空を渡る4羽の影──サヌール湾にてグンカンドリの名を初めて知ったとき、その響きがどこか軍艦のようでおかしかった。けれどその名は、彼らの飛ぶ姿を一度でも見れば、すぐに腑に落ちる。鋭くのびた翼、空気を切るような軌道、そしてどこか誇り高いような孤高さ。あれはたしかに、空の艦隊だった。以前に見たのは1羽だった。朝の静かな時間に、ふらりと現れて、しばらく旋回して、また去っていった。それだけの出来事が、なぜか強く印象に残っていた。けれど昨日は違った。なんと4羽が、連れ立って現れたのだ。風を測るように、空をなぞるように、彼らは長くサヌール湾を回遊していた。ときに間隔を広げ、ときに重なるようにして、まるで風の譜面を読むように空を描いていた。ただそれだけのことが、一日の記憶の中心になった。大きな鳥が、悠々と飛ぶ姿には、人の...空を渡る4羽の影──サヌール湾にて文字数:1416