悪魔の寵児は悪魔の手毬唄が終わるころから雑誌連載が始まって、そのエログロなところが論議を起こしたといいます。確かに殺された女は裸体で組み合わされた男(やはり死体、あるいは蝋人形)との行為中、あるいはエロ写真撮影中という状態であるので、そういう所はあるかもしれませんが、大団円で金田一が話す推理の中身は、短編では味わえない本格的な内容であると感じ、面白かったです。横溝の作品の常として、犯人は最後に青酸カリを飲んだりして自殺する事が多いのですが、やっぱりとっつかまって留置場に入れられるところを描いてほしかったなあと思います。犯人にも犯罪を犯す一抹の理があるということなのでしょうか。「悪魔の寵児」横溝正史角川e文庫【4月30日】