�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・32
【関係についての感情】 《要約》 ・ここまで述べてきたのは、一・二人称的な世界で起きる感情である。怒りも、恐れも、慈しみの感情も、「わたし」と「あなた」の間で起きるものである。しかし、感情が分化してくると、当事者の間で起きるもの以外にも多く
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・31
【顔のない人々】 《要約》 ・ヒトという種は、他の動物にはないいくつかの表情を生み出した。その代表格が、笑顔によって表される感情である。「裸のサル」(角川文庫)の著者として有名なデズモンド・モリスは、笑顔の起源は泣き顔であり、微笑は、怒りや
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・30
《第7章 自閉症の感情世界》 【表情の謎】 《要約》 ・彼らの顔からは表情が消失していることが多い。また、彼らは他の人々の表情も捉えていないようである。 ・捉えどころのない自閉症者の表情の裏にはどのような感情が動いているのか、本章では、この
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・29
【M君のスケジュール帳】 《要約》 ・自閉症児が外部世界の動きを壁にかけられた時計やカレンダーと関連させるようになると、こころの中でのそれらの意味は健常者の場合よりもずっと重要なものになるようである。彼らは、それによって現在の時刻を知るばか
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・28
《第6章 自閉症の時間世界》 《要約》 【時の遠近感覚の謎】 ・自閉症者は、私たちと同じような時の遠近感覚をもっているのだろうか。 ・自閉症者は、私たちとは異なる記憶世界を生きているようである。ということは、過去・現在・未来を対照しながらつ
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・27
【質問しない子ども】 《要約》 ・健常者と自閉症者には、記憶方法に違いが見られるが、その結果、脳に貯えられる知識の世界はかなり違ったものとなるに違いない。 ・健常者は、互いに似たような対象に注目し、似たような方法で記憶していくから、知的な財
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・26
【知能構造のアンバランス】 《要約》 ・自閉症児のWISCの結果から第一に言えることは、空間的な認知に係わる課題の成績が良いことである。動作性検査の中の「積木模様」「組み合わせ問題」「迷路問題」は、空間的な認知や構成力を要する課題だが、標準
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・25
【文字言語の世界】 《要約》 ・(音声言語を獲得するためには)音と状況の同時進行的な世界を見守り、関連づけないと理解されない。これは非常にむずかしいことであり、健常な子どもでも、初期の言語発達には時間がかかるのである。自閉症児の注意の状態は
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・24
《第5章 自閉症の記憶世界》 《要約》 【視線の謎】 ・うつろな、あるいは遠くを見ているような自閉症者の視線は、いったい何を写し取っているいるのだろう。そして、何を記憶世界に送り込んでいるのだろうか。 ・本章では、自閉症者に観察される記憶の
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・23
《なぜオウム返しをするのか》 《要約》 ・自閉症児が「オウム返し」をするわけを知るには、言語の問題の中だけで考えず、行動の問題に戻って考えてみる必要がある。 ・自閉症児には行動プログラムを立てる力があまり育っていない。ゴールを自分で定め、道
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・22
【なぜ遊べないのか】 《要約》 ・自閉症児は、言葉をその意味と結びつけるうえでもトラブルを起こしやすい。このことは、自閉症児がうまく遊べないことと深く係わっている ・砂場遊びでは、砂をご飯に「見立てる」、ごっこ遊びでは、「お父さん」「お母さ
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・21
【出来事の基本構造】 《要約》 ・出来事を表すのに必要な動詞や助詞の役割をうまく説明している文法理論がある。(フィルモアが提案した「格文法理論」)この理論にもとづいて、認知心理学者リンゼイとノーマンは出来事の構造を図式的に表現している。(ノ
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・20
【言語の階層構造】 《要約》 ・絵カードを使っておこなった研究の結果から言えることは、知能障害児も健常幼児も、大ざっぱなレベルでは0、文の表す内容を正しくつかんでいるらしいことである。これに対して自閉症児は名詞、動詞、助詞など、多くの単語を
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・19
【物から出来事へ】 《要約》 ・周囲の世界ががらりと変わるときがある。それは、目の前で何かが起きたときである。「ツミキ・オチチャッタ」、二歳児の口からこんな言葉が発せられることがよくある。 ・積木はまだ視界の中にあるけれども、「机の上の積木
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・18
【指さしから言葉へ】 《要約》 ・人の子どもは一歳から二歳までの間、いったい何をしているのだろう。その間に、もしくはそれに先立つ時期から、子どもは言葉以外のコミュニケーション手段をさかんに使うようになっている。その代表というものが指さしであ
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・17
《第4章 自閉症の言語世界》 《要約》 【オウム返しの謎】 ・自閉症児の言語は、彼らの行動と同じように捉えどころがない。けれども、「言語行動」という言葉があるように、言語を使うのも行動の一種なのであり、外部環境に働きかけたり取り込んだりする
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・16
【身体に現れた症状】 《要約》 ・自閉症者は行動のプログラムの立て方に問題があり、その結果、(略)長時間固定した姿勢を保ったり、歩行を続けたりすることができなくなる。その状態が10年、20年と積み重ねられているうちには、身体を動かしたり支え
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・15
【遊べない子ども】 《要約》 ・子どもは、早くから所有欲をもち、長い期間、他者とのぶつかり合いを経験して、充分自我を育てた後、三歳を過ぎた頃から他児との歩調を合わせて共同遊びができるようになる。それは、共感の世界が芽生える時期で、「こころの
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・14
【こころの理論】 《要約》 ・人のこころの内側を想像しながら行動することは、自閉症者にとって非常にむずかしいことなのである。 ・私たちは、たえず他人のこころの内側まで判断しながら行動している。つまり、こころの法則のようなものに気づいていて、
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・13
【カード分類テスト】 《要約》 ・自閉症児は、状況と関連させながら行動を進めることができない。一度プログラムを手にしてしまうと、それを変更しようとしない。また、微妙な感情のレベルで障害が見られる。 ・自閉症児の振る舞いを見ていると、前頭前野
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・12
【大脳の三つのブロック】 《要約》 ・第1ブロックは脳幹、視床下部、大脳辺縁系を含む領域で、欲望や感情に関係するだけでなく、大脳皮質の興奮水準を調節している。第2ブロックは、大脳皮質、すなわち頭頂葉(筋肉感覚と触覚刺激の入力)、側頭葉(聴覚
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・11
【状況・行動規制】 《要約》 ・どのようなときには何をしなければならないか。人間も含めてすべての動物の脳にはおのことについての無数のルールが組み込まれている。雨が降れば傘をさすし、部屋に入るにはドアを開ける。つまり、状況が行動を生み出す。
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・10
《第3章 自閉症の行動世界》 《要約》 【行き先についての謎】 ・自閉症者の動きは特有である。一挙手一投足がどこか私たちとは違う。違うことはわかるが、どのように違うかは実はよくわかっていない。彼らは、私たちの目の前を横切り、どこにいこうとし
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・9
【認知の革命】 《要約》 ◆前操作期・・・2歳→6歳 ◆具体的操作期・・・6歳→12歳 ◆形式的操作期・・・12歳→ このモデルは、人間が人生の初期であればあるほど、急勾配の坂を駆け上がりながら認知構造の変革
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・8
【「私」の芽生え】 《要約》 ・外部の世界に手ごたえを感じ始めた幼児が用いるのは、言葉だけではない。言葉の獲得期に言葉よりもはるかに高頻度に用いられるのが、指さしである。 ・この指さしの現れも、自閉症児の場合、非常に遅いのである。「指さし行
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・7
【「私」の芽生え】 《要約》 ・外部の世界に手ごたえを感じ始めた幼児が用いるのは、言葉だけではない。言葉の獲得期に言葉よりもはるかに高頻度に用いられるのが、指さしである。 ・この指さしの現れも、自閉症児の場合、非常に遅いのである。「指さし行
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・6
【生後1年間の謎】 《要約》 ・人間は、脳の設計思想から。また「生後1年間に及ぶ無力な状態」から、自閉症になる「可能性」をもっている。 ・ヒトの胎児は、大きな脳をもった自分自身を胎内に収めるために、他のすべての器官の発達を最小限に抑えなけれ
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・5
【脳の設計思想】 《要約》 ・ヒトの脳の各部位は、一般に、�脳幹、�視床下部、�大脳辺縁系、�大脳皮質、�前頭葉という名称で表されているが、米国の生理学者ポール・マクリーンは、進化という観点から、�爬虫類脳、�古哺乳類脳、�新哺乳類脳という
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�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
� スキンシップでかかわる 「スキンシップ(和製英語: skin-ship)は、母親と子供を始めとする家族関係にある者や、ごく親しい友人同士が抱きしめ合ったり手を握り合う、あるいは頬ずりするなど身体や肌の一部を触れ合わせることにより互い
� 「物のやりとり」をする。 乳児期、辺りにある物を手にとって渡す、「ありがとう」とこちらが喜ぶと、また手渡す。こちらが「もういいよ」と言っても、さらに手渡す。今度は、こちらがお菓子を手渡すと「アンガト」などと言って受け取る。「モット」「チ
⑷ 相手との「接し方」・� これからが、いよいよ正念場である。 まず初めに、相手とこちらの関係を見直し(振り返り)、《機は熟しているか》を判断することが大切である。�相手はこちらを見るか、�近づいて来るか、�視線を合わせる
�相手からの「働きかけ」に応える 子どもが激しく泣いている。そんな場面はどこでも見られるが、親にとってはあまり嬉しくない出来事かもしれない。何か異変が起きたのかと心配することは当然である。しかし、思いあたることがないのに泣いている。しか
�相手のマネをする。 マネをすることは、古くは「まねぶ」であり「まなぶ(学ぶ)」の語源であるとも言われている。したがって学習は《マネをする》ことから始まる。親と子ども、教員と子ども、という関係の中で《マネをする》のは子どもの側である、と
⑶ 相手との「接し方」・� �相手に働きかけない まず、相手と「同じ場所」「同じ時間」を共にする。つまり「相手と一緒にいる」ことから始める。「できるだけ長い時間、一緒にいる」ことが大切である。そのためには「寝食を共にする」こ
3.方法 ⑴ 調べる まず相手の「出生から現在まで」の《生育史》を「知る」必要がある。こちらの立場が「親」ならば、調べるまでもなく熟知している事柄であろう。・胎生期の状態・出生時の状態(時期、分娩の様子、産声の有無)・新生児期
2.こちらの心構え 「自閉症(スペクトラム)」と呼ばれる子どもや成人たちと「接し」、「かかわる」際の《心構え》について、いくつか述べたい。 ⑴ 相手を「自閉症」だと思わない。 相手を理解することは、「接し」「かかわる」際に、
◆はじめに 現状では「自閉症は治らない」ということが通説になっている。自閉症の原因は「脳の機能障害」だと《推定》されている。「親の育て方」が原因だと思われた時期もあったが、今、はっきり「それは誤りだ」と《断定》されている。 私自身も35
【あとがき】 現代では「哺乳びん」「紙オムツ」「ベビーカー」が育児の《三点セット》になっているようである。親にとっては、甚だ「都合のよい」便利で合理的な用品に違いない。しかし、育児は、それらに頼れるほど《便利》《安直》にできるものではない
⑷ 「自閉症児」(と呼ばれる子ども)の育児は、まず何を措いても、この「対人関係」に注目し、いつでも、どこでも、完全に「できる」ようになるまで、繰り返し「続ける」ことが肝要である。その具体的方法について、『言語発達の臨床第1集』(
⑶ (5歳頃までの)「自閉症児」(と呼ばれている子ども)の実態を「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表」(九州大学小児科改訂版)」(遠城寺宗徳・慶應義塾大学出版会・1977年)で評価すると、子どもによって千差万別の違いがあるが、《「
⑵ 子どもは、「学習」を通して成長・発達する。「学習」とは「学ぶ」ことであり、「学ぶ」とは「真似る」ことから始まる。子どもは生後間もなく《親》と出会い、その《親》とのかかわりを通して、《親》の言動を「真似る」ことによって、成長・
4 いくつかの留意点・(1) 子どもが「自閉症児と呼ばれる」ようになるのは、通説では「自閉性障害のの基本的特徴は3歳位までに表れる」とあるので、早くて1歳半健診時、遅くて3歳児健診の頃であろう。したがって、その「疑い」もしくは「断定」を受
12 「自閉症児」の育て方・10・《まとめ》 「2 基本的な考え方」で述べたように、「自閉症」の《本態》は「人に関する関心・反応が乏しい」という一点に絞られる。したがって、「自閉症児」の《育て方》も、その一点、すなわち「人に対する関心・反
11 「自閉症児」の育て方・9・《「動作」のやりとり》 乳幼児は、これまでに述べた「泣くことによって人を呼ぶ」「笑顔のやりとり」「表情のやりとり」「声のやりとり」などを土台として、あるいは《それに伴って》「動作」のやりとりができるようにな
10 「自閉症児」の育て方・8・《「物」のやりとり》 「物」のやりとりをするためには、以下のようなレディネス(土台)が必要条件である。�触れた物を握っている(1か月)、�手を開いたり閉じたりする(1か月)、�手を口のもっていってしゃぶる(
9 「自閉症児」の育て方・7・《「声」のやりとり》 生後1か月頃になると、乳児は「泣く」とき以外にも「声」を出すようになる。授乳後、満足して、気分がいいときなど、「アー、ウー」「オックン」など、いかにも「話をしている」様子に見受けられる。
8 「自閉症児」の育て方・6・《「表情」のやりとり》 「笑顔」は表情の一つだが、それ以外にも「泣き顔」「怖い顔」「驚いた顔」「変な顔」「寂しそうな顔」「悲しそうな顔」「浮かない顔」等々、人間の表情は「千変万化」する。また「表情一つ変えない
《第十一章 情緒障害各論》【要約】《一 日常生活と情緒障害 ・・諺を中心として・・》・われわれは、日常生活において、一過性ではあるが情緒障害を起こすことがよくある。・自分の心の中で、もっともコントロールしにくいのが情緒である。だから、情緒を
《第十章 教育と情緒障害》【要約】・ここでは、教育と情緒障害の問題を要約し、学業不振の問題について考えたい。・現在の教育を成立させている基本的な理念、考え方の誤謬を情緒障害の立場から論じる。一教師、一学校の問題ではない。教育行政の問題でもな
《二 情緒の変容を利用する》【要約】⑴自消作用を利用すること・情緒の変容は、ある種の情緒の発動を自ら消す効果をもっている。◎ぐち:ぐちは一種の甘えであって退行の一種と考えられるが、一種のカタルシスが起こって、ある程度の不愉快な感
《第九章 情緒障害の予防(精神衛生)》【要約】・要するに、C領域を成長することに成功すれば、かなりの情緒障害は防げるはずである。《一 C領域を成長させる》⑴経験を豊富にすることである。・C領域を育てるということは、情緒的な体験を
《三 情緒障害のメカニズム》・「情緒をとりまく心の構造図」(A領域=生理・心理的な領域、B領域=欲求・情緒、C領域=意欲・情操、D領域=知識・「情緒障害」のメカニズムを一言でいうなら「C領域が十分に成長していない状態である」といえる。・C領
《二 情緒障害の定義》◎情緒障害とは「情緒の現れ方の歪曲」である。・「現れ方」は、厳密には「情緒の動き方」「発動のしかた」という表現の方がよいかもしれない。・「歪曲」とは、次のような「動き方」を代表させた表現である。⑴普通一般の
《第八章 情緒障害の構造》《一 情緒障害はふえてゆく》【要約】・現代人のD領域は、社外の渉外的なことにのみ専念している社長のようなものである。自分の本来の仕事である部下や社員を調整したり指導したり、リードしたりする役割を捨ててしまった。した
《七 攻撃》【要約】・外からの刺激を受けて、自らの心情の中に、ある種の曲折が起こり、その結果としてそれらのものが表出される。そのことによって、自らの情緒的な不安定感・不快をいやそうとするメカニズムである。代償行為と合理化は、その表出される段
《四 合理化》【要約】・代償行動のかわりに、いかにも合理的・論理的な言葉で、自分の不愉快さを避けようとし、自分の行動を正統化しようとする心の動きを合理化と呼ぶ。・合理的な見せかけであり、「屁理屈」「いいわけ」「責任転嫁」が相当する。・情緒的
《第七章 情緒の変容様態》【要約】・情緒は、周辺にある要素との関係の中でどのような動きをするか。本項では、危機場面における「働き方」の特性について述べる。・情緒の動きが、もっともよく観察されるのは、その人間が困った場面に出会った時である。困
《二 教えることと育てること》【要約】・「教える」という働きと「育てる」という働きは、基本的に違った働きをもっている。・「教える」という働きは、ほとんど知識と技術を伝達することと解してよい。この働きを営むには、第三者の関係が、もっとも能率的
《第六章 情緒の力動》《一 情緒をとりまく心の構造》【要約】・心の中心部に、分析することの不可能な領域がある。心理的にコントロールすることもできない。「生理的・心理的な領域」(A領域と名づける)自律神経系と深い関係がある。夢の世界でこの領域
《第五章 欲求と意欲》《一 欲求と意欲の違い》【要約】・食欲・性欲・睡眠の欲求といった生理的な欲求と、獲得欲求(プラモデルが欲しい、100点が欲しい)、愛情欲求(かわいがられたい)は、基本的欲求と呼ばれ、人間の生得的にもっている欲求である・
《第四章 欲求と情緒》《一 盾の両面》【要約】・欲求と情緒は、盾の両面である。・情緒が現れるためには、そのベースに欲求がある。母親に家に「いてほしい」という欲求があって、それが阻止される(母親が家にいない)と、そこに「淋しさ」が生ずる。宿題
《二 感情の系列》【要約】・もっともプリミティブなものは原情である。感覚をベースにして、物象の触発によって生ずる感情である。「人」とは無関係、欲求もきわめて希薄という点で、情緒とは違う。「人」による欲求阻止もないし、衝動的な行動が「他人」に
《第三章 情緒と情操》《一 情操の特性》【要約】・感情の中には、情緒・原情のほかに、情操といわれるものが含まれている。ドラマに感動したり、文学や音楽に感動したりする心をいう。情緒のレベルより、いちだんと成長した感情であるといえる。◎情操の特
《第二章 情緒と風土》【要約】・情緒は、民族や文化によって根本的な規制を受けるものではなく、人類に共通のものである。しかし、ある種の情緒が風土の影響で、濃淡をもっているという事実はある。(暑いインドでは太陽が憎しみの対象になっているが、日本
《七 情緒のない世界》【要約】◎人間から情緒というものがなくなれば・・・・。・他人をうらんだり、憎んだり、怒ったりすることがなくなれば「傷害事件」は起こらなくなる。・ねたましい、のろわしい、うらやましい、うらめしいといった情緒がなくなれば、
《六 情緒と生理現象》【要約】・「病は気から」という考え方は、近代医学によって一度は否定されたが、病原菌による病気のほとんどが征服されるようになって、再び見なおされてきたようである・ヒステリーは、少なくとも精神的な原因によって一時的な身体症
《五 情緒の特性》 【要約】⑴ 没論理性:二通りの意味がある。 �情緒は面前の刺激に直接的な反応として現れるのであって、論理的な思考の結果として、現れるということはあり得ない。*怒りは、相手が、自分に悪意を抱いていると感じた時