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平野 浩
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2005/10/19

1件〜100件

  • ●「なぜビッグテックを敵視するのか」(第5787号)

     中国の経営者など知らないという人でも、馬雲(ジャック・マ ー)という中国の経営者はご存知だと思います。そうです。アリ ババの創業者です。ソフトバンクの孫正義氏と親しく、ソフトバ ンクの取締役を務めていたこともあります。  ジャック・マー氏といえば、印象に残っているシーンがありま す。2017年のことです。ジャック・マー氏は、ニューヨーク にあるトランプタワーを訪れ、ソフトバンクの孫正義氏に続い…

  • ●「不動産危機に加えて雇用も深刻化」(第5786号)

     8月1日付の日本経済新聞第13面に中国の不動産危機関連の 記事が出ています。 ───────────────────────────── ◎中国不動産に庶民の乱/25兆円外貨リスク再燃  中国で住宅購入者のローン支払い拒否が続出している。不動産 会社の建設資金不払いで工事が中止、物件引き渡しのめどがたた ないためだ。経営悪化に拍車がかかり、1870億ドル(約25 兆円)に及ぶ不動産会社の外貨建…

  • ●「灰色のサイが動き出している中国」(第5785号)

     「中国で『灰色のサイ』が動き出している」──最近、よくい われることばです。「灰色のサイ」とは何か。何を意味している のでしょうか。  金融市場のリスクを説明するのに動物を使って表現することが よくあります。例えば、「黒い白鳥(ブラックスワン)」という 表現があります。スワンは「白鳥」というように白色ですが、あ るとき黒い白鳥が現れ、それまでの常識が崩れるということを意 味します。2008年の…

  • ●「ソ連の国家統計処理を受継ぐ中国」(第5784号)

     2022年2月26日のことです。モスクワのゴルバチョフ財 団は、一刻も早い戦闘停止と和平交渉開始を呼びかける声明を出 しています。ロシアによるウクライナ侵攻がはじまったのは、2 月24日のことであり、きわめて早いタイミングでこの声明は出 されています。声明の全文を掲載します。 ───────────────────────────── ◎相互の尊重/双方の利益  2月24日に始まったウクライナ…

  • ●「ペロシ議長の訪台は実施されるか」(第5783号)

     ペレス米下院議長の台湾訪問について考えます。このEJが届 く8月1日早朝にはどうなっているかわかりませんが、あえて論 じてみることにします。  もともとペロシ下院議長の台湾訪問は4月に計画されていたの です。しかし、ペロシ議長がコロナに感染し、この計画は一時棚 上げになります。ところが7月になってこの話が再び話題になり ペロシ議長は8月の台湾訪問を検討しているという情報が伝わっ てきたのです。…

  • ●「住宅は人が住むためのものである」(第5782号)

     中國には、「炒房(チャオファン)」という言葉があります。 投機目的で住宅を何軒も購入して、高く売りさばくことを意味す る言葉です。「炒」は転がすという意味であり、「房」は、不動 産、住宅を意味します。しかし、「炒房」が成功するには、不動 産価格が右肩上がりで高騰していることが条件になります。  現在、日本では、住宅ローンは年収の8倍から10倍ぐらいは 借りることができます。現在日本は金利が安い…

  • ●「中国不動産市場が急成長した理由」(第5781号)

     中国の不動産最大手の恒大集団が経営破綻したのではないかと いう情報が出たのは2021年の秋頃のことです。それから約6 カ月後の2021年12月9日付の日本経済新聞は、恒大集団に ついて、次のように伝えています。 ───────────────────────────── ◎中国恒大「一部デフォルト」/フィッチが格下げ 【上海=土居倫之】格付け会社フィッチ・レーティングスは9日 巨額の債務を抱え…

  • ●「中國の経済統計のウソのカラクリ」(第5780号)

     経済の数字を国として意図的に改ざんする──これは簡単なこ とではありません。経済には常識というものがあり、そんなこと をすれば、他の経済の統計数値に矛盾が起きてしまうからです。 その誤魔化せない数値に「輸入統計」があります。  ある国にとっての輸入は、それに対する外国にとっては輸出で あり、輸出国側に記録が残ります。そのデータは、WTO(世界 貿易機関)に登録され、ネットを通して公開され、誰で…

  • ●「中国のGDP数値を信用できるか」(第5779号)

     2022年1月17日のことです。中国政府国家統計局は、次 の発表をしています。 ─────────────────────────────  2021年の国内総生産(GDP)の成長率は、8・1%で  ある。             ──中国政府国家統計局 ─────────────────────────────  8・1%──これは主要国と比べてとんでもなく高い成長率で あるといえます。それ…

  • ●「イデオロギ-化する中国コロナ対策」(第5778号)

     中国において現在も続いているゼロコロナ対策──これについ て、話を整理します。 ───────────────────────────── ◎2022年 4月29日/  共産党政治局会議  ・ゼロコロナ対策を緩和し、経済を活性化させるべきである ◎2022年 5月 5日/中央政治局常務委員会  ・ゼロコロナ政策は党の最も重要政策であり、科学的である ◎2022年 5月25日/国務院主催の全国会…

  • ●「中国で李克強首相期待論が顕在化」(第5777号)

     明らかに中国に何らかの異変が起きています。2022年5月 25日のことです。中国の中央政府である国務院は次の会議を開 催しています。 ───────────────────────────── ◎2022年5月25日開催  「経済対局を安定化させる全国テレビ・電話会議」  【新華社北京5月26日】中国国務院は25日、全国経済安定 化テレビ電話会議を開いた。李克強(り・こくきょう)中国共産 党中…

  • ●「ゼロコロナ対策権力闘争化の様相」(第5776号)

     なぜ、中国、いや、習近平国家主席は、ゼロコロナ対策にこだ わっているのでしょうか。  それには2つの理由があると思います。  1つの理由は、武漢での成功体験です。  中国は武漢で、最初のロックダウンをし、新型コロナウイルス 感染者を封じ込めるのに成功しています。10日間で架設の「火 神山医院」を完成させ、武漢市をロックダウンするなど、あっと いう間にコロナ感染者を抑え込んでいます。それがテレビ…

  • ●「中国がゼロコロナにこだわる理由」(第5775号)

     2022年3月14日のことです。中国・広東省の深せん、東 莞両市がいきなりロックダウンされたのです。読売新聞オンライ ンは、次のように報道しています。 ───────────────────────────── ◎「ゼロコロナ」の中国で感染拡大、深センが都市封鎖  【広州=吉岡みゆき、北京=川瀬大介】新型コロナウイルスの 感染が広がっている中国で、国内外の製造業が集積する広東省の 深セン、東莞…

  • ●「いま中國経済で何が起きているか」(第5774号)

     2022年7月15日付、日本経済新聞/夕刊は、次の記事を 一面トップで報道しています。 ───────────────────────────── ◎中国、0・4%成長に失速/4〜6月実質ゼロコロナ直撃  【北京=川手伊織】中国国家統計局が7月15日発表した20 22年4〜6月期の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整 した実質で前年同期比0・4%増えた。新型コロナウイルスの感 染封じ込めを…

  • ●「なぜ、防衛国債ではいけないのか」(第5773号)

     経済の問題を取り上げて、昨日まで128回書いてきて、本日 にいたっています。このテーマは今回で最終回です。なぜ、日本 経済は30年近く成長しないのか──この問題について、さまざ まな角度から検討してきたつもりです。  数学のように答えの出せる問題ではありませんが、政府の経済 財政政策の失敗というしかないと思います。疑問なのは、日本で デフレが長期間にわたって続いていることを知らない人は少ない …

  • ●「強制貯蓄が溶ければ景気回復する」(第5772号)

     参院選に大勝したにもかかわらず、岸田首相の顔は厳しいまま です。それは、安倍元首相を突然失った喪失感によるものである ことは確かですが、これからは何もかも自分で決断してやらなけ ればならない立場になったことによる不安感を伴う責任感ではな いかと考えられます。  安倍元首相の突然の逝去を受けて、岸田首相は親しい人に、次 のようにいったといわれます。 ───────────────────────…

  • ●「防衛省関連人事をめぐる岸田構想」(第5771号)

     本テーマでの連載は今回が127回であり、長くなっているの で、7月15日(金)で終了する予定です。本当は次のテーマと しては、「メタバース」を考えており、現在、本などを読んで準 備していますが、まだ情報が足りません。そこで、別のテーマを 用意することにします。19日からそのテーマを取り上げます。  現在、財務省が一番警戒しているのが、防衛予算の増大です。 「GDP対比2%」という数字が出ていま…

  • ●「大きく変化する自民党内派閥力学」(第5770号)

     2022年夏の参院選は、自民党の圧勝に終わっています。も ともと与党自民党・公明党が負ける選挙ではなかったのですが、 選挙終盤に安倍元首相が銃撃され、死亡するという大アクシデン トがあったので、「弔い合戦」のような雰囲気が出来上がり、自 民党が圧勝したともいえます。  まして今回の選挙は、ロシアによるウクライナへの侵攻が起こ り、日本の防衛に関して危機意識が高まっていたので、政権選択 選挙では…

  • ●「安倍元首相死去による2つの喪失」(第5769号)

     2022年7月8日、日本の政治史上、思いもよらぬ出来事が 起きたといえます。安倍晋三元総理が、奈良市の近鉄大和西大寺 駅前の広場で、参院選の応援演説をしているとき、背後から近づ いてきた男に銃で撃たれ、ドクターヘリで運ばれた橿原市の県立 医科大学付属病院において、懸命な救命措置が行われたものの、 亡くなったことです。  首相経験者が銃撃されて亡くなるケースは、戦後には例がなく 選挙演説中に銃撃…

  • ●「バイデンは中間選挙で勝てるのか」(第5768号)

     ロシアへの日米欧の経済制裁は、少しずつ効いてはきているも のの、ロシアに大きなダメージを与えるにいたっていません。ま た、ウクライナへの欧米の武器の支援もスムーズではなく、数が 決定的に不足しており、そうしている間に、ロシア軍は東部のル ハンスク州の完全制圧を宣言し、この州の隣のドネツク州におい て、複数のウクライナ軍支配地に対し、砲撃をはじめています。 戦況はロシア軍に有利な状況が続いていま…

  • ●「ロシア人はなぜ平然と嘘をつくか」(第5767号)

     2022年7月5日付、日本経済新聞に作家のミハイル・シー シキン氏の寄稿『プーチンは皇帝か』が掲載されています。その 冒頭の一部を以下に転載します。 ─────────────────────────────  このごろは、ロシア人であるということに苦痛を覚える。今や 全世界にとってロシア語と言えば、ウクライナの街を爆撃し、子 どもを殺害する者の言語、戦争犯罪人の言語、殺人者の言語と同 等と見…

  • ●「『サハリン2』に未練のある日本」(第5766号)

     西側諸国がロシアに対してかけた経済制裁が、なぜ効かなかっ たかについて考えています。岸田政権は、元安倍政権と違って、 ウクライナに侵攻したロシアに対して、G7と一体になって非常 に厳しい姿勢で臨んでいます。  2014年のロシアのクリミア侵攻のときは、安倍政権でした が、日本はG7とともに制裁は課したものの、ロシアのプーチン 大統領をして、日本を「非友好国」と指定するほどの厳しい制裁 ではなか…

  • ●「8年間かけて制裁に強い経済構築」(第5765号)

     ところで、ロシアの経済の状況はどうでしょうか。  産経新聞特別記者、田村秀男氏がグラフで見せてくれます。添 付ファイル「ロシアの通貨、物価と金利」をご覧ください。  ロシア軍がウクライナ国境を越えて侵攻したのは、2月24日 のことです。米欧日の制裁前における2021年12月と、20 20年1月における、ロシア通貨ルーブルの対ドル、対ユーロ、 消費者物価上昇率、短期金利の位置を確認してください。…

  • ●「欧米と日本はロシアに負けている」(第5764号)

     西側陣営に属している日本から見ると、ロシアは、主権国家で あるウクライナに理不尽にもいきなり大量の戦車などで軍事侵攻 し、ウクライナの各都市をミサイルで破壊して多くの人命を奪っ ています。そして現在も、軍事作戦を継続し、世界中から非難を 浴びても平然としています。しかし、西側諸国からの今までにな いほど厳しい経済制裁によって、ロシア経済は、壊滅的な打撃を 受けているように見えます。  しかし、…

  • ●「消費減税なら年金財源3割カット」(第5763号)

     6月26日のNHKの『日曜討論』で、またしても与党から、 とんでもない発言が飛び出し、騒ぎが起こっています。発言の主 は、自民党の茂木幹事長です。 ─────────────────────────────  消費税なんですが、みなさんからお預かりしている消費税、こ れは年金・介護・医療そして子育てシェア、社会保障の大切な財 源です。これをですね、野党のみなさまがおっしゃるように下げ るとなる…

  • ●「バイデン対習近平長時間電話会談」(第5762号)

     バイデン米大統領の支持率は、最新の調査によると、先週から 6ポイント低下して、36%と就任以来最低の数字を記録してい ます。このままだと、今年11月の中間選挙で民主党が上下両院 もしくはどちらかで、過半数議席を確保できない可能性が高まっ ているといえます。  問題は不人気の原因は何かです。新型コロナウイルスへの対応 に関する支持率(47%)は不支持率(46%)と拮抗しており 経済への取り組みを…

  • ●「防衛費増強をめぐるさまざな暗闘」(第5761号)

     日本には、中国やロシアなどよりも、もっと恐ろしい「抵抗勢 力」が国内に存在します。それが、財務省であり、その財務省の 論理を各界へ浸透させる便宜手段としての組織「財政制度等審議 会(財政審)」です。財政審には、財務省の息のかかった経済学 者、財界人、金融専門家など30人で構成されています。  財政審では、財務省の主計局の官僚が議題と報告書を提出し、 何度かの会合を経て、官僚が諮問案をまとめて財…

  • ●「消費増税分は法人税減税の穴売め」(第5760号)

     昨日の続きです。「消費税は法律上社会保障目的税として位置 付けられている」──この岸田首相発言は完全な間違いです。と いうよりも、これを首相が発言すると、国民に大きな誤解を与え ます。岸田首相は、「聞く耳を持っている」ということを売り物 にしていますが、「減税」だけは聞く耳を持っていません。真っ 向から反対します。  目的税というのは、ある特定の経費を支弁する目的で賦課する 租税のことであり、…

  • ●「消費税減税をめぐる与野党の攻防」(第5759号)

     6月22日に参院選が公示され、選挙戦が始まっています。7 月10日投開票ですので、19日間と選挙戦が非常に長期間に及 びます。20日現在の岸田内閣の支持率を見ると、次の2つの新 聞社については、支持率が5〜6%下がっています。 ─────────────────────────────   ◎6月20日現在/岸田政権支持率                 支持      不支持   日本経済新…

  • ●「GDPギャップというものがある」(第5758号)

     高橋洋一氏の分析による米FRBの対応をさらに見ていくこと にします。 ─────────────────────────────          A=全体の消費者物価指数対前年同月比          B=Aからエネルギーと食品を除く指数        1月    2月    3月    4月   A  7・5%  7・9%  8・5%  8・3%   B  6・0%  6・4%  6・5%…

  • ●「物価高騰に対しどう対処すべきか」(第5757号)

     現在米国ではインフレが進行し、大変なことになっているよう です。ニューヨークでは、家賃が今年1月までの1年間で33% アップし、今年3月までの消費者物価は8・5%に上昇している からです。何しろ醤油ラーメンが約20ドルといいますから、現 在のレートであれば、2500円を超えることになります。それ にチップも支払う必要があります。しかし、平均時給は5・6% 上昇するなど、賃上げも行われているので…

  • ●「7月に黒田支持派を切り崩す策略」(第5756号)

     今週のメディアは「黒田日銀総裁論」一色です。6月16日〜 17日開催の金融政策決定会合で、金融緩和継続を決めた黒田総 裁の判断を巡って賛否両論があります。これは、経済というもの を知る良い機会でもあるので、黒田総裁の判断の是非について引 き続き考えたいと思います。  そもそも黒田東彦日銀総裁とはどういう人物なのでしょうか。  黒田氏は、東京教育大付属駒場中学・高校から、東大法学部を 経て、大蔵…

  • ●「日本が選ぶのは地獄①か地獄②か」(第5755号)

     「日本橋のプーチン」──最近投資家の間で流行りつつある言 葉です。誰のことかというと、日銀の黒田東彦総裁のことです。 投資家たちの多くは、「黒田は円安を放置し、円売りを招いてお り、世界の非常識といわれている」と考えているので、この名前 が付けられたそうです。これに関して、6月18日発売の「日刊 ゲンダイ」は次のように報道しています。 ─────────────────────────────…

  • ●「黒田日銀総裁異次元金融緩和継続」(第5754号)

     黒田総裁の率いる日銀の物価目標は「2%」です。なぜ、2% なのでしょうか。黒田総裁は、2014年3月の日本商工会議所 での講演で、次のように述べています。 ─────────────────────────────  日本銀行としては、「物価の安定」を消費者物価指数の前年比 で数値的に定義すると「2%」であると考えています。その理由 をあらかじめ申し上げると、次の3つです。  第1の理由は、消…

  • ●「黒田日銀総裁発言をめぐる珍対応」(第5753号)

     黒田日銀総裁がつるし上げを食っています。なぜ、つるし上げ られているのでしょうか。6月6日に行われた講演で、次のよう にいったことが原因です。 ─────────────────────────────     日本の家計の値上げ許容度も高まってきている                  ──黒田日銀総裁 ─────────────────────────────  黒田総裁は「表現が適切でな…

  • ●「資本主義は借金をすることで回る」(第5752号)

     なかなか受け入れられない考え方かもしれませんが、「資本主 義は借金をすることで回る」のです。なぜなら、誰かの借金は、 誰かの資産になるからです。日銀が金融緩和を続けていますから 資金は潤沢にあるのです。しかし、そのお金が市中に流れず、滞 留してしまっています。それがデフレの原因です。  借金とは正反対ですが、無駄遣いをせず、せっせと貯蓄に励む ──これは一人ひとりにとっては正しいことですが、国…

  • ●「実体経済をいかに活性化させるか」(第5751号)

     このところ、よく産経新聞特別記者、田村秀男氏の所説を取り 上げています。産経新聞は保守系の新聞で、田村秀男氏は、その 新聞の特別記者にして、編集委員兼論説委員を務める大物記者で す。田村氏が書く実名記事は、注目されていて、とくに大物政治 家に大きな影響を与えるとされています。その田村氏は、現在の 日本経済について、次のように述べています。 ───────────────────────────…

  • ●「日本はけっして借金大国ではない」(第5750号)

     もう一度矢野康治財務事務次官の論文の冒頭部分を読んでみて ください。 ─────────────────────────────  私は一介の役人に過ぎません。しかし、財政をあずかり、国庫 の管理を任された立場にいます。このバラマキ・リスクがどんど ん高まっている状況を前にして、「これは本当に危険だ」と憂い を禁じ得ません。すでに国の長期債務は973兆円、地方の債務 を併せると1166兆円に上…

  • ●「骨太の方針をめぐる党を割る論争」(第5749号)

     6月7日のことです。政府は今年の「経済財政運営と改革の基 本方針/骨太の方針」を閣議決定しています。とくに今年の骨太 の方針の決定は重要であったといえます。考えてみると、日本が 長期デフレでも、十分な財政出動ができなかった理由の一端は骨 太の方針の内容にもあるからです。  これは、政府プラス自民党と財務省のいわば戦いです。今回は 財務省を代表する財政健全化推進本部と、政調会長を中心とする 財政…

  • ● 「社会保障に使われていない消費税」(第5748号)

     6月1日のことです。衆議院予算委員会において、れいわ新選 組の大石晃子議員が、先週の予算委員会で岸田首相が「消費税の 減税は考えていない」と答弁したことに対し、首相を「資本家の 犬、財務省の犬」といった言葉を使い、複数枚のパネルを使って 批判したことが話題を呼んでいます。  仮にも一国の首相をこのような言葉を使って批判するのは、国 会議員として失礼であると思います。ネット上で話題になってい る…

  • ●「一番滞納が多いのは消費税である」(第5747号)

     「われわれはウクライナに侵攻していない」──ロシアが大量 の戦車でウクライナの首都キーウに向けて攻め込んでいる映像が テレビで大量に流されているなかでロシアのラブロフ外相がいっ た言葉です。明らかにウソです。ラブロフ外相の立場に立てば、 そういわざるを得なかったのです。  こういうウソを「プロパガンダ」といいますが、プロパガンダ には、2つがあります。情報源を明らかにして行うプロパガンダ が「…

  • ●「政治に問題があって成長できない」(第5746号)

     「コンクリートから人へ」──これは、2009年に就任した 民主党の鳩山由紀夫首相が、公共事業から家計支援に軸足を移す ことを宣言した経済政策のスローガンです。  このとき、政権を失った自民党は「財源がどこにある」といっ て徹底的に反対の姿勢をとり、財務省は政権与党に慣れていない 民主党の大臣への洗脳作戦で「コンクリートから人へ」の政策を 潰し、最も首相にしたくない小沢一郎氏を検察を使い、証拠を…

  • ●「『骨太の方針』をめぐる党内論争」(第5745号)

     5月24日のEJで、現在、自民党には、元財務相の額賀福志 郎氏を本部長とする「財政健全化推進本部」と、安倍派の参院議 員の西田昌司氏を本部長とする「財政政策検討本部」という2つ の組織があり、国の財政運営の基本を決める「骨太の方針」につ いて、激しい路線対立が起きていることを伝えています。  「財政健全化推進本部」のバックには麻生副総裁、「財政政策 検討本部」には安倍元首相が、それぞれ最高顧問…

  • ●「岸田/新しい資本主義の正体とは」(第5744号)

     6月1日のことです。衆院予算委員会では、岸田首相と関係閣 僚が出席し、集中審議が行われました。そのなかで、立憲民主党 の原健太代表と岸田首相の間で次のやりとりがあったのです。 ───────────────────────────── 立民/泉:「�@大胆な金融政策、�A機動的な財政政策、�B民間投  資を喚起する成長戦略」──アベノミクスと一字一句同じであ  ります。総理が今回出されたものは、アベ…

  • ●「岸田政権の財政運営はどうなるか」(第5743号)

     昨日の続きですが、5月31日、経済財政諮問会議が開かれ、 そこで「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案 が示されています。注目すべきは、PBによる財政再建の目標で ある「25年度」が明記されないことになったのです。6月1日 付の日本経済新聞は次のように報道しています。 ─────────────────────────────  財政再建の目標は、国と地方の基礎的財政収支(プライ…

  • ●「日本は真に財政出動ができるのか」(第5742号)

     5月31日付、日本経済新聞は、政府による経済財政運営と改 革の基本方針(骨太の方針)の原案をニュースとして伝えていま す。多くの人は、普段この手のニュースに関心を持ちませんが、 これは、日本が岸田政権によって、デフレから脱却できるかどう かを検証する重要ニュースです。 ───────────────────────────── ◎収支黒字化「堅持」から後退  25年度財政目標/骨太に「検証」明…

  • ●「戦争は格差を著しく縮小化させる」(第5741号)

     今回のテーマの連載は、6月6日(月)に100回を数えるこ とになります。今回が97回ですので、100回を超えることは 不可避ですが、近くテーマを切り替えるつもりです。  今回のテーマは、次のように設定し、1月5日から5カ月間、 書いてきています。 ─────────────────────────────   「新しい資本主義」とは何か。日本経済は成長できるか      ── データを制する者…

  • ●「国の自由度をランキングで決める」(第5740号)

     ロシアによるウクライナ侵攻──今どき主権国家に対し、いき なり大量の戦車で攻め込む──はっきりいって無茶苦茶な話です が、このロシアがいうところの「特別軍事作戦」は、既に3カ月 が過ぎて、当初劣勢だったロシア軍が巻き返し、じりじりと大勢 の民間人を殺して、ウクライナの都市を奪っていきます。ロシア がいったん奪ったところを絶対返還しないことは、目下不当に占 拠されている日本の北方領土をなんだかん…

  • ●「経済安全保障を正面に据える政権」(第5739号)

     日本の現岸田政権は、看板政策として「新しい資本主義」を掲 げています。しかし、なかなかその原案が出てこないのです。し かし、5月28日付、朝日新聞はその原案を次のように報道して います。 ─────────────────────────────  原案は「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画〜人 ・技術・スタートアップへの投資の実現」と題し、デジタル化や 最先端技術の開発、サプライチ…

  • ●「経済哲学と国家安全保障との関係」(第5738号)

     今回のバイデン政権によって行われつつある経済政策のパラダ イム転換に大きな貢献をした人物がいます。ここでパラダイム転 換というのは、従来の世界観や考え方の枠組みが、根本的に動揺 ないし崩壊して、新しいものに置き換わることをいいます。その 人物というのは、44歳の若さで大統領補佐官(国家安全保障問 題担当)に登用されたジェイク・サリバン氏です。  サリバン氏は、イエール大学ロースクールを卒業後、…

  • ●「財務省は借金をわざと過大にする」(第5737号)

     昨日のEJの謎の解明です。まず「一般政府」と「中央政府」 の違いを明らかにする必要があります。内閣府の貸借対照表は、 「一般政府」、財務省のそれは「中央政府」です。「一般政府」 と「中央政府」には、次の違いがあります。 ─────────────────────────────  ◎一般政府   国民所得計算において国全体の経済活動の状況を見る場合に  用いられる制度部門別分類の一つであり、国…

  • ●「2020年末72兆円の資産超過」(第5736号)

     「私は国家公務員は『心あるモノを言う犬』であらねばならな いと思っています。どんな小さなことでも、違うとか、よりよい 方途があると思う話は、相手が政治家の先生でも、役所の上司で あっても、はっきりいうようにしてきました。『不偏不党』── これは、全ての国家公務員が就職する際に、誓約書に書かせられ る言葉です。財務省も霞が関全体も、そうした有意な忠犬の集ま りでなければなりません」──『文藝春秋…

  • ●「日本は巨額の財政出動ができるか」(第5735号)

     5月20日未明のことです。東急田園都市線の電車内で、乗客 を殴るなどしたとして、暴行容疑で逮捕された男がいます。財務 省総括審議官の小野平八郎容疑者です。なぜ、この話をEJが取 り上げるのかというと、この事件の現在のテーマと、いささか関 係があるからです。  米国は、ここまで述べてきているように、このさい積極的な財 政出動に踏み切っていますが、日本で果たしてそれができるかど うかのカギを握って…

  • ●「アーサー・オークン『高圧経済』」(第5734号)

     少し問題を整理して先に進めます。話がややこしくなってきて いるからです。次の文章は、ある大学で経済学を勉強している学 生が、ウェブサイトにアップロードしている文章の一部です。な お、この文の出典はあえて控えます。ご本人に失礼なことがあっ てはいけないからです。 ─────────────────────────────  日本は安全なのでしょうか。これから検討していきたいと思い ます。日本の総…

  • ●「対GDP比債務残高は正しいのか」(第5733号)

     主流派マクロ経済学では、「政府の財政赤字は民間貯蓄でファ イナンスされている」と考えているようですが、これは正しくな い考え方です。なぜ、そのように間違えるのかというと、主流派 マクロ経済学は、「信用創造」を認めないからです。  政府の信用創造のプロセスは、個人や企業が銀行から資金を借 りる場合と基本的には同じです。銀行により、貸出金額が自身の 銀行口座に記帳された瞬間に、その貸出金額と同額の…

  • ●「サマーズはどう主張を修正するか」(第5732号)

     このところ、評論家の中島剛志氏の所論を参考にして、日本は なぜ、デフレから脱却できないのか、日本経済はなぜ長期間にわ たって成長できないのかなどについて、EJ風にいろいろな角度 から検討してきています。  中島氏にいわせると、それは主流派マクロ経済学の考え方に問 題があるからだといいます。なぜなら、国の経済政策は、社会主 義の国は別として、主流派マクロ経済学の考え方によって決まっ ているからで…

  • ●「長期停滞から脱却させる財政政策」(第5731号)

     米バイデン政権が打ち出した1・9兆ドル(約200兆円)の 「米国救済計画」──コロナ禍への対策ということもあるが、こ れはリーマンショック時の経済対策をはるかにしのぐ、空前の財 政出動であるといえます。しかもこの経済政策に関して、ジャネ ット・イエレン財務長官を筆頭に、米国の名だたる主流派経済学 者たちの多くが賛意を表明しているのです。まさにこれは経済学 の「静かな革命」であるといえます。 ─…

  • ●「イエレン財務長官の3つの考え方」(第5730号)

     2020年7月のことです。ブルッキングス研究所において、 当時のイエレンFRB議長と、前議長のベン・バーナンキ氏が、 新型コロナウイルス対策の証言を行っています。ブルッキングス 研究所というのは、米国の由緒あるシンクタンクのことです。  そのとき、イエレン氏とバーナンキ氏は次のように提言してい るのです。 ─────────────────────────────  財政赤字や政府債務を恐れず…

  • ●「経済政策における静かな革命勃発」(第5729号)

     財政出動(積極財政)とは、経済を良くしたり、景気を安定さ せたりする目的で行われる政治政策のことで、1929年の世界 恐慌の時代に、英国の経済学者、ジョン・メイナード・ケインズ によって提唱されたものです。  しかし、財政出動をはじめとするいわゆるケインズ主義は、景 気の刺激策であり、重ねて行うと、インフレを招いたり、国の財 政を悪化させるマイナス面があるとして、金融政策を中心とする 新自由主…

  • ●「バイデン政権経済政策への高評価」(第5728号)

     バイデン政権による巨額の財政出動に関して、多くの経済学者 が意見を寄せています。その論争の中心が「新自由主義からの決 別」であり、奇しくも日本の岸田政権も新自由主義的政策から脱 却し「新しい資本主義」を提唱するといっているので、一応表面 上は似ているといえます。  これについて、中野剛志氏が新刊書を上梓し、第1章の「静か なる革命」において詳細に論じています。 ────────────────…

  • ●「バイデン政権による大型経済政策」(第5727号)

     現在の2022年から30年を引くと1992年になります。 日本のバブル崩壊は、1991年(平成3年)3月から1993 年(平成5年)にかけて起きています。ということは、日本のデ フレは、30年間続いていることになります。  3月に内閣府が公表したGDP2次速報値によると、2021 年の日本の実質成長率は1・6%でした。米国は5・7%と37 年ぶりの高成長を記録しています。日本ときわめて対照的で…

  • ●「M2が急上昇したウラにあるもの」(第5726号)

     ここまで何回も「信用創造(money creation)」の話をしてき ています。日本がデフレから脱却する方策を考えるとき、この信 用創造の考え方が必要になるからです。  銀行が企業に10億円を融資する場合、銀行がその企業の銀行 口座に電子的に10億円とタイプした瞬間に、市中に循環するお 金の量(預金)、すなわち、マネーストックが10億円増加する ことになります。これが信用創造の考え方です。この10億円は …

  • ●「どうして『財政出動』しないのか」(第5725号)

     繰り返しになりますが、日本がデフレから脱却するには、市中 に循環するお金の量を増やせばよいのです。そのための経済政策 としては、中央銀行による金融政策と、政府による財政政策があ ります。日本では、安倍政権以来9年間にわたって、日銀による 異次元量的緩和という金融政策を続けてきていますが、その狙い は、お金の価値を下げて、モノの価値を上げる、すなわち、物価 を上げることにあります。しかし、目標で…

  • ●「信用創造について改めて検証する」(第5724号)

     マネタリーベースとかマネーストックなど──話が複雑になっ ているので、話を整理して先に進むことにします。  簡単にいうと、日本がデフレから脱却するには、市中に流通す るお金の量を増加させる必要があります。なぜなら、お金の量が 増えると、お金の価値が下がり、モノの価値が上がるので、物価 が上昇するからです。日銀は2%の物価目標を掲げています。  この市中に流通するお金のことを「マネーストック」と…

  • ●「『デフレは貨幣現象』は正しいか」(第5723号)

     日本が20年以上もデフレから脱却できないのは、明らかに政 府の経済政策の失敗が原因です。2019年1月30日のことで す。当時の安倍首相は、衆議院本会議の代表質問で、国民民主党 の玉木雄一郎代表に対して、次のように答弁しています。 ─────────────────────────────  デフレには様々な原因があるが、基本的に貨幣現象との考えは 変わらない。したがって、金融政策が引き続き重…

  • ●「紐で引っ張れても押すことは困難」(第5722号)

     円安が急加速しています。4月28日のことです。日銀は、金 融政策決定会合において、安倍政権以来続けている大規模な金融 緩和策の継続を決め、指定した利回りで国債を無制限に買い入れ る「指し値オペ」を毎日実施することを決めています。このよう に、日銀が金利を低く抑え込む姿勢を明確にしたことによって、 円安は急加速し、131円台をつけています。  10年物国債金利のことを「長期金利」といいますが、日…

  • ●「なぜ2%目標は達成できないのか」(第5721号)

     デフレの話を続けます。そして、どうしたら、日本は、デフレ から脱却できるかについて考えたいからです。  デフレとインフレには、次の違いがあります。 ─────────────────────────────    ・インフレ ・・・ 継続的に物価が上昇する状態    ・ デフレ ・・・ 継続的に物価が下落する状態 ─────────────────────────────  市中に流通する通貨…

  • ●「デフレのこわさを知らない日本人」(第5720号)

     こんな話があります。長期化するコロナ禍で日本経済がおかし くなっています。2020年4月のことですが、新型コロナウイ ルス対策の一環として、国民全員に一律10万円を給付する「特 別定額給付金」が決定されたときのことです。  所得制限を設けないで国民全員に一律に現金を給付する──こ れは、日本としては画期的な政策だったのですが、あまりにも金 額が少な過ぎたといえます。なぜなら、コロナによる政府の…

  • ●「なぜ信用貨幣論を採用しないのか」(第5719号)

     2022年度の国家予算は、107兆5964億円です。この 金額は2021年度当初予算対比0・9%増で、10年連続で過 去最大を更新しています。なお、この予算のなかには、新型コロ ナウイルスの感染再拡大に備えて、5兆円の予備費を引き続き積 んでいます。  さて、この予算は、4月1日から執行されていますが、その金 額は、どこにあるのでしょうか。どこから調達しているのでしょ うか。政府には、どこかに…

  • ●「岸田内閣ではデフレの脱却は無理」(第5718号)

     コロナ禍、ウクライナ情勢、急速な円安などが原因で、物価が 急激に上昇しています。これらに対する緊急対策の財源として、 当然補正予算を組むべきです。しかし、岸田内閣は、今年度予算 の予備費で対応すると主張し、あくまで補正予算を組むべきとす る公明党とモメていたのですが、4月21日、自民党と公明党は 2022年度補正予算案を編成し、今国会中の成立を目指すこと で合意しました。  実は、一時は決裂し…

  • ●「インフレ率2%達成されない理由」(第5717号)

     いわゆる「お金」のことを「通貨、貨幣、現金、マネー」と呼 称していますが、それぞれの意味は混乱しています。「通貨の単 位及び貨幣の発行等に関する法律」では、「通貨とは、貨幣及び 日本銀行が発行する銀行券を言う」としています。  ここで「貨幣」とは、政府貨幣(硬貨)のことであり、日本銀 行の発行する銀行券とは紙幣(お札)を意味し、両方合わせて、 いわゆる「現金通貨」ということになります。  しか…

  • ●「信用創造によってGDPが増える」(第5716号)

     内閣府が公表したGDPの2次速報値によると、日本の実質成 長率は1・6%。しかし、米国は5・7%と37年ぶりの高成長 を記録しています。IMF(国際通貨基金)によると、昨年の先 進国の平均成長率は5・0%。日本は1%台。日本は突出して低 すぎます。  それでいて、家計の金融資産と企業の現預金は史上最高水準を 記録し続けています。なぜか貯蓄にはとても熱心なのです。成長 していないのに、政府は何か…

  • ●「資本主義は繁栄により脆弱化する」(第5715号)

     ハイマン・ミンスキーの話をしていますが、実は彼の「銀行シ ステム論/金融不安定性論」は、MMT(現代貨幣論)に大きな 影響を与えたMMTの先行理論の1つなのです。  MMTに影響を与えた先行理論としては、ゲオルグ・フリード リヒ・クナップの表券主義、アルフレッド・ミッチェル=イネス の信用貨幣論、アバ・ラーナーの機能的財政論、ウェイン・ゴド リーの部門バランス論などに続き、ハイマン・ミンスキー…

  • ●「ミンスキー安定性は不安定化する」(第5714号)

     ハイマン・ミンスキーの話を続けます。彼の説は、極めてシン プルそのものです。それは、英単語3つであらわされています。 ─────────────────────────────             安定性は不安定化する         Stability is destabilising. ─────────────────────────────  主流派経済学では「市場は基本的に安定している」という考え 方に立っ…

  • ●「ケインズ経済学の逆をやった日本」(第5713号)

     国の経済を活性化させるには、「供給」を高めるべきか、「需 要」を高めるべきかによって経済学が違ってきます。「セイの法 則」は、「供給」を高めれば、それに見合う「需要」は自然に生 み出されるというのですから、供給重視派、サプライサイド経済 学ということになります。新古典派経済学の基本的な考え方は供 給重視の経済学です。  これに対して、ケインズ経済学は、国の経済力を高めるには、 「需要」の増大が…

  • ●「現実に立脚した経済学は存在する」(第5712号)

     昨日のEJで取り上げたワルラスの一般均衡理論──これが新 古典派経済学を主流派の地位に押し上げた理論ということですが 必要以上に難解です。これを単行本で読むと、数式がズラリと出 てきてさっぱりわかりません。経済学部の大学生は、これには閉 口しているようです。  要するに、ワルラスの一般均衡理論は「市場取引では需要と供 給の一致点で価格と取引量が決定される」という、当たり前のこ いっているだけで…

  • ●「レオン・ワルラスの一般均衡理論」(第5711号)

     「セイの法則」に関連して、もう一人どうしても紹介しなけれ ばならない人物がいます。現在の主流派経済学に深く関係する人 物です。それは、レオン・ワルラス(1834年〜1910年) というフランスの経済学者です。ワルラスは、次の2つのことを 提唱した人物です。これらは、「セイの法則」が成り立つことを 前提として構築された理論といえます。 ───────────────────────────── …

  • ●「主流派経済学が貨幣論に弱い理由」(第5710号)

     主流派経済学における貨幣の考え方は、商品貨幣論といわれ、 この考え方をさかのぼると、物々交換に行き着くのです。貨幣は 商品との交換を前提としたツールであり、貨幣それ自体の使用価 値はありません。  16世紀から18世紀の話ですが、ヨーロッパ地域では「重商 主義」というものが支配的な考え方だったのです。重商主義とは 国家の輸出を最大化し、輸入を最小化するように設計された国家 的な経済政策です。重…

  • ●「主流派経済学の貨幣論に問題あり」(第5709号)

     「経済安全保障」が重視される現代──それだけに国の経済政 策の是非が問われますが、そのベースになる経済学が間違ってい るといわれています。したがって、現岸田政権が、日本経済を成 長させるために、「新しい資本主義」を内閣のメインテーマに取 り上げたことは間違ってはいないといえます。  しかし、この内閣の閣僚やそれを支える官僚には、間違った経 済学をベースに経済政策を実施しようとする財務省出身者が…

  • ●「ロシアへの経済制裁効いていない」(第5708号)

     「経済安全保障」ということが最近盛んにいわれています。岸 田政権では、経済安全保障担当大臣が新設されるなど、重要な政 策分野として浮上しています。経済と安全保障が密接に結びつい ているという考え方は新しいものではありませんが、近年、中国 が経済規模や技術水準、軍事力などの様々な面で、米国と競合す るなか、外交・安全保障における経済的要素の重要性が認識され るようになってきているからです。  そ…

  • ●「ドゥーギンの新ユーラシアリズム」(第5707号)

     ズビグネフ・ブレジンスキーによるソ連邦崩壊後の米国の外交 指針について説明してきましたが、ロシアによる2月24日から のウクライナ侵攻について、プーチン大統領の決断に影響を与え たとみられる、ある論文が注目を集めています。それは、ロシア の極右地政学者、戦略家として知られるアレクサンドル・ドゥー ギン氏による次の論文です。 ─────────────────────────────     ア…

  • ●「『地政経済学』という学問がある」(第5706号)

     今回のEJのテーマは「新しい資本主義」です。岸田政権が実 現すべきテーマとして取り上げたからです。このテーマでは、新 しい視点から経済を分析するために、経済評論家の中野剛志氏に よるMMT(近代貨幣論)の考え方をベースに解説しています。  ブレジンスキーによるソ連邦崩壊後の米国の外交指針──この 構想は、既に完全に壊れています。まず、ジョージ・ブッシュ米 (子)大統領がイラクに侵攻したことによ…

  • ●「ウクライナは緩衝地帯であるべき」(第5705号)

     ズビグネフ・ブレジンスキーによるソ連邦崩壊後の米国の外交 指針を振り返ります。米国は、西側からはNATO、南側からは 中東諸国との同盟、東側からは日米同盟の3方向からユーラシア 大陸を取り囲み、ユーラシア大陸にはいなくても、覇権国家とし て、そこを事実上支配する──壮大な外交戦略です。  この外交戦略を壊したのは、ブッシュ(子)大統領です。20 01年9月11日のテロが起きると、ブッシュ政権は…

  • ●「ユーラシア大陸の覇者が世界制覇」(第5704号)

     3月12日のBSフジの番組「プライムニュース」での出来事 です。この番組の反町MCが、ロシアの軍勢は圧倒的多数であり ウクライナは、とても勝てるとは思えないのに、市民の多くが命 を失う状況において、ゼレンスキー大統領は「なぜ、降伏しない のか」と不思議そうにコメントしたのです。  そのときコメンテーターの一人として出演していた軍事評論家 の小泉悠氏は、半ば呆れたように「反町さんは、たとえ勝てそ…

  • ●「日本は『安い国』に堕落している」(第5703号)

     今年に入ってから、連日円安が急加速しています。この円安は 「悪い円安」といわれています。人口減少、少子高齢化を背景と する日本の国力低下や、先進国のなかで突出して悪いといわれる 財政状況などの日本特有のネガティブな事情から「悪い円安」と いわれているのです。  3月28日の外国為替市場での円相場は一時「1ドル=125 円10銭」と、6年7か月ぶりの円安/ドル高水準をつけたので す。「有事の円買…

  • ●「現実を説明できない主流派経済学」(第5702号)

     2008年11月のことです。英国の女王エリザベス二世は、 著名な経済学の世界的権威たちに対し、リーマン・ショックの金 融危機に関して、次のように問いかけたそうです。しかし、みな 押し黙ったままであったといいます。 ─────────────────────────────  なぜ、誰も、このような危機が来ることを、わからなかったの でしょうか。              ──エリザベス二世 ─…

  • ●「なぜ防災関連公共投資を減らすか」(第5701号)

     日本の国債残高の対GDP比が256・2%であることは事実 です。それは、第2次世界大戦後の状況を上回る他のどの先進国 よりも劣悪な状況にあります。しかし、それは第2次世界大戦後 の政治の責任であり、その間のほとんどの政権を担ってきた自民 党に責任があります。つまり、自民党の財政政策が失敗したとい うことです。もちろんその財政を預かる財務省にも重大な責任が あります。  しかし、今般の未曽有のコ…

  • ●「永久債と長期債での債務を再構築」(第5700号)

     3月28日のEJでも述べた通り、ノーベル経済学賞受賞者の ジョセフ・E・スティグリッツ・米コロンビア大学教授が来日し 安倍政権下の経済財政諮問会議に出席しています。2017年3 月14日のことです。  実は、このときとは別の会合で、スティグリッツ教授は、経済 財政諮問会議で安倍首相にある提言をしたことを話しているので す。その席には、伊藤隆敏コロンビア大学国際・公共政策大学院 教授と、フォーブ…

  • ●「個人の道徳心を経済に持ち込むな」(第5699号)

     国債を大量に発行すると、その利払いや償還のことが心配にな ります。国債は政府の借金であるので、当然利子を支払わなけれ ばならないし、返済期限が到来したら、元本を返済しなければな らなくなるからです。当たり前の話です。  この場合、国債を大量に保有している日銀は、当然利子が収入 として入ってきます。この利子収入を日銀はどうしているのかと いうと、国庫納付金として政府に収めているのです。これは政府…

  • ●「政府と日銀による統合政府B/S」(第5698号)

     なぜ、日本の財政出動は少ないのでしょうか。一般論として考 えれば、それは日本の借金(国債残高)があまりも巨額であるか らでしょう。少なくとも多くの日本人はそう考えていると思いま す。借金に借金を重ねると、日本の財政は破綻してしまうのでは ないかと不安になるからです。  しかし、思い切った財政出動をしないと、日本経済はデフレか らいつまで経っても脱却できないのも事実です。国債の発行を少 しでも減…

  • ●「『政府支出』」→『税金+借金』」(第5697号)

     昨日のEJの「モズラーの逸話」に関連する2つのモデルを再 現します。 ─────────────────────────────  「税金+借金」→「政府支出」 ・・ 家計と同一のモデル  「政府支出」→「税金+借金」 ・・ 通貨発行体のモデル ─────────────────────────────  ステファニー・ケルトン教授は、この2つのモデルについて相 当悩んだようです。ケルトン教授…

  • ●「税は『財源確保』の手段ではない」(第5696号)

     税金とは「財源確保の手段」ではなく、「物価調整の手段」で ある──MMTにおける税の考え方です。しかし、主流派経済学 では、税金はあくまで「財源確保の手段」であり、政府が何かを 支出するには、それに対応する財源が必要であり、税による財源 の確保が必要であるという考え方です。  これは、家計の考え方とまったく同一です。したがって、政府 といえども、税収(収入)を上回る歳出(支出)を続けることは …

  • ●「生産的政府支出には財源制約なし」(第5695号)

     永濱利廣氏というエコノミストがいます。第一生命経済研究所 経済調査部首席エコノミストです。よくテレビにも登場しますし 経済の解説も平易でわかりやすく、ていねいです。  永濱氏もMMTの本を書いていますが、その本で、パナソニッ クの創業者・松下幸之助氏の言葉を引用して、MMTに関連して 次のように述べています。 ─────────────────────────────  「それが必要であり、や…

  • ●「少な過ぎる日本の生産的政府支出」(第5694号)

     デービット・アトキンソン氏という人がいます。この人は日本 人以上に日本に精通している在日英国人の経営者です。元々は、 ゴールドマン・サックスのアナリストでしたが、茶道に打ち込み 長野県軽井沢町に所有する別荘の隣家が日本の国宝や重要文化財 などを補修している小西美術工藝社社長の家だった縁で、経営に 誘われて2009年に同社に入社し、2010年5月に会長に就 任している人物です。  なぜ、日本経済…

  • ●「プライマリーバランス真に必要か」(第5693号)

     最初にウクライナ情勢について述べます。ロシア軍によるキエ フの攻撃が激しさを増していますが、ウクライナ軍は、当初の想 定よりも、ロシア軍の猛攻を受け止めています。  ウクライナ軍の善戦を支えているのが「IT軍」の存在です。 「IT軍」とは何でしょうか。14日のWBS(テレビ東京)で は、IT軍の指揮を執る、ウクライナデジタル庁のボルニャコフ 副大臣(40)のインタビュー映像を伝えています。  …

  • ●「消費税増税と経済への大ダメージ」(第5692号)

     3月14日の外国為替市場のドル円相場は、次の通りとなって います。 ─────────────────────────────          1ドル=117円81銭 ─────────────────────────────  前週末午後5時時点に比べ1円10銭の大幅なドル高・円安に なっています。かつては、ウクライナ危機というような有事には ドルより円が買われ、「有事の円高」といわれたも…

  • ●「どうして、財政出動を躊躇うのか」(第5691号)

     ガソリン価格が高騰しています。ウクライナ情勢の深刻化の影 響を受けて、ガソリンはさらに170円/Lを超えて、高騰する ものと考えられます。政府は、これに対応するための激変緩和措 置として、石油元売り会社へ5円の補助金を支給してきましたが ガソリンの高騰が収まらないので、3月から、補助金を5円から 25円に引き上げて高騰を抑えようとしています。  この政府の措置は非常に姑息なやり方です。「トリガ…

  • ●「MMTは真にブードゥ-経済学か」(第5690号)

     ロシアは、米国の支援を受けてウクライナが生物兵器の研究を していたと、とんでもないことをいいはじめています。ロシアが 生物兵器を使うための「偽旗作戦」だといわれています。偽旗作 戦とは、攻撃手を偽る軍事作戦の一種で、海賊が「降伏」の旗を 掲げて敵敵を油断させて、逆に相手の船を乗っ取るという行為に 由来します。旧ソ連のお家芸の一つです。  現在EJで展開しているMMT(現代貨幣理論)も、主流派経…

  • ●「日本は財政破綻するという大ウソ」(第5689号)

     「我々はウクライナを攻撃していない」──ロシアのラプロフ 外相の発言です。3月10日、ウクライナ危機がはじまってから はじめて行われたウクライナのクレバ外相とロシア外相の会談の 後の発言です。平然とウソをついています。  外交官が公開の席でこんなウソをついて大丈夫なのかなと普通 の人は思いますが、実はぜんぜん平気なのです。なぜなら、ロシ アの外交官というのは、自分が明らかにウソだと分かっていて…

  • ●「なぜデフレから脱却できないのか」(第5688号)

     ウクライナ問題でこういう情報があります。8日時点で入って きた情報ですが、ウクライナのゼレンスキー大統領が依然として ネットを使って国民を励ます演説を続けられているには、それを 支える優秀なスタッフがいるからです。ミハイロ・フェドロフデ ジタル相(副首相)です。つねに大統領のそばにいて、大統領を 支えている31歳の大臣です。  ミハイロ・フェドロフデジタル相は、ロシアの攻撃によって、 インター…

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