『 これでようやく役者が揃ったな 』 映像制作会社社長の樫間高之と製薬会社社長令嬢の森崎朋美は、結婚間近になっていた。 日時や式場が決まり、後は披露宴を充実させるだけとなっていた結婚式まで後一週間となったある日、高之の職場に、朋美の母親から連絡が入る。 それは「朋美が車の運転中、崖から落ちて死んでしまった」という電話だった。 葬儀が終わった後も、高之と朋美の親・義父母との関係は続いていたが、朋美の死から三か月ほど経過したある日、高之は義父から「毎年夏恒例・森崎家の集まり」を開催する別荘に招待された。 仮面山荘殺人事件 (講談社文庫 ひ 17-10)