気がつけば11月も終わる。来年まで1ヶ月・・・まじか~~~~と、いう気分になる。年を取ると若い頃の2倍・3倍の早さで時間月日が過ぎていく。と、聞かされたものだがさては、年をとってしまったのかwww原因解明。今年はやけにいつまでも暖かくストーブも焚いていない。床暖房のカーペットは敷いているがめったに座り込むことはないので毛の生えたお嬢さん(猫ともいう)の独占物になっている。12月になったら急に冷え込むという予報が出ている。異常気象のせいで、魚も普段取れるところが不漁で別のとれない場所が豊漁・・と、なっている。だが、実際は、確か・・地球は氷河期方向に入り始めてるか入っていたはず。それさえ、温暖化にさせてしまうというのならどれだけ、人間が地球を暖めてしまったのか・・・だけど、自然の力って大きいな。時期が来たらち...吃驚だね!!
パソコン机を腰掛式のものに換えた。横にAUDIOシステムがある。正直・・・邪道な配置で聴くことになる。が、持論。良いスピーカーは何処できいても、良い。の、セオリー通り、うっかり適度な音にすると聴き入ってしまって、書くことができなくなるのでバックミュージック程度の小さな音で流している。が・・・・それでも、選曲が良くない。ソフト&メローな曲なら、耳を持っていかれないのだがどうせ聴くなら、好きな曲。ー真剣?に聴く時はプログレに限るがwww-これが、結局耳を持っていかれてしまうことになる。現在デカプリオ版の華麗なるギャッビーサウンドトラック盤をかけている。特にお気に入りがラナ・デル・レイのヤング&ビューティフル。最初に聴いたのはユーチューブ。その曲が含まれるラナのアルバムを探しまくったが無い!!逆になぜ、アルバム...音楽を聴くはずなのだが
南海トラフがおきたら徳島で、最大64mの津波が来る・・・などという話があり徳島近辺の活断層などどうなっているのか探してみた。南は九州まで続く・・・北は調べなかったけど・・・過去鬼海カルデラの噴火で南九州だけで飽き足らず四国まで被害が出ている。どう連動するかは判らないが日本列島4つのプレートの上に乗っている。単発的な地震では、被害は少ないと考えていたが最近、とんでもないところに余波がいく地震が多発している。プレートの地震が連動すれば100mを超す津波がおきる・・という話もある。徳島も(多くどこでもだが)平野は海抜5m~20mであろう。60m・・でさえ海の底になりかねないのに100mなんて、津波が来たら地震の被害どころではなくなる。うまく、地震エネルギーのガス抜きができるのだとしたら小さな地震は喜ぶべきかもし...地震の逆発想?
白銅からの伝えを聞くと、澄明は、また、善嬉のもとへ出向いた。「白銅を通して、男のことは読めるのですが」気になるのは、男榊十郎の息子、榊縅之輔の思念に混ざり込んできた白い大きな犬だった。「白銅は、犬神のもとに成ったのではないか、と考えている様です」あとは、善嬉が白い犬を読み下すだろう。しばらく、善嬉は、黙りこくっていた。やがて「澄明、白銅の思う通りだの。榊一族は、サンカの末裔だった。随分前になるが、阿波の山奥で、猟をしながらひっそりと暮らしていたようだ。その猟のために、何頭かの猟犬を飼っていたのだがその中に、白い大きな犬がおる。白い犬は、人間になりたいと思うだけのことはあって、ずいぶん、榊一族のために尽くしていたのだが・・・あるとき、猟にでた、榊縅之輔の前世だろう。猪を追いこんださいに、崖の端から身を落とし...竈の神白蛇抄第18話まとめ5
昼には、烏丸まで、と、思っていたが鴨川縁に、人だかりを見た。それで足が止まったのだが、人だかりの真ん中に、あの口入屋の男がいる、と法祥がいいだした。「どれだ?」「あの、背の高い男です。着物を羽織っている、あの男です」妙な言い方をしているが、素裸に着物を羽織っているのではない。普通に、着物をきておいて、もう1枚薄手の麻かなにかの着物を羽織っている。羽織を重ねる様にもう1枚、着物を羽織る姿は上背があるから、なお目立つ。白銅は、男が何をするつもりか、しばらく様子を見る事にした。集まった人々の口から「私も一口」「俺は三口」と、なにかを注文している様だった。人だかりの一番、後ろにいた女に、法祥は尋ねてみた。「これは、いったい、なんですか」「お坊さんには、関係ない・・と、言いたいとこだけど榊さんのことだから、おしえと...竈の神白蛇抄第18話まとめ4
もう小半刻たつだろうか。法祥も白銅も言葉を交わす事なく魯をこぐ音と水音だけが、舟のうしろへ流れていた。悟るとは、さあと取れる事を言う。法祥は考えても考えてもさあ、と、取れるものを掴めずにいる。考えるだけ、無駄と言っても良い。「法祥、おまえは、なにを考えるか判っておらぬ。わしが、いうたのは、自分でということを考えろというたのじゃ」転がりだした岩を止めていたのは、小さな木であったろう。その小さな木に、気がつけば木を取り除くだけで、岩は転がりだしていく。ちょうど、そのように、白銅の言葉が法祥の「木」を取り除いた。「ああ!」気が付いたことに、感嘆の声が上がる。「確かに私は、自分でやろうとしていない。犬神の事も、私にはできないと端(はな)からやろうとせず、あなた方に投げた。あげく、私も巻き込まれて、舟をこぐ羽目にな...竈の神白蛇抄第18話まとめ3
白銅と法祥は、京にむかう。おそらく、舟で大津ちかくまでいくだろう。旅支度も手慣れたもので、ささと、整えると銭をくれと、白銅が手を差し出す。戸袋にあるといいおくと澄明もまた、家を出た。行き先はすでに決まっている。九十九善嬉白虎を祀る善嬉を尋ねる。銀狼を手繰る事は出来ないと考えてはいたが法祥に答えているうちに見えてきたことがある。それを、まず、善嬉に尋ね合わせる。長浜の中心に家を構えたが、良かったと思う。四神を尋ぬるに、便利である。端から端まで、歩かなくてよかった。頭の中で、善嬉に尋ね合わせることをさらえなおしながら半刻もあるくと、善嬉の屋敷が見えた。さっするものがあったとみえ善嬉が、表でつったって、待っていた。「女子の足は、亀のようじゃ」待ちくたびれていたと、ひとくさり、文句をいわれ家にはいれと促された。ま...竈の神白蛇抄第18話まとめ2
白銅と二人、黒犬からおりたてばそこは二人の住まいの外裏庭におろされた。「念のいったことだ」白銅がつぶやく。「念がいっている?」「そうだろう。裏口におろしよるのだから」なにが念入りなのか、やはり、わからない。「わしは、はらがへった」「ああ・・」裏口をあければ、そこはすぐ、くどである。確かに念入りだとおもうが、やはり、気にかかる。「うまく、いったのでしょうか」雷神はいづなを無事にすくいだせたのだろうか?「大丈夫じゃろう。で、なければ、悟るに早い黒犬は我らを琵琶の湖にたたきおとしておろう」「そうですね」確かに裏庭におろすは、念のいったことだとおもいながらくどにはいりこむと、そこに、大きな影がゆらめいた。「白銅、どうやら、また、新手ですよ」「襲ってこぬなら、さきになにか食わせてくれ」まずは、生きている人間が大事。...竈の神白蛇抄第18話まとめ1
「ちっ」口の中の小さな舌打ちだけが、今見たことを忘却の向こうに流しさることを拒む。蛮骨は木陰の戯れが静まり一つの影が二つに分かれてゆくのを待った。樫の木にもたれかかり、いつまでも滑らかな快さの余韻に浸っているのは、蛇骨と睡骨である。寄る辺の無い愛は無性に「誰か」をほしがる。蛮骨とて、判りすぎている寂寞である。「かといって、何も・・・」仲間内に「誰か」を求めなくても、良かろうと呟く言葉を飲み込んだ。同じ結束。この仲間しか信じられない。だからこそ、いっそう愛は寄る辺をなくす。潰れそうに歪んだ物狂おしさは、油断を見計い欲望を捌け口にする。仲間を捌け口にすることをけしてせめることはできない。なぜなら、委細。蛮骨はあんな半妖の男が気になってしかたがない。敵であり、命を狙う相手の筈である。しつこく付回し、動向を探る内...拘束ー1ー(犬夜叉二次小説)
「何で?」すげなく蛇骨を振りほどく蛮骨が憎く思える。「お前の用事はすんだだろう?」蛇骨の中に「寂寞」がはきだされてしまえば、蛇骨にとって心なんかどうでもいいはずの蛮骨への用事はすんでいる。「だけど・・・なんで?」なんでそんなにつれなく二人を解き放ち、慌ててもとの別々の者に戻ろうとしなければならない。「きにいらなかったのか?」だったら、蛮骨の物が蛇骨をあんなに煽情させはしない。「ふ」小さく笑う蛮骨が遠い。蛇骨はそれを知らされるためだけの言葉をきかされる。「大した自信だな。だけど、お前が勝手にやったことだろう?」たしかに、そうかもしれない。だとしても、この洞を潤す欲情を何故解き放つ事を許した?問いかける蛇骨の眼差しに蛮骨の瞳が僅かに逃げた。「わかってるさ」蛇骨は小さなためいきをついた。「あんた・・・・・犬の奴...拘束ー2ー(犬夜叉二次小説)
ぬると湿った手が蛇骨をからめとる。森のなか。鬱蒼とした木立の薄暗い闇の中から手をのばし、蛇骨を抱き寄せる男が誰であるかを見咎めるより先に蛇骨のうなじは舐め上げられた。「とうとう、あいつも手にいれちまったかい?」己の腰の下、自分の膨らみを蛇骨に誇示するため煉骨は蛇骨の腰骨当りに手をおき、自分に向けて蛇骨をひきよせた。薄い着物一枚の下で怒張する煉骨の物を、宥めてやる事をいままでにも何度か許した蛇骨である。今更、この男を拒む理由がみあたらないまま蛇骨は煉骨の示威の行方をみまもった。「で?ご満悦ってわけかい?」僅かな表情の変化も見逃さないとばかりに、食い入る目で蛇骨をみつめるのは、蛮骨への心映えをさぐるためではない。自分の物が蛇骨の快感に届きだしたか、どうか。それだけでしかない。「蛮骨とお前を較べてみてほしいか?...拘束ー3ー(犬夜叉二次小説)
映り行く葉影の青さに目も留めぬうちに季節は移ろい行く。蛇骨の横をすり抜けた一人の男の伏し目がちな恋慕も今は煩わしい。睡骨の窺うような瞳が目の端にとまると、一時の遊戯が残した後味の悪さが舌に浮かぶ。『ほんの少しの慰め事じゃねえかよ』睡骨とあの交わりがただの気紛れでしかないと教えた男を捜す蛇骨の胸に今はただ嫌な予感しか沸いてこない。森を抜け、いつかの場所を目差したのは蛇骨の直感だったのか、今も絡みつく蛮骨への恋情がぬくもりをくれた場所を連想させたか。―居るーあの木蔭で膝をついて、蛮骨はかがみこんでいた。「あ・・にき?」蛇骨の嫌な予感が当たっている事は見るより先に血の匂いが教えてくれた。刀剣の傷は右肩をえぐり、腕をつたった血は柔らかな草の上に滴りおちている。「犬か?」今の蛮骨に手傷を負わせる男が犬のほかにいるわ...拘束ー4ー(犬夜叉二次小説)
蛮骨の深手はすぐに知れる。一番にそれを知った煉骨が嘲る。「一筋縄じゃあ、いかねえ相手だとわからねえ、蛮骨じゃ、あるまいし」暗に自分の戦法こそが犬を倒せるという。自分こそが覇者になれる男と煉骨は蛇骨に誇示する。「蛇骨・・・こい」皆の前で、蛇骨だけを選ぶ。蛇骨と共に蛮骨の仇を討とうなぞという煉骨のわけではない。「・・・」断る。そういおうとした蛇骨の腕を煉骨がつかんだ。酷くこわばった煉骨の手から、伝わってくるものが何であるか悟った蛇骨は煉骨が求めてくる事も悟った。「断る」「なに?」蛇骨の腕を掴んだ煉骨の手の奥がふるえている。蛇骨が煉骨の恣意を感じ取りながら、断ったせいで怒りにふるえているわけでない。―この男も、恐ろしいのだー蛮骨に深手を負わす犬の実力をまのあたりにして、煉骨の底がおびえている。言い知れぬ恐怖感を...拘束ー5ー(犬夜叉二次小説)
座を抜け、蛮骨の元に走り出した蛇骨の背中を見詰めた睡骨は煉骨の手を振りほどいた。「こんな、無理強いをしなくても、私はいきますよ」僅かな征服欲を大きく育てる事が出来る相手かどうかはいざ知らず睡骨の応諾は、煉骨の支配欲をそそり始めていた。「蛇骨のかわりには、とうてい、なれませんが」と、睡骨はいう。蛇骨に軽くいなされた煉骨を皮肉っているとしかきこえない。「いつから、そんな生な口をきけるようになった?」蛇骨がくれるものの質をしっているかのような睡骨の口のききようが煉骨の癇にさわる。「それとも、蛮骨だけで、飽きたらずあいつはお前もたらしこんだってことかい?」このあて推量があたっていたとしても、睡骨は蛇骨と蛮骨との事まで、しりはすまい。煉骨のいなしは、単に気分が変わりやすい子供が目の前の玩具にきをとられているだけにす...拘束ー6ー(犬夜叉二次小説)
山中の今は人もこぬ荒れ寺を仮の棲家にして、独り。蛮骨は湯治場に近い所を選んだ。ようやっと、傷がふさがれば、癒しの湯こそありがたい。「蛮骨兄貴・・」戸口から入ってくる蛇骨を認めながら、蛮骨は大鉾を研ぐ手を休めもしない。「来るなっていわれてたけど・・・」約束を破ってはせ参じた自分の言い訳をいうよりも、蛇骨の目がとらえた光景に息をのむしかない。「それ?」何をしているのだと訊ねるまでもない。蛮骨は黙って大鉾を研ぎ直している。来るなと云う約束を破った蛇骨を咎める蛮骨でない事にふと安ずる。それはまた、蛮骨の傷が癒えはじめ、無様な手負いの姿を晒さなくてよくなった事をも現している。傷がいえたらしい事は判った。だが、「ど・・どうする気きだ?」傷が癒え始めた蛮骨が大鉾を研ぐということは、どういうつもりであるのか。先の決戦で肩...拘束ー7ー(犬夜叉二次小説)
「兄貴・・・」負けると判っていても、それでも、犬に立ち向かおうとする。あんたは充分自分を信じようとしているじゃないか?何で、そういって自分を許してやらない。なんで、そういって自分を庇ってやらない。「いつか、お前、いってたな?」蛇骨を抱いた手をきつくすると蛮骨はその耳元で囁いた。「抱いてやる」蛇骨はうなづいた。頷いた顎に伝う雫を拭い取りながら蛮骨はいつかと同じように訊ねた。「何で・・泣く?」「俺は・・兄貴の・・・」兄貴の「護る者」になりえないのか?成りえれば「勝てる」蛮骨を作りえるだろうに、何の役にも立てず・・・。「来いよ」相変わらず扇情的な蛮骨の物が惜しみなく外気に晒されると、蛇骨のその場所をその物で弄る。蛇骨に緩やかな滴りが滲み出すのは、蛮骨を迎え入れたい一心がさせる。「ここ・・・」そう、ここ。この場所...拘束ー終ー(犬夜叉二次小説)
行けども、行けども、葦原の中である。きちきちきち、という音とともに政勝の足元から精霊飛蝗が軽やかな薄い羽を広げ飛んで行く。蟷螂が降りたった辺りにはただ、ひりひりと蟋蟀の鳴く声がする。日は西にかたぶき始めているが、まだ見上げる頭上の空は鰯雲を並べながら、深く抜けるような青空を残している。その陽光もやがて朱色に染まれば秋の日のつるべおとしさながら、あっという間に辺りが夕間暮れにまぐれてゆくであろう。「おかしい……」小谷城を出て、裾野を見渡した時にその葦原の向こうに道があるのがみえたのである。ならば、その葦原を突っ切った方が早道である。かたぶく日を追うように歩けばよい。それだけをはっきり確かめると政勝は葦原の中に足を踏み入れた。手を切らぬように葦を掻き分けては、進んで行く政勝に押しやられた葦がもたげなおしてくる...蟷螂ー1ー
「すまぬ……あいすまぬ。誰か…おられぬのか」政勝は屋敷の門を叩きながら大きな声で、家人を尋ねてみた。程なく玄関の戸を開ける音がして、ひたひたと土を踏む音が近づいてくると政勝はほっと安堵した。「すまぬ……道に迷うてしもうた。軒先なりと…一夜の宿をかりうけたい」頼みこむ政勝の耳に「お待ち下さい。今、閂をあけます」女の声がきこえた。夜であると言うのに、女が独りで相手の素性を確かめ様ともせず閂を開けるという。なんという無用心な事だと思いながらも、政勝はただ、ただ宿を乞いたい一心が先だった。「すまぬ。道に迷ったのだ。怪しい者ではない。できるならことなら一夜の宿を頼めぬか」扉越しに政勝が言う内に、かちゃりと音がして扉が開いた。扉を開けた女が顔を覗かせると「どうぞ」承諾と共に、女が政勝を屋敷内に招じ入れると再び閂をしめ...蟷螂ー2ー
慌てふためき竹林を後にして政勝が屋敷に戻ってみると昨日の女が政勝を待っていた。「朝餉ができております」政勝に言うと女は歩き出した。早く出立したほうが良いと思いつつも政勝は戸惑った。突然夜中に押しかけた見も知らぬ者を親切に世話をしてくれて、今もまたもこうやって朝飯まで用意してくれているのである。それであるのに、礼の一つも述べずに出てゆくのは流石に政勝も人理におつる気がするのである。「かたじけない」女の跡を歩くようについてゆくと昨日とは違う部屋に通され、質素な膳が置かれ味噌汁の香りが湯気だち政勝の食欲をそそり始めていた。政勝が箸を取ると女は、「粗末なものしか御座いませんが:どうぞ、御代わりも遠慮なさらずに」口をつぐんで傍に座り政勝への給仕を待つようであった。一口汁をすすると政勝は尋ねる言葉を舌の先にとどめて迷...蟷螂ー3ー
屋敷の戸を叩くと件の女が顔を出した。政勝を一目見ると「まあ」おおきな花がほころぶような笑顔を見せた。「きてくださったのですね」「うむ。礼の一つも述べぬはやはりこころぐるしゅうていかぬ」「まあ」優しいというか、律儀というか、礼節を重んじるは武士の習いであろうがそれでも、「姫いさまがよろこびます」政勝の手を取りかねないほど浮き立つ女の様子がさらに政勝には哀れを覚えさせた。こんな事位がそなたにも嬉しく思えるほどに。姫いさまの暮らしはもの寂しいという事になる。「ぁ、ささ。どうぞ。おはいりください」女にあないされ屋敷の中に入った政勝はさらに驚く事になる。来るか、こぬか判りもしない政勝をまっていた。それほどに日常に無い外の人の来訪をたのしみにしている。座敷の中は政勝が来る者としてかのような馳走の膳が運び込まれ始めてい...蟷螂ー4ー
どのくらい眠っていたものだろう。熟睡の果てが睡魔を破り突然のように政勝の瞳を覚醒させた。突然の覚醒に政勝はあたりをみまわした。芯を短くされた行灯がほの暗く部屋を照らしていた。「そうか・・・」此処は旅の途中の屋敷の一室。不覚にも礼を述べにきながら酔いに負けたのだ。不思議なほどに静まり返っている今の時刻は一体いつごろなのだろうかと政勝は障子の向こうをうろんげにながめた。月灯りは細く天空さらに西の空のものか。突然の覚醒は何かの気配を感じたせいではなかったのかと政勝が考え直していたそのときだった。廊下をさえぎるふすまが静かにひらいた。政勝の武士としての習い性であろう。刀を掴み取ると夜半の侵入者にかまえた。「あ?」ふすまを開け放ったのは件の女主である。『采女・・?』この屋敷の主である。どこをどう歩こうが立ち入ろうが...蟷螂ー5ー
「良い。後首尾でございましたな・・」遅くに自室に戻ってきた采女を待っていた女が采女の顔色を見た。采女の心痛は眦の先にまで現れている。「今度こそ、宿り成されたせいでございますよ」女は采女の悲しみを宿りのせいだという。「などか・・・?」「そうでございましょう?田所さまの時も十内様の時も哀しむどころか・・・」女の言葉が過去の采女の行状をたどると、采女はわっと声を漏らし手で顔を覆った。「我らが一族の業のまま、田所さまも十内さまも御祭りもうしあげたときとて、姫い様は苦しむ事は無かった」二人の男は子を宿す事の無い交接を与え、采女の身体だけをむさぼったということになる。愚かな欲に穢されただけの采女は、哀しむ思いを沸かす事さえ出来なかった。ところが、このたびの采女はいかにもかなしい。「宿ったせいでございます。その証でござ...蟷螂ー終ー
飯屋にはいると、白銅は驚かされる。やけに、店主が丁寧なのだ。驚いた顔の意味を察した法祥は店主の丁寧さの理由を話す。「坊主には親切にしておくとあの世での扱いが良くなる、と、信じられているのですよ」「ほおお」間の抜けた返事しか出てこなかったが思うところはある。寺ばかりある。神社も多い。ーどうせ、鎬を削るに都合の良い風聞をたてたのだろうー「誰が吹聴したか判りませんが・・」と、法祥も作られた話であると認めた。だが、そのおかげで、榊十郎の息子、縅之輔の居場所も簡単につかめそうである。茶を運ばれるとまもなしに食事・・いや、飯と言った方が良いだろう。青菜の浸しに香の物、根菜の煮物それに飯。ー坊主に合わせて、精進ものばかりか?ーと、思わぬでもないが、この際致し方ない。それに、食事が目的ではない。飯を運んできたのも、店主で...竈の神・・25
庭に向かう細長い縁側に座布団をひとつおいて、私は庭を眺める。縁側のむこう床の間からは、キース・リチャードが流れてくる。暖かな日差しが差し込み、私は窓を開放する。庭と空間を共有すると、風が懐かしい香りをはこんできた。私の妻がうえた、金木犀が右に左に銀木犀。二本の木が花を咲かせ、その香りがあたり一面を占有していた。私と妻は見合い結婚だった。5つも歳が離れていたが、仲はよかったと思う。私の仕事も順調で、結婚後、まもなしに、街道から一歩はなれた路地をのぼった場所の空き地をてにいれた。山際のせいもあり、格安で、敷地は200坪ちかくあった。隣家といえば、路地をおりた街道沿いにしかなく、見晴らしの良い小高い立地条件はまさに一国一城の主気分をあじあわせてくれた。そこに家を建てた。南側に空池を配する山水をつくり、縁側と床の...金と銀の夢の鞍
ミグ25戦闘機に乗って、亡命してきたソビエト人の、その後を、TVが追っていた。ベレンコ中尉亡命事件-Wikipediaさらりとしか見てないのだけど亡命から45年・・・最初はもてはやされたものの(利用価値がある・・・)今では、誰も相手にしないし本人も、巧く生活基盤を得られず・・・離婚・・など。いまさらに、ロシアに帰りたい・・ような。自由の国アメリカで自由を得られなかった。と、いう顛末だったのだろう。その事について「自由というものは、なんでも自分で自由にしていくこと」と、いうような解説が入った。ロシアでなにもかもに拘束され、不自由な生き方に嫌気がさして亡命したものの「自由というものは、なんでも自分で自由にしていくこと」と、いうところのー自分でーが、巧くできなかったようだ。例えば、「自由に」仕事を選べる。と、あ...ベレンコ中尉亡命事件から、とりとめなく思う。
壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」(16)を、頭から読めるように順番替えしました。この中で、原田屋の女中をお勝と、名付けています。勝といえば、勝海舟がいて、新選組が関わる話に「勝」は、不味いと思うしおまけを言えば原田もだぶる。これが、どうしても、他の名前が浮かばない?いや、他の名前を、付けたくない。お登勢もそうなのだけど・・・字面からして、「登る勢い」と、あるわけで、やはり、前向きというか上昇志向というか滝を登る鯉のような・・・そんなイメージがお登勢の性格を象徴する。ー気がするーこれも、同名の小説があるというのにその名を使う。それと、同じように「お勝」も、その名の通り、運命に「勝つ」と、いうイメージが内包されていてすでに、この名前から、物語のラストは見えているようなものなのだ。そのネタばれチックで、勝海舟と...由緒?????
久方の休日であるというのに総司は、書庫の中である。一冊の本を手に取ると其の場所に立ち尽くしたまま、書かれた流暢な文字に目をおとしてゆく。「沖田はん。お昼どすえ」した働きのお勝が呼びに来た前で、総司は本を書棚に戻すと大きな伸びをしながら「もう・・・そんな刻限か」と、笑った。「お好きどすなあ」朝に総司を見たきり、それきり部屋にいなくなった。また、書庫の中にはいりはったと、お勝は見当をつけていた。豪商の原田の家に厄介になってから総司は原田の蔵書が事のほか気にいっている。すごいなあ・・・と並びまくる本の前で子供のように感嘆の声を上げ、床にまで積み上げられた本をなでさすると、やにわに座り込んだ片手にはもう本が握られていた。「子供のように無邪気な人どすえ」総司をそんな風に、言い表したお勝には、「新撰組きっての使い手だ...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」1
お勝の男という言い方はいささか野卑である。が、この際他の言いようが無い。お勝の男はお勝の亭主でもない。かといって、お勝と恋を語らうだけの若造でもない。お勝は男の抱える事情を鵜呑みのまま男と女の一線を超えた。超えた以上、お勝も覚悟をつけた。一緒になれる仲でもない。一緒にいれる時まで一緒にいて、「骨はあたしが拾ってあげまひょ」そう決めた。何故なら、男は新撰組の志士だった。無論、この事は誰も知らない。沖田も知らない。土方も知らない。でも、お勝には判っている。男が新撰組にいる限り、この恋は成就しない。だから、内緒なのだ。男の志を曲げたいのは、山々。だが、脱党すれば斬首。お勝が一緒に逃げようといえば、男はそうするだろう。でも、結局。死。きっと、このままいても、男は結局天下様と殉死だろうとお勝は思う。どちらにしても、...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」2
こそと音がすると居間の襖があく。見上げた勝のまなざしの向こうに背の高い男の影がある。「おお。くうておるな」見廻りを口実に沖田の様子を窺いに来た土方が後ろ手で襖を閉めると沖田の側に座った。「土方はんは?」沖田より先に勝が土方の昼を尋ねた。横目で勝の傍らの盆にある飯椀でそれと察した土方は「ここほどの馳走ではないが、すませた」ぶっきらぼうに答えられると、お勝もどうも土方が苦手であるのを隠せないらしく、取り付けたように慌ててたちあがった。「お茶をいれてきまひょ」お勝が逃げるように居間を出てゆくのを見送ると「どうも、おなごしはわしをけむたがる」土方もそれとなく察している様である。ここにきた本来の目的はおなごしの愛想をもらえる己の面相を量るためではない。沖田の顔色を覗き込むと「よさそうだの」と、安心した顔を見せる。覗...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」3
『新撰組がいいか・・』そうまでして大和のおのこの生き方を新撰組にもとめるか。ますます、土方の中で新選組に重みが増してくる。土方が益荒男の生き様を己の手の上に載せる峻厳に慟哭さえ覚えようかというに沖田の命の灯はいつきえはてるか。『平穏な世になったとて、惚れた女子と暮す先はないか』それよりこの先を共に暮らしてみたいと思えるような女子にあいまみえることさえないか。おそらく沖田の命が尽きるまでに平穏無事の世の兆しさえ見えはすまい。ほれる女子に逢わぬ方がさいわいかもしれない。が・・・。恋にほだされる事も無くおわるか?原田の家を出てから無言で町並みを通り抜けた土方の胸中の思いが口を付かせた。「総司・・・。お前、好いた女子はおらぬのか?」突然の土方の言葉に沖田がたじろいだ。「いやだなあ、なんですか?藪からぼうに・・」沖...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」4
『それほどの恋でもないか、それほどの鈴音でもないか』土方はこっそり己に嘲りを向けてはみた。『それでも、鈴音。お前は俺を慕ってくれる』女への甘えごと何もかもを包み、許す女はやはり土方には鈴音しかいない。どこかで鈴音の存在で己の男としての在り様を確かめている。だが、総司は女に対峙する男という部分を切り捨てて生きていられる。無論。男にとって女と対峙する男だけが男の生き様ではない。むしろ、ほんの少しの男の一部でしかなく、時にあっさりと総司の様に切り捨てて置けるものかもしれない。無くても良いものを追う。むしろ追わないほうが良いくらいの物を追う。ほんの少しの男の一部さえ、なくしたくない男はやはり自分が可愛い。どうでもいい男の一部が後生大事で切り捨てる事を恐れるは弱いといえるだろう。やがて・・・壬生の屯所にたどり着くと...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」5
「じれったいの」土方の眼が痛い。総司は渋った返事を返したことの上手い言いぬけをさがすか、それでもこれを機会に二人にとってよき結末に結ぶ話が出来ぬか、を選択せねばならなくなってきていた。良き結末と云うのは結句脱党をすんなり許されることでしかない。総司には、ああは言ったが、土方は間違いなく立場上、佐部里信太次の恋を許すわけが無い。だが、佐部里信太次も勝をどうしたいのだろうか?新撰組をどうしたいのだろうか?是が判らないのに迂闊な事を露呈させるわけに行かない。「あの・・」総司の声が進まない。話さぬほうがよいのかあるいは土方が二人の事実を容認し、離党さえ許そうとする考えにさせる話をどういえるかという事よりも総司の胸の中に勝の悲しみが浮かんでくる。その悲しみを思うと総司は佐部里信太次に問い詰めたくもある。―勝さんをど...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」6
「ねえ。ねえ。ねえ」突然の声がひびいた。「なんだ?」土方が声の方を見ると十くらいの蜆売りの小僧がたっていた。いかつげな土方に怖気も奮わせず「ああ。おじさんじゃないんだよう。そっちの」総司のほうを指差し手招きして見せると「大事な用をことづかってきたんだ」土方の存在がさも胡乱であるというように目配せをして総司にこっちに来てくれともう一度手招きをしてみせる。「え?私に?」総司がとまどうのも無理がない。見もしらぬしじみ売りのそれも子供になぞ大事な用を頼む人間に心当たりもない。「いってやれ・・」土方はくすりと笑う。「大方、付文でもことづかってきたんだろうよ」総司は美形の部類に入る。見回りの凛凛しさを見初めた娘が矢も立てもたまらず恋文をしたためたというところだろう。おそらくこんな娘は京の中に沢山いるだろう。が、流石に...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」7
土方がまず聞きたい事は総司が何故、鈴音のことにこだわらないかと云うことである。「おどろいたんだろう?」土方に女がいたことにである。「ええ・・・まあ」総司にとっては当然であろう。恋はご法度と唸っている新撰組の副隊長自らに女がいる。「まあ・・その・・なんだ」土方も説明が上手く出てこない。隊を抜けるような色恋じゃないんだ。と、言えばそれで済む所が総司にはそうはいかない。総司とここに来るまでに交わした話を考えてみても「本意じゃないわけですか?相手の先をかんがえてやらないのですか?」と、土方が女から手を引く事を怒気と共に要求してきそうだった。で、あるのに総司は鈴音の存在を知ったに関らず笑っている。これが土方には妙なのである。ところが「いいんですよ」総司への言い訳と説得を考えている土方に総司がいった。「いい?いいって...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」8
「私は佐部里信太次さんに真剣に生きてほしいんです」総司の口から出た言葉の意味合いを量りかねて土方は口をつぐんだ。「お勝さんにも、思い半分。新撰組にも思い半分。こんな器用な事が出来る人じゃないと思うんです」それで、総司は「思い半分」をどうすればいいと、いいだすつもりなのだろうか?「で?どうしろというんだ?」土方は総司の先を促した。答えは単純明快すぎる。新撰組を選ぶか、お勝を選ぶか。「私は、佐部里信太次さんには、お勝さんをとってほしいんです」「そりゃあ・・・おまえ・・・」土方が言葉をつなげないのも無理がない。総司のいう事は佐部里信太次の離党を示唆している。と、なると離党者は切るしかない。「お前、俺に佐部里をきれといってることになるじゃないか?」総司はまるで間髪要れずに言い返すのをまっていたようであった。「土方...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」9
「実は・・」用意していた言い訳を切り出そうとした佐部里信太次は土方に言い訳を崩壊させられた。「佐部里。女の匂いがするぜ」「え?」虚を衝かれ佐部里も絶句した。「女ってのは、甘酸っぱい匂いがするっていうぜ」あくまでも土方の経験から割り出した推量ではないと、いいぬけの余地を残しておく事にも余念がない。土方の断定しきってない言い方に佐部里信太次も言いぬけを考え付いていた。「ああ?おかしいな?」口中で呟き、首をひねって思い当たらないととぼけた振りをしているが頭の中はこの窮地をどう切り抜けるかを考えている佐部里信太次である。やがて。「あっ。判った」本当に女なぞ思い当たらないのだと、考えあぐねる思わせぶりをみせ信憑性を高めておいて、土方の言った言葉をつきくずそうというのである。念の入った芝居はいかにも佐部里信太次の頭の...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」10
メール整理の前に、USBチェック。感慨にふける事と、成る。パソコンももう何台めになるか、XPの時代からミレニアムにビスタにWindows7Windows8Windows10が出てきたときに無償アップグレードで、10に移行できないパソコンは無かったが恐ろしく時間が掛かった物があった。3日目にやっと、セットアップ・・・結局、使い物にならない。この時に、3~4台始末した。そして、Windows10にスムースに移行できた4台を使っていた・・・が・・・いろいろな機能に追い付けなくなって2台に縮小。最初から10が入っているパソコンを2台購入。ー自分で書いていてもわけが判らなくなるーそこにWindows11のアップグレード。縮小2台の元はWindows7とWindows810には、昇格できたが11には、スペックが合わな...Windows達・・
ここ、しばらく帳簿付けとパソコン配置換えと忙しくしていた。で、なんとなく、思う。小説もどきを書いている心理的環境ではないのであるが・・・なにかしら、日常の中の「ん?」と、いうものをさらりと書くというのも良いな。と、想ったりする。忙しい、と、いう字は心を亡くすと書くが「ん?」と、思わぬわけじゃない。ありきたりの「ん?」どこの誰でも1度は、心に留まる。どこの誰が書いても(あるいは)同じ「ん?」をなにか、文字に「泊まらす」ことの出来る。ーそこはかとなく、おもはゆいーそんな1文にできると良いな。と、思ったりした。こういうのって、忙中閑ありって、いうんだろうなあ。忙しいからこそ「ん?」と、対峙する。たぶん、閑すぎたら貴重な心の煌めきと、意識せずに終わってしまう。柿右衛門が赤をだせないかと忙しくしているからこそ柿の赤...「ん?」を捕まえたいぞ!!
寒くなってきた、と、感じるのがトイレとお風呂の時。夏の間、トイレの便座の保温は切って置く。それが、ある日、そのまま、座ったらーひゃああああ!ー冷たさに、肝・・・(お尻?)が縮む。お風呂はタイル張り・・・ある日、タイルに足を載せたとたんーひゃああああ!ーもうひとつ、ある。お湯の冷めるのが早い。うっかり、遅くに入ってしまったら慌てて、追い炊きスィッチを押すことになるだが最初にでてくる湯が、水・・・ちめたいぞ!!水道の水も冷たくなりはじめてる。外気温にさらされた「水」の温度が下がっているのだから追い炊きの筒?の中の湯も外気温にさらされて冷たくなっている。ーひゃああああ!ーと、思うたび冬きたり、と、思う。季節の変わり目-冬-
ペイペイ払いが18万円も帳簿残高と合わない。その原因を探っていても始まらないのでペイペイの取引履歴を1月から追いなおした。なんとか・・・今日中に終えた。と、書いたのが、0時を回っていたwwwなんで・・・20万近い金額が合わなかったのかよく判らないというのが本音。ひとつには、ヤフーさん。匿名取引というのがあって・・・(これ、ある記録簿に上げられない。それも、その帳簿には代金と相手の氏名・住所品物を書き記さなければならない。盗品等の売買があった際警察から、監査・提出要求が来る。)つまり、ヤフーさんは、盗品売買を黙認(あるいは、了承)していると思われる。こちらが、もしも、盗品を(知らずに)買ったとしても警察が調べに来た時この人から買いました。と、いう提出が出来ない。もしかして、その匿名配送出品者を伏せてしまうー...面倒、と格闘中・・終わった
ふ、甘かったぜ・・・面倒、と格闘中・・3
およそのチェックは終わった。残るは仕入れなどの、電子マネー払い。仕入れ先の品目と値段と送料たぶん・・100件以上ある。決済と、照合しなければならない。ずぶの素人が青色申告をこなせるようになったのも経理ソフトとネット検索と国税庁の申告書作成コーナーのおかげ。おそらく、普通の簿記などで帳簿付けをしようとしたら、出来なかったと思う。経理ソフトは、自動計算してくれるから・・・例えば、銀行通帳と照らし合わせてみると・・・あら~~~!!違ってる・・・というのが、すぐ判る。どこが、違ってるかを探すとしょうもないミスがほとんど。日付を入れ間違えてどこかに行ってしまって月合算は合わない。総合計は合う。こういう間違いもソフトだと簡単に治せるけど収支帳を手書きでかくと全部、書き直さなきゃならなくなる。で、なけりゃ、ほとんど終わ...面倒、と格闘中・・2
年度末を控え、帳簿の再点検。ややこしいことが本年度からふえた。ペイ払いという奴。こやつ・・・ネット内だと、払い込みの場所の履歴を観ないといけない。もうひとつは、近くの店で払う場合。履歴を見ればよいのだけど・・ややこしいのが、履歴だけでは、個人出費か、事業出費(いわゆる経費)か判らない。ネットでは、事業出費にするのだが近くの店では、ついつい個人利用も事業利用もする。そうなると、帳簿付けで頼りになるのがレシート、なのであるが・・・このレシート店によってはどこにペイ払いか、現金払いか書いてある場所が違っていてうかつにも見落として、現金払いとして帳簿にあげてしまったり個人分は個人分として記帳しないと残高が合わなくなってきて実際は、ないのに、お金があるという形になる。この仕訳作業のチェックを入れている。竈の神・・つ...面倒、と格闘中
地震と頭痛を、書いて・・・その中で、そのあと、7時くらいにも、ずしーんと底で広がるような痛み。また、来るのかもしれない。と、書いた。調べたら、石川県のほうで、地震が起きていた。頭痛がおきるとしばらくして、地震が起きるのは頻繁な事なので、後付けで、考えている。どういう地震の時に、頭痛がおきるか。一般に地震波は低周波なので、通常、頭痛は起きにくい。(低周波でも、頭痛がおきる人もいるだろうけど)高周波のほうが、頭痛がおきやすい。例えばだけど、ガラスをひっかく音。ああいうのが、勘に触る。嫌な気持ちになる。が、これは、まだ、可聴帯域の高周波になる。非可聴帯域の高周波は「聴こえない」けど、頭の骨や内耳とかに響いてくる。ーこれを感じる人が頭痛を起こすのではないかと考えているーガラスをひっかく高音でさえ、気分が悪くなる聞...地震と頭痛・・2
帳簿付けを続けていて・・・走るような頭痛を感じてちょっと、体を動かそうと・・・草毟りに外にでた。確か、4時頃。で、夕日が山のてっぺんに隠れ始めたからうん、5時だなと草むしりをやめてTV家に入った。あれ?TVつけっぱなし・・・流れてるテロップ・・・地震があったんだ。どうりで、頭痛かったんだ。と、納得。そのあと、7時くらいにも、ずしーんと底で広がるような痛み。また、来るのかもしれない。地震と頭痛
澄明の式神により、善嬉が来ると知らされた白銅はその由と善嬉とともに、榊十郎の息子、縅之輔に逢おうと、法祥に伝えた。「わざわざ、逢わずとも、陰陽術で読むことができるのでは?」ー読むーと、いうことを、簡単にできると考えるのは仕方が無い事である。「直接、白い犬が縅之輔に、憑いていいるのなら、それもできる。が、縅之輔の前世がひょっくり顔をだしたというより血の中に溶け込んだ前世の思いが、白い犬の存在を匂わせているだけだから」「だったら・・・善嬉さんがいらっしゃっても・・」「そこが違う。善嬉は、前世を読める」「逆をいえば、白銅さんや澄明さんは、前世までよめないということですか・・」「そういうことだ」善嬉が自ら明かした事実に寄れば善嬉の前世は鬼だった、という。鬼の妖力をもったまま、苦しい修行を積んだのも来世には「人間に...竈の神・・24
善嬉も、舟で行くだろうが、むこうには、舟が一艘。三井寺の船場に留めてある。と、なると、帰りの無駄を省くためにも善嬉は、船頭を見つけるだろう。そして、白銅が借りた舟で帰ってくる。ー無駄を嫌うのは、良いのだが時に、無駄を楽しむ気を持ってくれればよいのにーと、澄明が思ってしまうのは善嬉が、恋さえ、無駄と考えているように見えるからだが、この前の妙に、気色ばんだ善嬉の様子を考えると好いた女子でもできたかと、思わぬでもない。気にかかるが、善嬉の問題でしかない。ゆえに、読むまい。澄明は善嬉の元から帰ってくるとくどに、はいっていった。竈に火を入れ、湯を沸かす。白湯ひとつに、火をいれるのも大仰であるが竈の神が現れるか、待ってみることにした。白湯の湯のみをもって白湯をすするころに、やっと、竈の神が現れた。「九十九善嬉のいうと...竈の神・・23
白銅からの伝えを聞くと、澄明は、また、善嬉のもとへ出向いた。「白銅を通して、男のことは読めるのですが」気になるのは、男榊十郎の息子、榊縅之輔の思念に混ざり込んできた白い大きな犬だった。「白銅は、犬神のもとに成ったのではないか、と考えている様です」あとは、善嬉が白い犬を読み下すだろう。しばらく、善嬉は、黙りこくっていた。やがて「澄明、白銅の思う通りだの。榊一族は、サンカの末裔だった。随分前になるが、阿波の山奥で、猟をしながらひっそりと暮らしていたようだ。その猟のために、何頭かの猟犬を飼っていたのだがその中に、白い大きな犬がおる。白い犬は、人間になりたいと思うだけのことはあって、ずいぶん、榊一族のために尽くしていたのだが・・・あるとき、猟にでた、榊縅之輔の前世だろう。猪を追いこんださいに、崖の端から身を落とし...竈の神・・22
「榊縅之輔の思念の中に、大きな白い犬が映ってくるこれは、たぶん、犬神の大元、前世の最初ではないかと思うのだ」白い犬と一口で言ってしまうと法祥には判らない事であろう。「白い犬というのは、人間になりたい、と、思っているのだ」やはり、法祥は得心できない。「犬が?犬が、人間になりたい、と、思う?じゃあ、輪廻転生で、場合によっては私が、元は白い犬だったということだってありえる?そんなことが・・・」「あるだろうの」白虎の守家、九十九善嬉は、前世が鬼だったという。鬼は人間になりたいと草木を食らって厳しい修行をし、死ぬ間際「ああ、人間になりたい」と、つぶやいた。すると、その記憶をもったまま、人間に生まれ変わりなおかつ、相手の前世をさかのぼって見ることが、できる。おそらく、鬼だった善嬉の願いを叶えてやったぞと久世観音か?が...竈の神・・21
息子の縅之輔に犬神が憑くことにより、榊十郎への守護が無くなるのではないだろうか?この場合、守護と言わないだろうが、それでも、お上の目から密貿易を隠し通すと、いうことが、犬神の守護であれば榊十郎を守護している間は榊十郎は、安楽に密貿易を行える。だが、犬神が榊十郎を見限ったら、お上につかまり、刑罰を与えられる。どんな刑罰になるのかまでは、法祥には、判らないが生きておれたとしても、何もかも失い、榊十郎は、正気でいられるだろうか?だが、それよりも、なぜ、犬神は、榊十郎を見限るのだろう?「白銅さん、犬神は榊十郎が欲に目がくらんだせいで、榊十郎を見限るということなのですか?」白銅は法祥の問いに、逆にたずね返した。「それ以外になにか、理由が有ると思うか?」「何らかの願いを叶えてやるのが、犬神であるのならどんな願いでも叶...竈の神・・20
なにか、妙だと感じただけの法祥であったが白銅は妙ではなく、はっきりとなにかを見抜いているのか「白銅さん・・良くない・・というのは?」「みっつ、ある」「みっつ・・・も?」「ひとつは、お前が聞いてきたことの裏だ」法祥はまだ、なにも白銅に告げていない。女の話がきこえる場所に居なかった白銅である。ー私を読んだということだろうか?ーだが、わざわざ読まなくても良い。じきに、法祥自ら伝える。取り敢えず、法祥が聞いてきたことと白銅の言うことが同じことなのか確かめてみた。「山の木を売るという話ですよね」「その裏で、榊十郎は、銀を掘る」名前まで判っているし、十郎という名前は女の口からは出なかった。法祥の中に、ふたつのことがいっぺんに入って来ていた。「銀を掘る?それは、とんでもないことになりはしませんか?それに、白銅さん、榊十...竈の神・・19
昼には、烏丸まで、と、思っていたが鴨川縁に、人だかりを見た。それで足が止まったのだが、人だかりの真ん中に、あの口入屋の男がいる、と法祥がいいだした。「どれだ?」「あの、背の高い男です。着物を羽織っている、あの男です」妙な言い方をしているが、素裸に着物を羽織っているのではない。普通に、着物をきておいて、もう1枚薄手の麻かなにかの着物を羽織っている。羽織を重ねる様にもう1枚、着物を羽織る姿は上背があるから、なお目立つ。白銅は、男が何をするつもりか、しばらく様子を見る事にした。集まった人々の口から「私も一口」「俺は三口」と、なにかを注文している様だった。人だかりの一番、後ろにいた女に、法祥は尋ねてみた。「これは、いったい、なんですか」「お坊さんには、関係ない・・と、言いたいとこだけど榊さんのことだから、おしえと...竈の神・・18
朝食を戴くと、さそくに、足駄をはむ。大師も寺の外まで出て、二人の出立を見送ってくれた。「おまえは、三井寺には寄ったことはないのか?」都まであないするというくらいだから、そちこち、顔をだしていそうな気もする。「いえ、私は・・行方をくらますに必死でしたから」そうだった。生き残ってしまった法祥が都近くに居れるわけはなかった。「最初に、導師にかくまってもらって、それから、あちこちうろついて死ぬべきだろうと、考えてみたり伊予の霊にひきとめられたり・・・」「なるほど。だが、生きておって良かったの」大師の話に、法祥も確かにそう思っていた。「しかし、たいしたお方だ」いつのまにかに、伊予の親の心をやすらげどういうひきまわしか、親の心のかわりようを、法祥本人に伝えることがおきる。「それが、守護ということなのでしょうか」一辺倒...竈の神・・17
三井寺の船場があるはずだと、探していると人影が岸辺に立ち、白銅らに手をふっているように見える。ようよう船が近づいていくと人影の姿がはっきりしてきた。ー大師だー三井寺の大師自ら、供連れもつけず一人、岸に寄るとは、いかなることだろう。そして、白銅たちを待っているようにも見える。大師は、寄ってきた舟を繋ぐ場所を指示すると白銅と法祥に深く頭を下げた。舟を繋ぎ終え、岸にあがると大師は、改めて二人に合掌した。「大師とお見受けしますが、いかなることで」此処まで、来られたかと白銅が尋ねた。「なにほどの事でもないのですがほんの少し前から、鐘楼の鐘が唸りましてななんぞと問うてみれば黒龍と青龍のゆかりのものが舟でやってくるというのでここまで、きてみればあなた方がこられた」確かに黒龍の子孫青龍の守の白銅である。「おそらく、眷属で...竈の神・・16
「ところでの、おまえはなぜ、銀狼が、邪な神だというか、わかっておるのか?」「先にいわれたように、憑りついて・・・」法祥の言葉を半分も聞かぬうちに白銅は違うと首を振った。「憑りつくと守護するの違いは判るか?」「憑りつくは、憑りつく側の身勝手で相手を利用している。守護は、相手の為だけを考えて守っている」「ふむ・・・おおかたは合っているがの大きな違いは、相手の根源力を増やすか減らすか場合によっては生きとおす力を与えるか生命をうばうかそれくらい違いがある」「確かに・・・犬神に憑かれたものは最後には狂うとききます。それほどに、生命力を削がれる・・・」「それは・・・少し違う。憑りつくというのは、そもそも、憑りつく側の根源力が少ないからそうなるのだ」「根源力が多ければ、相手にさらに、根源力・生気を与えられると、いうこと...竈の神・・15
もう小半刻たつだろうか。法祥も白銅も言葉を交わす事なく魯をこぐ音と水音だけが、舟のうしろへ流れていた。悟るとは、さあと取れる事を言う。法祥は考えても考えてもさあ、と、取れるものを掴めずにいる。考えるだけ、無駄と言っても良い。「法祥、おまえは、なにを考えるか判っておらぬ。わしが、いうたのは、自分でということを考えろというたのじゃ」転がりだした岩を止めていたのは、小さな木であったろう。その小さな木に、気がつけば木を取り除くだけで、岩は転がりだしていく。ちょうど、そのように、白銅の言葉が法祥の「木」を取り除いた。「ああ!」気が付いたことに、感嘆の声が上がる。「確かに私は、自分でやろうとしていない。犬神の事も、私にはできないと端(はな)からやろうとせず、あなた方に投げた。あげく、私も巻き込まれて、舟をこぐ羽目にな...竈の神・・14
「竈の神は、八代神の娘婿だという。ある時、竈の神は、八代神の怒りにふれて、地上に落とされた。なにをしでかしたのか判らぬが、それから、竈の神となり、人間の行状を八代神に伝えるように成った。と、いうことだ」それが、なぜ、銀狼との因になるというのか?「銀狼が、なぜ、ある一族のみに、憑いているのか、それは、手繰れぬ。だが、銀狼からすれば伴侶といっても良い相手を結果的に、堕としてしまう。これは、竈の神もまた、同じではないか?八代神の娘竈の神の妻もまた、共に堕ちてしまっておろう」善嬉は、もうひとつ、澄明に伝えた。「いづなが銀狼であった時も、同じであろう。山の神の娘が、沖の白石に姿を変えてしまったのもたつ子を、堕としたということであろう?」それは、つまり「竈の神が、銀狼の所業を止めることが出来れば堕ちた八代神の娘を引き...竈の神・・10
「この前の銀狼、いえ、いづなの件は解決したのですがどうやら、新しい銀狼が、でてきたらしいのです」首領格がいなくなれば、次の者が台頭してくるのは、自明のことよ、と、善嬉が頷く。「その銀狼の出現に気づけずにいたところに法祥と竈の神が、銀狼が出てきたと伝えに来たのです」法祥は、心中の片割れだった伊予と木乃伊の関藤兵馬に八十姫と重臣孝輔をさらえて、成仏させている。あの水枯れの騒ぎのあと、八十姫らの塚には、なんの存念もなくなり善嬉は、おおかたの察しと少しの読みで、法祥の存在は把握していた。ーだが、竈の神とは・・・ーそれで、浮かぶことはひとまず、置いておきもう少し、澄明の話を黙って聞くことにした。「法祥は、都で犬神に憑かれた男をみた、と、伝えに来ました」それも、法祥自体が、憑かれた通り越しがあるゆえに関わるのだろう、...竈の神・・・9
白銅と法祥は、京にむかう。おそらく、舟で大津ちかくまでいくだろう。旅支度も手慣れたもので、ささと、整えると銭をくれと、白銅が手を差し出す。戸袋にあるといいおくと澄明もまた、家を出た。行き先はすでに決まっている。九十九善嬉白虎を祀る善嬉を尋ねる。銀狼を手繰る事は出来ないと考えてはいたが法祥に答えているうちに見えてきたことがある。それを、まず、善嬉に尋ね合わせる。長浜の中心に家を構えたが、良かったと思う。四神を尋ぬるに、便利である。端から端まで、歩かなくてよかった。頭の中で、善嬉に尋ね合わせることをさらえなおしながら半刻もあるくと、善嬉の屋敷が見えた。さっするものがあったとみえ善嬉が、表でつったって、待っていた。「女子の足は、亀のようじゃ」待ちくたびれていたと、ひとくさり、文句をいわれ家にはいれと促された。ま...竈の神・・・8
はやも、たちあがり、それぞれのめどうに向かおうとする二人に法祥は、遅れを取った。当然、口入屋の男の顔も判らぬ白銅をあないせねばならぬと、判っている。「あ、私は・・」おずおずと言葉を継なぐ法祥に二人が動きを止めた。「あ、私には、なぜ、銀狼は、塞ぎをしなかったのかと・・竈の神は、法力もあり、銀狼は塞ぐことが出来なかったのだろうと思うのですが・・・お話を伺ってみれば、銀狼は、あなた方に自分の存在を知られたくない。だのに、私がここにきて、銀狼と男のことを話すことができる」法祥が腑に落ちないのは、判らぬでもない。「それも、さっきの因があるということではないでしょうか?憑りつく者憑りつかれる者正しくは憑りつかれたですが・・同じ色のものは、見えない。気にならない、と、考えれば・・・」「それは、例えば私も一族であり、たま...竈の神・・・7
竈の神が、法祥を伝手にするのが、法祥自ら、判らない。それは、法祥の心の在りようが変わったせいかもしれない。「あなたに、因があるからです」「私に?」しばらく、瞑目すると、考え付いたのだろう。「伊予・・・ですか?」「そうです」憑りついていたという言い方は申し訳ないが伊予は、法祥に憑りついていた。「憑りついていたものとの、えにしを切る。この通り越しが、因になっていると考えます」伊予だけでなく、関藤兵馬・八十姫・孝輔までも成仏させている法祥である。「銀狼を成仏させることは、不可能だとおもいますがえにしを切る。この通り越しが「実」(じつう)になっているのでもしかすると、竈の神はあなたに因り、銀狼と口入屋の男とのえにしを切ることができるのではないかと、かんがえたのではないでしょうか?」「えにしを切る・・・確かに、引導...竈の神・・・6
ーすでに、銀狼が、出現しておりそれは、雌ということになるのだろうか?ー黙りこくる白銅とひのえの胸中をはかるすべもなく、法祥も、また、黙る。このまま、立ち去った方が良いのかどうにかならぬかと、陰陽師頼りのふがいなさにいたたまれぬ思いがわいてくる。「あ、私は・・つい、あの男をどうにかしてやれぬかと・・」白銅・ひのえの都合も聞かず、勝手にしゃべりかつ、おまえら、どうにかしてやってくれは身勝手すぎる。しょせん、いいわけにすぎないと法祥は、立ち上がろうとした。「いえ、私たちも、銀狼が憑いた相手をさがそうと思っていた所ですから、たすかりました」法祥は、言葉を探した。法祥は、犬神、銀狼に憑かれている男を見た。だが、この二人の陰陽師は、逆に銀狼が、憑いている相手を探していた。その裏に、どういう委細があるのか?何を知ってい...竈の神・・・5
誰の、てはずか、ひのえが、表の気配に、でてみればそこに居たのは法祥だった。白銅の手招きに応じてずいっと、中に入ってくる。どうやら、伝え事が有ると、見えた。「息災か」白銅に問われ、頭を下げると、いきなり、話し始めた。都で、その日暮らしのもの達をあつめ働き手を求める者に、口を利く。いわゆる口入屋と、いって良いのだが口入れの利鞘を多くとらない代わりに働き手の駄賃をはずめ。と、いう。口伝えに、噂が広がると口入屋に斡旋をたのむ両方が、押し寄せあっと、いうまに、口入屋はひと財産作り上げてしまった。その口入屋を、かいま見た法祥だった。「あれは・・・犬神のようなものが、憑いています」犬神のようなものとしか、判らないくらいの法祥の法力では、どうにもならない、と、判る。仮に犬神であったとして口入屋から、犬神をしりぞけたところ...竈の神・・・4
澄明は澄明で、考えている。既に、銀狼が現れ、元の一族の誰かを差配し始めている。影は、そういう事だと言っている。だが、もっと、恐ろしい事が後ろにある。影が、竈の神であるなら澄明の行いを、閻魔に伝えにいく。澄明により、銀狼が誰かを差配したという「悪行」この澄明の悪行を、伝えにいくということは、銀狼が、誰かを差配することを変えられないだから、「悪行」として、閻魔帳に記される。銀狼が、一族に憑りつくのは、犬神の習俗でしかない。それは、「悪行」ではない。影は、それを言う。わざわざ、人間に憑りつかさせてしまった澄明こそが「悪行」を行った。ー銀狼の差配を、変えられないというかーそれが、一番、恐ろしいことだった。そして、おそらく、影は竈の神に間違いない。で、あるのに、閻魔、つまり、八代神に、伝えにいったか、行かなかったか...竈の神・・・3
鍋をかかえ、板敷きの食間にあがれば白銅も心得たもので、卓に鍋敷きはおいてある。椀と匙をとりに、くどに戻り切った菜づけをともに、卓に置く。やっと、と、椀に雑炊をつぐと「箸もいりますね」と、気付く。「そぞろじゃの」と、白銅が笑う。「菜漬けは、匙で掬うから・・」気がかりを話してしまえと、言う。白銅の言葉に甘え、澄明・・いや、ひのえは、白銅の向かいに、座ると「食べながら・・」と、前置きしたがすでに、白銅は食べている。物事に動じないのかよほど、腹がへっていたか判らないが、それが、ひのえに安堵を与える。「聞いていましたか?」「気になっていたことを、ずばりとついてきおる。なにか、知っている、と、いうことだろうの」「ええ。いづなが、銀狼すなわち犬神の首領格にいたことでたつこに懸想していたわけですから、その呪縛がとれてしま...竈の神・・・2
白銅と二人、黒犬からおりたてばそこは二人の住まいの外裏庭におろされた。「念のいったことだ」白銅がつぶやく。「念がいっている?」「そうだろう。裏口におろしよるのだから」なにが念入りなのか、やはり、わからない。「わしは、はらがへった」「ああ・・」裏口をあければ、そこはすぐ、くどである。確かに念入りだとおもうが、やはり、気にかかる。「うまく、いったのでしょうか」雷神はいづなを無事にすくいだせたのだろうか?「大丈夫じゃろう。で、なければ、悟るに早い黒犬は我らを琵琶の湖にたたきおとしておろう」「そうですね」確かに裏庭におろすは、念のいったことだとおもいながらくどにはいりこむと、そこに、大きな影がゆらめいた。「白銅、どうやら、また、新手ですよ」「襲ってこぬなら、さきになにか食わせてくれ」まずは、生きている人間が大事。...竈の神・・・1
夜更けて合図の口笛に木戸を潜った勝は佐部里信太次の手に引かれるまま、連れ合い宿にはいりこんでいた。宿の奥の部屋には、なす事を待つかのように夜具がしきのべられていたが、佐部里信太次は勝を求める事もなく夜具の上にすわりこんだ。「信太次さん?」次に会う約束の日をまちきれなかったとしても、一昨日に続き昨日もあえた。それはうれしいことであったが、今日の佐部里信太次の顔色は昨日に較べ一層勝恋しさで切なくみえる。だが、それにしては、信太次が物狂おしく勝を求めてこない。佐部里信太次が勝を夜半に呼び出した事には切ないだけでない理由がある。切なさだけでない物が信太次の顔に見え隠れしているから、勝は不安になる。「勝・・俺と一緒に死んでくれるか?」もとよりとうに覚悟の上と答えたい勝であったが妙な事を言い出した信太次のわけが判らな...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」終
「土方さん」二人の思いを確かめたら・・・土方はやはり、きるのだろうか?「勝さんの前で」佐部里信太次を切らないでくれと総司は言おうとした。「総司、俺が佐部里信太次を切らねば成らないとするなら、女のほうもそんな事はとっくに覚悟の上でふかみにおちているんじゃねえのか?」「・・・」命かけて恋を選んだんだ。命なぞなくなっても、もともと覚悟の上。どうって事ない。かまわしない。汚辱に塗れた思いでだかれるより、恋の為命を投げ出す男だったと知った方がこの先一人でもいきていかれる。「そ、そして、勝さんの思い出の中で無花果をならせろというのですか?」土方の瞳がふっとくぐもった。「そうだ・・鈴音も・・・そうだ」土方の瞳から涙が落ちたのではないかと思った。『土方さん』総司は慟哭する。土方の中で咲くことのない恋の覚悟は死をも見詰てい...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」15
夜も深けるというのに、総司は文机の前にじっとすわっている。勝に昼間の事を話せば、土方の意志をもはなさねばならなくなる。佐部里信太次が勝を選び新撰組を捨てるなら佐部里信太次を切る事になるが、お前はどうする?こんな問い質し方があるだろうか?問われれば勝は恋しい男を護るため、佐部里信太次には勝のことなぞ、本気なぞでないと、いいのけようとするだろう。そして、それが証拠とばかりに勝は佐部里信太次との縁をきる。すると、形骸だけになった佐部里信太次が壬生の屯所に残る。勝と佐部里信太次の恋は無花果にさえならずにおわる。やはり、二人の恋を知った時に判断したように黙って見過ごすべきだったのだ。されば、せめて、無花果一つも実をつけたろう。だが、今となっては遅い。もう土方への口火を切ってしまった。火種はじりじりと火薬を燃やし、土...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」14
『土方さん私は一世一代、たった一度だけ貴方をうらぎります』土方の読みの通り勝を連れて佐部里信太次が出奔するなら、勝と佐部里信太次の恋を護って見せると総司はきめた。小道を歩み始めた土方が振り返って総司に告げた。「後であおう」土方は今日、佐部里信太次を切り捨てる腹で居る。ぞっとする思いが早鐘のように鼓動を打たせる。総司は迷った。土方の新撰組への誠はこんな形で昇華するしかないのか?他にぬけみちはないのか?と。佐部里信太次が隊を捨てるのではない。新撰組が佐部里信太次をすてるのだ。総司が言った言葉が繰り返し頭の中に浮かんでくる。「歳はん・・なにを考えておいでどす?」鈴音の訝しげな目が辛い。「なんでもない」土方は鈴音を強くひきよせる。「気になり・・」鈴音の甘えた声が何を言いたいかわからないでもない。新撰組隊士でもなん...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」13
屯所から原田の家に戻ろうとする、沖田の背に土方が声をかけた。「俺も、一緒にでよう」「土方さん?なにか?」総司はたずねた。「野暮な事をきくな」土方が出る用事が、昼間の一件のことであると、其の答えで総司もやっと気が付いた。「それに、すこし、話がある。みちぶちにはなそう」総司と屯所をでるのは、土方にとっても隊の者の手前つごうもよい。総司と一緒では、土方が私用にでるとはおもわない。ましてや、其の私用が女との逢引だとは、おもいもしまい。「きをつけろよ」夜に動く手馴れの者を探索する気とふんだ近藤の声を背に受けると土方は総司に向き直り小さく「ふん」と、自嘲の篭った笑いを見せた。「いくぞ」土方に主導がある誘い言葉で総司を促すと外に出た。半里も二人はだまってあるいた。土方の話を待ち受けていた総司だったが、たまりかねて土方に...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」12
『沖田さん。貴方が土方さんに話したんでしょう?どう、話したかは知りませんし、それを責める気はありません。でも、私の勝への気持ちは土方さんの言うようなうさをはらすためのものでも、死んでゆく私の生きていた証を、血を残すために勝を利用しているのでもありません』是を土方に言えば、いや、既に口に出せば『それでは、勝をどうするきだ?新撰組をすてるきか?』と、つめよられる事になる。佐部里信太次にとっては勝の事は遊び。玩具。道具。と、する事で新撰組での存続を許すという土方の計らいだとは判る。判るが、佐部里信太次の心の底は勝の事は遊び。玩具。道具。と嘘でも、言い訳でも口にしたくない。上面は土方の言うとおりであると認めた佐部里信太次を装うしかないが心の底の叫びがほとばしってくる。口に出せない真実を二人の恋を見咎めた沖田にこそ...壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」11
鉄は熱いうちに打てと、いうけれど・・・物語を書いている最中だけに当てはまる言葉である。自分の作品の粗は、すぐには、見えない。鉄は熱いうちに打てと、いうけれど・・・いつまでも、熱い状態であるせいだ。鉄が熱い状態というのは、たしかに、打って変形させることが出来るほど柔らかい。だが、この柔らかいということを考え直せば鉄の粒子?が、べちゃべちゃと餅のように絡み合っているーと、とれる。絡み合ってる粒子とはなんぞや。それは、自分の頭の中と書いた作品が、絡み合っている状態を指す。どういうことか?自分の作品を読み直したとき、自分の頭の中と書いた作品が、絡み合っている。文章単独で読み直すのではない。文章を読みながら本来、書かねばならないことを書いていなくても自分の頭の中身が補充・補佐をしてしまう。花が咲いた。と、しか、文章...盲点
まず二つの出版社からの書評・・・・●時代設定も舞台も、それぞれ異なる3つの恋愛物語。前回応募作の「白蛇抄」同様、やはりこれらの作品にも「憂生ワールド」と呼べる物が確固として存在している。細かい心理描写の積み重ねによって織り成す著者の人間ドラマは、恋愛というテーマを掲げながらも、決してそこだけには留まらない。とりわけこの三作品に関しては、「人間」と云うものを真っ直ぐ見据え、人が生きるという事を誠実に問う姿勢が終始貫かれており、静かな感動に満ちている。●最後に『壬生浪ふたり・俄狂言「恋語り」』は、3作品の中ではもっとも著者の持ち味が発揮されている作品であるように思う。本作品においては、土方と沖田という物語の中心人物の輪郭もかなり明確に書き分けられている。例えば、無花果という花をモチーフに佐部里とお勝の恋を例え...思いたいぞ!!
竈の神を、書こうと思いつつ、此処、連日、ぼーとしている。おためごかしというわけではないが、ちょっと、壬生浪ふたり・・を揚げなおしている。すでに、投稿しおえているのであるが・・どういうわけか、その続きを読む・・・という風でなく揚げたものを…読む。と、いう状態になっているのが、不思議な気がする。字数は、確か3万文字だったと思う。が、フォントを揚げる為一挙に掲載できないので、少しずつに分けたがかえって全部読んでやろうと、いう風にならないのかもしれない。揚げなおすと、また、頭出しの為の順番替えをする事になる。そんな時に思い出すのが連載しているころにある方がー完了したら、教えて一気に読みたいーと、言われたこと。判らないでもない。続きが気になってまだか、まだかといらいらする。漫画でも、完了したのを一気に買うということ...息抜き?
今日は正直、まいった。私はご存知の通りペットショップの従業員。いつもの通り、子供連れのお客さんの対応にいささか、辟易しながら犬たちの面倒をみていた。ぼんやりした様子の子供をつれたおかあさんが入ってきた時私はすぐに、その子が知的障害者だとわかった。「あのう・・・」他の従業員はそそくさと奥にはいっていく。おまけに私がそのおかあさんとばっちり目があってしまった。覚悟を決めて、応対する。「あのう・・。このこ、知的障害なんですよ」説明されなくても、見ただけでわかる。だから、なんだというわけじゃないけど、正直、嫌な予感をもった。「友達もいなくて、猫を飼ってるんですが、猫はすぐ側からはなれるので、この子が猫をつかまえようとして・・・」見れば、その子の腕や顔に猫からのかき傷がおびただしい。だから、なおさら、予感が的中しそ...ノンちゃんの犬
闇の中から、時折声がする。ギャッと一声鳴くと、ばたつく羽音でそれが、鷺だとわかる。鷺は不思議な鳥だ。夜闇の中を動き回る。彼らは俗にいう鳥目ではないのだろう。動物は人間と違う感覚を持っている。犬や猫は人間に見えないものが見えると聞く。鷺も鳥でありながら、闇夜がみえる梟のような鳥なのかもしれない。ギャッまた、鷺がわめく。闇夜でも目が見えるばかりに小心者の鷺は驚きの悲鳴を上げなきゃならない。そんなびくびくしながら、闇夜を透かしみるくらいならよほど、見えない小鳥のほうが安気だと思うんだけど、どうだろう?「そうだね」私の隣に座った者は今日はどうやら、水の怪のようだ。緑の藻のぬめりがすこし乾いてきてる。それが、この部屋に長い間、居座っていることを現している。「あんたは、怖くないかね」水の怪はにたりとひきっつった笑いに...・・・鷺・・・
やはり、同じ結果がでる。研究所の実験室には、蟻とミツバチが飼育されている。飼育箱は、それぞれに20個ある。その飼育箱の中に、働かない蜂働かない蟻が必ず出てきた。40箱の中、およそ4%の個体が、働かない。働かない個体は、働く個体に世話をされ餌を与えられ、水を与えられ排泄物を掃除され・・・ただ、生きているだけで、時折、動き回って見せるが「仕事」はしなかった。ーこういう個体が生まれて来るようになっているのかはたまた、生まれてから仕事をしないと決めるのかー最初はその観察からだった。観察しやすくするために4%の働かない個体を巣箱から削除した。すると・・・今まで、働いていた個体が突如、働かなくなった。それも、1匹や2匹ではない。数を数えると・・・全体の4%どうやら、全体の個体数に合わせて働かない個体が、出現する。と、...準教授の反乱
カテゴリー竈の神白蛇抄第18話(24)創作談義(51)続歴史を齧ってみる(27)作品に寄せて・・(59)不思議な話(15)憂生日記その1(192)以下作品・物語頭出ししてあります。ブロー・ザ・ウィンド(16)壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」(16)「空に架かる橋」(67)蛙-続編ー(2)蛙(1)俺の胸の中の陽だまり(ー神戸にてー)(1)神戸にて・・・(ー俺の胸の中の陽だまりー)(1)金と銀の夢の鞍(1)パンパンとチョコレート(12)「いつか、見た夢・・デ・ジャブ」(7)風薫る丘の麓で(10)箱舟第一部(8)箱舟第二部(6)箱舟第三部(7)柿食え!!馬鹿ね。我鳴る成。放流児(8)笑う女(25)底・・・で(2)昔馴染み(25)奴奈宣破姫(25)踊り娘(22)懐の銭(24)お登勢(58)宿根の星幾たび煌輝を知ら...カテゴリー
そろそろ、竈の神の続きをかかねばとおもいつつなぜか、気が載らない。それは、なにか、原因があるはずだ、と、考える。ー熱のこもらない状態は読み手を意識するーと、いう持論があるが、読み手を意識するから熱がこもらないのか?熱がこもらないから読み手を意識するのか?ー卵が先か、鶏が先かに、近いー実際、熱―沸騰中は、ワードに書いていた。そして、一挙にブログに揚げたわけだけど・・・いつだったかK氏に言われた。ー僕は今書き続けられるかどうかを思うーどなたかのブログに作家は、どれだけでも文章をかけなきゃいけないとか、言う言葉があった。ワードに書きつけていたころー書き続けられないーと、いうことすら考えた事はなかった。楽しくて、おもしろくて閑が有れば続きを考え夢の中でさえ考え(夢だと判っていて、この設定でいける!!おぼえておけ・...危ういぞ・・・
僕がこんな、防空壕にすむようになったのは、あの空襲で家を失い、妹を、母を祖母を失ったからだ。親戚も・・。焼きだされ僕を引き受けるどころじゃない。おなじ境遇の少年達にであうまで、僕は町をうろつき、あげく、くたびれた身体を駅舎の中にやすませていた。「おい。おまえ」僕を見つけた良治は僕が孤児になってしまったことを直ぐ、見抜いたとあとで教えてくれた。僕は良治に手招かれるまま、良治の後をついて歩き、この防空壕で暮らすようになった。防空壕の中にはほかにも少年が居て、皆で助け合いながらここで暮らしているんだといった。防空壕の中はけっこう、広くて僕らははじめ、その地面に無造作に寝転がって睡眠をとっていた。だけど、10月の声をきいてから、僕らはじべたに眠るに余りの冷たさをおぼえ、手分けしてあちこちからりんご箱をあつめてきて...パンパンとチョコレート・・1
恭一が死んだ直接の原因は破傷風にやられたからだ。高い熱を出しうわごとを繰り返し、恭一は僕らに謝った。「ごめんよ。ごめんよ」恭一は自分の失敗を謝る。畑から芋をほりだし、それを僕らに持って帰ろうとしたのに、畑の親父に見つかってしまった。手にした芋をとりかえされるだけでなく、恭一はこっぴどく親父が手にした棒でぶん殴られた。その傷から、破傷風を拾ったんだ。ろくなものを食べてない。体力がなかった。破傷風は恭一を我が物顔で蹂躙し、最後に恭一の命を奪った。僕らはただただ、惨めだった。戦争に負けたから。僕らは同じ日本人の財産を掠め取り、親父は同じ日本人の僕らをにくんだ。それは・・・。僕らには何も言い訳の出来ない罪。僕らは次の日。恭一の死体を畑の真ん中にねころばせ、そこいらじゅうの芋をほりかえし、恭一の周りに置いた。僕らは...パンパンとチョコレート・・・2
外気の冷たさより沼の水は冬の寒さを予感する。鯉やフナは水底に潜りだし僕らのちゃちな釣り針にかかる気配をなくし始めていた。「どうする・・」冬が来る。僕らはこのままじゃ、飢え死にしてしまう。「お乞食でもするか・・・」良治がつぶやいたけど、誰もうなづこうとしなかった。人通りのある場所。例えば駅舎。そこにうずくまっている人間に時折食い物を与えてくれる者が居る。だけど、食い物を与える人間も阿呆かもしれない。自分の哀れみに負けて握り飯を差し出す相手は決まって、もう、死に掛けてそこに座っているしかない人間に渡すんだ。目がうつろに開かれ生死の境をさまよっている人間を見てしまった人は見ぬふりをするのが辛いのだろう。末期の水のつもりか。決まって、差し出された握り飯をつかむ事も出来ないような人間に握り飯を差し出し、手に取ること...パンパンとチョコレート・・・3
僕らは、むごい。いままで、僕らは盗みをしなかったわけじゃない。りんご箱の居間の上には二組の布団がある。僕ら6人は・・・。ああ。恭一が死んで、僕らは5人になったけど。その5人で二組の布団の中にもぐりこむんだ。身体を寄せ合い、何とか、暖を取れるだけの二組の布団を盗んでくるときも、畑から、作物を盗んできたときも、これは、本人の眼の前でかつ、無理やりに奪い取ったものじゃない。こそ泥って、行為はそんなにも、心をいためつけられるような、悲しい声を、まなざしを見ずにすむ。ごめんよ。僕らもどうしようもないんだ。でも、コレで、助かるんだよ。僕らの罪悪感は必須という条件と、相手を見ないことでうめあわされていた。だけど、今度は違う。汽車から降り立った人間の中から、めぼしい「物」を持ってる人間をみつけると、僕らは跡をつけてゆく。...パンパンとチョコレート・・・4
僕らも早く、何とかしようとおもっていたのに・・。こんな浮浪児が、まともに、稼ぐ方法もみつからないまま、僕らは引ったくりをくりかえしていた。「嫌な予感がする」昭次郎がいったけど、それは予感なんかじゃなくて、当然の警戒態勢。憲兵も駅舎の中に現れた浮浪児の存在に気がつく。当然、其の目的も見えていただろう。あげく、其の強行の結果も耳に入る。被害が、重なれば、いやでも、僕らの存在が注視され、憲兵は悪党を摘み取る任務を課せられる。其の日・・・。僕らはそれでも駅舎に向かった。めぼしい人間を見つけると僕らは跡をつける。良二がめぼしをつけた人間の跡をおう。それを合図に僕らも動き出す。それを待っていたかのように、憲兵が良二を追い始める。駅舎を出ようとした良二が憲兵に呼び止められた。逃げる良二を見越していたんだろう。憲兵は良二...パンパンとチョコレート・・・5
背の低い植え込みの木は、どの借家の前にもうえこまれていて、憲兵はそれをいちいちのぞきこまなきゃ、僕を見つけられないだろう。うまくいけば、他の場所に逃げ込んだと思ってむこうにいってしまうだろう。僕は植え込みと家の壁の隙間に身体を埋め込んで息をひそめていた。憲兵の罵倒と足音が近寄ってくる。僕はますます、身をちじめ憲兵の通り過ぎてゆく気配を待った。其のときだった。僕の隠れた植え込みの直ぐ横の扉が開き中からハローが出てきやがった。そうだ。この界隈には「オンリー」と呼ばれる娼婦も住んでいるんだ。パンパンとも呼ばれる娼婦だけど、オンリーになると待遇がいい。ハローの奴も階級が上だから、女を囲うだけの、財力もある。其のハローの独占物になるんだから、ときには、こうやって家を一軒あてがわれるってわけだ。ハローは今日が休日だっ...パンパンとチョコレート・・・6
憲兵の足音はむこうにとおざかっていくようだけど、この一角は僕が入り込んだ柵を境界に袋小路になっていたんだ。憲兵の一人は柵を見渡せるこの敷地の入り口に立って、もう一人が敷地の中に潜んだ僕を追い立てるって手はずだったようだ。僕は迷い込んだ敷地の地形を知るわけもなく、憲兵達が遠ざかってゆく気配をかいでいた。ハローは、しゃがみながら動き出した僕を見た。僕は一気にそこから、柵へ戻るために邪魔っ気なハローを見上げていた。女が僕を見ようとするハローの顔を両手で挟みこんで、判らない言葉を喋りながら、相変わらず、口をくっつけようとしている。僕はハローが早く其の場所をどいてくれないものかとそればかり、待っていた。「何度言ったら、判るのよ。あんたにいってるのよ」女はハローに手を回し、ハローをみつめたままだった。今度は日本語を喋...パンパンとチョコレート・・・7
僕は玄関の隅でぼんやりとつったっていた。女がハローに別れを告げ、家の中にはいってくると、僕にいった。「大丈夫だよ。あいつらは、ここにはこない」治外法権というほどに大げさなことじゃないけど、GHQ絡みに話が進んでゆけば、事が面倒に成る。憲兵達が、仮に僕が此処にかくまわれたと感づいたとしても手出しができない。かといって僕が此処を出るまで、ずっと、外で見張っているわけにも行かない。「しばらくしたら、かえっちまうよ」女は小気味よさそうな笑みをうかべ、部屋の中に入れと僕を促した。女は先に立つと僕を手招きして、少し、笑った。「やだね。あたしがこうやると、客をひいてるみたいだね」女の言葉に僕は笑えなかった。それは、僕が女のいう意味合いが判らないからじゃない。女に染み付いた「娼婦」が哀れに思えたせいだ。きっと、そこらのお...パンパンとチョコレート・・・8
僕が入っていった部屋は板の間の台所だった。そこには、丸い、足の長いテーブルがあり、椅子が二脚おかれていた。ひとつは、ハローが座る椅子なんだろう。「そこにすわりなよ」女のいいなりに僕は椅子に座った。女は水屋にちかよると、しゃがみこんで、一番下の扉を開けた。銀色の包み紙に包まれたチョコレートが何枚も積み重ねられていた。女は水屋から持ち出してきたチョコレートを僕の前にさしだした。「おたべよ。コレをたべてる間にうどんをつくってあげるよ。腹がへってるんだろ?」僕は伸びてゆきそうな手をおさえて、首を振った。「そうかあ・・・。でも、うどんならたべるだろ?」女は僕がチョコレートをいらないと、断ったわけを察していた。女がハローに貰ったチョコを口にせず、水屋の下に隠しておいた理由があるように、僕の拒絶にも理由がある。「はい・...パンパンとチョコレート・・・9
女はハローに貰ったチョコレートを食べなかったんだ。ハローに身体を売っても、施しをうけたくなかったんだ。其のチョコレートをよほどどこかにすてちまいたかっただろう。だけど、食い物を粗末に出来ないんだ。甘い物ほしさにチョコをねだる子供もいる。それを見ている女は捨てる事などいっそうできはしない。ならば、女が子供達にチョコレートをわたしてやればいいと、いうことになるだろう。なのに、チョコレートは食べられもせず、捨てられもせず、誰かに渡されもせず水屋の隅に積まれていた。女がおかしいだろうというのは、そのことだけど、僕には女の気持がわかる。「あたしはね。はじめは、日本人相手に商売をしてたのよ。でもね。無性にみじめになってしまったんだ」女は沸いてきた湯の中にうどんを放り込みながら話を続けた。「なんで・・・。日本人が日本人...パンパンとチョコレート・・・10
女が喋りたかった事は何故、自分がハローのオンリーになっているかという事。そして、僕にチョコレートを渡そうとしたいいわけ。もし、僕が断らなかったら、女は自分の身の上話などしなかっただろう。僕の拒絶を見て、女は自分にこだわりがあるくせに僕にチョコレートを渡そうとした自分を煎じ詰められてしまったんだ。僕の「いらない」は、女が娼婦でない部分と合致する。僕はまた、「女が娼婦でない部分」と、合致する僕を煎じ詰める。「僕らは最初・・・。畑から、作物をぬすんでいたんだ」女は茹で上げたうどんをざるにいれ、あいた鍋でうどんの汁を作り始めていた。「盗みって事がろくでもない事だって事はよくわかってたよ。でも・・・」それしか、生きてゆく方法がなかったなんていいたいんじゃない。「どんなに間違っていても、無理やり盗んでゆく事であっても...パンパンとチョコレート・・・11
どうにも、仲哀天皇を暗殺したとしか思えない・・のだけど神功皇后と武内宿祢が誉田矢皇子(応神天皇ーと、しておく)をつれて、気比神宮にいって、気比神宮の神?いざさわけと「なをかえよう」と、いうわけだけど・・・・「なをかえよう」と、いう「な」を平仮名で書いている通りはたして、「な」は、名であるだろうか?と、いう思いがあった。采という意味合いの「な」という説もありいざさわけが、イルカを浜におしよせさせた。采(食物)として、イルカを食べる?と、いう習慣があっただろうか?馬子にしろ入鹿にしろ能力の高い動物にあやかる、と、言うことは有っただろう。今でも、寅次郎とか・・(ちゃうか・・フーテンの寅さんww)どうも、腑に落ちないので「な」を、別のことと考えたかった。その案として、考えたのがまず、いざさわけが、なをかえる、こと...武内宿祢の「なをかえる」を調べたことをふりかえる。
宇佐八幡宮となると、応神天皇を祀っているわけですが・・・この応神天皇諸説あり、で・・・・神功皇后と武内宿祢の子供ではないか?と、いうのが、よく知られているのですが・・・この皇子を天皇にしようと、したことで、内乱がおきる。仲哀天皇の子供(応神天皇の兄たち)と敦賀あたりで、戦いとなったと記憶する。と、いうのも、どういう経緯か神功皇后武内宿祢応神天皇(誉田別尊)を、つれて敦賀の気比神宮に詣でている。つまり、敦賀辺りに拠点があったとみなされる。この詣でたことに付いていえば「ナをかえる」と、いう話がついてくる。これは、その当時、実際武内宿祢の子や、後に応神天皇とも名を替えると、言うことをやっていて子供にはみみずくとかみそさざい(だったと)の文字を入れている。この段でいえば馬子や入鹿などゲンの良い名前に換えているのだ...ナをかえる(気比神宮ー武内宿祢)
宇佐神宮の建つ小椋山(亀山)は前方後円墳? 邪馬台国探訪(ameblo.jp)宮司を取り持つ宇佐家、大神家、辛島家文書には宇佐神宮の伝承が残されており、それを総括したものが、以下のようになります。欽明天皇の29(569)年、宇佐神宮境内の菱形(ひしがた)池のほとりの泉の湧くところに、突如ひとつの身体に八つの頭を持つ奇異な姿をした鍛冶をする翁があらわれました。村人が見に行くと、五人行けば三人殺され、十人行けば五人翁に殺されてしまいました。そこで大神比義(おおがのひぎ)が見に行くと老人の姿はなく、代りに金色の鷹がいました。比義が『誰かによって鷹に変えられたのか或いは自分の意志で鷹になったのか』と問うと、鷹は金色の鳩(はと)となって比義の袂(たもと)の上にとまりました。そこで神が人を救済されようとして、自ら鷹に...宇佐神宮の伝承(資料)
久子は30そこそこだろうか?だけど、こんな浮浪暮らしのせいだろう、肌につやもなく、髪も無造作にたばねてるだけだから、いっそう、ふけて見える。「あんた・・・若いのに・・こんな暮らししなくても、いくらでも、職がありそうなのに・・」人のことはいえないとふふんと鼻をならし、俺の傍ににじりよってきた。「あんたさ・・あっちのほう・・どうしてるんだい?これかい?」妙な手つきで、自慰行為をまねてみせると、さっきより、いくらか、若くみえるのは、話がつやめいてきたせいかもしれない。「寂しいだろ?あたしで、よけりゃ・・」久子が欲求の強い女だということは、俺も良く知っていた。浮浪者の何人かに身体をひらいて、「やらせてる」浮浪暮らしをする男は日銭を稼ぐのもやっとなんだから、久子のもうしでは、「おんの字」でしかない。女をかうこともで...神戸にて・・・(ー俺の胸の中の陽だまりー)
畑にたつと、どこからかジョウビタキの声がする。さがしてみると、むこうの屋根のてっぺんあちらの桃の木の梢の先と、ずいぶん離れている。昨年は土を耕したり草を刈っていたりすると近くの留まれそうなところに来ていた。なつっこくて、ほんの1m先までくる。独特なお洒落なコートをきている粋な色合いでクール👍と、想う。なので、ググった。あの独特なカチカチカチ・・という石や金物を打ちあわすような声音ゆえにジョウビタキと、いうらしい。常に火を焚く火打石を叩く音に、よく似ている、と。このジョウビタキ昨年は、腹が減っていたのだろう。草刈りやら畑起こしをすると、虫がでてくる。一度ジョウビタキの嘴では飲みこめそうもない大きな芋虫を咥えて、近くの岩の上にもっていったけど持って行っただけだった。彼が留まる「物」は、彼の体重を支えられるのだ...ジョウビタキ
俺。こんな昼間にそれも、こんな繁華な場所に存在しているのが、ふさわしくない浮浪者。駅前のロータリーを利用して作られたこの公園は駅の両肩をつなぐ、近道だから、けっこう、通り抜ける人間が多い。その公園のベンチに俺は寝転がってる。傍らを通り抜ける人間は浮浪者の俺から、出来るだけ離れて、通り過ぎてゆく。鬱陶しい存在だろう。うろんな存在だろう。見るも汚い。見なかったことにしようと足早に遠ざかる人達。向かい側のベンチは俺の存在のせいで、誰にも座られずに、秋の陽だまりの中でぬくもっているだろう。本当ならそこに腰掛けてハンバーガーをぱくつくだろう人間も眼の中の風景に余計者がいるだけで、其の場所をさけてゆく。だけど、足早に通り過ぎる人間が一同に俺の寝転がるベンチの下を凝視してゆく。そして、俺をはすかいに見ると、通り過ぎてゆ...俺の胸の中の陽だまり(ー神戸にてー)
いくつか、日記を書いておきながら下書きのままにしてある。ひとつめは、神頼みおかげ信仰などについての自分の中・・・これは、また、信じられないような内容を含むので公開断念wwwで、別の見方からの「神様との付き合い方」として大神神社の「ある浮かび」を書いたがこれも、まあ、簡単に言ってしまえば「素直でない」と、いっていいか。自己嫌悪がでてきそうでもありその言い訳がましくなると思いやめた。ところに、ブロガーさん率直に感謝すと、いう記事を読んでやはり、そうであるべきだなあ・・・と、自分の特殊な事情を持ち出しても始まらない。と、やはり、やめた。その前にも、思っていたことが有った。「結局、自分の思う通りが、叶っている」と、いうこと。うまい例えがでてこないのだけど例えば・・・「自分は絶対歩けないようにはなりたくない」とか「...食いたくないがかってに、食っちまう
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