曹洞宗に於ける『遺教経』の学び(3)
洞門学僧による或る法語で、『仏垂般涅槃略説教誡経(遺教経)』を用いた例があったため、学んでみたい。凡仏道を修行するには、持戒を第一の根本とするなり、戒を持つときは、おのづから心が清浄になるゆゑ、禅定も智慧も、自然とこの内より出るゆゑ、持戒と礎となし、禅定を屋宅となして、よく智慧の造作をなすと、梵網経にも仰せられ、又遺教経にも、わが涅槃の後は、まさに戒法を尊重とたふとみ、珍敬とうやまひ奉るべし、たとへば暗夜に松炬挑灯をもつがごとく、又貧しきものの、財宝を得るがごとし、此ゆゑに戒法さへあれば、末世の大導師といふものにて、如来の世にましますと同じ事なり、寂室堅光禅師『菩薩戒童蒙談抄』ということで、江戸時代末期の学僧・寂室堅光禅師(1753~1830)の教えを見ていきたい。これは、曹洞宗で相伝してきた仏祖正伝菩薩...曹洞宗に於ける『遺教経』の学び(3)
2025/02/13 09:22