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2023/10/13

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  • 第十八話 全てを忘れたとしても

    「うーん……」 本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。 そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。 その通り、ただ目で文字を拾う

  • 第二話 怪獣みたい

    これは、美という概念すらを換えてしまったあのホンモノの身近で彼女を慕っていた、一人の人間の本音。 十を超えた取材交渉により彼が得ることができた、一欠片。しかし晒されることすらなかった一つ。 「はぁ……」 久方ぶりに、雑誌記者皆賀片尾(みなが

  • 第一話 えいえいおー

    あたしは片桐朝茶子(あささこ)、っていう名前の女の子。 そこらにいるような普通の子だよ、って言えればいいのだけれど実際あたしは頭が悪ければ、運動だって苦手なダメダメなんだ。 勉強は、結構色々知ることが出来て楽しいなとは思うのだけれど、いざ答

  • うつくしさ極振りのアイドル生活・目次

    うつくしさ、それだけが何よりも現実離れしてしまっているおかしな少女の壊れたお話です。 片桐朝茶子。彼女は果たしてアイドルに留まることは出来るのでしょうか? 「じゃああたし、大きくなったらみんな仲良く●してあげる!」

  • それでも、私は走る

    「全治、二ヶ月か……何、してようかな」 若葉色の一重の患者着に身を包みながら、少女は先に聞いた医者の言葉を繰り返す。 随分と長く気絶していたらしい合間にがっしりと巻かれたギプスを装置で釣り上げられた、そんな身動きろくに取れない大げさな眼前の

  • 第四十三話

    その実力、まるで人でなしのようであるが、しかしその実霧雨魔梨沙は、魔法使いを気取った、ただの人間の少女である。 当然、人であるからには無理はきき辛い。優れた術にて補っているが、それでもベースはあくまで人の子。疲れを感じれば眠るし、手を伸ばし

  • 第四十二話

    そのあやかしの魔力は幻想を逸する。広がった白熱は、最早太陽球に届く。立ち昇った力をたちどころに呑み込むに、天空では足りない。 故に、死蝶ですら、あまりの力に溺れて消え入った。死を帯びてすら消え入らない精密な偽花の群れに溢れた空には、お化けが

  • 第四十一話

    魂魄集えば、その霊気は冷気を周囲に及ぼし凍えさせる。花吹雪は、その名前のまま鮮やかにも寒く。そんな、あまりに冷たい春の空は、一条の光線にて解けて温まる。 辺りは包まれ、余裕はあっとう間に消されていく。いたずらにそれが振り回されないのは、幽か

  • 第四十話

    花が開いて薫り飛ばせば、人に霊だけではなく、虫達も大わらわに飛び回るもの。彼らはぶんぶんと、自分達を上回る数の多色に目を奪われながら花弁の間を行ったり来たりして蜜を頂く。 そして、その身にどっしりと様々な花粉を纏った状態で、一輪から飛び立と

  • 第三十九話

    博麗霊夢は自分の持つ能力のことをよく、空を飛ぶ能力ね、と口にしている。それは何処までも正しい事実であるが、それだけでなく、彼女は博麗の巫女としての能力も確りと修めていた。 空を飛んで陰陽玉を操り、御札と針を持ってして弾幕戦を行う。脇が甘いと

  • 第三十八話

    魔梨沙が夢幻館から戻り、自宅で傷ついた身体を薬草と休息で回復させていた、その頃。 幻想郷の空遥か高く。何故か一部破られたまま未だに直されていない幽明結界の前にて、多量の幽霊が溢れていた。 その中心にて、踊っている少女が一人。彼女の着物の薄青

  • 第三十七話

    「花に三春の約ありというけれど……夏秋冬の分まで咲くのは行き過ぎだわー。やっぱりコレは、幽香の仕業かしら」 春が来て、幻想郷は正に花盛り。しかしそれも随分と過剰過ぎるものがあった。 桜が咲くのはいいだろう。満開のそれらは、風に揺られ宙にて春

  • 第三十六話

    夜闇の中に星々は輝く。吸い込まれるように暗い背景は、遠い星の光を際立たせて、疎らな美しい点描を生む。天球はまるで光と闇が、夜空のキャンバスの中で彩りを競い合っているかのようだ。 しかし、実際は数えきれないほどの星々の輝きが闇に食まれていて、

  • 第三十五話

    山風冷たく吐息も地面も白く染まる、幻想郷の冬。寒さ深まる中で、更には夜の帳が下りた今となっては、外にて騒ぐものなどねぐらのない妖怪妖精くらいのもの。 人里離れようがそうでなかろうが、大衆の集まる居酒屋などでない限り、人々は家屋の中にて硬く扉

  • 第三十四話

    「ふぅ。これでお終いですね……」 「お疲れ様ー。イナバ? それとも優曇華? 鈴仙の方がいいかしら?」 「ええと、魔梨沙様……出来るなら私のことは鈴仙と呼んで下さい」 「分かったわー。これからは鈴仙って呼ぶから、あたしのことも様付けは止めてそ

  • 第三十三話

    蓬莱山輝夜にとって、この永い夜は非常に刺激的だった。それこそ、永遠の魔法をかけて停めてしまいたいくらいに、素晴らしいものと思えてならないものだ。 この夜の始まった頃はそれほどの感慨を抱いていなかったと輝夜は記憶している。来るかもしれない妖怪

  • 第三十二話

    永遠亭に侵入した魔梨沙は、沢山の妖精たちの歓迎を受け入れつつ、撃つ星弾のように真っ直ぐ先へと急いだ。 そして、魔梨沙が今日のために空間が改造されていたのか長く一直線な廊下を進んでくと、正面を襖扉が邪魔をしたために、そこを開けて先へと進もうと

  • 第三十一話

    僅かに欠けているとはいえ明るい満月によって、互いの表情すらよく見える中で、蓬莱山輝夜と霧雨魔梨沙は自前の紅の瞳を持って見つめ合う。 魔法使いのイメージそのままの魔梨沙の姿を、千年以上迷いの竹林から外に出ていない輝夜はその統一感から地上の民の

  • 第三十話

    蓬莱人である藤原妹紅は、老いる事も死ぬ事もない程度の能力を持つ存在である。 彼女も人の枠にあるため肉体を持っているが、それが滅びようともその生に関係はなく、蓬莱の薬を飲んで本体と成った魂によって幾らでも肉体を再構築させられるため、結果的に不

  • 第二十九話

    迷いの竹林の中、永遠亭の近くを棲家とする妖怪兎達は、大いに騒いでいた。 何時も飛んで跳ねて、時に餅をついたりする、そんな暢気な妖獣たちはそのよく伸びた感覚器によって、強力な妖怪と人間、そして恐ろしい幽霊と半分人間の存在をいち早く知り、怯えた

  • 第二十八話

    上白沢慧音は、今回の異変に対して、過分とすらいえるほどの対策を講じている。 不完全な月の下、不完全な力のままに、しかし慧音は人里を守るためにと奔走した。今回の異変の恐ろしさを主要な里の人間に説き、彼女は一夜だけならと人里を【なかったこと】に

  • 第二十七話

    あたし、霧雨魔梨沙は、星が好きである。まず、大本の距離や大きさは違えども、夜を明るくしすぎないくらいに天を賑やかせているその有り様が素敵だ。 色とりどりに、瞬いたりして、決して大きくないその存在は自己を主張する。それが集まる天の川なんて、つ

  • 第二十六話

    照りつける強い陽光に、湿度の高い空気が相まって、止まらぬ汗は長々と垂れて頬を伝う。幾ら帽子を被って日差しを避けていても、熱された地面と近くあればその身の温度は上がっていく。 これはたまらないと、星柄の綺麗なガラス製で、しかし保温保冷機能は外

  • 第二十五話

    霧雨魔梨沙の家は、純和風の造りである。人里の大工に作らせたのだから、そうなるのも当たり前なのかもしれないが、和風建築に魔女が住むというのはミスマッチではあった。 一人で住むのだからと、二階建てにすることにすら難色を示した魔梨沙だったが、それ

  • 第二十四話

    鬼退治を終え、スキマから出てきた魔梨沙にかけられたのは、沢山の叱咤とおまけばかりの回復魔法だった。 特に霊夢からの文句は止まらない。それは、最初はダメな部分を挙げていた魅魔も、取り成すよう動かなければならないくらいのものだった。 さあ、そろ

  • 第二十三話

    「あー。駄目ね。本気になって私の真似事を始めたのは面白いけれど、その前に萃香のあんなに雑な攻撃をグレイズさせるなんて、魔梨沙らしくない」 「あら、身体に掠めることすらいけないなんて、厳しいお師匠様ね」 「当たり前よ。あれでも魔梨沙は人の子。

  • 第二十二話

    日は地平に沈みかけ、地は紅の力ない陽光に溢れている、そんな時間になって斜光よりなお紅の洋館からふわりと出かける影が二つ。 その内の一人、地下にて書を嗜むばかりいたためか、最近動かない大図書館という嬉しくもない二つ名を頂戴してしまったパチュリ

  • 第二十一話

    宴会当日。現在日は高く、夜中に予定しているそれまでまだまだ時間はあるが、言い出しっぺの魔梨沙は真面目にござを敷いたり霊夢と一緒に食べ物の吟味をしたりして、過ごしていた。 いよいよ増している妖気が邪魔だなあと思いつつ野菜を洗いながら、魔梨沙は

  • 第二十話 天邪鬼に優しくされてみた

    その系譜の大本であるとされる天稚彦や天探女まで辿るまでもなく、天邪鬼という存在は反逆する者であることが要であり本来捻くれている必要なんてなかった。 だが、実際のところ鬼人正邪は誰よりもへそ曲がり。白と言えば黒を語るし、正義を説けばその隣の悪

  • 第二十話

    内にぐるぐると胸の内で回るような熱が燃えて仕方ない。そして、レミリアの顔は美酒によって酔ったかのように火照っていた。 どうにも、通常の状態ではない。だから、こんなに馬鹿げたことをするのだろうと、レミリアの冷静な部分は自分を推察する。しかし、

  • 第十九話

    その姿を最初に発見したのは、当然のことながら、門番をしている紅美鈴であった。穏行もしていない人影を見逃すほど彼女は暢気ではなく、むしろ門番として優秀な方である。 しかし、美鈴は焦らず、むしろ迎えるために門から一歩前へと進んだ。空を飛んで、何

  • 第十八話

    何かがおかしいと、気づいたのは何時の頃だっただろう。そもそも、最初からどこかおかしかったのかもしれない。何しろ、下戸のあたしが、宴会の主催を引き受けたことからして、変といえばそうだった。 もっとも、他に先導するようなメンバーが居なかったから

  • 第十七話

    所は白玉楼に向かう階段。そこで八雲紫と博麗霊夢は向かい合っていた。いや、ただ二人は対面している訳ではない。その間には、無数の弾幕が行き交い、こと紫の張る弾幕は密に二人の隙間を支配している。 桜舞い散る中で、紫の弾幕は水色に緑色の小さなクナイ

  • 第十六話

    アリス・マーガトロイドは緊張していた。それは、今日魔梨沙が来るからというそれだけの理由ではなく、自身に不備があるかどうか恐れているというだけでもない。両方が混ざって、アリスは混乱しているのだった。 着用している洋服のこのひらひらしたフリルが

  • 第十五話

    じゃり、じゃりと箒が土を撫でる音がする。それは一つではない。あまり元気のない音色のものも含めて、合計五つ。そんな、地道な清掃の音が、白玉楼に響いていた。 それは、異変を起した二人と、解決をしに来た三人が、共になってとても大きな桜から散った花

  • 第十四話

    その殆どを開かせた桜の樹は、花びらを散らせながら大いに咲き誇る。元々大きなその威容は桜色に埋まることでより迫力を増しているようだった。 いや、実際にその幹に篭められた力は薄くなった結界を越えて広がり始めている。封印のその殆どを解かれてしまっ

  • 第十三話

    今年の冬は、酷く疲れるものであったと、銀髪のボブカットが特徴的な二刀を持つ庭師、魂魄妖夢は思う。 春度を持ってやって来た紅白の巫女に負け、弾幕ごっこでもう二度目の撃墜を味わいながら、薄れる意識の中彼女は一連の流れを振り返った。 妖夢は幻想郷

  • 【小説】茶蕎麦が考える最低限の小説の書き『はじめ』方

    小説を書くというその最初の一歩を踏み出す部分までをお助けするために書いた文章となります。 得意不得意はやらずには分かりません。そして楽しいかどうかだって、体験なくては判断しにくいもの。 一度身軽に取り敢えず書いてみて欲しいと思う筆者の、あなたの背中を押すための記事です。

  • 第十二話

    十六夜咲夜にとって、霧雨魔梨沙との関係は、ただの知り合いでしかない。いや、ただのというには複雑ではあるが、それでも個人の付き合いとしては決して深いものでないのは間違いなかった。 自身の主人であるレミリアいわく、フランドールの運命を変えてくれ

  • 第十一話

    アリス・マーガトロイドは、魔界生まれで幻想郷在住の魔法使いである。そして、何より彼女が訪れる人里その他の場所では人形遣いとして有名であった。 何しろ、アリスは普段から日常的に幾多の人形を操り、それに身の回りの世話をさせたり、戦わせてみたり、

  • 第十話

    あたし、霧雨魔梨沙には苦手なものが結構ある。 結構、というのは多くて情けなく思われるかもしれないけれども仕方ない。色々なものに触れることで、苦手というのは増えていくものだから。そうあたしは思っている。 まあ、そんな苦手なものの一つとして、寒

  • 第九話

    冬が始まり、雪が降り出して幻想郷を白く染め始めた頃。霧の湖にて氷精チルノはその日、淡水に棲む人魚、わかさぎ姫と遊んでいた。 遊びと言ってもやっているのは弾幕ごっこ。もちろん、戦うことも相手を傷つけることも苦手なわかさぎ姫に合わせて、スペルカ

  • 第八話

    秋風が寒く吹き始めたその日、博麗神社でちょっとした騒ぎが起きた。それは霊夢にしたらよく神社に現われる二人が偶々顔を合わせたというだけに過ぎないが、本人たちにとっては一騒動であるようだ。 山の紅葉を味わいながら魔梨沙と霊夢が縁側で一緒に茶を飲

  • 第七話

    「うー。頭が痛いわー」 「全く、弾幕ごっことはいえフランドールに勝った人間が、酒気に負けて二日酔いに苦しんでいるなんてね」 「あたし、お酒にはよわいのー」 紅魔館の地下、大図書館にて、霧雨魔梨沙とパチュリー・ノーレッジは向い合って話していた

  • 第六話

    霧雨魔梨沙はある能力を持っている。 おかげで魔梨沙は強いのであると断ぜれば楽なのであろうが、実際にはそんなことはない。彼女はただ、元来持っている魔法使いとしての才能を狂信的なまでの努力で育て上げ、実践にて魔法を弾幕に使うことに慣れただけの人

  • 第五話

    紅く大きな満月の下、紅魔館の屋外には落下していく吸血鬼とそれを見送りながら肩で息を吐く紅白巫女の姿があった。 墜ちる中途で飛膜によって風を受けふわりと向きを変えテラスに足を付けて顔をあげた吸血鬼はレミリア・スカーレット。彼女は運命を操る程度

  • 第四話

    「月符「サイレントセレナ」」 「わ、いきなりねー」 箒に座しながら空を往く魔梨沙と泰然と浮かぶパチュリー。そんな二人が離れて頃合いといった直ぐに、パチュリーはスペルカードを宣言した。 今日は満月。月の力は頂点に近い。実の月は赤みを帯びている

  • 第三話

    紫色の長髪がトレードマークである七曜の魔女、パチュリー・ノーレッジにとって、紅魔館は家であった。ここ数年間でとみに広くなった、我が家である。 最初、この建物は変わり者の吸血鬼の館といった印象だった。しかし百年もの時を経て、自分のための図書館

  • 第二話

    魔梨沙は霊夢にも特に語っていないが、実は彼女は異変らしき事態に何度か立ち向かったことがある。 真っ赤な大学教授と戦ったり、何やら異世界の近くにいたフラワーマスターに挑んだり、魔法のメッカ魔界に行ってみたりと、実は魔梨沙は結構幻想的な体験をし

  • 第一話

    あたし霧雨魔【梨】沙は稗田の家の阿求ちゃんと同じように記憶を持って転生したものである。 魅魔様が言うには、正しくは事故で魂がくっついた憑依みたいなものらしいけれど、それでもあたしにとっては大差ないからと転生したのだと深い知り合いには簡単に説

  • 霧雨魔梨沙の幻想郷・目次

    東方旧作の『魔理沙』を【魔梨沙】という誤字を元に再設計、そして本来の魔理沙の姉と据えた二次創作です。 東方原作を沿ったお話となりますが、旧作を魔梨沙が通ってきたという設定から魅魔や幽香などにその影響があります。 古い作品故にキャラクターの設定、性格などが独自解釈である場合があります。

  • ルート8 佳日の無垢 日田百合①

    あたしにとって、世界はとても痛いものだった。 でも、同時にとても綺麗で温かいものでもあったのかな、とも思う。 生きることが大変なのっていうのは、あたしにとって普通のこと。 何時も息をするとぎゅっと胸の奥が痛むことみたいに、今も昨日もきっと明

  • ルート7 水月の大望 水野葵

    この世の基調がテキストだとしても、読み流されていく文字であったとしても、それでも愛を示すことだけは可能だと、水野葵は考える。 奇跡は消えて、世界は滅んで、でも。 全て乗せたプレパラートから僅かに距離を引いてみれば、そこには絶望という名の慕情

  • ルート6 浄土の芳香 土川楠花(なか)③

    「楠花ちゃん、今日も学校に来なかったなあ……」 時は百合と楠花が心通わせるようになるしばらく前。それこそ埼東ゆきが砕け散る頃合い程近くのこと。 光の芸術の如くに写実に欠けている存在であるところの日田百合は、随分と冷え込んできた帰り道をせかせ

  • ルート6 浄土の芳香 土川楠花(なか)②

    楠の鬼というものは、元来群れるべき存在である。 根っこという物の先端が大概一つではないように、永き時間によってこの世界には幾つもの他世界から突き抜けた楠花の親戚が訪れる筈であった。 だが、今回楠が広がろうとするその前に世界の終わりは定まって

  • ルート6 浄土の芳香 土川楠花(なか)①

    土川楠花は、天保の識者によって鬼と目された異世界の侵略生物の突端であり、当然のように人間ではない。 彼女が人間的であるのは、この世界の観測者が人間体をしていたからそれに倣っているだけ。 楠花のまるで角のような、本来根に当たる硬質な部分が人外

  • ルート5 新月の誇り 月野椿③

    月野椿はここ最近困っていることが二つある。 まず一つは、TUKINOグループが主導している世界安堵計画の進捗状況について。 フォーラーに対する対処と、消えゆく彼らの行方の調査。そして残っている世界の安堵の三つを最優先として民間どころか国々を

  • ルート5 新月の誇り 月野椿②

    世界が終わると知って、まず沸き起こる感情は何だろう。 多くの場合それは恐怖より喪失感ではないだろうか。そう月野椿は考える。 たとえ隣人を愛していなくても、見知った景色に愛着くらいは覚えるもの。 また、この世が己という主観の付属物であるならば

  • ルート5 新月の誇り 月野椿①

    田所恒美は月野家のメイドさんである。それも、中々のベテランメイドだ。 彼女はメイド長としてもうすぐで33歳になる今も、年下メイドさん達に紛れて家事に全体の進捗管理に簡単な事務仕事等にと励んでいた。 ちょっと丈の短めスカートをひらひら、昨年ぎ

  • ルート4 佳日の希望 日田アヤメ③

    日田アヤメは知っている。我が姉日田百合はびっくりするくらいの鈍感だと。 まあ、毎日痛みに慣れて悼みつづけていれば、それは他の刺激を感じないのも自然かもしれないが、それにしたって百合は好悪に不感過ぎる。 好きだよ、でそっかとニコニコ。嘘でも嫌

  • ルート4 佳日の希望 日田アヤメ②

    お姉ちゃんしか居ないと、そう追い掛けてばかりの日田アヤメとて、自分の心はある程度理解している。 きっと、それはインプリンティングの成れの果て。熱にぐずつき汚れた、愛にしては汚い色をした想い。 姉に対する独占欲。それは、ひょっとしたら恋とすら

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