実は私はあまり料理が得意ではありません。いえ、無能を自称しているだけはあって、そもそも大体が不出来ですが特に味見という行為が苦手過ぎてダメなのですよね。調理中は私の猫舌っぷりがしょちゅう邪魔しますし、そもそも味を他の人より薄く感じちゃってる...
「うーん……」 本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。 そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。 その通り、ただ目で文字を拾う
これは、美という概念すらを換えてしまったあのホンモノの身近で彼女を慕っていた、一人の人間の本音。 十を超えた取材交渉により彼が得ることができた、一欠片。しかし晒されることすらなかった一つ。 「はぁ……」 久方ぶりに、雑誌記者皆賀片尾(みなが
あたしは片桐朝茶子(あささこ)、っていう名前の女の子。 そこらにいるような普通の子だよ、って言えればいいのだけれど実際あたしは頭が悪ければ、運動だって苦手なダメダメなんだ。 勉強は、結構色々知ることが出来て楽しいなとは思うのだけれど、いざ答
うつくしさ、それだけが何よりも現実離れしてしまっているおかしな少女の壊れたお話です。 片桐朝茶子。彼女は果たしてアイドルに留まることは出来るのでしょうか? 「じゃああたし、大きくなったらみんな仲良く●してあげる!」
「全治、二ヶ月か……何、してようかな」 若葉色の一重の患者着に身を包みながら、少女は先に聞いた医者の言葉を繰り返す。 随分と長く気絶していたらしい合間にがっしりと巻かれたギプスを装置で釣り上げられた、そんな身動きろくに取れない大げさな眼前の
その実力、まるで人でなしのようであるが、しかしその実霧雨魔梨沙は、魔法使いを気取った、ただの人間の少女である。 当然、人であるからには無理はきき辛い。優れた術にて補っているが、それでもベースはあくまで人の子。疲れを感じれば眠るし、手を伸ばし
そのあやかしの魔力は幻想を逸する。広がった白熱は、最早太陽球に届く。立ち昇った力をたちどころに呑み込むに、天空では足りない。 故に、死蝶ですら、あまりの力に溺れて消え入った。死を帯びてすら消え入らない精密な偽花の群れに溢れた空には、お化けが
魂魄集えば、その霊気は冷気を周囲に及ぼし凍えさせる。花吹雪は、その名前のまま鮮やかにも寒く。そんな、あまりに冷たい春の空は、一条の光線にて解けて温まる。 辺りは包まれ、余裕はあっとう間に消されていく。いたずらにそれが振り回されないのは、幽か
花が開いて薫り飛ばせば、人に霊だけではなく、虫達も大わらわに飛び回るもの。彼らはぶんぶんと、自分達を上回る数の多色に目を奪われながら花弁の間を行ったり来たりして蜜を頂く。 そして、その身にどっしりと様々な花粉を纏った状態で、一輪から飛び立と
博麗霊夢は自分の持つ能力のことをよく、空を飛ぶ能力ね、と口にしている。それは何処までも正しい事実であるが、それだけでなく、彼女は博麗の巫女としての能力も確りと修めていた。 空を飛んで陰陽玉を操り、御札と針を持ってして弾幕戦を行う。脇が甘いと
魔梨沙が夢幻館から戻り、自宅で傷ついた身体を薬草と休息で回復させていた、その頃。 幻想郷の空遥か高く。何故か一部破られたまま未だに直されていない幽明結界の前にて、多量の幽霊が溢れていた。 その中心にて、踊っている少女が一人。彼女の着物の薄青
「花に三春の約ありというけれど……夏秋冬の分まで咲くのは行き過ぎだわー。やっぱりコレは、幽香の仕業かしら」 春が来て、幻想郷は正に花盛り。しかしそれも随分と過剰過ぎるものがあった。 桜が咲くのはいいだろう。満開のそれらは、風に揺られ宙にて春
夜闇の中に星々は輝く。吸い込まれるように暗い背景は、遠い星の光を際立たせて、疎らな美しい点描を生む。天球はまるで光と闇が、夜空のキャンバスの中で彩りを競い合っているかのようだ。 しかし、実際は数えきれないほどの星々の輝きが闇に食まれていて、
山風冷たく吐息も地面も白く染まる、幻想郷の冬。寒さ深まる中で、更には夜の帳が下りた今となっては、外にて騒ぐものなどねぐらのない妖怪妖精くらいのもの。 人里離れようがそうでなかろうが、大衆の集まる居酒屋などでない限り、人々は家屋の中にて硬く扉
「ふぅ。これでお終いですね……」 「お疲れ様ー。イナバ? それとも優曇華? 鈴仙の方がいいかしら?」 「ええと、魔梨沙様……出来るなら私のことは鈴仙と呼んで下さい」 「分かったわー。これからは鈴仙って呼ぶから、あたしのことも様付けは止めてそ
蓬莱山輝夜にとって、この永い夜は非常に刺激的だった。それこそ、永遠の魔法をかけて停めてしまいたいくらいに、素晴らしいものと思えてならないものだ。 この夜の始まった頃はそれほどの感慨を抱いていなかったと輝夜は記憶している。来るかもしれない妖怪
永遠亭に侵入した魔梨沙は、沢山の妖精たちの歓迎を受け入れつつ、撃つ星弾のように真っ直ぐ先へと急いだ。 そして、魔梨沙が今日のために空間が改造されていたのか長く一直線な廊下を進んでくと、正面を襖扉が邪魔をしたために、そこを開けて先へと進もうと
僅かに欠けているとはいえ明るい満月によって、互いの表情すらよく見える中で、蓬莱山輝夜と霧雨魔梨沙は自前の紅の瞳を持って見つめ合う。 魔法使いのイメージそのままの魔梨沙の姿を、千年以上迷いの竹林から外に出ていない輝夜はその統一感から地上の民の
蓬莱人である藤原妹紅は、老いる事も死ぬ事もない程度の能力を持つ存在である。 彼女も人の枠にあるため肉体を持っているが、それが滅びようともその生に関係はなく、蓬莱の薬を飲んで本体と成った魂によって幾らでも肉体を再構築させられるため、結果的に不
迷いの竹林の中、永遠亭の近くを棲家とする妖怪兎達は、大いに騒いでいた。 何時も飛んで跳ねて、時に餅をついたりする、そんな暢気な妖獣たちはそのよく伸びた感覚器によって、強力な妖怪と人間、そして恐ろしい幽霊と半分人間の存在をいち早く知り、怯えた
上白沢慧音は、今回の異変に対して、過分とすらいえるほどの対策を講じている。 不完全な月の下、不完全な力のままに、しかし慧音は人里を守るためにと奔走した。今回の異変の恐ろしさを主要な里の人間に説き、彼女は一夜だけならと人里を【なかったこと】に
あたし、霧雨魔梨沙は、星が好きである。まず、大本の距離や大きさは違えども、夜を明るくしすぎないくらいに天を賑やかせているその有り様が素敵だ。 色とりどりに、瞬いたりして、決して大きくないその存在は自己を主張する。それが集まる天の川なんて、つ
照りつける強い陽光に、湿度の高い空気が相まって、止まらぬ汗は長々と垂れて頬を伝う。幾ら帽子を被って日差しを避けていても、熱された地面と近くあればその身の温度は上がっていく。 これはたまらないと、星柄の綺麗なガラス製で、しかし保温保冷機能は外
霧雨魔梨沙の家は、純和風の造りである。人里の大工に作らせたのだから、そうなるのも当たり前なのかもしれないが、和風建築に魔女が住むというのはミスマッチではあった。 一人で住むのだからと、二階建てにすることにすら難色を示した魔梨沙だったが、それ
鬼退治を終え、スキマから出てきた魔梨沙にかけられたのは、沢山の叱咤とおまけばかりの回復魔法だった。 特に霊夢からの文句は止まらない。それは、最初はダメな部分を挙げていた魅魔も、取り成すよう動かなければならないくらいのものだった。 さあ、そろ
「あー。駄目ね。本気になって私の真似事を始めたのは面白いけれど、その前に萃香のあんなに雑な攻撃をグレイズさせるなんて、魔梨沙らしくない」 「あら、身体に掠めることすらいけないなんて、厳しいお師匠様ね」 「当たり前よ。あれでも魔梨沙は人の子。
日は地平に沈みかけ、地は紅の力ない陽光に溢れている、そんな時間になって斜光よりなお紅の洋館からふわりと出かける影が二つ。 その内の一人、地下にて書を嗜むばかりいたためか、最近動かない大図書館という嬉しくもない二つ名を頂戴してしまったパチュリ
宴会当日。現在日は高く、夜中に予定しているそれまでまだまだ時間はあるが、言い出しっぺの魔梨沙は真面目にござを敷いたり霊夢と一緒に食べ物の吟味をしたりして、過ごしていた。 いよいよ増している妖気が邪魔だなあと思いつつ野菜を洗いながら、魔梨沙は
その系譜の大本であるとされる天稚彦や天探女まで辿るまでもなく、天邪鬼という存在は反逆する者であることが要であり本来捻くれている必要なんてなかった。 だが、実際のところ鬼人正邪は誰よりもへそ曲がり。白と言えば黒を語るし、正義を説けばその隣の悪
内にぐるぐると胸の内で回るような熱が燃えて仕方ない。そして、レミリアの顔は美酒によって酔ったかのように火照っていた。 どうにも、通常の状態ではない。だから、こんなに馬鹿げたことをするのだろうと、レミリアの冷静な部分は自分を推察する。しかし、
その姿を最初に発見したのは、当然のことながら、門番をしている紅美鈴であった。穏行もしていない人影を見逃すほど彼女は暢気ではなく、むしろ門番として優秀な方である。 しかし、美鈴は焦らず、むしろ迎えるために門から一歩前へと進んだ。空を飛んで、何
何かがおかしいと、気づいたのは何時の頃だっただろう。そもそも、最初からどこかおかしかったのかもしれない。何しろ、下戸のあたしが、宴会の主催を引き受けたことからして、変といえばそうだった。 もっとも、他に先導するようなメンバーが居なかったから
所は白玉楼に向かう階段。そこで八雲紫と博麗霊夢は向かい合っていた。いや、ただ二人は対面している訳ではない。その間には、無数の弾幕が行き交い、こと紫の張る弾幕は密に二人の隙間を支配している。 桜舞い散る中で、紫の弾幕は水色に緑色の小さなクナイ
アリス・マーガトロイドは緊張していた。それは、今日魔梨沙が来るからというそれだけの理由ではなく、自身に不備があるかどうか恐れているというだけでもない。両方が混ざって、アリスは混乱しているのだった。 着用している洋服のこのひらひらしたフリルが
じゃり、じゃりと箒が土を撫でる音がする。それは一つではない。あまり元気のない音色のものも含めて、合計五つ。そんな、地道な清掃の音が、白玉楼に響いていた。 それは、異変を起した二人と、解決をしに来た三人が、共になってとても大きな桜から散った花
その殆どを開かせた桜の樹は、花びらを散らせながら大いに咲き誇る。元々大きなその威容は桜色に埋まることでより迫力を増しているようだった。 いや、実際にその幹に篭められた力は薄くなった結界を越えて広がり始めている。封印のその殆どを解かれてしまっ
今年の冬は、酷く疲れるものであったと、銀髪のボブカットが特徴的な二刀を持つ庭師、魂魄妖夢は思う。 春度を持ってやって来た紅白の巫女に負け、弾幕ごっこでもう二度目の撃墜を味わいながら、薄れる意識の中彼女は一連の流れを振り返った。 妖夢は幻想郷
小説を書くというその最初の一歩を踏み出す部分までをお助けするために書いた文章となります。 得意不得意はやらずには分かりません。そして楽しいかどうかだって、体験なくては判断しにくいもの。 一度身軽に取り敢えず書いてみて欲しいと思う筆者の、あなたの背中を押すための記事です。
十六夜咲夜にとって、霧雨魔梨沙との関係は、ただの知り合いでしかない。いや、ただのというには複雑ではあるが、それでも個人の付き合いとしては決して深いものでないのは間違いなかった。 自身の主人であるレミリアいわく、フランドールの運命を変えてくれ
アリス・マーガトロイドは、魔界生まれで幻想郷在住の魔法使いである。そして、何より彼女が訪れる人里その他の場所では人形遣いとして有名であった。 何しろ、アリスは普段から日常的に幾多の人形を操り、それに身の回りの世話をさせたり、戦わせてみたり、
あたし、霧雨魔梨沙には苦手なものが結構ある。 結構、というのは多くて情けなく思われるかもしれないけれども仕方ない。色々なものに触れることで、苦手というのは増えていくものだから。そうあたしは思っている。 まあ、そんな苦手なものの一つとして、寒
冬が始まり、雪が降り出して幻想郷を白く染め始めた頃。霧の湖にて氷精チルノはその日、淡水に棲む人魚、わかさぎ姫と遊んでいた。 遊びと言ってもやっているのは弾幕ごっこ。もちろん、戦うことも相手を傷つけることも苦手なわかさぎ姫に合わせて、スペルカ
秋風が寒く吹き始めたその日、博麗神社でちょっとした騒ぎが起きた。それは霊夢にしたらよく神社に現われる二人が偶々顔を合わせたというだけに過ぎないが、本人たちにとっては一騒動であるようだ。 山の紅葉を味わいながら魔梨沙と霊夢が縁側で一緒に茶を飲
「うー。頭が痛いわー」 「全く、弾幕ごっことはいえフランドールに勝った人間が、酒気に負けて二日酔いに苦しんでいるなんてね」 「あたし、お酒にはよわいのー」 紅魔館の地下、大図書館にて、霧雨魔梨沙とパチュリー・ノーレッジは向い合って話していた
霧雨魔梨沙はある能力を持っている。 おかげで魔梨沙は強いのであると断ぜれば楽なのであろうが、実際にはそんなことはない。彼女はただ、元来持っている魔法使いとしての才能を狂信的なまでの努力で育て上げ、実践にて魔法を弾幕に使うことに慣れただけの人
紅く大きな満月の下、紅魔館の屋外には落下していく吸血鬼とそれを見送りながら肩で息を吐く紅白巫女の姿があった。 墜ちる中途で飛膜によって風を受けふわりと向きを変えテラスに足を付けて顔をあげた吸血鬼はレミリア・スカーレット。彼女は運命を操る程度
「月符「サイレントセレナ」」 「わ、いきなりねー」 箒に座しながら空を往く魔梨沙と泰然と浮かぶパチュリー。そんな二人が離れて頃合いといった直ぐに、パチュリーはスペルカードを宣言した。 今日は満月。月の力は頂点に近い。実の月は赤みを帯びている
紫色の長髪がトレードマークである七曜の魔女、パチュリー・ノーレッジにとって、紅魔館は家であった。ここ数年間でとみに広くなった、我が家である。 最初、この建物は変わり者の吸血鬼の館といった印象だった。しかし百年もの時を経て、自分のための図書館
魔梨沙は霊夢にも特に語っていないが、実は彼女は異変らしき事態に何度か立ち向かったことがある。 真っ赤な大学教授と戦ったり、何やら異世界の近くにいたフラワーマスターに挑んだり、魔法のメッカ魔界に行ってみたりと、実は魔梨沙は結構幻想的な体験をし
あたし霧雨魔【梨】沙は稗田の家の阿求ちゃんと同じように記憶を持って転生したものである。 魅魔様が言うには、正しくは事故で魂がくっついた憑依みたいなものらしいけれど、それでもあたしにとっては大差ないからと転生したのだと深い知り合いには簡単に説
東方旧作の『魔理沙』を【魔梨沙】という誤字を元に再設計、そして本来の魔理沙の姉と据えた二次創作です。 東方原作を沿ったお話となりますが、旧作を魔梨沙が通ってきたという設定から魅魔や幽香などにその影響があります。 古い作品故にキャラクターの設定、性格などが独自解釈である場合があります。
あたしにとって、世界はとても痛いものだった。 でも、同時にとても綺麗で温かいものでもあったのかな、とも思う。 生きることが大変なのっていうのは、あたしにとって普通のこと。 何時も息をするとぎゅっと胸の奥が痛むことみたいに、今も昨日もきっと明
この世の基調がテキストだとしても、読み流されていく文字であったとしても、それでも愛を示すことだけは可能だと、水野葵は考える。 奇跡は消えて、世界は滅んで、でも。 全て乗せたプレパラートから僅かに距離を引いてみれば、そこには絶望という名の慕情
「楠花ちゃん、今日も学校に来なかったなあ……」 時は百合と楠花が心通わせるようになるしばらく前。それこそ埼東ゆきが砕け散る頃合い程近くのこと。 光の芸術の如くに写実に欠けている存在であるところの日田百合は、随分と冷え込んできた帰り道をせかせ
楠の鬼というものは、元来群れるべき存在である。 根っこという物の先端が大概一つではないように、永き時間によってこの世界には幾つもの他世界から突き抜けた楠花の親戚が訪れる筈であった。 だが、今回楠が広がろうとするその前に世界の終わりは定まって
土川楠花は、天保の識者によって鬼と目された異世界の侵略生物の突端であり、当然のように人間ではない。 彼女が人間的であるのは、この世界の観測者が人間体をしていたからそれに倣っているだけ。 楠花のまるで角のような、本来根に当たる硬質な部分が人外
月野椿はここ最近困っていることが二つある。 まず一つは、TUKINOグループが主導している世界安堵計画の進捗状況について。 フォーラーに対する対処と、消えゆく彼らの行方の調査。そして残っている世界の安堵の三つを最優先として民間どころか国々を
世界が終わると知って、まず沸き起こる感情は何だろう。 多くの場合それは恐怖より喪失感ではないだろうか。そう月野椿は考える。 たとえ隣人を愛していなくても、見知った景色に愛着くらいは覚えるもの。 また、この世が己という主観の付属物であるならば
田所恒美は月野家のメイドさんである。それも、中々のベテランメイドだ。 彼女はメイド長としてもうすぐで33歳になる今も、年下メイドさん達に紛れて家事に全体の進捗管理に簡単な事務仕事等にと励んでいた。 ちょっと丈の短めスカートをひらひら、昨年ぎ
日田アヤメは知っている。我が姉日田百合はびっくりするくらいの鈍感だと。 まあ、毎日痛みに慣れて悼みつづけていれば、それは他の刺激を感じないのも自然かもしれないが、それにしたって百合は好悪に不感過ぎる。 好きだよ、でそっかとニコニコ。嘘でも嫌
お姉ちゃんしか居ないと、そう追い掛けてばかりの日田アヤメとて、自分の心はある程度理解している。 きっと、それはインプリンティングの成れの果て。熱にぐずつき汚れた、愛にしては汚い色をした想い。 姉に対する独占欲。それは、ひょっとしたら恋とすら
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実は私はあまり料理が得意ではありません。いえ、無能を自称しているだけはあって、そもそも大体が不出来ですが特に味見という行為が苦手過ぎてダメなのですよね。調理中は私の猫舌っぷりがしょちゅう邪魔しますし、そもそも味を他の人より薄く感じちゃってる...
私はエッチなことが苦手です。いえ、勿論そういったものが人々の繁殖に必要なことであるからには大いに推奨したいところではあるのですが、個人的にはちょっと恥ずかしすぎました。普段隠している部分を最も大事に、それでいて刺激的にハッスルするなんて、想...
私にはスーパーお金持ちな知り合いがいます。まあ、お金だけでなく殆どありとあらゆるものを保有している男ですが、そいつはでも随分と変わり者であって吝嗇家でもあるのですね。いや、けちというか、自分の目的には全部差し出せても、それ以外のことに無頓着...
私のお隣の埼東ゆきちゃんはポメラニアンのワンちゃんを飼っています。そして、私は一年ほど前から首狩りウサギのミリーちゃんを飼っているのですね。生の人参と採れたてのきゅうりを用いた冷や汁が大好物の、ふわふわ綿あめみたいな改造動物さんです。普通の...
なんだかイザナミだのテュポエウスだので拡張型人間や改造人間や魔法使いみたいなちょっと人間やめてる能力者が多い「錆色の~」シリーズ世界。まあ前世の私が読んでても誰が一番強いんだよ、いや、あんた強そうなのにここで負けるのかよとなっていたのですが...
私はこの世界の大本たるお話をテキスト方式で知っています。右も左も分かっていれば、横断歩道の確認も楽ちんであるのと同じように、私はだからこそ結構危ないこの「錆色の~」シリーズ世界を渡って来れたのでしょう。まあ、実のところは悪のトップをやってる...
この世界には【イザナミ】という組織があります。世間一般には正義の組織とされている、「錆色の~」シリーズ主役の海山宗二君が所属しているとある研究所を母体として発生した団体ですね。名前はあの国生みの【イザナミ】様から採ったのでしょう。随分大仰な...
私はこの世に生じる前、ずっと『ゴミ捨て場』を眺めていた。始められたのは、ミノタウロスの伝説と多少の混合があった私は、迷宮の主としての権能だって僅かに持っていたからのことである。だが、それを続けたのは私の意志だ。おかげで捨てるべき何もかもにだ...
あまり読者様方にこう言うのは自慢をしているようで気恥ずかしいのですが、実際私は前世そこそこの天才でした。一度勉強をすれば殆どを学びきりますし、以前の学びと結びつけるのだって得意な方で、強いて言うならば発展を望むのが少し苦手でしたね。むしろ、...
さて、私はこの世界の大本が読まれるためにあるひとつなぎであることを識っています。ならば、この二次派生的な世界、ひいては私も読まれていると考えるのが自然でしょう。ただどこが最初の切れ目なのか無知な私には分からないので、今日も再びに自己紹介を重...
単純で勧善懲悪な小説の世界にTS転生しちゃった主人公さんが、私全部知ってるよとうそぶきながらなんでか全体複雑にしっとりさせちゃうお話です!ギャグがメインの架空原作に入り込んだ原作ファンが織りなす原作ブレイクぶりをお楽しみ下さいー。
この世には昔『牛の首』という怪談があった。そして、それはもうない。何故なら、その怪談を聞いたもの全てがあまりの恐ろしさに直ぐ死んでしまうからだ。そして、私はそれそのもの。終わりと同義の存在だから、故に終末の今それを物語るために生まれてしまっ...
「……ほろ、ぶ……せ、かぃ」未熟にて生まれた私は、産声よりも先に必死になってこう伝えた。これで死んでしまっても本望だからと目も見えないままに発した私の『予言』は、しかし懸命に私を生かそうとする医療現場の人間たちの騒々しさにかき消されてしまう...
心とは金剛石のように頑なでなくても良い。別段飛沫すら含んだスポンジのように柔く感じたって構うまい。擦り切れて役に立たなくなるまでに使われるそのことにもし、愛があったのなら。蝶とはひどくぶよぶよとした腹を持つ生き物である。綺麗とされる色づきが...
どう読み上げようとも世界は終わる。なら、地平に立ってみようと彼女は決めました。これはどうあっても救われない神なし世の中での、ホラーの後に残った終末にて語られる愛のお話。
「ふぅ……」一人ぼっちには、ため息が似合う。だがキングの私がするようなことではないのに、と思いながらも止められなかったことが少女の疲れの証。本日はレース後の休養に充てられた日。平素はそこそこドライな自身のトレーナーにかけられた、今はまず身体...
硬質な材の廊下に降ろされるは、靴下に包まれた柔らかなつま先。よって特に忍んでおらずとも音も立てることなく彼女は残骸としたばかりの出入り口を背に進む。背負うコウモリの羽根が骨ばかりになっているとはいえ、空を行くことが出来る少女が階段へと伸ばす...
風はどこか冷たさを帯びていながら、日差しは熱そのもの。そんなこの頃の秋の天気のもとに、優駿ばかりがくつわではなく肩を並べて競い合う。炎天に長く伸びすぎたため刈られて整ったばかりの街路樹が風に撫でられざわめいた。良バ場で行われる9月20日、日...
「ウララ……起きて」「うう……――ちゃん。分かったよお……」柔らかで心地よい、ハスキーボイス。それを何時も明日の朝の楽しみにしながら少女は寝て、起きる。ぴこぴことピンクの耳はすぐ近くの彼女の心音をすら探ろうしているかのように動く。やがてここ...
百合は、町田百合ですぅ。ちょっと前までトップアイドルってのを目指してましたぁ。そして、ちょっと前になれたんですねぇ。らくしょー……ってわけじゃなくって結構頑張らなきゃだったのが悔しいですがぁ、でもなんとかなったのは嬉しかったですぅ。これで、...
メモ代わりにチョコザップで何をやったほうがいいか、というものを他ブログを参考に書いたものとのなります。 リンクを辿ってどうか参考ブログ様へと向かってみて下さい!
イクスは光彦の家、白河家の屋根裏に住み着いてる。 いや、以前見た光景を思い出すに、屋根裏にて大量の漫画本の隙間にて過ごしているといった方が正しいのかもしれない。 千の次の単位は、確か万だったよな。きっとそれくらいは漫画の数はあったろうし、何
先生。 それはここ幻想郷の人里において小さな寺子屋などを運営する教師達の呼称としてよく用いられているものだ。 そして、この頃新たに先生と呼ばれるようになったのは、稗田の家お抱えの賢者とされる上白沢慧音。 里の中程に新設された寺子屋にて彼女は
抜けるような蒼穹。自然こそがこの世の美しさのベーシック。だがある日、それはナンバーツーに堕した。 「よくないよねー」 世界に天井があることがつまらないというのは、一般人杉山ゆずだからこそ考えることだろうか。 いや、それとも彼女が天を射抜かん
アリス・マーガトロイドは魔界生まれの少女である。 そのため生まれつき魔法使いである彼女には、本来衣食住に対する意識は希薄であっても良い筈だった。 だが、神綺という魔界の神を手本にした彼女曰く子供達同士の相互扶助により大いに学んだアリスは心に
親知らず後に鼻から口まで空気の流れを感じたならばどうすべきか。 それに対してまずは対応医への相談を自分はお勧めいたします。 その理由、結論に至った流れを羅列しますので、どうか判断の一助にして下さい。
町田百合というのは最低値、いやそれこそマイナスから開始した小さき命である。 実親ならまだしも余所人が愛するには些か地獄的に過ぎていた子。 踏みしだかれるべき最低値、哀れまれるべき地獄の蓋はだがしかし。 『トップアイドルになるですぅ!』 地獄
ウマ娘達がその速さを競うということは、人が薄氷を渡ることと似ているのかもしれないと、彼は思った。 そもそも遅ければ氷の下に堕ちてしまうだろうし、そしてほんのちょっと力を入れすぎただけで氷は脆くも砕け散って足を取られてしまう。 最悪没した先に
前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。 今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔に
百合は、ひゅ、と緊張に喉からよく分からない音が出たことを感じた。 それが唐突に乱入し楽曲を中断させた招かれざる客に向けられた、数多の視線の物理的に迫る程の印象の圧力によるものであるのは、語るまでもない。 沈黙の中知らずぎゅ、っと握ったマイク
幼少の妄想。人を殺めかねない不安。崇め立てるべき神聖。 それらは妖怪、怪人、神等など。彼ら発生が空想信仰に依る者どもは、空から生まれた単一であるからこそ、多くが親愛など知らない。 だからその存在が絶対であろうがなかろうが、殆どを対面のみで済
紅美鈴というよく分からない妖怪は、出自を辿ると神獣へと行き着く。 ドラゴン、龍。大いなる自然の具現で、混沌たる力の根源。少し傾けば善となり、反対に向いてしまえば悪となる。そんな、茫漠とした上澄み。 そこから誕生したのが、紅美鈴という妖怪だっ
夢幻。それは、創造に至らぬ想像。とりとめもない、不確か。 夢は消えるもので、幻だってそれと同じ。だがしかし、強度が違うばかりで、ひょっとしたら現実もそれらと変わらないものではないか。 胡蝶の夢。邯鄲の夢。主体は果たしてゆらゆらと、思考を待っ
蝶よ花よの言葉はあれども、誠に野花の生は辛いもの。 日に灼かれて虫にたかられ、水を蓄えることすら難儀する。そもそも、身を委ねた地に命を預けることすら生半可な生き物であっては出来ないこと。 だが、それでも花は咲く。歪であっても汚れていようが、
「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」 独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。 逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。 彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、
全てに見上げられるためにある輝き。何よりも美しく刺激的な、一つ星の形象。 それを計る数字になど欠片の意味もなく、どこまでも幻想的なその決めつけにこそ価値があった。 曰く、最強。 別段三千世界にて比べあったことすらないというのに、その個体はそ
人において分かりやすい証というものは、名前と立場であるだろう。 こと現世においては名刺にでかでかと書かれた名前と所属により、その人を信頼する場合も往々にしてあった。 しかし、幻想に捨てられた際全て忘却してしまった少女には何も存在せず、故にサ
時を止めてしまえば止めた人だって動けない。 そう、時間を止めてしまえば従属する空間だって凍る。そんな中を泳げる人間なんて果たして存在するのだろうか。 勿論、ただの人がそんなことを可能にするのはきっと難しい。また、粒ごと固定された全てを退かす
その銀の少女が人里に現れたのは、酷く暗ったい夜も更けた頃合いであったようだ。 少女は、幻想郷では珍しくもない木造の家屋の間をきょろきょろと驚きに怯えながら歩いていたらしい。 酔いに酔った、問屋の番頭が赤ら顔で目抜き通りを歩んでいたところ、そ
彼女、〇〇は己が稀なる血の先祖返りであるということは知っていた。 それもそうであるだろう、こんなシルバーブロンドの自毛を生やした日本人なんて、他にはいない。祖父が厳しく話すのを聞くまでもなく、自分が他と違うことくらい分かっていた。 「でも、