�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・4
《第2章》自閉症の幼児期 【要約】 《謎をさかのぼる》 ・自閉症というきわめてユニークな症状をもたらす原因の大本となっているものは必ずしもユニークなものではなく、知能障害などとも共通する非常に多くの病因が考えられるのだった。それらの病因が、
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・3
【自閉症の診断】 ・自閉症は単一の原因によって生まれるものではなく、複数の原因に由来した障害をもつ症候群である。しかも、その症状は一人一人微妙に違うため、自閉症者の数だけ自閉症の物語があると言ってもいいほどである。 ・自閉症の第一発見者であ
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・2
《第1章 自閉症の発見》 【要約】 ◎発端となる謎 ・自閉症の発見は、1943年と翌1944年に、米国の小児精神科医カナーとオーストリアの小児精神科医アスペルガーによって相次いでなされた。しかも「自閉症」(オーティズム)という全く同じ病名を
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・1
《はじめに》 【要約】 ・自閉症とは、現在では、出生前もしくは出生後のごく初期に発生する発達障害の独特なタイプであると考えられている。それは、未完成な、また、それだけに爆発的な発達を遂げる幼い脳に起きた小さな出来事の結果によるものである。最
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・序
《序》 「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)を再読する。この本は今から22年前に刊行され、私はほぼ20年前に一読した。「自閉症」の《謎》とされている部分に対して、第三者(学者)として、大変わかりやすく解説されており
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)検討(3)・?章・3
《要約》 2)表象機能と認知機能 ・一般の子どもの表象機能と認知発達に関する理論が、自閉症児の認知発達とその障害を解明するための方法論を提供することになる。このような観点からの、自閉症の認知を発達的に解明するための発達段階の具体化が「Sta
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学・1992年)検討(2)・?章・2
《要約》 1)認知障害についての理解の変遷 ⑴初期の認知障害の理解 ・自閉症はKanner(1943)の報告した当初は、部分的に高い認知能力を示すことから、知的能力は障害されていないと考えられていた。その知的能力(認知能力)が発
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)検討(1)・?章・1
*第�章の以下の部分は、自閉症が「認知障害」であることの論拠が述べられていると思われるので、要約しながら逐条的に検討を加えてみたい。 《要約》 【4.自閉症の認知障害】 ・自閉症の特徴的な行動(3つの必須症状)は、親の性格や養育態度により強
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(30)・?章 自閉症の遺伝研究
【要約】 《�章 自閉症の遺伝研究》 【はじめに】 ・自閉症は、現在では中枢神経系の先天的異常がその主な原因であると考えられるようになってきている。先天的とは、脳を形成する神経系の遺伝情報の異常と、遺伝子レベルには問題がない場合の胎生期の環
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(29)・?章 自閉症の生物学的研究
【要約】 《�章 自閉症の生物学的研究》 【はじめに】 ・ここでは、自閉症の生物学的研究の歴史の概略にふれ、その後、臨床脳波、誘発電位、事象関連電位、画像診断、神経病理、生化学などの生物学的な研究を主に方法別に紹介するとともに、自閉症の臨床
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(28)・?章 自閉症の薬物療法・2
【要約】 【2.薬物療法の実際】 1)薬物療法の主な対象 ・薬物療法の対象は、非特異的な情緒障害や異常行動、および自閉症に合併する精神医学的状態の2つに大別する。 ⑴非特異的な情緒障害や異常行動 ・パニック、自傷行動、攻撃行動、
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(27)・?章 自閉症の薬物療法・1
【要約】 《�章 自閉症の薬物療法》 【はじめに】 ・薬物治療は自閉症の総合的な治療の中で一定の役割を果たすようになってきている。 ・「1.薬物療法の意義と問題点」の節では、理論的な説明がしてある。「2.薬物療法の実際」の節は、薬物療法の具
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(26)・?章 自閉症の治療と家族・2
【要約】 【4.家族への療育指導】 ・自閉症の発達過程には生物学的な要因の関与が大きいとはいえ、同時に環境要因が大きく影響する。治療者は、自閉症の子どもが個人個人のレベルに応じた自立を目指し、社会の中に受け入れられて生き生きと活動でき、同時
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(25)・?章 自閉症の治療と家族・1
【要約】 《�章 自閉症の治療と家族》 【はじめに】 ・本章では、まず自閉症と家族の考え方の歴史を概略し、自閉症の親子関係について現在あるいは今後解決しなければならない課題を提起する。その後に、治療者としての観点から、自閉症児を持つ親への理
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(24)・?章 認知発達治療の実践 東大デイケアの経験から・4
【要約】 3)2症例の治療効果の検討 ・2症例の子どもの発達的な変化と行動の改善は、「太田のStage評価」による認知発達の効果として考えることができる。 ・しかし、この2年間に、症例1では言語のみならず他の側面でもシンボル機能を獲得させる
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(23)・?章 認知発達治療の実践 東大デイケアの経験から・3
【要約】 2)Stage�-1の症例(症例2) ⑴症例の概要 症例:N君(男子)は、4歳2か月で受診、小学校入学までの2年間通院した。主訴は、言葉の遅れ、きまりが多い、対人関係がうまくできない、であった。家族は、父、母、本児、弟
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(22)・?章 認知発達治療の実践 東大デイケアの経験から・2
【要約】 【4.認知発達学習の実際・・ 症例を通して・・】 1)Stage�の症例(症例1) ⑴症例の概要(Y君・男子 初診3歳9か月、小学校入学まで2年間通院) ・主訴:言葉が出てこない、言葉をかけても応じない、偏食が激しい、
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(21)・?章 認知発達治療の実践 東大デイケアの経験から・1
【要約】 《�章 認知発達治療の実践 東大デイケアの経験から》 【はじめに】 ・この章では、東大精神神経科小児部のデイケアの概略を述べた後に、認知発達治療を行う治療者側の体制について説明する。そして、認知発達の異なる2症例を呈示する。また、
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(20)・?章 Stage別の認知発達治療・5
【要約】 【5.Stage�-2の治療教育】 ・Piagetの前操作期前半(健常児の3歳〜4歳初め)に相応する。 ・文字や数が概念としての意味を持ち始め、従来の教育的な学習が可能となるが、子どもたちの「限定された枠組みでの理解」をいかに広げ
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(19)・?章 Stage別の認知発達治療・4
【要約】 【4.Stage�-1の治療教育】 ・Stage�-1は、やっとシンボル表象的思考期に入ったばかりの時期で、健常児のほぼ2歳半前後に相応する。 1)Stage�-1の状態像 ・2語文以上を話す子どもが多くなるが、会話はほとんど成立
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(18)・?章 Stage別の認知発達治療・3
【要約】 【3.Stage�の治療教育】 ・Stage�は、Piagetの感覚運動期からシンボル表象期への移行の時期にあたり、健常児の1歳半から2歳になるまでぐらいに相応する。 1)Stage�の状態像 ・言葉(1〜2、3語文)がある子ども
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(17)・?章 Stage別の認知発達治療・2
【要約】 【2.Stage�の治療教育】 1)Stage�の状態像 ・子どもたちの多くは言葉がなく、あったとしてもオウム返しがほとんどである。状況に合っていれば言葉かけに応じた行動ができるようになるが、言葉の意味は理解しておらず、その場面で
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(16)・?章 Stage別の認知発達治療・1
【要約】 《�章 Stage別の認知発達治療》 【はじめに】 ・この章では、Stage�からStage�-2までの認知発達治療の実際を、Stage別に具体的に述べる。 ・この章の内容は、技術的な側面に絞って記述しているので、背景となる理論的
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(15)・?章 Stage評価と認知発達治療
【要約】 《�章 Stage評価と認知発達治療》 【はじめに】 この章では、第1に、太田のStage評価について説明する。第2に、太田のStageによる認知発達治療の方法論を示す。第3に、認知発達治療の評価について述べ、最後に、この治療法
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(14)・?章 「太田のStage」評価法・4
【要約】 3)Stage評価の臨床的検討 ・我々は、臨床的な側面での有用性に関しても臨床研究を行いつつ、デイケアの治療教育の実践の中で深めてきた。ここでは、Stageの有用性を確認したり、さらに深めるのに役立った臨床研究を紹介する。
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(13)・?章 「太田のStage」評価法・3
【要約】 【2.「太田のStage評価」の妥当性と有用性】 ・自閉症児の認知発達における障害には、�感覚運動期からの脱出に困難さがある、�シンボル表象的な思考の段階に移行できない、�シンボル機能を獲得後も、比較や空間の概念などが獲得しにくい
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(12)・?章 「太田のStage」評価法の開発・2
【要約】 2)シンボル表象期への移行期の問題 ・自閉症児にとって感覚運動期からシンボル表象期への移行は滑らかではない。言葉の芽生えが認められても、その後、シンボル機能を獲得していく移行期の意味を持っている場合と、本来のシンボル機能を容易に獲
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(11)・?章 「太田のStage」評価法の開発・1
【要約】 《�章 「太田Stage」評価法の開発》 【はじめに】 ・東大の精神神経科で25年の歴史を持つ小児科デイケアにおいても、20年近く前には行動療法を取り入れた治療が行われた。(太田,1971;徐,1975)。しかし、子どもは教え込ん
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�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
� スキンシップでかかわる 「スキンシップ(和製英語: skin-ship)は、母親と子供を始めとする家族関係にある者や、ごく親しい友人同士が抱きしめ合ったり手を握り合う、あるいは頬ずりするなど身体や肌の一部を触れ合わせることにより互い
� 「物のやりとり」をする。 乳児期、辺りにある物を手にとって渡す、「ありがとう」とこちらが喜ぶと、また手渡す。こちらが「もういいよ」と言っても、さらに手渡す。今度は、こちらがお菓子を手渡すと「アンガト」などと言って受け取る。「モット」「チ
⑷ 相手との「接し方」・� これからが、いよいよ正念場である。 まず初めに、相手とこちらの関係を見直し(振り返り)、《機は熟しているか》を判断することが大切である。�相手はこちらを見るか、�近づいて来るか、�視線を合わせる
�相手からの「働きかけ」に応える 子どもが激しく泣いている。そんな場面はどこでも見られるが、親にとってはあまり嬉しくない出来事かもしれない。何か異変が起きたのかと心配することは当然である。しかし、思いあたることがないのに泣いている。しか
�相手のマネをする。 マネをすることは、古くは「まねぶ」であり「まなぶ(学ぶ)」の語源であるとも言われている。したがって学習は《マネをする》ことから始まる。親と子ども、教員と子ども、という関係の中で《マネをする》のは子どもの側である、と
⑶ 相手との「接し方」・� �相手に働きかけない まず、相手と「同じ場所」「同じ時間」を共にする。つまり「相手と一緒にいる」ことから始める。「できるだけ長い時間、一緒にいる」ことが大切である。そのためには「寝食を共にする」こ
3.方法 ⑴ 調べる まず相手の「出生から現在まで」の《生育史》を「知る」必要がある。こちらの立場が「親」ならば、調べるまでもなく熟知している事柄であろう。・胎生期の状態・出生時の状態(時期、分娩の様子、産声の有無)・新生児期
2.こちらの心構え 「自閉症(スペクトラム)」と呼ばれる子どもや成人たちと「接し」、「かかわる」際の《心構え》について、いくつか述べたい。 ⑴ 相手を「自閉症」だと思わない。 相手を理解することは、「接し」「かかわる」際に、
◆はじめに 現状では「自閉症は治らない」ということが通説になっている。自閉症の原因は「脳の機能障害」だと《推定》されている。「親の育て方」が原因だと思われた時期もあったが、今、はっきり「それは誤りだ」と《断定》されている。 私自身も35
【あとがき】 現代では「哺乳びん」「紙オムツ」「ベビーカー」が育児の《三点セット》になっているようである。親にとっては、甚だ「都合のよい」便利で合理的な用品に違いない。しかし、育児は、それらに頼れるほど《便利》《安直》にできるものではない
⑷ 「自閉症児」(と呼ばれる子ども)の育児は、まず何を措いても、この「対人関係」に注目し、いつでも、どこでも、完全に「できる」ようになるまで、繰り返し「続ける」ことが肝要である。その具体的方法について、『言語発達の臨床第1集』(
⑶ (5歳頃までの)「自閉症児」(と呼ばれている子ども)の実態を「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表」(九州大学小児科改訂版)」(遠城寺宗徳・慶應義塾大学出版会・1977年)で評価すると、子どもによって千差万別の違いがあるが、《「
⑵ 子どもは、「学習」を通して成長・発達する。「学習」とは「学ぶ」ことであり、「学ぶ」とは「真似る」ことから始まる。子どもは生後間もなく《親》と出会い、その《親》とのかかわりを通して、《親》の言動を「真似る」ことによって、成長・
4 いくつかの留意点・(1) 子どもが「自閉症児と呼ばれる」ようになるのは、通説では「自閉性障害のの基本的特徴は3歳位までに表れる」とあるので、早くて1歳半健診時、遅くて3歳児健診の頃であろう。したがって、その「疑い」もしくは「断定」を受
12 「自閉症児」の育て方・10・《まとめ》 「2 基本的な考え方」で述べたように、「自閉症」の《本態》は「人に関する関心・反応が乏しい」という一点に絞られる。したがって、「自閉症児」の《育て方》も、その一点、すなわち「人に対する関心・反
11 「自閉症児」の育て方・9・《「動作」のやりとり》 乳幼児は、これまでに述べた「泣くことによって人を呼ぶ」「笑顔のやりとり」「表情のやりとり」「声のやりとり」などを土台として、あるいは《それに伴って》「動作」のやりとりができるようにな
10 「自閉症児」の育て方・8・《「物」のやりとり》 「物」のやりとりをするためには、以下のようなレディネス(土台)が必要条件である。�触れた物を握っている(1か月)、�手を開いたり閉じたりする(1か月)、�手を口のもっていってしゃぶる(
9 「自閉症児」の育て方・7・《「声」のやりとり》 生後1か月頃になると、乳児は「泣く」とき以外にも「声」を出すようになる。授乳後、満足して、気分がいいときなど、「アー、ウー」「オックン」など、いかにも「話をしている」様子に見受けられる。
8 「自閉症児」の育て方・6・《「表情」のやりとり》 「笑顔」は表情の一つだが、それ以外にも「泣き顔」「怖い顔」「驚いた顔」「変な顔」「寂しそうな顔」「悲しそうな顔」「浮かない顔」等々、人間の表情は「千変万化」する。また「表情一つ変えない
《第十一章 情緒障害各論》【要約】《一 日常生活と情緒障害 ・・諺を中心として・・》・われわれは、日常生活において、一過性ではあるが情緒障害を起こすことがよくある。・自分の心の中で、もっともコントロールしにくいのが情緒である。だから、情緒を
《第十章 教育と情緒障害》【要約】・ここでは、教育と情緒障害の問題を要約し、学業不振の問題について考えたい。・現在の教育を成立させている基本的な理念、考え方の誤謬を情緒障害の立場から論じる。一教師、一学校の問題ではない。教育行政の問題でもな
《二 情緒の変容を利用する》【要約】⑴自消作用を利用すること・情緒の変容は、ある種の情緒の発動を自ら消す効果をもっている。◎ぐち:ぐちは一種の甘えであって退行の一種と考えられるが、一種のカタルシスが起こって、ある程度の不愉快な感
《第九章 情緒障害の予防(精神衛生)》【要約】・要するに、C領域を成長することに成功すれば、かなりの情緒障害は防げるはずである。《一 C領域を成長させる》⑴経験を豊富にすることである。・C領域を育てるということは、情緒的な体験を
《三 情緒障害のメカニズム》・「情緒をとりまく心の構造図」(A領域=生理・心理的な領域、B領域=欲求・情緒、C領域=意欲・情操、D領域=知識・「情緒障害」のメカニズムを一言でいうなら「C領域が十分に成長していない状態である」といえる。・C領
《二 情緒障害の定義》◎情緒障害とは「情緒の現れ方の歪曲」である。・「現れ方」は、厳密には「情緒の動き方」「発動のしかた」という表現の方がよいかもしれない。・「歪曲」とは、次のような「動き方」を代表させた表現である。⑴普通一般の
《第八章 情緒障害の構造》《一 情緒障害はふえてゆく》【要約】・現代人のD領域は、社外の渉外的なことにのみ専念している社長のようなものである。自分の本来の仕事である部下や社員を調整したり指導したり、リードしたりする役割を捨ててしまった。した
《七 攻撃》【要約】・外からの刺激を受けて、自らの心情の中に、ある種の曲折が起こり、その結果としてそれらのものが表出される。そのことによって、自らの情緒的な不安定感・不快をいやそうとするメカニズムである。代償行為と合理化は、その表出される段
《四 合理化》【要約】・代償行動のかわりに、いかにも合理的・論理的な言葉で、自分の不愉快さを避けようとし、自分の行動を正統化しようとする心の動きを合理化と呼ぶ。・合理的な見せかけであり、「屁理屈」「いいわけ」「責任転嫁」が相当する。・情緒的
《第七章 情緒の変容様態》【要約】・情緒は、周辺にある要素との関係の中でどのような動きをするか。本項では、危機場面における「働き方」の特性について述べる。・情緒の動きが、もっともよく観察されるのは、その人間が困った場面に出会った時である。困
《二 教えることと育てること》【要約】・「教える」という働きと「育てる」という働きは、基本的に違った働きをもっている。・「教える」という働きは、ほとんど知識と技術を伝達することと解してよい。この働きを営むには、第三者の関係が、もっとも能率的
《第六章 情緒の力動》《一 情緒をとりまく心の構造》【要約】・心の中心部に、分析することの不可能な領域がある。心理的にコントロールすることもできない。「生理的・心理的な領域」(A領域と名づける)自律神経系と深い関係がある。夢の世界でこの領域
《第五章 欲求と意欲》《一 欲求と意欲の違い》【要約】・食欲・性欲・睡眠の欲求といった生理的な欲求と、獲得欲求(プラモデルが欲しい、100点が欲しい)、愛情欲求(かわいがられたい)は、基本的欲求と呼ばれ、人間の生得的にもっている欲求である・
《第四章 欲求と情緒》《一 盾の両面》【要約】・欲求と情緒は、盾の両面である。・情緒が現れるためには、そのベースに欲求がある。母親に家に「いてほしい」という欲求があって、それが阻止される(母親が家にいない)と、そこに「淋しさ」が生ずる。宿題
《二 感情の系列》【要約】・もっともプリミティブなものは原情である。感覚をベースにして、物象の触発によって生ずる感情である。「人」とは無関係、欲求もきわめて希薄という点で、情緒とは違う。「人」による欲求阻止もないし、衝動的な行動が「他人」に
《第三章 情緒と情操》《一 情操の特性》【要約】・感情の中には、情緒・原情のほかに、情操といわれるものが含まれている。ドラマに感動したり、文学や音楽に感動したりする心をいう。情緒のレベルより、いちだんと成長した感情であるといえる。◎情操の特
《第二章 情緒と風土》【要約】・情緒は、民族や文化によって根本的な規制を受けるものではなく、人類に共通のものである。しかし、ある種の情緒が風土の影響で、濃淡をもっているという事実はある。(暑いインドでは太陽が憎しみの対象になっているが、日本
《七 情緒のない世界》【要約】◎人間から情緒というものがなくなれば・・・・。・他人をうらんだり、憎んだり、怒ったりすることがなくなれば「傷害事件」は起こらなくなる。・ねたましい、のろわしい、うらやましい、うらめしいといった情緒がなくなれば、
《六 情緒と生理現象》【要約】・「病は気から」という考え方は、近代医学によって一度は否定されたが、病原菌による病気のほとんどが征服されるようになって、再び見なおされてきたようである・ヒステリーは、少なくとも精神的な原因によって一時的な身体症
《五 情緒の特性》 【要約】⑴ 没論理性:二通りの意味がある。 �情緒は面前の刺激に直接的な反応として現れるのであって、論理的な思考の結果として、現れるということはあり得ない。*怒りは、相手が、自分に悪意を抱いていると感じた時