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日々これ好日 https://shirane3193.hatenablog.com/

57歳で早期退職。再就職研修中に脳腫瘍・悪性リンパ腫に罹患。治療終了して自分を取り囲む総てのものの見方が変わっていた。普通の日々の中に喜びがある。スローでストレスのない生活をしていこう、と考えている。そんな日々で思う事を書いています。

杜幸
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2023/03/09

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  • 盆地のムスタング

    それはストラトキャスターですか? 無造作に隣席にカバンとともに置かれたギターのソフトケースに見入った。小ぶりな袋のヘッド周りはストレートだった。ギブソンのギターではない。フェンダーだろう。テレキャスターか?と言おうと思ったが、ぶっきらぼうなコードワークが似合うそのギターではなくもう少し繊細な音が似合いそうに思えた。彼の風貌はなぜがストラトキャスターを思わせた。果たして答えはムスタングだった。 僕は中央線で都心に向かっていた。とある駅で隣に座った男性は野球帽にTシャツ一枚だった。 ムスタング!ショートスケールだね。日本にも有名なムスタングを使うギタリストが居るよ。 チヤーだね。 もうこれで僕たち…

  • 朝どれ野菜

    よく国道沿いの販売書や道の駅で見かける。あるいは都心のスーパーの一角に木の枠で飾り付けられたコーナーもある。無農薬野菜や農家さん直送の野菜販売場所。野菜は確かに元気であり時に育てた農家さんの似顔絵がセロファンパッケージに描かれている。決して値段は安くはない。赤札の付いた疲れた野菜ばかり買う我が家には少し手が届かない。 もうそろそろ穫る時期だね、そんな話をしていた。自分は二日に一回程度だが妻は一日三回は畑を覗きに行くのだ。ならばと朝方に畑を見たら確かにとても重たそうに成熟していた。 キャベツ二個、わずかの枝豆、幼稚園児の陰茎程度の大根だった。これ以外には葉脈だけとなり葉が全て虫に食われたキャベツ…

  • 阿吽の焚き火

    ついたついたもう少しこれを動かして上のこのぶっとい奴に移れば良いね煙いけど、はたこう。団扇で すると新聞紙をこよりにしたものから火は焚き付けの乾いた小枝に燃え移る。その上の枝木に燃えつくまでは気が抜けない。燃え尽きそうになるとエスビットのカケラでも放り込む。固形燃料はたちまち強く太い火を放つがこれは禁じ手だろう。、ともかくも太いあの木に火がつかなくては。 メラメラと燃える炎を前に僕はH先輩のことを思い出していた。彼は会社の一年先輩だった。工学部卒業の先輩は物事へのアプローチが文系の自分とは違っていた。例えば直観と理論がある。あるいは帰納法と演繹法がある。どちらも相対しながら共存する。しかし自分…

  • 霧に沈む日々

    夜半に目が覚める。トイレを済まし冷たい炭酸水を飲む。ドレープのカーテンを開けてみる。漆黒だ。しかし暗闇が動いている。霧が渦を巻き浮遊しているのだった。 この土地に住む前、霧の中で生活することなどを考えたことがなかった。縦走登山の幕営地。テントを開けるとフライシートが冷たく重くなっている。開けた隙間から粒子が遠慮なくテントの中に入ってくる。そしてテントは星空もない唯霧の中に全てが沈んでいる。意を決してヘッドランプを点け意を決してテントの外に出る。霧の中を泳いでトイレに向かう。帰り道は覚束ない。 霧の中を泳いだことは幾度もあったがそれは山でのテントの夜だけのことだった。海抜九百メートルではそれが日…

  • 冬への備え

    高原の地へ引っ越してきたのは五月の連休明けだった。新しい家は内装は無垢板で壁紙も貼らぬようにした。扉を開けた時の木の香りは忘れられない。これからここに住む、そう背筋を思わずただした。ここは海抜九百メール。住み慣れていた港町の家は海抜五十メートルの丘陵地にあった。新しい山の家は標高にして八百五十メートル高い場所になる。海抜と気温の関係からそこは単純に言って港の街より常に五度は低い事になる。冬の朝は氷点下だ。夏はせいぜい上がっても二十八度あたりだろうか。しかし今はそこに地球温暖化現象という新しいパラメータが加わっている。その影響で今年の夏は高原でも三十二度まで上がった。が幸いにそれは昼だけで、エア…

  • 図書の旅43 女のいない男たち

    ● 女のいない男たち 村上春樹 文芸春秋社 2014年 自分にとっては三冊目の村上春樹になる。図書館の棚には知らない作家ばかりとなったが足が止まる条件とはこんなところだろうか。知っている作家の場合。知らなくともその本の題名に目が留まった場合。もちろん村上春樹は知っている。自分でもその題を知っている「ノルウェイの森」を手に取ろうとしたらその横にあった。本の題名に惹かれた。つまり図書館の棚で足が止まる二つの条件を満たしているのだった。 「女のいない男たち」か。それは自分には想像できない。アダムとイブの時代から男と女はこの世にいる。地球がやや傾いた軸を中心に西から東へ自転するように、風が高気圧から低…

  • 追憶のハイウェイ101

    県庁所在地の街まで所用があった。用事が終わると町は夕暮れだった。引っ越した山梨の地。県庁所在地がある甲府盆地はどこも交通量が多く時間帯によってはひどい渋滞も起きる。よくある地方都市と雰囲気は変わらない。高崎、宇都宮、水戸。何処も駅前にはショッピングビルがあるがかつての繁華街は空きが目立ち郊外型のショッピングモールが幅を利かせている。 県の北西部の自分の住む高原まで数十キロの距離。そんな高原と盆地を結ぶルートは幾つもある。中央高速が便利だが一般道で事足りる。自分が好きな道はなによりも信号が無い事、そしてヘアピンカーブが無い事だった。対向一車線の普通の県道だがそれは地形に無理をせずに作っているので…

  • パッシー墓地と鎮魂歌

    八ヶ岳音楽祭というサブタイトルがあり計三回の演奏会が地元のホールで行われている。初回はピアニストによるバッハやモーツァルトの演奏会、二度目はビゼーの歌劇「カルメン」。三度目はオーケストラと合唱と題されドボルザークの八番とヴェルディのレクイエムという聴き応えのある演目が並んでいた。ヴェルディのレクイエムは演奏時間は九十分を越える。曲中のディエス・イレ「怒りの日」が頻繁にテレビドラマやCMに登場するので自分はややそれに食傷気味だった。同じレクイエムでもモーツァルトの「怒りの日」も負けず劣らずにテレビで流れるが、モーツァルトのそれは全曲通して好きな曲だ。それは彼の白鳥の歌でもあるからかもしれない。ど…

  • 酸性かアルカリ性か

    仕事から帰宅して、着替えてやりかけの庭仕事を続けた。北風の吹き下ろす日暮れにそれをやろうというのは少しでも早くあの憎きアレを退治したかったからだ。 その仕事は除草剤を撒く事だった。我が家の庭はスギナが滅多矢鱈に生える。これは地下茎で増えるのだから抜いても抜いてもすぐに生えてくる。嫌われる雑草のナンバーワンだろうか。地下茎は三十センチは潜っているのか。好き放題に伸びてたちが悪い。クワで土を掘り起こしてもこちらが疲れるだけだった。 とうとう除草剤に手を出した。ポンプによる蓄圧式の肩掛けタンクを用意した。そこに除草剤を入れて散布する。スギナ憎しの気持ちが強すぎてホームセンターにあった最強力と言う奴を…

  • 少し勉強してみるか

    英語は基本的なビジネスツールだった。大学受験までは英語もよく勉強した。私立文系。現国・古文、地理、そして英語の三科目だけに絞っての受験だった。なんとか大学生になったがそこから先、全ての学習結果は頭から消えて行った。しかし何故だろう社会人になると自分は海外営業部というはなはだお門違いの部門に配属された。社会人の最初のハードルは電話対応だろうが、自分もおそるおそる受話器を取った事だろう。するとそこからは英語が流れて来た。思わず横に居た女性社員に受話器を渡してしまった。デビュー戦はそんな風にしょっぱいものだった。 怠惰な学生生活のお陰で高校時代の成果すべてを忘れていた。仕事を教えてくれたK先輩はモン…

  • 落ち葉

    最近始めた仕事がある。そこは深い森の中に在る食品工場だ。そこの製造ライン見学や売店を目当てにそこそこの観光客も見える。そんなこともありアカマツとブナの林に囲まれた工場敷地内は清掃が行き届きあまり散らかっていない。しかし丁度ブナが落葉の季節だった。ここ数日の気まぐれな風はブナの葉を落とすには十分だった。 そんな落葉樹の落ち葉が道路に散っている様は嫌いではない。中学生のころから何度読んだか覚えていない石坂洋二郎の小説「陽のあたる坂道」の一シーンを思い出すのだった。妾腹に生まれて裕福な家庭に引き取られた主人公は何かと劣等感を持っているがそれを跳ね飛ばそうと生きている。そんな彼とは血のつながりが無い義…

  • お宮参り

    あれはおくるみと言うのだろうか。白いガーゼ地にくるまれている。その上に肩から羽織る着物。青字の生地に刺繍が鮮やかだ。丁寧という漢字を十枚重ねても足りないといった風の、限りない柔らかさの中に包まれている。 日が良いのだろう。幾組もの人達がいる。太鼓を叩いて神主が子の名前を読み上げ祝詞が奏上された。これで氏神様にこの子の誕生が報告され、健やかなる成長が祈られたのだろう。 自分もかつて二度ほど地元の神社でやったはずなのにあまり思い出すこともできない。強いていえば我が子が意外に軽くて、同時にひどく重いようにも感じたことを思い出した。そんな我が娘もまた子供を産んだ。昔日は風のように過ぎていった。 孫は目…

  • ノーベル平和賞

    ふるさとの街焼かれ、身寄りの骨うめし焼土に…。 こんな歌があったらどんな気分になるだろう。どんな気持ちで歌えばよいのだろう。 新聞を取らなくなって久しい。全国紙は入れ替わり何種か取っていた。やがて一応は日経新聞の読者になった。電車の中で読んだがトップニュースと業界の記事ばかり読んでいた。スマホで読めるようになってからはそれもやめた。 立ち寄ったコンビニで新聞が目に留まった。ノーベル平和賞と書かれている。誰が受賞したのだろうか。が新聞は二つ折りになってラックに刺さっているのだから肝心の受賞者がわからない。 手に取ってみた。ああ、そうなんだ。しばらく記事を眺めてみた。じっくりと読みたくなり本当に久…

  • いたずら

    コスモスが咲ているのよ。そう細君は嬉しそうだった。 コスモスなんて植えていないのに何言ってるんだろう。半信半疑で庭に出た。ノリウツギとドウダンツツジの間に確かにピンと伸びた茎がありピンク色の花が付いていた。さだまさしが山口百恵のために書いたという曲。「秋桜」という漢字は当て字だろうが秋に綺麗に咲くその様は桜のイメージがあるのかもしれない。歌にうたわれた通りにここ数日この高原では「小春日和の穏やかな日」が続いている。山の木々と野草だけの我が家の庭にそれはひどく異質に見えるかもしれぬが、堂々と根を張っていた。 八ケ岳山麓のこの地は風が強い。八ケ岳下ろしとも言われるそれは家の北側の八ケ岳から吹いてく…

  • 全て自家製で

    数か月前にホームセンターで手にしたポット植え。すでに香りが良かったので試しにと買ったのだった。それを庭の片隅に植えた。野草類も共に植えている。季節を終えて花が枯れてしまったものも、作業中に誤って踏んだり折ってしまったものもある。そんな中でその横を歩くだけで匂いが漂ってくるのだった。まるで、こう言っているように思える。「植えっぱなしとはひどいね。今は賞味時だよ。ここで葉を取ってくれないと来年困るんだよね」と。 確かに伸ばしっぱなしでは栄養が行き届かないのかもしれない。樹木ならその一部を伐採することで光を潤沢に得ることが出来、下草もそして樹木自身も成長するという。伐採の大切さは草花とて同じだろう。…

  • 世渡り上手

    渡る世間は鬼ばかり、そんな題のテレビドラマがあった。世間とは渡るものなのだろうか。するとそれは海か川なのだろうか? 三十五年務めた会社を早期退職してから数ヶ月はハローワークに通った。一息ついて職に就いた。キャリアカウンセラーという仕事は人々のセカンドライフを支援する仕事だったが、実務に入る前に辞めた。ガンという病がそうさせた。今度は体を治す必要がある。社会活動を最小として家に籠もる生活だった。それも悪くはない。体は整い頭の中も整理できた。 非正規従業員と言う形で三たび社会に入った。新天地に転居してからは四度目の社会だった。非正規。その時給など都会の高校生のアルバイトよりも低いだろう。が自分が欲…

  • ダートフォードとカーナビー通り

    高速道路のサービスエリアだった。新宿から首都高速道路を西へ向かう。高井戸料金所から先は中央高速道路と名を変える。調布から八王子までは正面に高尾の山々を見る事になる。戦時中は陸軍航空隊が駐屯し首都防空の要だった調布飛行場。それを過ぎるとビール工場と競馬場を確かに通り過ぎる。それは荒井由実が「中央フィリーウェイ」で歌にした風景。デート帰りの男女の甘く寂しい空気感を風景に落とし込むという、ユーミン超一流の世界がそこに在る。その先中央高速は高尾山の麓から峠を抜けて相模川の谷に分け入る。山梨県に入って直ぐに休憩を取った。 これまでも何度となく使っていたこのサービスエリアはここ数年、とくにコロナが明けてか…

  • 背後に川

    材料や道具をなどは準備できているのに何故か着手できていないことがある。もう十年以上前から用意だけはしている。なぜやらぬのだろう。どうしたらやるのか。 選ぶべき道は三つか。辞める。このまま成り行きに任せる。自分を鼓舞して無理やりにやる。 経済的には何が起きるのだろうか。辞めるのなら準備したモノは無駄になる。原材料ならば勘定としては棚卸資産なのだから破棄すればそれは損失となる。 成り行きに任せるのならば原材料はどうなるのか。買ったときの価値を保ち続けられるのか。こればかりはどうも近年価格は上がっている。しかし下取りしたら損が出るだろう。道具はどうする?買った時点ですでに治工具として計上しているはず…

  • ココ見ろワンワン

    心優しい老夫婦が居た。迷子の子犬がやってきた。すこし怪我をしているようでもある。まぁ何と可哀そうな。うちで育てましょう。子犬は直ぐに大きくなる。そして老夫婦が大切に耕している畑を前に鳴き始める。「ここ掘れワンワン」と。さあて掘ってみると・・大判小判がザックザック。 懐かしい昔話だ。頭をひねって思い出した。その題は「花咲じいさん」だっただろうか。確かこの話にはオチがあって、欲深い隣の家の老夫婦はマネをするが欲深さ故に天罰がくだるはずだ。 我が家の犬は二代目のシーズー犬。ペットショップで一目ぼれ、そんな初代シーズー犬はそれはそれは良い子だった。十二年での他界は短かったがいつも横に座って家族の成熟過…

  • ご不浄事情

    中学生の頃に熱中した小説があった。角川書店から文庫で出ていた横溝正史シリーズだった。「獄門島」が最初だった。クラスメイトの女子が面白いよと教えてくれたのだった。すこしでも女子と話すきっかけが欲しかったこともあり、さっそく手に入れた。寺の鐘のトリックは圧巻だったが、自分が一番楽しめたのは「八つ墓村」だった。懐中電灯を頭につけた狂人による村人の無差別殺人、たたりじゃ、との台詞、習俗にとらわれる住民の土着性、洞窟の恐ろしさ、もじゃもじゃ頭の金田一耕助の魅力。そしてなによりも主人公と遠縁の娘との洞窟の中のロマンスの甘美さ。舞台が瀬戸内海の島であり岡山であるというのも、香川で生まれ広島で中学高校時代を過…

  • からまわり

    インターネットが世に広く出て来たのは1995年頃ではないだろうか。マイクロソフト社が世に出したウィンドウズ95というOSはコンピュータをネットワークに容易につなぐことを可能とし世界を変えたと思う。日本独自のOSを持っていた国内のパーソナルコンピューターメーカーはマイクロソフトが提唱したOSをこぞって導入した。パソコン画面上のアイコンをダブルクリックしてソフトを立ち上げるというGUIはカリフォルニアのパロアルト研究所でゼロックス社が造り上げそれをアップルコンピューターが実用化したものだが、それはマイクロソフト社の手によりウィンドウズとして世の中に出てきた。 自分はウィンドウズの前のMS-DOSの…

  • 肌に刺さる風

    曇天だった。山の天気は変わりやすい。晴れた日でも午後には曇り時に雨が来る、そんな日が続いていた。今朝は朝から陽が射さず風が森を揺らしていた。それが時折霞むのは白い粒が流れているからだった。その粒を手に取ることはできない。近くで見れば粒子だが離れてみれば霧だった。雨になる前に、と犬を連れて森に出かけた。初めて通る小径だった。 畑の奥は思いのほかに広い林があった。そこに別荘だろうか?木造りの家がぼおっと建っている。知らない道はなぜか心がときめく。この先に何があるのだろうと。リードを引っ張っていた犬が足を止めた。何だろうと思うと辺り一面栗が落ちていたのだった。僕は霧の粒子の美しさに目を奪われ足元に目…

  • 渡り鳥

    この高原に引っ越してきてから多くの野鳥を見るようになった。パッと見ただけでは種類は分からない。夏にあれほど毎朝を賑やかにしてくれたホトトギスもカッコウも何処かへ行ってしまった。もう越冬地へ移動したのだろうか。ジョウビタキは一度だけ我が家の庭にやってきた。彼らは何処から来たのだろう、この地で冬を過ごすのだろうか。 渡り鳥か。小さな体の何処で季節を感じ、海を越えて越冬地へ飛び去るのだろう。コンパスもGPSも彼らには無いのに。 職場に行く途中自分はいつも国道のコンビニに立ち寄り紙コップの珈琲を買う。それをゆっくりと飲む。すると徐々に仕事モードへのスイッチがはいってくる。そんないつものコンビニの壁に二…

  • 失敗作

    ピザは比較的簡単に出来てそれなりに楽しめるメニューだろう。もっともピザ生地から作れば面倒になる。これまでは生地作りからやっていたが来客でもない限り気合が入らなくなってきた。家内と二人なら出来合いのプレーン生地で十分だ。市販のピザソースさえあればあとは手持ちの具材で何とでもなる。しかしプレーンのピザ生地も安くはない。二枚で三百円近くするのだから。そこでここのところはトルティーアを使っている。こちらは五枚で三百円程度。生地は薄手になるが色々な種類が作れて楽しいものだ。 とは書いたものの、おのずと種類は限られる。これまでさほど多くのピザを食べたわけもない。宅配ばかりだ。ピッツァならばやはり生地をくる…

  • 綺麗どころ

    庭仕事に忙殺されている。庭のデザインを描き植えたい樹を考えた。大まかなラフスケッチをベースにあとは造園屋さんに入ってもらった。レイアウトづくり、整地、そして大物の樹木植栽。このあたりはすべてユンボの出番だった。 いったんそれが入ると庭は効率良く変化していった。自分たちが考えた樹木が入った。小ぶりの木々や草木は山野草専門の草木園で仕入れ自分達で植えた。プロのやり方を見てはみようみまねだった。 自分の書いた庭のデザイン図は庭の中に小さな歩道をいくつか配した。そこにガーデン用のプラスチックの椅子やテーブルを配置すれば夏の木漏れ日を味わえると考えた。しかし植樹した樹木はまだ若く。旺盛な木陰を作るほどに…

  • 図書の旅41 小澤征爾 覇者の法則

    ●小澤征爾 覇者の法則 中野雄 文芸春秋社2014年 世界のオザワ。クラシック音楽に興味が無い方でも知っているだろう。日本人指揮者は沢山居るが少なくとも欧州と米国では小澤征爾は人気知名度の点で別格だろう。西洋音楽とは無縁の遥か東の国からやってきてかの地で受け入れられたのだから凄い話だと思う。パリで彼の指揮に触れることが出来た。フランス国立管弦楽団を振りベルリオーズとラヴェル、フランス物をやった。シャンゼリゼ劇場は満席でブラボーが飛び交いスタンディングオベーションは果てしなかった。日本人として誇らしく、自分は何故か泣けてしまった。 桐朋学園で斎藤秀雄氏のもとで音楽の基礎を学ぶ。そして二十四歳で単…

  • 開けるか開けぬか

    ジャズ喫茶、名曲喫茶。好きな音楽を素晴らしい音響設備で大きな音で聴くことが出来る場所。そこは自己の世界に深く耽溺できる。だからこそ会話厳禁という、一つ間違えば何かの道場のような雰囲気も漂う。 学生時代に友が住んでいた世田谷区・下北沢。狭い通りから細い路地を入るとそこには有名なジャズ喫茶があった。中は異様な世界だった。会社員になり千代田区は神田・駿河台下界隈を歩く事が増えた。裏通りには有名な名曲喫茶がある。余りにも息が詰まりそうなので入ったことはない。 - これはコルトレーンの「バラード」の一曲目だ。テナーが鳴いちょるじゃろ。- こいつは知ってるじゃろ?ビレッジバンガードのライブじゃ。エヴァンス…

  • 立てた親指

    仕事を終えてスーパーに夕餉の買い物に立ち寄った。そこは国道沿いの道の駅に併設されている。勤務先から近く、仕事帰りに立ち寄ると丁度割引シールが総菜に貼られるので重宝している。目を皿のようにして割引品を幾つも籠に入れていた。今日もそんな世帯じみたものだらけだった。国道に出ようとしたら目についた。日焼けした青年が手を伸ばして親指を真上に伸ばしているのだった。 - 何処に行くの?そう気さくに声を掛けた。…最寄りの駅、どこでもいいです。 ならば、と同乗を勧めた。我が家は中央線の駅まで近い。どうせ駅の横を通るのだから構わない。彼の足元には45リットルクラスのザックがあった。自分は助手席に散乱していた品物を…

  • 地に恵みあり

    パリには二つの中華街があった。南東部の十三区、それに北東部のニ十区にそれぞれチャイナタウンが形成されている。我が家はパリ市十五区にあったので二つ隣の十三区の中華街が近かった。十三区のほうが歴史が古いのか、街はやや古びていた。パリの北部はえてしてどこも治安が悪い。ニ十区のチャイナタウンはまだ新しいが、街全体に危ない空気感が漂い緊張した。しかしそこに何度も通ったのは安くて美味い中華料理店があったからだった。店はチープで小汚かったが炒め物は文句なしに美味かった。そんな店の看板料理が空心菜炒めだった。ニンニクのかけらに赤唐辛子が少し。あとは空心菜の粗切りを強い火力で炒めただけのものだった。以来この店の…

  • 良いとこどり

    二の腕を差し出す。ぐるりとカバーを巻いてそこに聴診器を挟む。丸いゴム球を何度も押すと水銀柱が上がっていく。腕が痛くなるほど固く締まるとゴム球についたダイアルを回す。空気が抜ける。125-75ですね、と医師は口にする。それが良いのか悪いのかも分からないがそれ以上医師も何も言わないので、こちらも忘れてしまっていた。 血圧が気になり始めたのは四十歳代だった。煙草は生まれてこの方吸ったことはないが酒は飲む。肥満体質でもある。父親は一日にハイライトを二箱吸うようなヘビースモーカーだったので、高血圧から狭心症へ心筋梗塞へとしかるべき道を確実に進んでいった。さらにその上に糖尿病と、生活習慣病の展示会の様だっ…

  • 明るく行きたいもの

    最近のスマホに搭載されているカメラも進化した。自分はユーザーではないがアイフォンならばプロ顔向けの写真が撮れるという。ずっとアンドロイドを使ってきたがそれでもメモ代わりの撮影には十分だ。絞りによるボケ、シャッター速度による動きの表現、露出調整による光の取りこみ方、すべてがカメラ任せ。しかも各種の自動レタッチ機能内蔵で背景を消し去るという事も出来る。カメラの動作原理などうでも良い。それで出来栄えが良ければ言うことなしだ。 スマホのカメラにははなから何も期待していない。それでも露出補正があるのはありがたい。フィルムカメラの時代は一眼レフにリバーサルフィルムを詰めていた。36枚しかないので露出をそう…

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