意。宴の用意。寝室の用意。その他、凱旋した勇者を迎える様々な用意
1890000ヒット、ありがとうございました! 『猫たちの時間+(プラス)』7.killing infomation(2)
**************** 「…ふぅ…」 溜息をついて、『作家の舞台裏』を読み進めていく。『作家は無から有を生み出すために、死に物狂いの努力をし、我が身を削り、時間を費やす。だが、表舞台ではそ
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**************** 大石と別れていささか落ち込みながら部屋に戻った京介は、データ入力に勤しんでるはずの伊吹が、何度もぼうっと手を止めるのに気付いた。 さりげなく近寄って、見つけた名前
**************** 「……ということだと考えています」 大石は細田と京介を前に澱みなく説明を終えた。「もし、データが曖昧なら改めて説明させて頂きますが」 細田がちら、ちら、と神経質な視線
**************** 伊吹と実家に戻ったのが週末。「真崎君はいるかっ」「はぁい」 週明け一番に響き渡った聞き覚えのある声に、京介はやれやれと顔を上げる。「あれ、細田課長、おはようございま
**************** 「圭吾!」 走りながら、上がりそうな息で必死に叫ぶ。周囲を見回して、胸の底でずっと忘れなかった後ろ姿を探す。「圭吾!」 美並の声が響くのに、会社のホールを通る人々が
**************** 「ふぅん」 真崎が目を細めて振り向く。「そうなんだ?」「あの、ずっと前のことです、それに」「今でも好きなんだ」「はい…?」 もう一度繰り返されて、ようやく一連の会話
**************** 「あの、今なんて?」「……聞こえなかったならいいよ」 真崎はむつっとした顔で呟き、また窓の外をじっと見ている。「どうせ、僕とは違うタイプだし」「……はい……??」 またわ
**************** 「何…っ」 いつの間に戻ってきたのか、声に真崎が身を引いた。「す、すみません」「課長、おかしなことしないでくださいよ」 石塚が睨む。「おかしなことなんかしていないよ、
**************** 新年一週間たって、ようやく美並の気持ちが決まった。 大石となら頑張っていけるかもしれない、温かな笑顔を思い出しながら、そう思った。 年末から連絡はずっとなかったけれ
**************** それが、週末、のこと。「手、動いてないわよ」「あ、はい」 石塚に指摘されて、美並は慌てて資料を捲った。 真崎に耳元で囁かれてぼうっとしていたのかと思われるのは恥ずか
**************** 「やあ、おはよう」「……お、はようございます」 翌朝、大あくびをしていたところをまともに大輔に見られて、美並は引きつった。 夕べの衝撃的な真崎の告白がまだ頭に残っている
**************** 旅先で、夜中に入ってきた真崎はまっすぐ美並の枕元にやってきた。「……伊吹さん」 何かをしかけてくるようなら、力の限り抵抗してやる。 布団の中でこぶしを握り締めていた
**************** 夜中にまた夢を見た。 押し倒されて首を押さえられる。息ができなくてもがいたとたん、目が覚めた。「は…っ…はっ」 喘ぎながら汗に塗れて目を開けると、見上げたすぐ目の前
**************** 意外な応えが返って目を見開くと、生真面目な顔で尋ねられた。「イブキは誰の猫なんですか?」 いぶき、は誰のものなんですか。 一瞬そう聞こえて、ことばにならなかった。
**************** 近付いてくる唇を拒めなかった。 伸び上がって吸いついてくるべったり濡れたそれは強い化粧品の匂いがして、押し倒されてのしかかられて、ぼんやり見上げていたら繰り返し吸
**************** 一瞬伊吹が来てくれたのかな、と無邪気に思って苦笑する。「京ちゃん?」 ああ、あんたか。 なるほど、そういや来てくれとか言ってたよね、すっかり忘れてたよ。 一人ごち
**************** 苦しくて、眠れない。 京介は唇をきつく噛み締めて目を閉じる。 布団に必死に潜り込んで、大丈夫だ、大輔はいない、と言い聞かせるのに、身体が納得してくれない。 ずっと
**************** 何だろう。 何だろう。 更けていく夜に美並はずっと考えている。 何かどこかが妙な感じだ。 真崎の話で行くと、真崎と前後してここから離れた孝はかなり荒れた生活をしてい
**************** 「う~」 頭、痛ー。 眉をしかめる美並の手を引いて、ゆっくり山道を降りながら、真崎は不安そうな顔で覗き込んでくる。「見えるって大変なんだね」 あんなになっちゃうなん
**************** 抱きたいな。 もう、ほんとに駄目だ、伊吹が抱きたい。 けれど。「う~……頭……いたー」 足下をふらつかせながら歩いている伊吹の手を引きながら京介は振り向く。 伊吹の顔
**************** もがいたり逃げたりするかと思っていた伊吹は、抱き竦めても動かなかった。 動けない、ということではない。余分なところに力が入っていない。自分の意志で動こうとしていな
**************** 何を考えているのか。「私が聞きたいところだ」 冷ややかに嗤いながら、リヒャルティを置き去りに、セシ公は自室から持ち出した紫の布包みを手に、パディスへ馬を走らせ