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平野 浩
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2005/10/19

  • ●「失敗は絶対に許されないラピダス」(第5943号)

    ラピダス(Rapidus) とは、ラテン語で「速い」を意味するそ うです。ところで、ラピダスは果たして成功するのでしょうか。 そういう不安が生ずるのは、これが経済産業省が中心となる国策 プロジェクトだからです。日本は、過去の例を見ても、こういう 国策プロジェクトの運営が上手ではないからです。 西村康稔経済産業相は、記者会見において、次のように抱負を 語っています。 ─────────────────…

  • ●「GAA構造チップとはどういうものか」(第5942号)

    ラピダスが米IBMから提供を受けるのは「GAA構造」の技 術です。2ナノ世代プロセスの製造に必要な半導体の技術です。 日本の半導体メーカーが量産化できるレベルは40ナノ〜60ナ ノ程度でしかないのです。IBMでも2ナノ世代プロセスの製造 の技術は持っているものの、量産化技術は持っていないのです。 トップランナーは、台湾のTSMCと韓国のサムスン電子です が、この2社も2ナノ世代プロセスのチッ…

  • ●「ラピダスとGFのIBM提訴問題」(第5940号)

    4月25日の朝日新聞にラピダスに関する次の記事が掲載され ています。ラビダスに関する情報が増えてきています。 ───────────────────────────── ◎ラピダス追加補助2600億円 政府方針/次世代半導体新工場に 大手企業8社が、次世代半導体の国産化をめざす共同出資会社 「Rapidus(ラピダス)」 が北海道に建設する新工場に対し、政 府は新たに2600億円を補助する方針を固…

  • ●「なぜ、GFはIBMを提訴したのか」(第5940号)

    IBMがGF(グルーバルファンドリーズ)に訴訟を起こされ ている件ですが、このGFという半導体製造企業について知る人 は少ないようです。なぜなら、「GF」をキーワードとして検索 しても出てこないからです。 GFは、インテルと並んでウィンテル陣営を支え、このところ 「ライゼン」という名前のCPUが人気のAMD(アドバンスト ・マイクロ・デバイセズ)から、2009年3月、分離・独立し たファウン…

  • ●「GFがIBM提訴/ラピダスに影響か」(第5938号)

    EJを半月ぶりに復刊します。体力はまだ万全ではないものの EJを復刊できるレベルに達したと考えています。3日間の新入 社員研修も無事に終了できています。 今回のテーマにおいて、EJは、3月31日付の5937号ま でお送りしています。半導体製造装置の規制のことを書いていま したが、最新のニュースから入ることにします。いずれにしても 半導体に関する話です。 4月19日のことです。米半導体受託製造…

  • ●「半導体の製造装置中国への輸出規制」(第5938号)

    4月1日(土)の日本経済新聞の1面と3面に半導体関連の重 要記事が掲載されています。 ───────────────────────────── ◎半導体「ブロック化」鮮明 日本が先端半導体の製造装置の輸出規制に踏み出す。中国への 対抗姿勢を強める米国の要請で足並みをそろえる。オランダも同 調する。経済のブロック化が鮮明になり、企業は戦略の見直しを 迫られる。分断のコストが成長の重荷になる懸…

  • ●「日の丸半導体はなぜ敗れたか」(第5937号)

    今回のテーマ「メタバースと日本経済」で、3月7日から半導 体のことを書いています。メタバースが成功するかどうかも、日 本経済が立ち直れるかどうかについても、半導体と無関係ではな いからです。本日で18回目です。 「チップ4」という米国主導の枠組みをご存知ですか。 これは、特定国家──中国のことですが、半導体から中国を排 除しようという意図を持つ考え方です。もっとわかりやすくいう と、米国主…

  • ●「ARMプロセッサHPC分野進出」(第5936号)

    ARMプロセッサが、スマホやIоTデバイス、ラズベリー・ パイや組み込み機器などの比較的小型電子機器などに幅広く使わ れているだけでなく、いわゆる「ウインテル」がこれまで支配し ていたPCの分野や、スーパーコンピュータなどへも進出してい ることは、ここまでの記述でわかると思います。 なぜ、そこまで普及したのかというと、ARMのプロセッサは その性能に対して消費電力少ないことと、発熱が少ないこ…

  • ●「ARM・PC/使い勝手が変化する」(第5935号)

    SoC(System on Chip)といえば、スマホ用CPUのことで したが、今や「PC用のSoC」というものが続々と登場してい ます。そこで、米クァルコム(Qualcomm)のSoC「スナップド ラゴン/Snapdragon」を使ったノートPCをもう1台ご紹介する ことにします。クァルコムは、カリフォルニア州に本社を置く米 国のモバイル通信技術関連の大手企業です。 現在のノートPCに求められる機能としては、次の4つが上…

  • 「PCプロセッサのARM化が進行中」( 第5934号)

    WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が3大 会ぶりに優勝!!これは快挙です。専門家の試算によると、その 経済効果は、およそ600億円に上るといわれます。これまで低 迷を続けてきている日本経済の浮上に一役買うことは確かである といえます。 ここまで、国産半導体メーカーの新会社「ラピダス」の誕生に とってその投資陣にARMを傘下に擁するSBGが加わっている ことの意義について、AR…

  • ●「SBGのARM売却が不成立の理由」(第5933号)

    ARMに対するソフトバンクグループの孫会長の対応を再現し ます。�@と�Aについては、既に述べていますので、今日は、�Bに ついて述べることにします。 ───────────────────────────── �@ソフトバンクの孫会長はなぜARMを買収したのか �AARMはなぜソフトバンクの買収を受け入れたのか → �BARMをなぜエヌビディアに売却しようとしたのか ────────────…

  • ●「ARM買収などをめぐる3つの謎」(第5932号)

    ARMに対して、ソフトバンクグループの孫会長の対応には、 3つの謎があります。 ───────────────────────────── �@ソフトバンクの孫会長はなぜARMを買収したのか �AARMはなぜソフトバンクの買収を受け入れたのか �BARMをなぜエヌビディアに売却しようとしたのか ───────────────────────────── まず、�@について考察します。 …

  • ●「ARMのビジネスモデルとは何か」(第5931号)

    半導体業界において、プロセッサやSoC分野は、次の2つに 分けられます。なお、ここでいうプロセッサとは、CPUのこと であると考えていただいた結構です。 ───────────────────────────── ファブレス ・・ 工場(ファブ)を持たない設計専門の 半導体メーカー ファウンドリ ・・ 半導体デバイスを製造する工場を持つ 半導体…

  • ●「ジョブズがアップルでやったこと」(第5930号)

    スティーブ・ジョブズ氏が、アップル社のCEOになったのは 2000年のことです。スティーブ・ジョブズ氏は、ヘッドハン ティングし、自ら創業したアップル社のCEOに就任させたジョ ン・スカリー氏らによって、アップル社を追い出されています。 まるでドラマそのものです。 アップル社を去ったジョブズ氏は、新しいコンピュータ「NE XT」とOSを開発し、1996年に業績不振に陥っていたアッ プル社にN…

  • ●「冨岳もARMアーキテクチャである」(第5929号)

    「インテルか、ARMか」の話をしていますが、人によっては そんなテクニカルなことはどうでもいいじゃないかと思う人もい るかもしれません。そもそも日本の半導体会社「ラピダス」の投 資陣のなかに、ARMを傘下に収めているソフトバンググループ がいることが日本にとって有利に働くのではないかということか ら、ARMを取り上げてここまで書いてきています。 そのARMがスマホだけでなく、PCやサーバーに…

  • ●「アップルがインテルから別れる理由」(第5928号)

    2020年6月22日のことです。当日に開催された開発者向 けのオンラインイベントWWDC(ワールド・ワイド・デベロッ プメント・カンファレンス)の基調講演で、アップルのティム・ クックCEOは次の宣言をしています。 ───────────────────────────── Macの心臓部を、2年かけて、インテル製プロセッサから、 自社設計のSoC「アップル・シリコン」に切り替える。 …

  • ●「ジョブズ/アップルから追放される」(第5927号)

    アップルとARMの関係が、ARMの創業時(1990年)以 前からのものであったことは、ここまでの記述でわかっていただ けると思います。アップルとしては、開発中のPDA「ニュート ン」のことがあるので、低電力でパワフルなプロセッサがどうし ても欲しかったのです。 ところで、アップルにおいて、「ニュートン」の開発を推進し ようとしたのは、アップル創業者のスティーブ・ジョブス氏では なく、ジョン・…

  • ●「CISCとRISCの違いを知る」(第5926号)

    デジタル携帯電話(第2世代携帯電話/2G)が登場したのは 1993年3月のことです。携帯電話といっても、「携帯・自動 車電話」の時代ですが、NTTドコモが、PDCデジタル方式の 携帯・自動車電話サービスを開始し、世界初のデジタル携帯電話 を利用したデータ通信サービスを開始しています。そのときの通 信速度は次の通りです。「bps」 というのは、ビット・パー・セ コンドのことで「1秒間に2400ビット…

  • ●「ARMは軽薄短小型のビジネス」(第5925号)

    話を整理します。EJは、今回のテーマで、日本経済の復活の カギを探っています。既に述べているように、2023年は日本 にとって経済復活の年になる可能性があります。好循環が働くと 日本は経済成長率でG7のトップになるといわれています。 現在、欧米はかなり激しいインフレに襲われ、なかなか脱出で きないでいます。米FRBのパウエル議長は、縮小させるとみら れていた利上げ幅を再加速させることを示唆し…

  • ●「スマホのCPUはどうなっているか」(第5923号)

    ARMの話の続きです。半導体の話なので、少し技術的な話に なりますが、やさしく説明します。 「あなたの使っているPCのCPUは何ですか」と普通の人に 聞くと、少し以前では、ほとんどの人が「インテル」と答えたも のです。「インテル・イン・サイド/インテル入ってる」という CMが大流行していたこともあり、インテルという企業名を知っ ている人が多かったからです。 ところが最近同じ質問をすると、「…

  • ●「7割のデバイスにARMは入っている」(第5923号)

    結局、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発 に取り組んだ新型ロケット「H3」の打ち上げは失敗に終わって います。2023年3月7日のことです。 その発射から機体爆破指令を出すまでの様子について、「日経 ビジネス」誌は、次のように書いています。 ───────────────────────────── 7日午前10時37分。種子島宇宙センター(鹿児島県)から の発射後、飛行は…

  • ●「ARMという企業の価値は何か」(第5922号)

    経済産業省主導の半導体製造企業「ラピダス」について、早く もメディアでは「失敗するに決まっている」という手厳しい声が 上がっています。三菱重工による国産ジェット旅客機進出失敗・ 撤退の直後のことでもあり、そういう声が上がってもおかしくな いといえます。日本は、初期のコンピュータ開発のケースでも見 られるように、こういう国策プロジェクトを成功させるのがあま り上手ではないからです。 しかも「ビ…

  • ●「半導体について少し詳しくなろう」(第5921号)

    半導体のことを少し詳しく知る必要があります。半導体とは、 そもそも物質としては鉱石なのです。地球上には天然で存在する ものだけでも90種類ほどの元素があります。しかしそのうち半 導体として使える素材はごくわずかです。 半導体とは、本来は、金属などの電気を通す「導体」とガラス などの電気を通さない「絶縁体」の中間の性質をもった物質の名 前ですが、半導体を使ったトランジスタやダイオードなどの単体…

  • ●「ビヨンド2ナノ/達成は可能か」(第5920号)

    2021年のことです。この頃からコロナ禍が拡大・深刻化し 自動車メーカーの生産ラインが、半導体不足のため、一時的にス トップしたりする事態が起きるようになり、それが日本経済にも 深刻なダメージを与えつつあったのです。 2021年5月、自民党は「半導体戦略推進議員連盟」を立ち 上げています。鉄鋼、電力、輸送などインフラ関連でも半導体の 需要はうなぎ上りに増えており、世界の先端技術に追いつくため…

  • ●「第3極の位置づけを変えた米国」(第5919号)

    なぜ、突然コンピュータの話になったのかというと、日本初の コンピュータが、国家プロジェクトである「TAC」ではなく、 富士写真フィルムという一企業の一部門に所属するたった1人の エンジニアが、わずかな予算で組み立てた「FUJIC」であっ たという事実を知っていただきたかったからです。なぜなら、そ の事実を知っている日本人が非常に少ないからです。 FUJICの完成時期は1956年です。世界初の…

  • ●「FUJICはどういうマシンか」( 第5918号)

    国家プロジェクトの「TAC」と富士写真フィルムの「FUJ IC」──次の完成時期を見る限り、日本初のコンピュータの栄 誉に輝くのは「FUJIC」です。ここで完成時期とは、マシン が正常に作動した時期のことです。 ───────────────────────────── ◎FUJIC 着手時期 ・・ 1949年 完成時期 ・・ 1956年 …

  • ●「日本初のコンピュータ/FUJIC」(第5917号)

    巨額な予算を獲得し、華々しくスタートを切った国家プロジェ クト「TAC」はなかなか動き出さなかったのです。これとは別 に、たった一人で自らの仕事を能率的に進めるために、コンピュ ータの開発に取り組んだ人物がいます。岡崎文次氏(1914〜 1998)です。 岡崎氏は、1949年当時、富士写真フィルム小田原工場に勤 務し、レンズ設計課長を務めていたのです。1948年のことで す。岡崎氏は『科学朝…

  • ●「一向に動かないTACコンピュータ」(第5916号)

    世界最初のコンピュータである米国のENIACは、内部構造 に10進数を使うなど、コンピュータとしては問題のあるマシン ではありましたが、その開発の様子を伝える米国「ニューズウィ ーク」/1946年2月号の記事を見て、世界中でコンピュータ 開発競争が巻き起こったのです。 日本においてもそれは同様で、数学者で、大阪帝大工学部精密 工学科教授だった城憲三(以下、敬称略)は、「ニューズウィー ク」の…

  • ●「世界初のコンピュータENIAC」(第5915号)

    「生成AI」というものが話題になっています。生成AIとは 画像、文章、音声、プログラムコード、構造化データなどさまざ まなコンテンツを生成することのできる人工知能のことです。大 量のデータを学習した学習モデルが人間が作成するような絵や文 章を生成することができます。 生成AIの中心にいるのは、「オープンAI」という2015 年に設立された米国の非営利団体であり、現在、そこを中心とす る多くの…

  • ●「ゼロ戦/YS11の設計者は誰か」(第5914号)

    WBCのキャンプをテレビで見ているが、雰囲気はとても良い ように感じます。とくにメジャー選手で唯一キャンプに参加して いる、ダルビッシュ選手が、投手たちにカーブやフォーク、ツー シームやスライダーの投げ方をていねいに教えている姿が印象に 残っています。ITなどの真の技術の指導は、このようにOJT であるべきと思います。 2月7日、MRJから撤退を決めた社三菱重工業の泉沢清次社 長は次のように…

  • ●「スコープクローズというネックがある」(第5913号)

    三菱重工業の国産ジェット旅客機撤退の話の続きです。なぜ、 この事業についてEJが追及するかというと、ほとんど国家プロ ジェクトに近いこの事業の失敗をこのままにしておくと、日本は 今後ジェット航空機というものを製作できなくなるし、「技術の 日本」の誇りに大きな傷がつくからです。 この事業は、2008年に「三菱リージョナルジェット(MR J)」としてスタートしましたが、2019年になって、名称を…

  • ●「国産ジェット機はなぜ失敗したか」(第5912号)

    2月7日のことです。三菱重工が国産ジェット旅客機の事業か ら撤退を表明しています。6日の日本経済新聞は、この件につい て、次のように報道しています。 ───────────────────────────── 三菱重工業が国産ジェット旅客機の事業から撤退する方針を固 めたことが6日、分かった。2020年秋に「三菱スペースジェ ット(MSJ)」の開発を事実上凍結していたが、今後の事業成 長を見…

  • ●「日本のGDPがドイツに抜かれる!」(第5911号)

    今回のテーマは、依然としてデフレから完全に脱却できていな い日本が、持ち前の技術力を発揮し、現在世界で急速に進行しつ つあるデジタル化の変化に便乗し、メタバースなどを積極的に活 用しながら、経済の復活が図れないか検討するのが目的です。 しかし、三菱重工の国産ジェット旅客機からの撤退など、日本 の持ち前の技術力が揺らいでいることや、足元の急激な円安・ド ル高によって日本の国力が弱体化しつつある…

  • ●「H3ロケットが打ち上げ『中止』」(第5910号)

    2月17日、日本にとって心配な出来事が起きています。日本 の「H3ロケット」が打ち上げ中止になったことです。これにつ いて、18日の日本経済新聞は次のように報道しています。 ───────────────────────────── ◎H3打ち上げ「中止」/JAXA補助ロケット着火せず 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、17日、大型ロケット 「H3」初号機の打ち上げを発射直前に中止した。本…

  • ●「23年の日本の経済見通しは順調」(第5909号)

    2月14日のことです。2022年10〜12月期のGDPの 速報値が、内閣府から発表されました。14日の日本経済新聞夕 刊は、これについて次のように報道しています。 ───────────────────────────── ◎日本のGDP年率0・6%増 /10〜12/2四半期ぶりプラス 内閣府が14日発表した2022年10〜12月期の国内総生 産(GDP)速報値は、物価変動…

  • ●「メーカーの国内回帰の動きが顕著」(第5908号)

    2022年2月24日──ロシアがウクライナに対する軍事侵 攻に踏み切った日です。それから約1年が経過しようとしていま す。ロシアが特別軍事作戦と呼称する”戦争”は、まだ終結する どころか、ますます激しくなっています。 この1年で日本には大きな変化が起きつつあります。これにつ いては、添付ファイルを参照してください。このグラフは次の2 つのことを示しています。 ────────────────…

  • ●「最も期待できない閣僚とはだれか」(第5907号)

    繰り返しになりますが、現在、日本経済は30年ぶりに良いポ ジションにつけています。しかし、電気代を筆頭に諸物価が高騰 し、国民の生活は苦しくなっています。高インフレに襲われてい る米国はFRBによる利上げが続いていて、日米の金利差の拡大 によって円安が定着しています。「インフレ(物価高)と安い日 本」──多くの日本国民はこれをマイナスとしてとらえていて、 政府にさらなる支援を求めています。 …

  • ●「植田新総裁への内外専門家の評価」(第5906号)

    政府が植田日銀新総裁を決めたことに対しての国内だけでなく 世界の反響について、もう少し探ることにします。このEJは、 12日(日)に書いていますが、11日は土曜日と建国記念日が 重なっているので祝日であり、夕刊は休刊です。おまけに13日 の月曜日は新聞休刊日ですべての新聞が休刊です。肝心な時に新 聞はきちんと報道できないのです。全新聞が休む新聞休刊日は廃 止すべきです。 実は、経済専門紙の日…

  • ●「黒田金融政策は当分の間継続する」(第5905号)

    今朝のEJの一番のニュースは、何といっても日銀総裁人事で しょう。当面の日本経済浮上のカギは、黒田総裁後任の新日銀総 裁が握っているといっても過言ではないからです。 2月11日付、日本経済新聞は、次期日銀総裁と副総裁の人事 について次のように報道しています。 ───────────────────────────── 政府は日銀の黒田東彦総裁(78)の後任に経済学者で元日銀 審議委員の植田…

  • ●「『令和のトラトラトラ』が勃発」(第5904号)

    昨日のEJでご紹介したように、2023年は日本経済にとっ て、30年ぶりに巡ってきた経済成長のチャンスのようです。2 月7日の日本経済新聞の報道によると、政府が次期日銀総裁の後 任として、雨宮正佳副総裁に就任を打診したことがわかると、円 相場は3円以上値下がりし、「1ドル=132円」台半ばまで円 安が進み、日経平均株価は、一時300円以上値上がりしていま す。金融緩和が当分続くとの期待からです…

  • ●「日本は『眠れる森の美女』である」(第5903号)

    2022年12月の話です。慶応義塾大学名誉教授の竹中平蔵 氏の話です。彼は次のようなことを話していたそうです。 ───────────────────────────── 先日参加したロンドンの会合で、参加者から「日本はスリーピ ングビューティー(眠れる森の美女)」と言われた。企業にはテ クノロジーも、人材もお金もある。円安をきっかけに、改めて日 本に進出する機運が高まっている。 …

  • ●「失われた30年/自公政権に責任あり」(第5902号)

    今年に入ってからのEJは、日本においてプラスの面を探して 取り上げています。なぜかというと、元旦夜の「朝生」で、今年 の日本が良くなると答えた人が14%で、悪くなると答えた人が 85%もいたからです。きわめて悲観的な意見です。 そのため、日本にも世界トップのものがあるとして、対外純資 産31年連続の世界第一位をご紹介したのです。2021年度の 日本の対外純資産は411兆1841億円であり、2…

  • ●「日銀保有国債は政府債務と相殺される」(第5901号)

    知識を整理して先に進みます。政府の借金である国債の残高は 2022年末には1029兆円に上るとみられています。この額 は、国の経済規模(GDP)の2倍を超えており、主要先進国の 中で最も高い水準にあります。 しかし、この国債残高の半分の約500兆円は日銀が保有して います。これは、2012年から発足した安倍政権が、日銀と連 携して2020年9月まで推し進めてきた経済政策「アベノミク ス」の結…

  • ●「日銀当座預金に債務性はあるか否か」(第5900号)

    今回のテーマの第1回(1月4日)において、「朝まで生テレ ビ」での森永卓郎氏の発言をご紹介しています。この発言をもう 一度再現します。 ───────────────────────────── 2020年度でいうと、政府が1600兆円の負債をかかえて います。その一方で、1100兆円の資産を持っており、その7 割は金融資産なんです。つまり、日本の純債務は500兆円しか ない。GDPとほぼ同…

  • ●「統合政府で日本の財政はどうなるか」(第5899号)

    「日本銀行は政府の子会社である」という安倍元首相の発言の 2つの問題点を再現します。 ───────────────────────────── 1.日本銀行は本当に政府の子会社であるかどうか → 2.日本銀行が半分相当の国債を持つとなぜ安心か ───────────────────────────── 続いて「2」について考えます。 「統合政府」という考え方があります。政府と中央…

  • ●「安倍元首相の『日銀子会社発言』」(第5898号)

    2022年5月9日のことです。故安倍晋三元首相が大分市の 会合で、次の発言をして、大騒ぎになったのを覚えているでしょ うか。奇しくもその2か月後に、安倍首相は銃撃され、亡くなっ ています。そのときの発言は次の通りです。 ───────────────────────────── 政府の1000兆円の借金(国債)の半分は日銀に国債を買っ てもらっている。しかし、日銀は政府の子会社なので、60年…

  • ●「『60年償還ルール』高橋氏の意見」(第5897号)

    1月25日のニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」 に 高橋洋一氏が出演して、「60年償還ルール」について、次のや りとりがあったのです。 ───────────────────────────── 高橋:いま話題になっている「60年償還ルール」というのがあ りますよね。 飯田:国債の・・ 高橋:あれを一時的に撤廃する。2023年度予算では16・4 兆円の債務償還費があるけれど、実はこれ…

  • ●「60年償還ルール見直し実現するか」(第5896号)

    1月25日の衆議院代表質問で、立憲民主党の泉健太代表と岸 田首相の間で、防衛費増額の財源と防衛力強化に関して、次のや りとりがありました。 ───────────────────────────── 泉 健太代表:額ありき、増税ありきだ。決算剰余金の防衛費へ の転用は問題。特定財源化すれば、あらかじめ予算を膨らませ て余らせることで(さらに)転用可能だ。 岸田文雄首相:行財政改革の努力を最…

  • ●「朝日政治部記者の書いた衝撃記事」(第5895号)

    「国債60年償還ルール」の話を続けます。岸田政権は、その スタッフのほとんどが財務省官僚出身であり、岸田首相は彼らの 提言に乗って政権運営を行っています。岸田首相は、あの「日本 は財政破綻に向かっている」という論文を『文芸春秋』誌にわざ わざ掲載した事務次官をそのまま現職に置いており、財務省的イ デオロギーに染まっているといえます。 防衛費増額に増税を持ち出したことで、「国債60年償還ルー …

  • ●「国債60年償還ルールを廃止せよ」(第5894号)

    1月23日から通常国会がはじまっています。閣議決定された にもかかわらず、防衛増税実施への反対意見は、与党の自民党の なかでも根強くあります。防衛費増額の財源確保について、政府 は十分な努力をしていないという不満が渦巻いているからです。 そのための特命委員会も結成され、1月19日に初会合を開いて います。 この特命委員会で、国債の「60年償還ルール」を見直すこと が議論されています。ところで…

  • ●「誇るべきでない最大の対外純資産国」(第5893号)

    対外純資産は、毎年5月頃に発表されますが、2021年の対 外純資産のベスト4は次の通りとなっています。対外純資産とは 企業や政府などが海外に持つ外貨建て資産の評価額のことで、日 本は、31年連続世界第1位です。 ───────────────────────────── ◎対外純資産ベスト4 第1位/日 本 ・・ 411兆1841億円 第2位/ドイツ ・・ 315兆720…

  • ●「日本経済に構造変化が起きている」(第5892号)

    「有事の円買い」という言葉があります。2008年に起きた リーマンショックや、2011年の東日本大震災後では、円が安 全資産として、世界中の投資家から買われ、円高になったもので す。とくに、2011年10月21日には、「1ドル=75円」 まで円高が進んだのです。 しかし、日本は国民の誰もが知るいわゆる「借金大国」であっ て、普通国債の残高は2022年度末には1029兆円に達して います。そん…

  • ●「日本経済のポジションとはどこか」(第5891号)

    2022年10月21日、それは起きたのです。その日の外国 為替市場は「1ドル=151円」を付けたのです。これは、32 年ぶりの円安であり、日本経済にとって衝撃的な出来事だったと いえます。問題は、この円安をどう見るかです。 さまざまな意見がありますが、日本の通貨である円の推移を鋭 い視線で分析している、みずほ銀行、唐鎌大輔チーフマーケット ・エコノミストは次のように述べています。 ─────…

  • ●「政府のエネルギー対策で大丈夫か」(第5890号)

    EJは、1月12日と13日、16日から20日までの7日間 休刊とさせていただきました。24年間継続してきた営業日連載 記録が途切れてしまいましたが、今日からEJを再開します。こ れからもEJをよろしくお願いします。 2023年1月21日付の日本経済新聞によると、2022年 12月の消費者物価指数(CPI)は、4・0%に上昇したとい うことです。これは、変動幅の大きい生鮮食品を除く前年同月比 …

  • ●「日本にも誇るべき『世界一』がある」(第5889号)

    年末から年始にかけて、メディアが取り上げたのは、「安い日 本」「堕ちる!ニッポン」「買い負けする日本」など、どちらか というと、日本にとって暗い話題ばかりです。 国の問題点を指摘するのは悪いことではありませんが、あまり 自虐的になるのは考えものです。日本にもまだ「世界一」といわ れるものがあるからです。 しかし、それを説明するのは必ずしも簡単ではありません。な ぜなら、そのためには、現在、…

  • ●「日銀『だまし討ち』の真相を推理する」(第5888号)

    日本銀行の黒田総裁は、なぜ、長期金利の変動幅の引き上げを 行ったのでしょうか。この話には、ウラがあると思います。1月 6日の話の続きです。 黒田日銀総裁が就任以来やってきたことを振り返ってみること にします。黒田東彦氏が日銀の総裁に就任したのは、2013年 4月のことです。「脱デフレ」を政策に掲げる故安倍晋三首相に 請われての就任です。黒田総裁は、安倍首相の要請に応えて、国 債を買って金融市…

  • ●「『円安狂騒曲』はなぜ起きたのか」(第5887号)

    2022年は、2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、日本 では「円安狂騒曲」といえる状況が起きています。実はこの傾向 は、2021年秋から、いつまでも新型コロナウィルスの感染対 策にこだわる日本は金融市場から忌避されつつあると、一部の専 門家が警鐘を鳴らしていたのです。 それにしても、22年初めには、115円ほどだった対ドル円 相場が、10月には「1ドル=151円」台まで円安に振れたの です…

  • ●「GDP500兆円は結構大きな金額」(第5886号)

    元旦の「朝まで生テレビ」のなかの発言でも光る納得のできる 発言もあります。立憲民主党の政務調査会長、小川純也氏の次の 発言です。 ───────────────────────────── GDPは一定を割り込むと、国民は食っていけない。ただし、 未来永劫ずっと成長し続けることは地球環境が耐えられない。し たがって、一定の幅のなかで、均衡させる必要がある。そのため 成長経済に変わる持続可能な…

  • ●「朝生で激論/今年の日本はどうなる」(第5885号)

    このEJは、元旦特別号を除いて、2023年はじめてのEJ になります。今年もEJをよろしくお願い申し上げます。 例年の私の習慣ですが、新年は「朝まで生テレビ」は録画して 元旦の午後見ることにしています。しかし、今年の朝生は、録画 はしたものの、徹夜になってしまいましたが、最後まで全部生で 見ました。今年の朝生のテーマは次の通りです。 ─────────────────────────────…

  • 新年特集号/「新年のご挨拶/2023.1.1」

    2022年のEJは、1月5日の第5644号から12月28 日の第5885号までの241本を、営業日の毎日、一日も欠か さず、お届けしました。その間、同じコンテンツをブログにも投 稿しています。EJ第6000号は、2023年5月頃に達成す る予定です。 2022年は、次の3つのテーマを取り上げて、執筆してきて おります。 ————————————————————————————— 1.新しい…

  • ●「メタバースとWeb3との関係」(第5884号)

    今回のテーマは「Web3/メタバース」ですが、Web3と メタバースは基本的には関係がないのではないかと思います。な ぜなら、Web3にならないと、メタバースが構築できないわけ ではないからです。メタバース関連の本を何冊も読んでみました が、既に述べたように、これらのテーマに関する本には、次の2 つのタイプがあります。 ───────────────────────────── …

  • ●「メタバースの現況についてまとめる」(第5883号)

    今年のEJは、今日と明日、あと2回お届けします。ここまで 58回書いてきましたが、何を書いてきたか、簡単に振り返るこ とにし、2023年1月4日からの新テーマに繋げる予定です。 インターネットが変わろうとしています。 ───────────────────────────── Web1.0 ・・・ 見る Web2.0 ・・・ 書く Web3.…

  • ●「左脳と右脳の働きについて学習する」(第5882号)

    12月23日のEJでも述べたように、人と人のコミュニケー ションには、次の2つがあります。 ───────────────────────────── �@言 語によるコミュニケーション ・・ 左脳的 �A非言語によるコミュニケーション ・・ 右脳的 ───────────────────────────── 実際に会って対面で話す場合、上記2つのコミュニケーション がとれます。相手…

  • ●「ZOOMで伝わらない右脳的な情報」(第5881号)

    2022年は今日を含めてあと9日間です。EJの配信は28 日まで行い、新年は1月4日から配信します。年内はあと3回の 配信になりますが、今回のテーマはまだ完結していません。そこ で、テーマは変更しますが、新しいタイトルでメタバース関連の 話を続けることにします。 ZOOMなどによるオンライン会議や研修が普及拡大していま す。期せずしてコロナ禍がもたらしたIT通信技術の成果の享受 といえます。…

  • ●「メタバースとNFTチケットの関係」(第5880号)

    「SXSWインタラクティブ」における、メタのマーク・ザッ カーバークCEOのコメントの続きです。 ───────────────────────────── 司会者:メタバースはフェイスブックやインスタグラムのように 毎日使いたいと思うサービスになっていきますか。 ザッカーバーク:「私たちのアプローチは他の企業とは何が違う のか」という質問に改めてお答えしますと、違いの1つはフェ …

  • ●「ザッカーバークメタバースを語る」(第5879号)

    米国に「SXSW」という一大イベントがあります。「サウス ・バイ・サウス・ウエスト」と呼びます。これは、スタートアッ プの登竜門といえる一大イベントです。SXSWは、次の4つの 部門に分かれています。 ───────────────────────────── �@ SXSWミュージック �A SXSWフィルム �BSXSWインタラクティブ …

  • ●「メタは現在どのような状況にあるか」(第5878号)

    2022年に入ると、他の通貨に対してドルが強くなり、イン フレが加速します。米国のIT業界では、コンシューマー向けの ネットサービスの多くがその影響を受けて、深刻な不況に突入し ています。なかでも、メタの場合は、GAFAMのなかでもとく に経営に深刻な影響が出つつあります。 メタによるメタバース事業がうまくいくかどうかは、連続して そこへの投資が続けられるかどうかにかかっています。そもそも …

  • ●「会議システム/ホライゾンワールド」(第5877号)

    オキュラスVR社の創業者で、「オキュラスリフト」の開発者 のパルマー・ラッキー氏、後から同社に加わったCGの歴史に劇 的なインパクトを与えたプログラマーのジョン・カーマック氏、 それからゲーム分野で伝説的な存在として知られるマイケル・ア ブラッシュ氏──この3人を中心に、ヘッドマウントディスプレ イ(HMD)の歴史についてここまで述べてきています。 オキュラスVR社は、2014年に当時のフェ…

  • ●「マイケル・アブラッシュFB参加」(第5876号)

    2014年3月のことです。フェイスブックのマーク・ザッカ ーバークCEOが、第2世代の開発機「DK2」を出荷したばか りのオキュラスVR社を買収すると発表し、騒然となりました。 その時点でオキュラスVR社は、設立からまだ1年半しか経って おらず、消費者向けの製品も発売していないのです。そんなスタ ートアップ企業への買収価格は超破格の20億ドルです。 買収は成立し、それから約1年後の2015年…

  • ●「VR仮想空間でDOOMを楽しむ」(第5875号)

    メタバースについて書こうとすると、どうしてもコンピュータ ゲームの話が出てきます。なぜなら、メタバースの成功の条件と して、世界中のゲーマーを取り込めるかどうかが、カギを握って いるからです。そういうわけで、ジョン・カーマック氏のことを もう一度ご紹介することにします。 ジョン・カーマック氏──ゲーム業界の伝説的な優れたプログ ラマーであり、ゲームクリエイターであり、エンジニアです。カ ーマ…

  • ●「メタの現況をどのように考えるか」(第5873号)

    フェイスブックが社名を「メタ」に改称したは2021年10 月のことです。その後、メタにとっては厳しい事態が続いている ようです。何といってもメタは、メタバースに最も多くの投資を している企業です。そういう意味において、メタバースの成否の カギを握っている企業であり、何が起きているのか、調べてみる ことにします。 2022年2月4日、メタの株価が暴落します。マイナス26 %を超える大暴落で、額…

  • ●「パルマー・ラッキー氏とは何者か」(第5874号)

    パルマー・ラッキー氏──1992年生まれの30歳。米カリ フォルニア州で生まれ育ち、10代の頃SFの世界に強い興味を 抱き、映画では「マトリックス」や「バーチャル・ウォーズ」、 日本のアニメでは、「ドット・ハック」や「攻殻機動隊」など、 バーチャルな世界をテーマにした映像作品を暇さえあればいつも 視聴している少年だったそうです。そして、彼は何とかその映像 の世界に入りたいという願望を抱くように…

  • ●「メタの現況をどのように考えるか」(第5873号)

    フェイスブックが社名を「メタ」に改称したは2021年10 月のことです。その後、メタにとっては厳しい事態が続いている ようです。何といってもメタは、メタバースに最も多くの投資を している企業です。そういう意味において、メタバースの成否の カギを握っている企業であり、何が起きているのか、調べてみる ことにします。 2022年2月4日、メタの株価が暴落します。マイナス26 %を超える大暴落で、額…

  • ●「『FTC』マイクロソフトを提訴」(第5872号)

    12月10日付の日本経済新聞に、今回のテーマに関係する次 の記事が掲載されています。 ───────────────────────────── ◎ゲームも米テック独占警戒/マイクロソフトをFTC提訴 成長市場/囲い込み阻止 ゲーム業界で最大のM&A(合併・買収)に、「待った」がか かった。米連邦取引委員会(FTC)が8日、米マイクロソフト による米ソフト大手アクティビジョン・ブリザードの…

  • ●「セカンドライフはなぜ失速したか」(第5871号)

    第1次VRブームの2000年代に「セカンドライフ」が登場 します。その開発元はリンデンラボ社、運営を開始したのは20 03年6月。2007年には一種のブームになり、NHKの「ク ローズアップ現代」に取り上げられ、当時のキャスター、国谷裕 子氏のアバターが紹介されるなど、話題を集めたものです。 実は、EJでも「セカンドライフ」は、次のようにテーマとし て取り上げています。 ──────────…

  • ●「第1次VRブーム技術不足で失速」(第5870号)

    1990年代に第1次VRブームが起きていますが、このとき は、技術のかべを乗り越えることができず、ブームは終息してし まっています。技術のかべとは次の3つです。 ───────────────────────────── �@ディスプレイ �Aレンダリング �Bトラッキング ───────────────────────────── …

  • ●「すべてのVRはサザランドに通ず」(第5869号)

    1968年のことです。1968年というと、VRの発展フェ ーズでいうと、黎明期の終わり頃になります。当時ハーバード大 学の准教授であったアイバン・サザランド氏は、学生との共同研 究で、現在のヘッドマウントディスプレイ(HMD)に最も似て いるディスプレイを発明しています。このディスプレイは「ダモ クレスの剣」と呼ばれ、現在のHMDの原型になっています。 その「ダモクレスの剣」の貴重な映像があ…

  • ●「サザランドの究極のディスプレイ」(第5868号)

    VR(Virtual Reality) の発展フェーズは、次の3つに分け られます。 ───────────────────────────── 黎明期 ・・・ 1960年代 第1次ブーム ・・・ 1990年代 第2次ブーム ・・・ 2010年代 ───────────────────────────── 1960年代の「黎明期」に何が起きたのでしょうか。 この年…

  • ●「『仮想現実』は完全な誤訳である」(第5867号)

    ここからが、今回のテーマの本番です。「メタ・バース」とは 何でしょうか。 「メタ」とは「超越」であり、「バース」は「宇宙/ユニバー ス」の意味があります。したがって、メタバースは「超越した宇 宙」ということになります。それでは、この「超越した宇宙」と は具体的に何でしょうか。今日からEJは、それを明らかにして いきます。 まず、「VR」から考える必要があります。VRとは、次の言 葉の省略形…

  • ●「メタバースすぐそこまできている」(第5866号)

    世の中は既にWeb3の世界に入っています。その兆候はあち こちにあらわれています。 11月28日のことです。株式会社ローソンから次のニュース リリースが出されました。 ───────────────────────────── 株式会社ローソン(本社:東京都品川区、代表取締役社長:竹 増貞信、以下「ローソン」)は11月28日(月)に、食品ロス 削減やプラスチック削減などの環境負荷軽減や、ア…

  • ●「ゲームからメタバース世界に入る」(第5865号)

    昨日のEJにおけるアップルのクックCEOの次の発言を再現 します。気になる言葉だからです。 ───────────────────────────── われわれは個人情報を取り引きするようなことはしない。われ われにとってプライバシーは人権。市民の自由である。 ──ティム・クック ───────────────────────────── 1月28日…

  • ●「アップルとFBに根深い確執あり」(第5864号)

    「メタバース」──今やITのことに関心のない人でも、この 言葉を知らない人がないほど、その認知度は上がっています。こ のような現象のことを「バズる」と呼んでいますが、これは英語 の「Buzz」からきており、動詞で「がやがや言う・噂になる」と いう意味になります。 その原因をつくったのは、間違いなくマーク・ザッカーバーク 氏──現「メタ」(旧フェイスブック)のCEOです。社名変更 は、2021年1…

  • ●「メタバース/遅れてはならぬ日本」(第5863号)

    2022年11月27日付、日本経済新聞にメタバース関連の 特許数の国際比較が報道されています。記事の一部とランキング を以下に示します。 ───────────────────────────── ◎メタバース韓中勢台頭 メタバース(仮想空間)端末の開発で韓国と中国の企業が存在 感を高めている。関連特許の件数を調べるとLG電子など韓国勢 が首位と2位になり中国勢も4位につけた。同端末は、スマ…

  • ●「なぜGAFAMについて知るのか」(第5862号)

    「Web3/メタバース」のタイトルを掲げて、10月3日か ら書いてきましたが、前回までで37回になります。しかし、こ こまで書いたことは、GAFAMの話が中心であり、テーマに関 することはほとんど書いていません。それは、現在のインターネ ットであるWeb2がどういうものであるかについて知る必要が あるからです。 GAFAMについての記述が多くなったのは、GAFAMが、 Web2の支配者である…

  • ●「iPadでオフィスアプリが動く」(第5861号)

    マイクロソフトのナデラCEOは、スティーブ・バルマー前C EOまでのマイクロソフトの戦略である競合相手を「敵」とみな して打ち負かし、息の根を止める戦略を転換し、逆に「ライバル に力を与える」戦略にチェンジしています。 その最大の目玉がアップルとの提携であるといえます。PCの 世界において、2021年現在、ウィンドウズは、81・8%の シェアを確保しており、iOSは7・9%となっています。か…

  • ●「ナデラCEOによるクラウド戦略」(第5860号)

    このところ、GAFAとマイクロソフトのことを取り上げてい ますが、このいわゆるGAFAMが、メタバースを推進し、拡大 し、支える企業の中核になると考えているからです。マイクロソ フトのクラウド事業についても述べる必要があります。 2022年11月22日付の日本経済新聞にクラウド関連の次 の記事が出ています。 ───────────────────────────── ◎米テック、クラウドで競…

  • ●「ライバルに力を与える戦略/MS」(第5859号)

    サティア・ナデラ氏がCEOに就任したとき、ITの世界では 次の2つのことが起きていたのです。これについては、昨日触れ ましたが、再現します。 ───────────────────────────── �@デバイスの多様化 �Aクラウド化の拡大 ───────────────────────────── 2007年6月29日、アップルはアイフォーンを発売。…

  • ●「ナデラCEOは何をどう変えたか」(第5858号)

    スティーブ・バルマー氏の後を継いでCEOになったサティア ・ナデラ氏は、インド生まれ。父親は公務員で、転勤が多かった そうです。ナデラ氏の10代の頃の目標は、名門インド工科大学 ヘの入学です。しかし、試験に失敗。父親は失望、落胆したそう です。マニパル工科大学に入学し、電気工学の学士号を取得しま す。コンピュータ関連の学科に入りたかったのですが、そういう 学科がこの大学にはなかったからです。 …

  • ●「組織が内向きになる人事評価制度」(第5857号)

    今やメディアではGAFAがいろいろなことで話題になってい ます。直接的にはアマゾンやメタの大量解雇ですが、これからも ビジネス環境が変わるなかで、GAFAは話題の中心になり続け ると思います。 GAFAに加えてM、すなわち、マイクロソフトは特殊なポジ ションに置かれています。もともとは「GAFMA」と呼ばれ、 しっかりなかに入っていたのです。それから「GAFA」になっ て完全にMが外され、さ…

  • ●「ナデラCEOはどう改革をしたか」(第5856号)

    マイクロソフトという企業は、従業員12万人をかかえる売上 高約10兆円の巨大企業です。これほどの巨大企業を変革するの は尋常なことではありませんが、サティア・ナデラCEOはそれ を見事にやり遂げたのです。ナデラCEOが何をやったかについ ては後から述べることにし、マイクロソフトの最近の業績からそ の成果の一端を示すことにします。 前のスティーブ・バルマーCEOのときは、時代の変化である スマ…

  • ●「GAFAとマイクロソフトの関係」(第5855号)

    「GAFAM」の最後のM、マイクロソフトは何となくGAF Aの仲間外れのような「プラスM」の状態です。どうして、こう なったのか、マイクロソフトの現状について考えます。 2012年6月のことです。講談社の野間省伸社長が南アフリ カのケープタウンで行われた国際出版連合(IPA)の会議に参 加したとき、「GAFMA(ガフマ)」という言葉を耳にしたと いわれます。これが出版業界に対する脅威であると…

  • ●「TSMC日本への誘致/真の理由」(第5854号)

    次世代半導体の国産化を目指す共同出資会社「ラピダス」の話 の続きです。実は、国(経済産業省)が主導する半導体のこのよ うなプロジェクトは初めてのことではないのです。1999年に NECと日立製作所が半導体メモリー事業を統合して「エルピー ダ」という企業を立ち上げています。 1999年というと富士通が、2001年には東芝が、DRA M事業から撤退しています。そのような年にエルピーダは三菱電 機…

  • ●「次世代半導体製造会社が誕生する」(第5853号)

    2022年11月11日の日本経済新聞のトップ記事は、日本 が誇るトップクラスの8社、トヨタ自動車、NTT、ソニーグル ープ、NEC、ソフトバンク、デンソー、キオクシアホールディ ングス、三菱UFJ銀行が新会社「ラピダス」を設立し、202 0年代後半に向けて、半導体製造技術の確立を目指すというもの です。当然政府も補助金を拠出し支援します。 11月11日のEJでは、2000年以前の日の丸半導体…

  • ●「日の丸半導体の大躍進の80年代」(第5852号)

    「日本はかつて製造業において、見事なまでイノベーティブで あった」──スティーヴン・ヴォ—ゲル教授の言葉です。教授は 例として、トヨタ式の自動車製造モデルを上げていましたが、そ れだけではないのです。1980年代から1990年代は、半導 体の分野においても日本の天下だったのです。 添付ファイルをご覧ください。これは1971年から1996 年までの半導体メーカーの売上高ランキング(ベスト10)…

  • スティーヴン・ヴォ—ゲル教授

  • ●「GAFAの対抗勢力は出現しない」(第5850号)

    2022年10月6日付の日本経済新聞に、GAFAに関する 次の記事が掲載されています。 ───────────────────────────── ◎クラウドにも不況の足音/アマゾン採用凍結 【シリコンバレー=佐藤浩実】高成長を続けてきたクラウドコン ピューティング基盤の市場に変調の兆しが出てきた。7〜9月期 は市場の成長率が3割を下回り、最大手の米アマゾン・ドット・ コムは採用凍結に動く。金…

  • ●「日本のベンチャー投資は少ないか」(第5849号)

    このセッションでは、なぜ、日本ではGAFAが生まれないの かについて考えています。 さくらインターネットの田中邦裕社長は、1985年の著作権 法の改正で、コンピュータのプログラムが著作権法の保護の対象 になった時点で、日立、NEC、富士通などの日本の巨大ITベ ンダーは、ソフトウェア会社に転換すべきではなかったかと問い かけています。その理由について田中社長は、次のように意見を 述べています…

  • ●「ソフトウェアが理解できぬ日本人」(第5848号)

    今でもそうですが、日本という国は「もの作り国家」としての 誇りを持っています。これは、日本の国家としての「強み」では ありますが、世界中でPCが普及しはじめた1990年代以降は それが日本にとって大きなブレーキになり、成長の足を引っ張っ ているように思えます。 1995年にウインドウズ95が発売され、多くの人がPCを 使うようになり、それに備えて、PCの操作を電話でサポートす る米国のコール…

  • ●「日本でGAFAが生まれない理由」(第5847号)

    ここで考えてみるべきことがあります。日本にはなぜ「GAF A」が生まれないのでしょうか。 このことに関連する深刻な事実があります。2018年度に中 央省庁が発注した競争契約の70%が「一者応札」であったとい う事実です。一者応札とは何でしょうか。 一者応札は、競争入札において、1者しか応札者がない入札事 例のことで、1者応募ともいいます。これは、とくに官公庁の一 般競争入札において問題視さ…

  • ●「GAFAMの直近業績に問題あり」(第5846号)

    インフレの急速な進行により、米国の景気減速が顕著です。米 国の経済をけん引してきた米IT大手、いわゆるGAFAMの成 長に黄信号が点滅しています。2022年7〜9月期の業績は、 次の通りです。 ───────────────────────────── ◎米IT大手/2022年7月〜9月期業績/1 売上高 増減率 アップル 901.46億ド…

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