戦争という自由主義国の危機
戦争が人類にとりまして極めて危険な存在である理由は、戦闘や爆撃等による国民の多大なる犠牲や国土の破壊のみではありません。一端、戦争が始まる、あるいは、安全保障上の危機が到来しますと、国家体制を戦時体制という名の全体主義型に転換せざるを得なくなるところにあります。同転換は、全面的な移行とまでは言わないまでも、戦争当事国のみならず、同盟や通商等の関係を介して他の諸国においても自由主義経済を浸食し、じわじわと変質させてゆきます。‘蟻地獄’とも表現できるのですが、それでは、どのようなメカニズムで同変化は起きてくるのでしょうか。軍需の領域にあっては、国家のみが独占的な調達者です。しかも、その基本的な目的は自国の防衛や安全保障ですので、他の政策分野に優先し得る根拠を有しています。戦争並びに安全保障リスクが高ければ高い...戦争という自由主義国の危機
2023/12/26 16:18