樋口一葉は家長として樋口家を支えるために、困窮の中から文學で食べようと志しました。そういう理由で始めた文學ですから、当初はいいものが無かったのですが、多くの人と交わるうちに文學の才能を開花させます。大つごもりで大きく認められて、明治28年を中心とする1年は奇跡の1年と言われ、たけくらべ・にごりえなどの代表作を怒涛のように生み出し、そして逝きました。25歳です。露伴や西鶴に影響を受けて、擬古文という文体で書かれているので、なかなかとっつきにくいのですが、まあ慣れるとそれなりに一葉の世界に入れます。全部で8編収納されていますが、どれもそれなりにおもしろく、十三夜、たけくらべが特に印象深い作品でした。「にごりえ・たけくらべ」樋口一葉新潮文庫【4月25日】