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実家への近道は、地元民しか知らないような裏道を使う。鬱蒼とした竹藪と高い塀に挟まれた長い坂道で、塀の上は雑然と木が生えた雑木林のため人気はなく、静かで薄暗く不気味な急坂。未だに昔の雑なコンクリ塗装のままで、所々ヒビ割れしたり削れてボコボコしている古い道だ。 夜は怖くて絶対に通らない。近郊で路上強盗があった時は真っ先にその道を思い浮かべ、あそこで襲われたら昼間でもひとたまりもないから通るまいと決めたほど。 しかし時間と共に警戒心が薄れ、安全より時間短縮を選択し、最近昼間はまたその道を通ることが多くなった。 昨年末のこと。午前中で大掃除を切り上げ、昼から実家へ向かった。一応頭の片隅に、裏道への危険…