近世洞門僧の持律意識について
とりあえず以下の一節をご覧いただきたい。師一日、或曹洞宗の寺に至る、住持雑談の次で曰、某し幼少より乍立小用せず、炉に唾を不吐、師聞曰、其様な事にても無ては、出家冥加も有、早く一寺にも住し、人にも知る事有べからず、是上ながら、道心冥加の有様に成申度、亦曰、小僧共に能教ゑたるが能也、必ず乍立小用させめさるるな、出家侍の立小用、見苦敷物也、炉に唾を吐せめさるるな、食物をも炙り、其上香炉の火をも取物也、総じて曹洞宗は、をつつかみにて律儀なし、誠の道心社無とも、行規計りなりとも正くすべし、責て是程の事也とも無んば、人間に生を得たる甲斐なし、皆恥かきに出たり、咦、我も七十年、恥をかき来れりと也、鈴木正三道人『驢鞍橋』巻上・61則、カナをかなにするなど見易く改める鈴木正三道人が、曹洞宗の律儀に関する発言をした貴重な箇所...近世洞門僧の持律意識について
2025/03/15 05:43