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  • 空に架かる橋 29

    身体は不思議だ。少年の意識は混濁し思いも心も感情もいまや、定かじゃない。だけど彼のその部分は生きる事を求め、温みを欲しがる。その、身体の不思議な訴えはあたしにもおきていた。身体には個人の感情やこだわりや、そんなものに動じないもっと大きな希求があるとしか思えない。そう・・・。あたしの女性である部分はあたしの思惑をこえ、彼を包んでやりたいと訴えだしていたんだ。もちろん、あたしは彼の生きようとする姿を目の当たりにして、不埒な性的欲求や興奮なんて感情はあろうはずも無かった。それなのに、あたしのその部分は彼を生をいとしみ、彼を包んでやりたいと泣くかのように濡れそぼっていたんだ。身体はもっともっと大きな心を具有しているとしか思え無かった。空に架かる橋29

  • 空に架かる橋 28

    兵士の言う「頼む」という言葉の意味合いが、何を意味するか直ぐに判る。少年の最後の命の躍動をただ、見つめるのはあまりに忍びない。さりとて、彼の無骨な指が彼の欲求をなだめたとて、それは、ただの処理でしかない。彼の命を受止めてあげる事は女であるあたしじゃないと出来ない。あたしだから、女だから、できる。外面的判断はそういうことだろう。だけど、あたしの中には奇妙な感情が湧き上がってきていたんだ。見知らぬ少年。それも敵。あたしの仲間を殺しまくった敵の仲間。にくむべきだろう?あたしは拒否するべきだろう?だけど、あたしの眼の前に居るのは死におびえるちっぽけな男の子。あたしは最初彼の性器にそっと手をふれた。意識は混濁して、彼はうわごとのようにエンジェルとあたしをよぶだけなのに、彼の性器はあたしの手の中でぴくんと動き生きてる...空に架かる橋28

  • 空に架かる橋 27

    少年の意識が再び混濁して行く。少年はあたしを呼ぶ。「エンジェル・カム・ヒヤア・アイム・スティル・ヒヤア」僕はココに居るよ。ねえ、ココに来て。少年の怖れは死にいく恐れ。彼は怖くて、怖くて、あたしを呼ぶ。「ココに居るよ」何よりも確かなものは、言葉じゃ伝わらない。あたしは彼の手を握り締めたんだ。いくばくか彼の精神は落ち着きを取り戻し、あたしの手をさするようになぜると、あたしの存在を確認できたようだった。あたしの後ろに並んだ兵士達は固唾をのんで彼を見守っている。そのとき。彼の手術を要請した兵士が彼の服を解きだした。何を?あたしが兵士を制止するより先に彼の懇願の言葉が「頼む」とあたしの耳に届き少年の生を訴える下半身の一部の直立がさらけだされていた。死を前に命を生み出して行く生殖行動の基本が命を主張していた。生きてい...空に架かる橋27

  • 歴史を齧ってみる・・

    結論だけを先に書いている所がある。なぜ、そういう結論になったか、が、抜けている。まったくの、門外漢が、歴史をかじり始めて妄想チックにああ考えたりこう考えたり足りないピースの方がおおいのに考えるから支離滅裂で、根拠がない。そうやってるうちに、少しは、ピースが増えて来る。ジグソーパズルでいえば最小限の予測が出来るように成る。これは、海だ。とか、なにかの建物だ・・とか。アバウトでしかないが、少しずつ、見えてきた気がする。その大きな、きっかけが武内宿祢と神功皇后が気比神宮に、誉田天皇(ここも、色々、背景があるが・・)をつれていき、いざさわけと、「なをかえた」と、いう話。確かに、名を替える(交換する)というげんかつぎみたいな習慣があったようではある。これが、「洗礼ではないのか?」と、思い当たってからだいぶ、他の事も...歴史を齧ってみる・・

  • 空に架かる橋 26

    佐々木先生がホルマリン室に下りていった。千秋は仮眠室に入っていった。もう直ぐ明美もココに戻ってくるだろう。あたしは少年の傍で、彼を見守っていた。少年の最後が直ぐ傍まできていた。その少年の最後の生の躍動が始まる。その躍動が千秋を明美を蹂躙に導くきっかけになるなんてあたしは思いもしなかった。あたしは、ただ、少年の命のきらめきを受止めてあげたかっただけ。あたしはナースなんだ。ナースは時に安らかな死を患者に与えるために最善を尽くす。あたしは人間として一人の人間として彼の死を導き、彼の生を全うしてあげたかった。これから話すことは理解の範疇を超えてるかもしれない。だけど、あたしは彼の命を、思いを、受止めてあげたかっただけなんだ。空に架かる橋26

  • 空に架かる橋 25

    やがて、千秋は診察室にもどってきた。千秋は真っ先に私達の所にかけよってくると、少年の意識回復を知った。だけど、千秋もその回復が命が尽きる前の一瞬のきらめきでしかない事を直ぐに見て取った。死に向かう生でありとて、最後まで生きていたいという生命がなせる奇跡のわざといっていいかもしれない。できるだけ、平静に千秋は「きがついたのね」と、少年に声をかけると、処置室を覗き込んだ。露木先生がそこに居る事を確かめたかったんだ。だけど、露木先生は居ない。千秋の瞳は少年の周りに集まった兵士達を確かめている。露木先生の傍に最後に残った兵士を探しているのだ。千秋の瞳がその兵士を見つけると、千秋の喉から、小さな声が洩れた。「あっ」露木先生を一人、ホルマリン室において、兵士がココに戻ってくるわけが無い。「ね?露木先生は?」おそるおそ...空に架かる橋25

  • 空に架かる橋 24

    明美の悲しい声が外からひびいてきたけれど、コレが怪我の功名?になるということもあるんだ。少年兵はその声を混沌の中で聞いていたんだ。男の声なら、少年の意識は波立たなかっただろう。戦場で聞こえるはずも無い女性の声が、少年の意識の中で疑問を生じさせたのだ。?そういういいかたしかできないけど、?と感じ始めた少年の脳が彼を覚醒に導きはじめたんだ。少年の意識の回復は最初にあたしにむけられた。うっすらと、瞳を開けた少年はちいさく、あたしにたずねたんだ。「エンジェル?」死んじゃったと思ったんだろうね。「違うよ。ナースだよ」そうこたえた途端少年のひとみが大きくみひらかれた。少年の傍に集まっていた兵士達もいっせいに少年の傍につめよったんだ。「おうい。元気かあ?」少年を見つめる兵士たちの瞳にも喜びがあふれかえる。少年はその瞳で...空に架かる橋24

  • 空に架かる橋 23

    千秋はいったん、診察室にもどってきたけれど、ぬぎ捨てられた衣服をリネン室に運び入れるために、兵士と再び一緒にドアの外に出て行った。ストレッチャーに衣服を積み上げ、玄関側のドアをぬけていった。千秋はそのまま、兵士に色々と部屋の案内をさせられることになる。食事を作る場所。浴室。食料保管庫。ホルマリン室の存在をさっさと掌握する兵士が千秋の案内が必要なのだろうか?と、不思議な気がする。だけど、千秋は命ぜられるままにリネン室の袋の中に服を押し込めた。ここが、まだ、平和だったときはクリーニングの業者がこの大きな袋にシーツや患者の服。看護服をいれて、3日に一度はもっていってくれていた。その名残の袋はのこっていたけど、あたし達は患者の服をシーツを小さな洗濯機であらって、少しでも快適にすごしてもらおうとした。浴室だって、そ...空に架かる橋23

  • 探し物

    少彦名『古事記』によれば、スクナビコナは、大国主の国造りに際し、天乃羅摩船(アメノカガミノフネ=ガガイモの実とされる)に乗り、鵝(ヒムシ=ガとされる)の皮の着物を着て波の彼方より来訪し、神産巣日神の命によって義兄弟の関係となって国造りに参加した。少彦名が、乗ってきた船天乃羅摩船天乃羅馬船とも、書かれている。ローマとかいて、変換をかけると羅馬になる。天乃羅馬船に乗ってきた少彦名と、なると、さては、外人か?ズバリローマ人か?と、思ってしまう。あながち、嘘でもない気がするのが因幡の白兎とか・・・(白人のことではないか?あるいは、アルビノ)天皇家の系図の中(仲哀天皇近辺だったか)清明天皇???(記憶薄い)は、アルビノだったという。大国主命(オオクニヌシノミコト)には、八十神(やそがみ)と呼ばれる大勢の兄神がいまし...探し物

  • 憂生中事実・・・

    憂生中事実と、いうのは・・・憂生に起きた事実と、いうことなのであるが、これは、「中朝事実」から、とった。「中朝事実」って、なんだ?中朝事実(ちゅうちょうじじつ)は、山鹿素行が記した尊王思想の歴史書。寛文9年(1669年)に著わした。全2巻。付録1巻。山鹿素行は儒学と軍学の大家である。『中朝事実』の内容当時の日本では儒学が流行し、支那の物は何でも優れ日本の物は劣る、という支那かぶれの風潮があった。また、儒教的世界観では、支那の帝国が周辺の野蛮人の国よりも勢力も強く、倫理的にも優れるという中華思想が根本にあった。素行はこの書で、この中華思想に反論した。当時支那は漢民族の明朝が滅んで、万里の長城の北の野蛮人の満州族が皇帝の清朝となっていた。また歴史を見ると、支那では王朝が何度も替わって家臣が君主を弑することが何...憂生中事実・・・

  • 憂生はかまきり、嫌いです。

    憂生はかまきり、嫌いです。どこがきらいか、今から申し上げます。1.ちょいと、つつくと、鎌をふりあげて、闘志満々。おっ、すごいぞ!!と、おもわせたのも、つかの間。威嚇して見せたとたん、すたこらにげてゆこうとする。その根性、きにいらねええええ。2.捕まえます。胴のくびれもつんですよ。すると、鎌がうしろまできます。まあ、これは許します。しばらくすると、エクソシスト張りに、頭部をひねって、正面攻撃に変えます。怖いやら、不気味やら、器用やら。掴まえ所がねえじゃん!!そのヨガような、技術。、きにいらねええええ。なんてことをかいたら、あることを、思い出しました。話変わります。美術学校に通ってたある人。色んなものをスケッチしてたんです。ある日、家でかってたこのはずく。/梟の小さい奴/これを写生したんです。前面を写生し今度...憂生はかまきり、嫌いです。

  • 背中にぽんと手をかけたのが・・・・。

    熊の被害が続出してるんだけど、私の故郷も熊がでるところ。家の後ろの山は京都までつづいているというから、かくれる場所は広大すぎると言う所である。まあ、その熊の逸話がふるさとではまことしやかにつたえられているんだけど。どうも、眉唾くさいのであるが、願わくばこうであってほしいと思いつつ、書いてみる事にする。ちょいと、昔の話になる。定次郎さんが昼飯をくおうとおもって、おひつに手をかけたら、後ろでごとごとと、おとがする。振り返ろうと思った定次郎さんの背中にぽんと手をかけたのが・・・・。何と熊だったという。定次郎さんは生きた心地がしなかっただろうが、熊はふんふんと空気をかぎだしたので、定次郎さんはこれは、熊五郎めは、腹が減ってるのだなと思って、おひつをもって、熊のほうに背中越しにおしだしたそうな。すると、熊は「いただ...背中にぽんと手をかけたのが・・・・。

  • なんて、かわいらしいことをおっしゃる。

    水商売ってのは特に縁起をかつぐものなんだけど、お店の中にどうまちがったのか?蜘蛛がはいりこむことがあると、おねーさまがたはひじょーによろこばれる。普通、一般家庭において、夜の蜘蛛は縁起が悪いときらわれるのであるが、夜の商売は吉兆である。単なる、ごろあわせでしかないのであろうが、「よくも、きた。よくも、きた」(夜蜘蛛、来た。夜蜘蛛、来た)と、客の入りを暗示するらしく、瑞兆なのである。そのせいか、虫嫌いのおねーさまも蜘蛛だけは「ころしちゃだめ。外ににがしてきてあげて」なんて、かわいらしいことをおっしゃる。****妙なことである。******あの黒くて、てらてらした奴。殺気を感じると、こそこそと、逃げ回る。この、武道家のような鍛えられた洞察力。これによって、奴は生き延び、繁栄を極めているのである。が、逃げ足も速...なんて、かわいらしいことをおっしゃる。

  • 猫やったん?

    飼ってた犬。猫ちゃうのに、どこからか、ねずみをつかまえてきた。でも、家に誰もいんかったから、隣のおばちゃんところにいって、見せてほめてもらおうとしたらしい。ところが、おばちゃん、犬にきがつかんかったらしい。それで、犬は仕方なくおばちゃんにほえて知らせた。とたんにねずみがにげだして、小屋の中に居たおばちゃんの足元に広げた豆の上を犬はねずみおいかけまわした。豆はばらばらにとびあるいた。ねずみはにげてしまった。おばちゃんは「うちがわるいんやあ。せっかくねずみを捕まえたって見せに来てくれたのに、きがついてたれんかったせいや」って、ちっとも犬をせめんかった。でもな。おばちゃん。それ、やっぱり、犬や。分をわきまえとらんもええとこなんだから、おこるべきというか、・・・。犬も自分が犬やってこと自覚するべきことや。変わった...猫やったん?

  • 偉大な決心

    昔。丘ヤドカリを買った。鶉の卵くらいの貝を背負っていた。よせばいいのに、6つもかって、よせばいいのに、テーブルの上において、動き回るのをたのしんだりした。四方八方にうごきだしたら、はやいこと、早い事。あわてて、ケースの中に回収するのだけど・・・・。ある日から、やどかりは、5匹になってしまった。「どこさいったんだべ?」まあ、これにこりて、全部テーブルにあげるのは止める事にした。餌はきゅうりとか、煮干とか、まあ、鈴虫のごとくだったと記憶している。なにせい、たのしみで、ちょいと、飲みに行ったときなぞの突き出しに小さなサザエがからごと煮付けられてたりしたら、殻を持って帰って綺麗に洗ってヤドカリの新居にプレゼントしてやったりした。ヤドカリもきにいってくれて、サザエにひっこすと、あいた貝殻にまた、べつのがはいったりし...偉大な決心

  • リスは偉大な師匠?

    リスもかっていた。番でかっていた。業務用のラップの芯をねぐらにしていた2匹はやがて、とても可愛い3匹の子リスをうんだ。尻尾はふくらんでなくて、亀みたいに両手両足をひろげていたけど、ゲージがおおきいせいで、よく下に落っこちてしまうのをひろいあげてやったもんだ。いつものように子リスを拾い上げてると、近所のおばさんがうわさを聞きつけてリスを見せてとやってきた。「かわいいね~~。尻尾まだふくらんでないんだねえ~~」「うん」「ふ-ん。いつ、卵からかえったの?」「・・・・」私は優しい人間だった。「あの、ラップの芯の中でうまれたから、よくみえなかった」ときとして、事実にふれないほうがいいということもある。リスの子は可愛さとともに私に人との付き合い方も伝授してくれた。リスは偉大な師匠?

  • 空に架かる橋 22

    明美は近寄ってきた男に悲鳴のような声を上げて、兵士の行動を阻んだ。明美の唯一のサンクチュアリなのだ。哲司を眠らせる場所を敵に、ましてや、哲司を撃った男に、明美を汚した男に、なんで、触れさせなきゃいけないんだ。明美が一人で土を掘るのを男は黙って見ていた。明美は気が付かないふりをしていたけど、雑木もまばらな、隠れる場所も無い庭の隅に男は武器も構えずつったっていたんだ。敵が居れば、こんな的中率のいい標的などないということになる。(1%とだけお前の男と同じ条件さ)運のいい奴だけが生き残る。男の覚悟はそんな考えでなりたっていたようだけど、すくなくとも、恋人をなくした明美へのせめてもの謝罪だったのかもしれない。男にも、恋人が居たのかもしれない。だけど、ココは、戦場。そんな優しい思いを持ったら自滅するだけ。「あんた・・...空に架かる橋22

  • 空に架かる橋 21

    御付の者のように、つれ従えて治療室に入ってきた。明美が出てきたのは地下室からのドア。あたしは明美の顔色を見つめるしかなかった。血だらけの服は乾き始め血の色も死色をみせている。哲司の死を見届けた明美が次に見たもの・・・。明美の顔色も乾いた死色の血のようにいきて居る人のものじゃない。なんで、こんなにいっぺんに残酷で、悲しく弱い人間の心をさらけださせさせなきゃならないのだろう?なんで、あたし達がそれをみせつけられなきゃいけないのか?この世に神様が居るなら・・・。あたしはきいてみたい。なんで、人間同士を争わせるのか?なんで、人間をこんなに弱く作ってしまったのか?明美について歩いていた兵士が別の兵士と交代すると、彼はこっちに歩んできた。土の色のような少年の顔をみつめると、彼は治療の邪魔にならない場所を選んで座り込ん...空に架かる橋21

  • 空に架かる橋 20

    佐々木先生とあたしは診察室のベッドに横たえた少年兵をみつめていた。少年はこのまま意識が戻らず死んでしまうかもしれない。意識が戻ってもやってくる死を受止めるだけ。意識が戻らないまま、死んで行くほうが幸せなのかもしれない。いずれにせよ、先生とあたしは彼の生き死にに関わらず患者への最善を尽くすだけだろう。いつの間にか彼の周りには兵士達があつまりだしていた。彼は皆に愛されていたんだろう。で、なければ、助かるみこみもない彼をココまで連れてきもしないだろう。兵士の一人があたしに尋ねてきた。佐々木先生は動かぬ彫刻のようにじっと黙り身じろぎ一つしてない。露木先生の負わされた職務を思う佐々木先生が茫然自失の様を呈するのは無理がない。「もって、3日・・・その間に意識が戻るかどうか・・・」あたしは残酷な事実を告げるしかない。兵...空に架かる橋20

  • 空に架かる橋 19

    最後の患者が部屋に入り、ホルマリン浴槽の蓋があく音がすると、明美は足を踏み出した。明美がエレベータに向かい始めてるのを兵士は推しとどめた。「どこへいく。勝手な行動はゆるさない」銃口が明美にむけられても明美はへいきなかおをしていた。「撃つなら撃ちなさい」兵士の威嚇は威嚇だけでしかないとよみとったのか、本当にうたれてもいいと、おもっていたのかもしれない。妙な気迫にけおされた兵士は明美の足取りをおいはじめた。「どこへいく?またないか?」だけど、明美は兵士の言葉を聴こうとしなかった。明美を押しとどめる事も出来ず兵士はただ、制止の言葉をかけながら、明美の後を追っていた。一階のフロアに戻り、明美は診察室の扉をあけた。診察室の中にあたしと佐々木先生が居るのをたしかめると、明美はまだ、あゆんでいった。その明美を見ていた哲...空に架かる橋19

  • 空に架かる橋 18

    死を覚悟した人間というのはまさか、この人が死に向かっているなんて、かけら一つも思わせないことが出来るらしい。東さんは覚悟をきめていたし、先生もおなじだったろう。だけど、千秋は?東さんが腕をつきだすと、先生は千秋に後ろを見てなさいと声をかけた。千秋はそのときになって、やっと、この負荷を露木先生一人におわせちゃいけないって、おもいなおしたんだ。先生が人をころすしかないなら、あたしも一緒に殺す。あたしも同じ罪を背負い、あたしも一緒にその痛みに知る。千秋は先生にいいえと、首を振ると東さんの手首をつかんだ。そして、千秋はいつもの注射のようにアルコールで着針点を消毒しはじめたんだ。このときだったんだ。東さんは、くすりとわらったんだ。千秋はきがつきもしなかったけど、先生も少しわらったのは、東さんの笑いの意味がわかったか...空に架かる橋18

  • 謎だらけの美穂須々美 (美穂神社は重要☆10)

    美穂須々美の岐路奴奈宣破姫・・5この物語の中では、美穂須々美は、奴奈川姫と大国主命の子供(姫)ということにしてあるのだが実際は、その正体は不明。で、饒速日を追っているのと、ウガヤフキアエズ王朝を追っているのとで・・・結論先出だが、美穂須々美=饒速日=健御名方では、ないかという思いがしている。まず、美穂須々美についての情報ミホススミは建御名方の別名だった!-ウガヤフキアエズ王朝実在論(jimdofree.com)これは、信憑性が高い。で、↑ここでは、奴奈川姫と大国主命の子供=美穂須々美(健御名方)**********と、なるのだが・・・ちょっと、あやふやな記憶をたぐってかいつまんで書いてしまう。気比神宮(本当の誓約(宇気比)があった神社と考えている)のいざさわけという神これは、いざさ=鹿わけというのだから分...謎だらけの美穂須々美(美穂神社は重要☆10)

  • 空に架かる橋 17

    明美に簡単にさよならを告げてホルマリン室に入っていった患者の胸のなかでは、東さんの言葉が何度もくりかえされていたんだ。「俺達は簡単にしんでしまえるけど、先生や千秋ちゃんはもっと、つらいんだ」俺達は死んでしまえばそれで、すむけれど、死を与えた側はこの先ずっと、苦しむ。「だから、みっともなく、ないたり、わめいたりするんじゃない」東さんは、まだ、こうもいった。「それに、俺達は敵にころされるんじゃない。いいか?これは最後の治療だ。俺達は・・・敵に殺される無念をあじあわなくてすむんだ。それが先生がくれる最高の治療だ」東さんは一番最初に自ら服を脱ぎだしたんだ。敵兵におどかされながら、露木先生と千秋が治療室に何かをとりに入ったときから、東さんは、敵兵の患者への処置がどういうことか、わかっていたんだ。そして東さんが一番最...空に架かる橋17

  • 空に架かる橋 16

    明美の説得がうけいれられるわけもなく、源次郎さんがフォルマリン室に入っても、兵士はやはり源次郎さんに威嚇を続けていた。注射を打ってる露木先生の傍らにも、兵士は立っているだろう。静かで、物音一つしない。だけど、暫くすると、フォルマリン浴槽の蓋を開ける音が聞こえてくる。源次郎さんがたおれると威嚇の必要がなくなった兵士は前の患者をつれてきた男と一緒に源次郎さんの前に入って既に事切れ床に崩れた患者の身体をフォルマリン浴槽に運ぶ。その役目がすむと始めに部屋の中に居た男は次の患者を連れにいく。たおれた患者を何故すぐさまフォルマリン浴槽にいれないか?まだ生体反応があるせいだ。口から泡を吹き身体は小刻みに痙攣し、瞳は血走り大きく見開かれる。流石に兵士も生きてる身体をフォルマリン浴槽に入れるのは気味がわるかったのかもしれな...空に架かる橋16

  • ?から!になっている

    もって生まれたものを、読み直して、思った。ー理路整然ーなんてのは、無理なんだ。と。この無理は、出来てない結果から悲観的に結論したのではない。読み直して思った、もうひとつはもって生まれたものは、こんな結論を考えてはいなかった。気になった事・・・「文才」その言葉から思い浮かぶこと・・・書いてみるが・・・まだ、かぶさっているものがあるので、書いて、出す。司馬さんがど~のこうの~まだ、気になることがあるから、どける・・・宮部さんがど~のやっと、青べか物語?のエピソードがみえてくる。書いてみる。考える。いや、それだけの事じゃないと思い考える。浮かんでくる。もしかして、こうか?と、結論?にたどり着く。書きながら考えてる。じゃまっけ?なものをほうりだしてほじくってみる。理路整然というのは、もしかして、結論が先に出てるか...?から!になっている

  • もって生まれたもの

    文才・・って、言葉を考えていた。文章が、上手、と、いうのと文才があると、いうのは違うと思う。いつだったか、質問して教えてもらったのだけどはっきり、覚えていない。構成力と、いうのは、簡単に言ってしまえば、前後のつじつまが合う。筋が通る・・・矛盾がない。と、いうことだろう。じゃあ、文章力・・・文才というのに、近いか。ーもって、生まれた感性ーと、いうような答えだったと思う。勉強して、修行して理路整然とした文章力は後天的に、会得することは出来るがもってうまれた感性というのは、どうしようもない。ーげ?理路整然もままならぬのに、感性だと~~~?どうにも、ならん?ーが~~~~ん!!作品を書くことをいくつかの分析表にするとしたって構成力表現力くらいしか思いつかないwww発想力も、あるかもしれない。ただ、これは、書き手から...もって生まれたもの

  • 幸せってのはあとから、勝手についてくるもんだ

    これも、古い記事。*********昨日のTVニュースを見ながら、おふくろがぽそりと呟いた。「あっちの偉いさん?は簡単に離婚しよる・・」なんじゃ?ニュースはイギリスのチャールズ皇太子のことだったが、彼女との仲がトラぶっているという部分で連想が働きダイアナはもとより、あちらこちらの偉いさんの離婚劇を思い浮かべたらしい。まあ、こちとら、丁度、お登勢を書き終えたところだったので多少、引っかかる所はある。「こっちの偉いさん/天皇を言う/は、過去、歴史を手繰ってみても、離婚なぞしては居るまい/多分・・・」「そうだと思う。向こうの偉いさんは個人主義というか・・・簡単に考えているというか・・・」何気ないお袋の言葉であったがまさに・・・その通りとしか言いようが無い。日本。特に天皇・・。民を思い、日々平穏に暮らす民の姿に胸...幸せってのはあとから、勝手についてくるもんだ

  • くそよくのかわがつっぱりすぎ

    数年前に書いた日記?読み直してみると・・・中国をプーチンと、変えて読んでも良い。が、中国も相変わらずだから・・・変えて、読むんじゃなくて、付け足して複数形にするのが、本当だね。***********沖縄は古来から中国のものだ。と、いうなにかしら、むちゃくちゃを言い出しているのだけど。まあ、実際、史実などだしていけば、いくらでも、なんとでも、いえるわけで・・・。これが、過去そうだったから、などという言い方はもう、とんでもないとおもうのですね。仮に100歩(じゃ、たらないが)ゆずって、過去、中国の固有の領土だったとしてこれをたとえれば、昔、あれは、わしの女房だったから、返せ。と、いってるようなもの。もう、元の女房は新しい生活をはじめて、生活の基盤を別のところにきずいているわけで、ちゃんと、新しいだんなと子供も...くそよくのかわがつっぱりすぎ

  • 空に架かる橋 15

    源次郎さんが歩みだすとあわてて明美は後を追いすがった。明美に銃を向けてた男は明美の行動を黙認していた。明美の無駄をあざわらうか、明美の気のすむようにさせると決めたか、あるいは、明美の生死さえ自由に出来る余裕のせいか。ドアをあけて、廊下を過ぎ地下室へのエレベータにのせられながら、明美は源次郎さんに銃を向けている兵士を説得し続けた。「彼は民間人なのだ。彼は老人なのだ」だけど、兵士はなんの言葉も発そうとしない。「源次郎さんは炊事も出来る。貴方達の身の回りの世話をできる。役に立つ」源次郎さんの存在理由をまくしたて始めた明美にやっと、兵士がこたえた。「炊事はわれわれがする。それに、彼が例えば食事の中に毒をしこまないと・・・。そういう考えがないといいきれるかな」それは、ありえるだろう。確かにありえるだろう。「だ・・だ...空に架かる橋15

  • 空に架かる橋 14

    「いつまでも、こうしちゃいられないな」明美の身体を嘗め尽くす役得を終えると、男は明美の手をつかんで、立ち上がらせた。中にはいれと男にうながされた明美はプログラムの実行を掛けられたロボットみたいにだった。男の銃に威嚇されているわけでもなく、明美が男の言葉にしたがったのは、中に居る、あたし達のことがきになったからにちがいない。銃口の先を歩く明美が診察室の扉を開けた。明美の眼にうつしだされたのは裸の患者達。だけど、その人数はここに居た人数じゃない。明美の見ている前で二人の素裸の患者が兵士の銃に促されあゆみだしてゆく。どこへ?地下室への扉があけられ患者はその扉の向こうに追いやられる。こんなとき程、明美の頭のよさが悲しくなる。明美はその場所に千秋もあたしも、先生二人が居ない事をその瞳で確認していた。「ど・・どうして...空に架かる橋14

  • ニギハヤヒ発見(美保神社はかなり、重要・5)

    スサノオを祭る神社として、剣神社が福井県の嶺南、織田に有ったことを思い出した。随分、近い所にすんでいたことがあるというのに、ここには行ったことがなかったので、様相がわからないため、ホームページなどにとんでみたのが、きっかけだった。神社の様相から、天津神として祭られているか、国津神として、祭られているか・・、判るかもしれないと思ったのである。ところが、拝殿の様相が違い、判断材料が見当たらない。気比神宮内の剣神社(覚え違いか・・・)も、やはり、この織田の剣神社の如くだったと記憶している。ここで、ますます、迷路に入ったといってよい。この剣神社の様式を考えたとき、なぜ、「千木」を作っていないのかという事である。考えられることはふたつ。1つは、千木の様式がはいってくるのは、もっと、後年である。剣神社の建立がいつごろ...ニギハヤヒ発見(美保神社はかなり、重要・5)

  • もの想いのモノは、モノクロームのモノ。

    **退会したのに訪問記録残して頂いていてとても嬉しく思います。有難うございます。今日、こちらBBSにお邪魔させて頂いたのは手紙、今はメールですね目を惹く面白い内容のメールというのはどのような書き方をしたら宜しいのでしょうか?日本もメール社会になってもぅかなり経つというのに今更、メール文の書き方なんて聞くのは当人でさえ間が抜けているようにも感じますが幾千通の中でピックアップされて読まれるもの面白い上にどこか落ち着いた安心感のある書き方目を惹く文章構成、題名、お教え願えないでしょうか?漠然とした質問、”答える”難しさ感じてはいますが質問させていただいております。お願い致します。**こんな感じという抽象的なお答え、お待ちしております**なんてことを聞かれても実際困っちゃいますよね・・・変な質問してごめんなさい考...もの想いのモノは、モノクロームのモノ。

  • 長崎ではのさりといったそうだが

    空に架かる橋をかきながら憂生はひとつのことを思っていた。バックグラウンドが戦争だったこともある。そして、2年ほど前、どう評価されるのだろうという興味本位で文芸社に投稿してみたのだが、その結果、十年前にそれを書いているときに懸念したことと、非常に良く似た感想が入っていた。担当者さんは、以後、だしましょうと何度もプッシュしてくれていたのだが、憂生は、懸念感想のほうにひかっかっていた。腹がたったとか、そういういみあいではない。がっかりしたとかそういうことでもない。最初の懸念をかきだすまえにいくつか、説明が要ると思うのだがあまりにも、アメリカナイズされてしまっているというところだろうか。まず、たとえば、ごく最近の話でいえば、震災直後の被災地の様子について。諸外国は日本人は暴動をおこしたり(マーケットを襲撃したり)...長崎ではのさりといったそうだが

  • 青菜はすきかね?

    静御前の「しずやしず・・・」と、いうのをメモ書き程度に書きのこしていたのを掌編に収納している。じつは、憂生は明治維新のころが好きで司馬遼太郎の本を読み漁ったのであるが・・・。平安とか江戸中期とか、このころのことにはほとんど触手がうごかず静御前がなんのことやら/おい!さっぱり、わからないまま、「しずやしずしずのおだまき・・」をぐぐって、そこにかかれていた史実を参考に視点をかえたものをメモ程度に書いた。どういうわけか、このメモ書きに来訪者がおおくくる。なにかしら、人気のある場面なのであろう。憂生が源義経を子供のころに読んだ以後、源義経にかかわることはいっさいなかったのであるが落語・・ん~~と「青菜」かな。隠し言葉というかな。ちょっとうろおぼえなんで、間違ってるところもあるかもしれないが、大筋。大家のところで刺...青菜はすきかね?

  • 空に架かる橋 13

    佐々木先生とあたしが手術室をでて、少年を診察室のベッドに連れて行くときあたしは不思議な光景をみた。診察室にまで運び込まれたベッドの上で、銃口を向けられていた患者は誰一人いない。部屋の壁の隅に患者が着ていた服だけが山になってつまれていた。ちらりと、目の端でみとめただけだったけど、下着まであった。患者は素っ裸にされて、どこにつれさられたというんだろう?千秋も露木先生も居ない。明美は?明美はまだ、哲司をだきかかえたままなのだろうか?もし、そうなら・・・。あたしは、敵兵のわずかな温情に感謝するしかない。患者は?露木先生は?千秋は?頭の中に沸いてくる不安は診察室に入ったときに明確な事実になって目に飛び込んできた。少年の身体をベッドにうつしながら、あたしは診察室から、処置室を伺ってみてた。何本かの注射・・。が、殺菌庫...空に架かる橋13

  • いい思いがいい結果をつれてくる

    レイがメールをくれた。日記「長いよ・・」のことについてなんだけど、その中の一言。これが、ものすごく重要なポイントなので、此処にあげさせてもらう。/また、勝手にご免/***すごく恥ずかしくて悲しくて苦しんでしまうのかもしれないけれど・・・この罰を乗り越えてはい上がってきてくれたら憂生と、彼女とも・・・あらためてすごくいい関係が育める希望も生まれるって気がする・・・。***レイ。その通りなんです。憂生はボーマン・ボーマンで「自由の女神は敗者には、手を差し伸べるけど、臆病者には手をさしのべない」って、かいてます。思い方は自由。どんな風にでも思うことが出来ます。一度の失敗にこけて、自由の女神が微笑むような思い方を目指すのをやめて、もっと、上昇する思いにチャレンジする事から逃げる。こんなの、愚の骨頂。こけたらたちな...いい思いがいい結果をつれてくる

  • 空に架かる橋 12

    患者がどうやって殺されたか。あたしがこのことを知るのは、明美からなんだけど、その明美もあたしが手術室に入ってる間に「殺された」んだ。変な言い方だね。明美はチャンと生きてるよ。だけど、あたしには、そうとしかいえない。それをこれから話してみる。哲司に取りすがったまま、明美は何にもかんがえられなかったんだ。もし、哲司が部隊にもどった上で死んだとしたら、哲司の死は明美に知らされる事が無い。だから、明美のなかでは、哲司は「どこかでいきてる」あるいは、「どこかでいきてるかもしれない」って、おもいつづけていられたんだ。なのに、眼の前でおきた哲司の死。だけど、明美は哲司の死をどうしても、容認できない。眼の前の屍骸は哲司なのだ。だけど、それを見てる明美は明美なのだろうか?「あたしは本当にあたし?」明美は哲司の死を認めないた...空に架かる橋12

  • あめさんとぺこさん

    日記も随分書いているけれど、元々はカフェで書いていたものが多かった。色んな出来事があった。今回もコメントと物語の保存版をあげなおしていたけど、今はもう亡くなったAMEDAKIさんへ憂生の物語をよみきかせてながら、看病していたPEKOさんのコメントがある・・・。GOOに居た時に、不思議なブログに遭遇したことがあった。内容的にはAMEDAKIさんの看病をしているうちに、PEKOさんも発症して、突然倒れて間に合わなかった。と・・・。そういう風によみとれた。AMEDAKIさんの病気は白血病だった。最初にAMEDAKIさんが倒れたとき・・・。人事不肖との連絡だった。ご主人から「カフェを楽しみしていたから、メッセージをもらえないか。それを読み聞かせたら意識が戻るかもしれない」と、メールがはいり、AMEDAKIさんを知...あめさんとぺこさん

  • 空に架かる橋 11

    佐々木先生が少年への手術にのぞんだのは、やはり、先生が医者だからだ。医者の眼の前にいる、けが人には、敵もみかたもない。万に一つも助からないと判っていても、佐々木先生は少年の身体の傷を縫合してゆく。それが彼を取り巻くものの心の手術にもなる。先生はけが人や病人を治療するだけの医者じゃない。そんなでかくて、深い心で医療に従事する先生だったのに、やっぱり、ココは戦場でしかなかったんだ。先生の仁の心はこの手術の後に無残に打ち下れて行く事になるなんて・・。誰も考えはしなかっただろう。だけど、よく、かんがえてみれば・・・・。戦時下だと言う事を良く、考えてみれば・・。すぐ、かんがえつくことを一番判っていたのは、この病院に収容されていた患者本人だったろう。いくらけが人といえども、十人以上の男がいて、自国を追い詰めて行く敵兵...空に架かる橋11

  • 不思議なえにし

    『わが胸に菊香あたえんとさしだせり乙女のかいな逆風わりて』この短歌は、転居後しばらく叔父の元に、身を寄せていた時叔父の孫の節句のお祝いに人形(おひなさま?)を買うから、お前もついてこい、と、言われ荷物持ちかと、同道した。そこに、あった市松人形に目が奪われた。菊の花をささげる様に差出している少女の人形の着物の裾やら袖は風にふかれ、人形の後方になびいていた。その姿がーどんなにつらいことが有っても、自分の真心を失わず、その気持ちを差し出していこうーと、している様に見えた。人は・・ともすると、いろんな事に負ける。負けたあげく、本心さえ見失ったり判らなくなったり・・・そうなっちゃあいけないと、幼い少女が教えてくれてる気がしてその場から離れることが出来なくなりとうとう、叔父が転居祝いに買ってやる・・・と。wwwこの叔...不思議なえにし

  • あめさんのコメント

    亡くなった方の文章が残っているということは、不思議な気分をあじわう。いっぽうで、あめさんの、こういう思いが憂生の物語や日記をただの、趣味?ひまつぶしで、読まれたくないという拘り・・誇りを作ってくれたと思う。憂生にとって、偉大で、かけがえない読み手であり、あめさんも、憂生の言葉や考えを慈雨のように受けとめてくれていたと思う。*********『わが胸に菊香あたえんとさしだせり乙女のかいな逆風わりて』素敵な言葉をありがとう。眠れぬ夜を過ごしながら、(昼寝のしすぎ?笑)ちょっとお寄りして見つけました。この日記を書かれた時、私は病床にあって知らなかったのね。再掲してくださったお蔭でめぐりあえたのです。ありがとうございます。私には『明日』より『今』がぴったり。何年も生かせて下さいなんて我侭は申しません。『今』を輝か...あめさんのコメント

  • ペコさんのコメント

    ようやく仕事が終わり・・寄せて戴きました。涙・・・涙・・・です。今、彼女に読んでやることは出来ませぬが・・私のほうが嵌っております。この先を楽しみに致しております。(P)ありがとう。お芳と男の会話がくどくなっているのではないかと、きになってました。反面、ちょっと、都合の良い設定になっている?きれい事に書きすぎているのではないか?やってきた男がこんなにかんたんにお登勢の真価を見抜き、信じる?こういう設定をさっくり、うけとめてもらえるか、どうかも、不安材料でした。だから・・・。ありがとうございます。実は自分でよみなおしていても、ほろりとくるのが、この場面です。何度も同じ事を違う場面で巻き返し、繰り返し書いているのが、「辛い目にあっているのに、人を信じ、相手の気持ちを先に考える」こういうひたむきさ。自分に勝ち得...ペコさんのコメント

  • ペコさんのメール

    探してきた。******何度も書いては止めるの繰り返しで、戸惑っております。ブログをお借りして、お気に入りに入れて、私が読ませて頂いております。今のところ妹には読み聞かせてはおりません。申し訳ございません。妹は、あなたが新しく執筆作業に入られたこと大層喜んでおりまして、楽しみにしております。『蛙』の続編は早々に読み上げて、嬉しそうに、『ハッピーエンドで良かったわ。』と申しておりました。『空にかける橋』につきましては、妹には何も言っておりません。今の妹に対して、読んであげて良いものか、どうか・・・「死」と直面して毎日必死で闘っている妹に、立場が違うとはいえ、やはり「死」に直面すると言う文章がどのような影響を与えるか?等等・・・・・思案ばかりでございまして、申し訳ありません。私の独断で決めて良いものかどうか・...ペコさんのメール

  • 空に架かる橋 10

    あたしの目の前を血だらけの少年兵を背負った兵士が通り過ぎた。銃口を向けていた男はあたしと佐々木先生にこっちにこいと合図をすると、少年を背負った男の後をついてゆけというようだった。佐々木先生はもうわかっていたんだろう。背負われた少年の太ももの先は両足とも・・・無かった。診察室に入ると少年は佐々木先生の仮眠ベッドにも使われていた診察ベッドによこたえられた。佐々木先生は少年をみつめていたけど・・。少年を背負っていた男にむきなおると、「無理だ」と、首を振りながら告げた。男は一瞬悲しい顔をしたけど、「オペラチオン」と、佐々木先生にいう。手術をしてやってくれと言うんだ。佐々木先生は男の顔をみつめた。男は同じ言葉を繰り返すだけだった。時に無駄と判りながら、患者を手術する事がある。それは、患者を治すためじゃない。患者に近...空に架かる橋10

  • アトラス語録・・1

    『空に架かる橋』を連載しているときに皆様から頂いた、コメントを編集しました。文字総数1万6千文字。憂生を支えてくれたアトラス神の言霊集です。ブログに。いつも、いつも、コメントを下さる皆様。ありがとう。「空に架かる橋」は、憂生自身、どううけとめられるか、不安な代物です。誤解されやすい表現を含んでいるし、憂生の練りこみも書き込みも不足しています。そんな作品から受け取ったものを真摯として、感じ取ってくれているという、多くのメッセージは憂生の作品で、いえば、番外編。異聞。こういう風な受止め方も出来るんだと、憂生の作品をもっと広げていってくれる。コメントと共に憂生の作品はドンドン発酵して行きます。「空に架かる橋」というパンが焼きあがるのはいつになるか、判りませんがみんながくれた酵母と発酵を促す適度な温度を保つ「むろ...アトラス語録・・1

  • 勝手に掲載させてもらいました。

    ーどこかで、やはり、官能小説だと思われかねないところにひけめ?を感じていた頃だったと思う。けれど、しっかり、読み取ってくれる人が現れてほっと、したところもあり、そのくせ、それに支えられている自分じゃいけない、と、いう考えが有り思いきって、公開することで、「孤立」(自立)しようとしたと思います。当然、彼女からは、叱られ、と、いうよりがっくりしたと・・・申し訳なかったことですが、どうこう言って、ずいぶん励まされうれしかったメールでしたー勝手に掲載させてもらいました。1はじめまして、憂生さん♪あまりにもスケールの大きい話に思わずメールさせて頂きます!まずは、どうでもいいことなんですが(笑)新着日記を何気に上から記事を順番に見ていた時のこと。hakujyaさんのところをクリックした時に見た話はキープ・ユーの⑩あた...勝手に掲載させてもらいました。

  • 空に架かる橋の・・後ろで・・ さらに・・

    思い出すと、次々出て来ることが多すぎる、のであるが、結局、妹さんは亡くなり、お姉さんも実は同じ病で、妹さんの看病などのため何も言わず、頑張っていて突然倒れて、あっけなく・・ということだった。と、言うことだった。と、いうのは、実は、知らなかった。と、いうこと。空に架かる橋を書き上げお登勢も・・かきあげたころか・・・ひどく体がだるく頭がぼーとする(元々、ぼーとした人間だが)なんか、しんどいなあ・・と思う物の意識はしっかりしてる。で、パソコンにむかうといつものカフェ。そこに、神道家がやってきた。ー今、しんどいだろうーと、言う。まあ、確かに・・・ー憑依されてる。今、払ってやるーん?なにせ、相手は見えない。何をどうしてるか知らない。ー楽になっただろうーそうかもしれない・・・ー赤い大きな指輪をしている中年女性だ。覚え...空に架かる橋の・・後ろで・・さらに・・

  • 空に架かる橋の・・後ろで・・

    空に架かる橋は・・・ゆっくり上げたいと思っているのだが・・・既に、かきあげてあるというのが、つまづきwww連載していた頃は、よくて、1日2章約、1ヶ月半かけた。当時も、既に、書き上げた作品が50編くらいあって、ワードから、ブログに投稿したいと、頻繁な投稿を繰り返した。読んでくれていた人がそんなスピードで揚げたら、追い付けない。とか、次々と、下に行ってしまうからじっくり読んでもらえない。(印象も流れる)もっと、ゆっくり掲げた方が良い。大事にしてほしい。読みとばされる。気がつかない。拾い読みになりえる。と、いうことを残念がってくれていたのだけど、この連載が始まった時、ーしまった。ゆっくりなんていうんじゃなかった。ーー1日、何度も覗きにきて、ああ~揚がってないとがっくりして、帰ることがあった。なので、1日の終わ...空に架かる橋の・・後ろで・・

  • 半分、読書回想文だな。

    空に架かる橋4の、中のフォルマリン浴槽浴槽といったって、風呂じゃないけど。この存在は大江健三郎の「死者の奢り」から。彼のテーマはまったく、違うけど・・・あるいは、生きている者たちに哀しみをあたえてしまうという面では、「奢り」であるかもしれない。ひとつの物体・物質になってしまったのにまだ、「哀しみ」を与える。それも、死者の奢り・・かも。私自身は「死」を看取る勇気はない。勇気と言わないかもしれないが。仕事でも、死者をみないですむ、所を選んだ。父の死に目にもあってない。(遠いところにいたせいでもあるが)ただ、町内の組内の人がいろいろ世話をしてくれて(詳しくは省くが)おばちゃんたちは父に話しかけてくれていた。「父ちゃん、ずだ袋ぬうちゃるさかいな」「父ちゃん、めがねないと、むこうでこまるやろいれといちゃるさけえな」...半分、読書回想文だな。

  • 出雲大社の御祭神

    貴重と思い、戴いてきたのは良いが何処から、戴いたか、記載せず・・・盗人行為です。現在の出雲大社の御祭神はもちろん大国主大神さまですが、その昔、スサノオ尊とされていた時代がありました。出雲大社の荒垣入口の銅鳥居は長州の大名毛利家が寛文六年(1666年)に寄進したものですが、そこに刻まれた銘を見ると「一を日神といい、二を月神といい、三を素戔嗚というなり、日神とは地神五代の祖天照太神これなり、月神とは月読尊これなり、素戔嗚尊は雲陽の大社の神なり」と書かれていて、この時代はスサノオ尊が御祭神であったことがわかります。御祭神の歴史いつから切り替わったとはっきり伝わっているわけではありませんが、歴史を見ていきますと、古代からしばらくの間は大国主大神でしたから、創建時も当然、大国主大神であったことでしょう。また、出雲国...出雲大社の御祭神

  • たらないぞ!!

    97冊文庫・・小説と呼べるものじゃないのはわっかっているので物語・作品と書くがその中でも随想・日記と言う物じゃないか?と、思う作品まで、参加させて97冊に足りない・・・不届きな新之助シリーズも数にいれて・・執筆中もいれて82冊・・「空に・・」をいれても、83冊1冊という数え方にするのは、間違いと思う掌編も含めている、SS(ショート・ショート)まで、無理やりいれて・・84冊か・・・う~~~ん。97冊文庫・・・今回、こちらで、均衡憂生中事実(1)ユニコーンー実話ー(8)昔馴染み(25)を、書いたので、84・・・13冊ほど、足りない。足りない頭の人間にはちょうどいいか?16冊ほど足りなくても100冊文庫に、しておくか???「大丈夫ですか?数を数えれてますか」ーもちろん!!ーたらないぞ!!

  • 因果

    均衡を、書く前だったかかいている最中だったか後だったか?均衡をかきだしたのは、寝付けず、起きだした2時頃だった。書き終わるころ、気が付いたら、外が明るくなっていた。何時ころか、判らないのだけどー今、お亡くなりになりましたーと、「思い」が飛び込んできていた。母も容体が良くない。急変することもあり得る。(と、勝手に思う)医者の話では、急変はないがー近くなったら、連絡しますーと、言われている。夜中の急変を知らせて来ることがあるのだろうか?駄目な状態なら、見届けた後、朝いちで、連絡が来るのだろうか?と、考えたりしていたがどこかで、書いたようにーそれが、本当ならいずれ、目にもの見せて来るーなにか、判らないことを考えるのはやめようと均衡を書き上げた・・と、思う(時間的行動)それが、外が白み始めたころで、一端、下書きに...因果

  • 均衡 憂生中事実

    白い朝に・・を揚げながら思い出すことがある。ネッ友と言うことになる。彼は、双極性障害だった・・と、話してくれた。双極性障害だった、と、過去形だったのは最終的に巡り合った名医のおかげで回復し、もう数年以上、双極性障害の症状がでておらず名医から、「もう大丈夫ですね」と、太鼓判を押された。と、いうことで、過去形の話だった。ところが、もうしわけないのだけどいろいろな事情・環境をきくこともあったせいもある症状がでない・・だけで、なんらかの負荷がかかったら発症する・・と、思ってしまった。それは、はからずもこちら側の相談事が引き金になってしまったと思う。知人の解離性障害にあたりとにかく、なにもかも、吐き出させなきゃ自分の心因性外傷に、やられてしまう。と、思い正直、聞くに辛い話もきいてきたし極端なたとえだがーあいつ、殺し...均衡憂生中事実

  • 予見しても 憂生中事実

    最初、それは、「自分の思いだ」と、思っていた。従兄と、逢った最後、「見納めだな」と、思った。その不思議な言葉を、単に、今後、逢うチャンスがないのだなということだと考えた。その思いを、不思議だとは感じていたがその不思議さを自分なりに解明し納得しようとしたのは間違いない。そして、従兄が事故で亡くなる、その時間従兄の夢を見た。もう、妹の子供に付けられた名前、その名前がお気に入りで親戚、いとこはとこ集まる席で、「子供ができたら、この名前にしろ」と、薦めまくっていた。その名前が妹の子供に、名付けられているというのに私の夢の中で、従兄は、私にむかい「子供ができたら、この名前にしろ」と、言う。ゆめうつつで、考え直していた。ーなんで?すでに名付けられた名前を?ーと、思っていたところに電話が入って従兄の死亡を伝えられた。ち...予見しても憂生中事実

  • 彼女の魂が・・・1 愛生中事実

    1私自身に妙な能力があると、気がつきだしたのは、知人の死を予感したことに始まった。当初、予知していたことにさえ、気がつかず今もその結果をみないと予知していたことに気がつかないという能力である。その最初は、一種、自分の思いにとけこんでしまうもので、自身、「縁起でもない」と否定してしまったり、「見納めだな」などという言葉には、「死」でなく、この人とは、もう逢うことがないのだろうという、縁のなさだと受け止めていた。およそ、3ヵ月後に縁起でもない予感が現実になったが、まだ、そのときでさえ「見納めだ」と思ったことさえ思い出していなかった。2度目も同じで、故郷の知人に会ったときに縁起でもない思いがわいたが、それも、まさか・・と否定して、思ったことさえ忘れていた。盆の帰省から数えて3ヵ月後。11月の旅行先で飛び降り自殺...彼女の魂が・・・1愛生中事実

  • 彼女の魂が・・・終 憂生中事実

    8私のひざの上に彼女の魂があがってきた。もちろん、私は見える人間ではない。なんとなく判る人間だ。だが、予感と同様、そのときにはなんの確証も無い。こんなことを喋ればきちがい扱いされるのが関の山だしなによりも当の本人にも証拠だてるものがない。見えたとしても、それは、幻視だと自分でも思うだろう。気にかけているからそう思ってしまう。それだけのことかもしれないとも思う。だから、誰にも、何もしゃべらずにいた。だが、それでも、なんとなくではあるが、彼女がきた。心のよりどころをもとめているのだろう。と、彼女の状態が気になっていた。それから、二日後だったと思う。祥子がパソコンに小説をうちこみにきていた。私はといえば、パソコンを占領されてしまったので、奥の部屋でゲームをしていた。しばらくのち、ばたばたと音がして、祥子がトイレ...彼女の魂が・・・終憂生中事実

  • 境界異常 憂生中事実

    1境界認識障害、と、言うべきだろうか?よく、知られているのが、認知病といわれる、わりと、高齢の方にみられる一昔前でいわれた「ぼけ」のような症状ではないかと思う。さっき、ご飯をたべさせたばかりなのにーうちの嫁は飯をくわせてくれないーと、近所にいいふらしにいったりとんでもない遠くの実家に、それも、もうすでに亡くなっているご両親にあいにいくとはだしで飛び出してしまい迷子?迷婆・迷爺になってしまったり貴方と私。親と子、などが、わからなくなって、息子の顔をみると「おとうさん」と呼びかける。とか・・・。認識していた物事の壁・境界がなくなってしまう状態が境界認識異常(障害)という事なのだと思う。それは、ブロー・ザ・ウィンドをカフェ(コミュ二ティ)に上げたころだったと思う。この物語もすでに、いくつか、深いかかわり話がある...境界異常憂生中事実

  • 妄想列車 憂生中事実

    1自分でも、どこから、話していけばいいか、わからない。まず、一番、最初におきたこと。カフェにのさばりだし、好き勝手をほざいていた、そも最初のころだだった。あるとき、ひとりの女性が憂生にちかずいてきた。そして、話が後先になるかもしれない。現状の結婚生活に不満をもっている。だんなにときめかない。など、愚痴というか、悩みというかそんな、ことごとを話してくれた。憂生の持論に夫婦は一生、添い遂げるべきだ。と、いうのがある。それは、ひとつに、師からの影響もあった。あるとき、師はー親と伴侶、ふたりがおぼれていて一人しか、助けられない。どっちを助けるか?-と、いう質問をなげかけてきた。厳密には、答えというものはないしそれは、師の考え方の表明だったのだと思う。ー伴侶を助けろーと、いうのが、師の答えだった。簡単にいうと、親子...妄想列車憂生中事実

  • ふたりのアニマ 憂生中事実

    1簡単にこういう意味だろうと想像して使用するところがおおかったのが、アニマという言葉だった。意味合いは単純に、原初的性格あるいは、コアになる性格、と、いう意味合いに捉えていた。これにマニアックという言葉究極・・物事を突き詰めていく。と、いう言葉がかぶってしまい勝手な解釈をしていたので、マニアの本来の意味をしらべにいってきた。下記によると、憂生が書こうとしているのはアニムスになりそれは、最後にかかれているアニマ(アニムス)は共に肯定的,否定的なはたらきをもっている。しかしそれを可能な限り意識化して人格の統合をはかることが,個人の自己実現の過程であるとユングは主張している。その過程は創造的である一方、破壊の可能性も秘めている。と、いう部分であり人間は男女共に中年期になるとアニマとアニムスの統合が進み、アニマと...ふたりのアニマ憂生中事実

  • 心霊 憂生中事実

    1精神に関わる話として、いくつか、あげてきた。その中で、直接にしろ、間接にしろ、霊・霊現象・霊の存在が関わってくる。このあたりで、精神と霊というのが、切り離して考えることはできないという気がしている。憂生が、不思議となんらかの窪みをもった人間とかかわってしまうのを当初、究極的にはーなんとか、してやりたいーという思いがあるせいだとはおもっていた。それは、天王星人の宿命みたいなもので、仕方がないのだろう。ところが、あるときから、ーなんとか、してやれないかーと、思う相手と対峙しているといや、もっと、なんとも、おもってないうちからでも憑依の時のような、奇妙な幻惑感がおきはじめていた。そして、はなしをききはじめるとなにかしらの心のくぼみのようなものがあった。それで、なにかしら思い迷うひとのの守護霊とかそんなものが、...心霊憂生中事実

  • ー銀狼ー 1 白蛇抄第17話

    業火を背負うか。揺らめいた影のうしろから、鬼火が立ちのぼる。澄明は歩む暗影を見つめ続けた。畳のへりから陽炎の如き沸き立ち集まる影がまたひとつの人型になるとやはり、先の暗影と同じ鬼火が立ち上り、まとわりつく。「どこへ?」澄明の声にわずかに耳をそばだてたようであるが、立ち止まりもせず、ふりむきもせず、答えようともしない。その夜はそんな怨亡が六体現れた。まんじりともせず、夜が白むを待つと澄明はまず、怨亡が歩んでいった方角を眺めた。透かしみた東の空は紫色の雲がたなびく、異変を叫ぶ烏が紫雲のなかで楔に見えた。「烏・・」雲が湧き上がるのは、森の木立の中からに見える。澄明は眼を閉じた。不穏な気配が流れ込んでくる。それが、なんであるか、はっきりと掴み取るためだった。澄明の瞳の裏に哀しい咆哮を上げる猩猩の姿が立ち上ってきた...ー銀狼ー1白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 2 白蛇抄第17話

    「なるほど・・」使いなるもの大きな黒い山犬だった。山犬は澄明に背をむけ、背中におぶされと示す。「おまえのあるじは、いったい、どうなっておる?」澄明の問いかけに答えず、澄明がせなにつかまると山犬ははしりだした。飛ぶがごとく、谷をこえ、岩をとび、みるまに、烏たちがとびさわぐ森のきわにおりたった。山犬はおおきな岩のむこうに一礼をし、澄明の到着をしらせていた。そこにーなにものかーがいるのは、間違いが無い。澄明は大きな岩にむかって、歩んでいった。「あっ」澄明の眼に無残な死骸が見えた。落石だったのだろう、大きな岩におしつぶされ、灰色の狼がひしゃげ、ひからびていた。「生きている?」見た目は確かに死骸だったが、灰色の狼は澄明に確かに語りかけた。「この有様だ」「いったい・・どうして?」澄明よりも、高い法力をもっていると思え...ー銀狼ー2白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 3 白蛇抄第17話

    犬神は阿波、伊予、土佐あたりの山奥に生息する。澄明はこの長浜において、犬神の実体を見たことは無かった。だが、その犬神は多く人に憑き、狐狸の類の憑き物とは違い、代々、その一族にかかっていく。犬神に憑かれると多く、精神に錯乱をおこし、狂気を見せる。だが、反面、犬神の力で、多くの富をえて、安泰に暮らせるという側面もある。「犬神は、白峰のように懸想するのだ」共に成れぬ相手でありながら、思いを寄せてしまう。それが、憑依の元である。思う相手の幸せを祈る気持ちは十分にある。思う相手が、いずれ世帯をもつときも、犬神は一緒に成る相手の先々をみこす。ここで、もしも、ろくな運命。思いをもっていなかったら、犬神は相手を蹴散らす。突然の病気や怪我、心変わりなどで、婚儀を白紙に戻してしまう。逆に、犬神のめがねにかなえば、すんなりと世...ー銀狼ー3白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 4 白蛇抄第17話

    「たつ子が、賤ヶ岳にすまう山の主に嫁いで、そして、その時になって、私は私が犬神であることにきがつかされた。たつ子は賤ヶ岳の麓の湖にその身を潜め、一男一女を設けたのち、わたしのせいで、気がふれてしまったのだ。狂ったたつ子は何度も、命をたとうした。だが、精霊がそんなに簡単に、存在をなくすことができるわけがなく、たつ子は水の流れに身を任せ、琵琶の湖にたどりつくと、その身を石にかえた」「なんと・・・」琵琶の湖の沖に白く聳え立つ、通称、沖の白石というものがある。それが、たつ子だと銀狼は言う。「私は阿波の山中からたつ子を追って、ここまで、きたのだが、私の懸想と嫉妬がたつ子に移ってしまうとは、思っても居なかった。それより、以前、自身が犬神であることにさえ気がついていなかったのだ。だが、たつ子の狂気は私の嫉妬と、同時に起...ー銀狼ー4白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 5 白蛇抄第17話

    白銅が一番最初にここに降り立つのも無理は無い。朝から姿をくらました澄明の気配を追って、東の山に向かっていたからだ。「白銅・・・この前から沸いてきている怨亡の正体が判ってきた」「ふむ・・・」式神の口伝から、澄明が灰色の狼の傍らにいることはわかっていたが、それがことが、怨亡に結びつくとは思っていなかった。瓢箪から駒とはいわぬが、思わぬ糸口が見えたようだと得心する白銅に銀狼が訝しい声をかけた。「怨亡が沸くというのか?」声の主が式神が伝えてきた狼だろうとあたりをつけて、白銅は澄明と銀狼の傍らにぐいと足を進めた。「あ?」大きな岩の下に灰色の狼が押しつぶされ身動きが取れない、は、判っていた。が、それが、木乃伊のごとき有様である。「ふむ・・」一目見ただけで、大きな呪詛が架かっていると感じ取られると同時に白銅の思念に沸い...ー銀狼ー5白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 6 白蛇抄第17話

    片割れを思う白銅の気持ちをみれば、銀狼はたつ子の背子である山の主の思いを見せ付けられる。目の前の白銅のように、我が妹背を思う山の主の思い。それさえ、たつ子から奪い取った。山の主を苦しめ、たつ子を苦しめた己でしかない。それであるのに、悔やむなという。なんとかしてやるという・・。この男なら・・出来るかもしれない。根拠ひとつとてないのに、犬神は不思議な安心感に包まれていた。次にやってきたのが、九十九繕稀だった。山犬の背からおりたつと、澄明、白銅の傍にゆっくりとやってきた。みすぼらしい銀狼の死体と見まがうその姿を一目みると、「なるほど」とうなったまま、瞳をとじた。どうやら、繕稀は銀狼のなにかをよみ取るようだった。「無駄だろう」銀狼には人間ごときが犬神を読み下す力があるとは思えない。だが、澄明も白銅もじっと、待って...ー銀狼ー6白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 7 白蛇抄第17話

    「繕稀は前世を読めます。先ほどは貴方の前世、今は、怨亡の前世を読んでいると思います」澄明に説明されるといっそう、銀狼はあっけに取られる。「なに?私の前世?怨亡にも、前世があるのか?いや、あるとして、読めるものなのか?いったい、私の何を読んだ?私の前世に何の関係があるという?」矢継ぎ早にたずねてくるのは、銀狼自身の理解がおよばぬせいである。銀狼も取り乱していると自分でもきがついた。「おしえてもらえまいか・・」およそ、人間と小ばかにしていた所作をあらためたと言外にふくませた口調は酷く丁寧に聞こえた。銀狼の言葉をうけて、澄明はしばし、迷った。繕嬉がどこまで、話すつもりなのか、どんな前世を読んだのか?「繕嬉?」たずねてみれば、繕嬉は腕をくんだまま、うすく笑うばかりだった。おそらく、前世と今生の因果から話さなければ...ー銀狼ー7白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 8 白蛇抄第17話

    「なんだ?また、木乃伊か?」突然の乾いた声はかんらと明るい。不知火らしく、抜け目無く澄明たちのすぐ傍におりたつように、山犬に指図したのだろう。「不知火・・あいかわらず、こうるさい男だな」繕嬉のにくまれ口などものともせず、不知火は銀狼のそばににじりよった。「ふ~~ん」かすかに首をひねると、「あはは」と笑う。「澄明、おまえではらちがあくまい。こやつ、白峰と同じにおいがするわ」澄明が敗退を喫した相手は、あるいは、白峰大神ただ独りであるかもしれない。その白峰大神と同じ匂い。すなわち、恋する相手に「想いひとつ」だけで、つながっている。「たしかに、やっかいです」白峰が身を引いたとは形だけで、結局、今も天空から澄明を見張っていることだろう。想いをあきらめ、昇華し、消失できない。そこまで、澄明とて、変転させることは出来な...ー銀狼ー8白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 9 白蛇抄第17話

    「わからぬか?」澄明たちの反目をおもしろそうに眺めるとぽそりとたずねる。「雷を食らうというのだから、いづなは、誰の傍におりたがるや?」「それは・・当然、雷神でしょう」答えた白銅があっと、声を上げた。「もしかすると?波陀羅の一件の雷神?」榛の木に雷を落とし、榛の木の精霊を真っ二つに裂いてしまった雷神は落雷の衝撃で精霊に融合してしまったのである。そして、澄明たちの活躍で榛の木の精霊が元ひとつの身体に戻れたとき、雷神も自分の姿をとりかえしたのであるが・・・。「その雷神が、いづなのしでかしたことに、腹をたて、呪詛をかけおった」すると、20年以上前、雷神が榛の木の精霊のなかに分裂して、同化して閉じ込められていたわけだから、いづなへの呪詛はそれ以上前のことに成るのか?いづながいつ呪詛をうけたのか、判らないが、雷神が榛...ー銀狼ー9白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 10 白蛇抄第17話

    「おまえは、いづなだった頃に、雷神の傍らに随身のごとく、はべっていたのだが・・・。雷神は、こともあろうに、若狭から、京の都までつづく、三十三間山、息吹山、比叡山、近江富士・・これらを総括する山の主の妻女に想いをよせた」「雷神がですか?いづなだった私でなく?」因縁が同じ事を繰り返すというのなら、山の主の妻女に懸想したのは、前世のいづなであるべき、気がする。だが、銀狼には、見えない前世の世界である、まずは、繕嬉を信じて聞く以外ない。「そうだ・・。もちろん、成らぬ恋であることは、雷神も承知していただろうが、いづな・・おまえがの、随分、しゃしゃりでて、雷神の密かな想いもなにもかも、山の主に知れることに成ってしまった。もちろん、おまえが雷神の想いを阻むにも、わけがある。雷を帯びる雷神が水におちたら、雷神が死ぬか、水...ー銀狼ー10白蛇抄第17話

  • 整理整頓 作業に入ります。

    銀狼は、16話までの、エピソードと揚揚の「考え方」陰陽事の(白蛇抄としての)概念因縁通り越すー因縁の思いを踏むことで、通り越す・・・その他・・・「理」に関わる事を敷き込んできた。なので、もしかすると、17話あたりから初めて読んだ人なにか、とってつけた感都合の良い設定・・と、感じられるかもしれない。第18話竈の神と、タイトルだけは付けてる。次編をかかせようと、けつをたたいたのが、銀狼のラスト。ー確かに裏庭におろすは、念のいったことだとおもいながらくどにはいりこむと、そこに、大きな影がゆらめいた。「白銅、どうやら、また、新手ですよ」ーが、どういう「けつ」か叩かれているのがわからぬ「鈍さ」をもっているようである。最後の書き物「空に架かる橋」を揚げる前に、カテゴリを整理したいと思う。SO2シリーズ・アダルト小説約...整理整頓作業に入ります。

  • ー銀狼ー 終 白蛇抄第17話

    「たつ子が山の神に戻る前に、いそぎましょう」たつ子が山の神にあえば、ひょっとすると、さまに、怨念がほどけるかもしれない。ほどけてから銀狼を白石もろとも、打ち砕いては銀狼の「魂」ごと、消滅してしまう。山の神の怨念は、銀狼をくるしめるために「不死」を与えている。そのおかげで、体がきえうせても、その魂が消滅することがない。だが、そのままでは、銀狼の魂の殻の中にいづながとじこめられたままさまようことになる。体とおなじように、銀狼の魂のうちくだき、いづなをひっぱりだす。それが、できるのが、雷神の一撃である。不死の念誦がほどければ、銀狼ごと、いづなも消滅することになる。「わかっておる」雷神の答えはすでに中空よりきこえていた。その手に破壊の電撃である稲妻をよせあつめていた。そして、破壊がおわれば、銀狼から浮かび上がった...ー銀狼ー終白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 27 白蛇抄第17話

    ちかづく澄明をたつ子はぼんやりとみていた。「たつ子さま・・」声をかけられ、はじめて、たつ子は白石の外に出たときがついたようだった。「あれは・・・」白石まで銀狼がはいりこんできて一条の光めがけて、逃げ出したが、銀狼はおいかけてはこなかった。「あなたたちが?」聞かずとも、白石の傍にいるものが助けてくれたとしか考えられない。銀狼を白石にとじこめ、たつ子を外にだしてくれたのだろうと、思うがはたして、それは救われたのであろうか?ありがたいと考えるべきなのか?結局、銀狼は白石に身をかえただけで、あいかわらず、たつ子に銀狼の執着と懸想がふりかかりひいては、たつ子の子供たちにもふりかかる・・。銀狼の執着を一身にそそがせとめおくために白石に身をかえたというのにこれでは・・。明るき外へでたとは、うらはらに、心はかげりそれでも...ー銀狼ー27白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 26 白蛇抄第17話

    雷神とて、おもいおこせば、そうであった。榛の木の精霊をふたつに分かち己は榛の木の中でねむっていたらしい。それが、突如鋭い痛みをおぼえ、薄目をあければ、榛の木の精霊が元の雌雄同体の姿にもどってそこにいるやがて、妙な女鬼に揺り動かされた。奇妙なところにおると思いながらも畳針の作った小さな穴から光がもれてくる。さては、どこかに迷い込んだかそんなきがして、外にぬけだした。たつ子もおなじであろう。外にでられると判ればでてくるしかない。たつ子が逃げおうした相手である銀狼が白石の中におるのであれば白石に身をかえておく意味さえなくなり「あ・・」小さく針がふるえている。今だといかずちをかまえるより先にたつ子の姿がおぼろにうかびあがりはじめた。「たつ子がこちらの世界にもどってきてからです」おそらく、榛の木の精霊のようにたつ子...ー銀狼ー26白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 25 白蛇抄第17話

    2人が来るのをまちうけていたのが、不知火であるが相変わらず、口が悪い。「棒鱈のようになるまで、気がつかぬ、澄明もうつけじゃ」ひからびた銀狼の身体に水分をあたえ続けただけのことはあり銀狼はこれが、平素のとおりと思われるほど精気をとりもどしていた。ーなんと、精悍な・・-その立派としかいいようのない姿に惚れ惚れしている間に澄明の隣で電光が小さくはぜる。雷神が現れると銀狼の傍らに歩んでいった。「すべてを、聞き及んだ。わしのせいで・・すまなんだ・・」深く頭を下げるは双方になる。「あとのことは・・」みなまで、言うな。判っていると銀狼にうなづくと「この女子、すでに幾たびも救いをしておる」その女子、澄明の判断に狂いはなく仮にいずなが消滅したとしても、その判断の結果もまた狂いではないという。雷神が言下に含めた「信」にうなづ...ー銀狼ー25白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 24 白蛇抄第17話

    「ひのえ・・」白銅が呼ぶ。「わしは・・・山の神はたつ子さえ戻ってくれば銀狼への憎しみを昇華できるとおもう」白銅はなにゆえ、そう思うのであろうか?「山の神は、たつ子が戻ってきても、なお銀狼のー愛するものを自分こそが貶め苦しむ転生ーを見て山の神の胸内はすくかもしれぬが次にたつ子とおなじ苦しみをあじわうものがでてくるということにきがつこう?」「そう・・ですね」「たつ子さえ、助かればそれでいい・・と、思うだろうか?たつ子のような苦しみをあじあわせてはいけないくりかえさせてはいけないときがつけば山の神とて、銀狼の思いをくみとって、赦し、愛してやるしかないときがつこう」白銅のいうとおりであろう。「山の神は、変わるでしょうか?」不安はそこにある。「山の神といえど、すぐには、変えられぬ思いであるとはおもう。だが、それをか...ー銀狼ー24白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 23 白蛇抄第17話

    残るは山の神の呪詛であるが、これは、簡単に解けそうにない。雷神の場合は我知らず、思うた念であるから雷神が気がつけば、呪詛はその効力を失う。だが、山の神は、あえて、呪詛をかけている。そのうしろには、たつ子を沖の白石に変えさせられた悲しい憤りがある。これにより発せられた呪詛の念はたとえ、たつ子を元の水の神にもどしたところで消えるものだろうか?山の神が、「気がつく」「許す」だけで、怨念とも、いえる念が消滅するだろうか?すでに、「怨念」自体が、ひとつの生き物のごとく銀狼に寄生しているのであれば・・・・。雷神に話し聞かせた救出の法をもってしても、たとえ、転生をはたしても、ー愛するもの苦しめてしまうーと、言う因縁は繰り返される。それならば、消滅しようとも、転生しようとも、同じことではないか・・・。どうすれば、もっと、...ー銀狼ー23白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 22 白蛇抄第17話

    「どうすれば、私がかけた呪詛がとける?」「かけてしまった呪詛をとりはずすのは、貴方が許す気持ちになればそれで、すむのです。今までそれに気がつかず、知らずにいたわけですが、貴方はもうそれがわかって許す気持ちになっておられる。それだけで、充分なのです」「あ・・・・」ちいさな気づきの声がもれると雷神は再び澄明にひざまづいた。「貴方は、榛の木から私をすくいだしただけのみならず、私の心の闇を、そして、いづなをすくいだしてくださった。その貴方におそれおおくも、電撃をむけようとした。許されよ」だが、小さく首をふる、澄明の顔はまだ、すっきりとはれていなかった。「なに・・か?」澄明の顔色の理由におよびつくと雷神は澄明の言葉を待った。「元の呪詛は解けました。山の神の呪詛が残っています。これを、解かねばなりません。解かねばなら...ー銀狼ー22白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 21 白蛇抄第17話

    「そうです。海です。雷神、貴方のいづなを思う気持ちはたおやかで、凪いだ海のごとく、水・・つまり、情にあふれるものなのです。ところが、どういう加減か、そこに荒波がたってしまった。その波がいづなをのみこんでしまったということです」ふにおちたのだろう。雷神の瞳から、怒りがきえていた。「その波をおこしたのが、貴方なのです」「うとましいと思った・・確かにそう思った。それが、呪詛になったというのか・・」雷神がきがつけば、それで、良い。「ええ。貴方はいづなの邪魔だてに対して、うらみつらみの思いをわかしたのです。例えば、この気持ち、わかるか。と、おもったことはありませんか?」雷神の形相が険しいものにかわっていた。「ある・・・。それが・・」いづなを銀狼に転生させた元らしいと、雷神は自分を責め始めていた。「それが、呪詛になり...ー銀狼ー21白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 20 白蛇抄第17話

    「言霊をご存知ですね?」答えをしっているのは、澄明しかない。雷神は、唐突な質問が、答えの手引きであると、解すると、尋ね事の返事だけをかえすことにした。「知っておる」「言霊が発動するとき、言霊を発した本人が、今、言霊を発動させるぞと、お思いになって、言葉を発しますか?」「いや。それは、まず、無い。当て込んだ思いでは、言霊は発動しない。思い誠の真に天がのってくる。だから、時に、とんでもない思いであっても、真剣におもっていると、その言葉をかなえてやろうと、言霊が発動されることもある」「おっしゃるとおりです。今の話は、言霊の話しですが、貴方がおっしゃったように、「思いに乗ってくる」という事が根本です。ですから、言葉にしなくても、事象がおきるということは、ご理解いただけますね?」「うむ」うなづいた口から、疑問がこぼ...ー銀狼ー20白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 19 白蛇抄第17話

    「まず、いづなの行方をお話します」雷神のいぶかしげな顔が縦にゆれた。「今、いづなは、銀狼に転生しています」雷神の瞳が大きくみひらかれると、大きな涙があふれ、頬に伝った。「い・・いづな・・は、死・・死んでしまったということなのだな?何故?」霊獣であるいづなが、死ぬなど、希なことである。「私が・・電撃を?」思い当たることはそれしかない。澄明の眼がかすかに、地をみつめた。「いいえ。違います。ですが、いづなが、銀狼に生まれ変わったのは貴方のせいです。そして、銀狼に生まれ変わったいづなは、山の神の呪詛をうけ、死ぬこともできず、もがきくるしんでいます」澄明の言葉は雷神にいくつもの、混乱を生じさせていた。「山の神の呪詛?いや、待て。死ぬこともできず?死ぬほうが良いほどくるしんでいるということか?いやいや、待て待て・・。...ー銀狼ー19白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 18 白蛇抄第17話

    「判ったぞ。おまえらが、いずなをかくしさったのだな」その畳針を持っているのが、証拠だと雷神は二人をにらみすえた。澄明の手の先、畳針をにらみすえると雷神の体から青く小さな電光がそこかしこにわきだす。ぴしぴしとはぜる音がひとつの場所にあつまりはじめると、青い光のかたまりにかわり、ゆらめきながら雷神の手にのった。「ひのえ、いかぬ。畳針を放せ」白銅が叫び、澄明を庇うより先雷神の手がおおきくふりあげられた。護法の結界など役にたちはしないが、白銅は念誦をとなえながら、澄明の体の前にたちはばかった。雷神の手から雷光が放たれる・・・。と、思った瞬間、その手が止まった。いぶかしげな瞳が何かを思い出そうとしているとも思えた。「おまえ・・?なにを・・」雷神の言葉が澄明になげかけられているときがついた白銅がかぶりを振った時白銅の...ー銀狼ー18白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 17 白蛇抄第17話

    かちかちと恐ろし気な音もひそかなものにかわると、あたりの霞もうすまりはじめ、黒いもやでしかなかった霧が薄墨いろにかわり、その中に雷神の影が揺らめいた。「いずながどこにいるか、知っているというのだな?」雷神の姿がくっきりと現になり、稲妻の音も消え去り、霞は白いもやになり、雷神の足元にだけ、うずくまっていた。「なるほど・・おまえ、あの時の陰陽師だな?」あの時、長い眠りからさめたとしか、かんがえつかなかった雷神だったが、それから、いずなの姿をみいだせない。くちはてた榛の木が眠りの長さをおしえていた。榛の木の精霊の揶揄に怒り狂い、榛の木に雷撃を食らわせたことまでは思い出したが、それから、いったい、どうなったか?気がつけば、今、そこにいる二人の陰陽師の傍にいた。どうやら、榛の木に食らわせた電撃に自らもが巻き込まれた...ー銀狼ー17白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 16 白蛇抄第17話

    澄明とて、恐ろしいのだ。その恐ろしさに身をひけぬ「思い」がある。いかにしてでも、銀狼をすくいだしたい。ーわしはほんにあほうじゃー一瞬の気配もみのがすまい。もしも、雷神がひのえにいかずちをあたえでもしたら、いかずちが落ちる前にひのえの手から畳針をうばう。ひのえ、いや、澄明の守護にはいると、白銅は静かに目をとじた。気配に集中するために・・・。もういちど、澄明の手をありかを確認しようと、うすめを開けた時、澄明の脇に黒い霞がたなびきはじめていた。「来る」雷神を招き入れる暗雲がわきあがってきている。まもなく、雷神が降りてくる。空気が鳴る。かちかちかち、と、光ひとつ発さず、稲妻が空気をこする。『ひのえ・・』黒く暗い霞の中、澄明は微動だにせず、畳針を掲げていた。雷神は?まだ、現れぬか?稲妻の中に身をひそめ、こちらの正体...ー銀狼ー16白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 15 白蛇抄第17話

    「澄明」白銅の声に澄明は頷いた。あの畳針は悪童丸の陽根を祀って封じこめてみせたふりと同じくはたまた、藤原永常が孔雀明王の台座の下に保管したのと同様に今は二人の住いの祀り主である久世観音・であり慈母観音であり、救世観音の台座の下に封じ込めている。*注*陰陽師でありながら、観音を祀ると言う部分は第3話ー白峰大神ーに、寄る*救世観音の法により、雷神が畳針を見つけ出すことは不可能なのだ。その針を掲げれば、雷神のほうから寄って来るということになろう。「うむ」頷くと澄明は精霊に辞去をつげた。「役にたてたのであろうかの」澄明の顔色をよめば、その答えが応であるとわかる。精霊はまたたくまもなしに元の榛の木の新芽いや、もう新木というべきであろう。終の棲家にきえていった。「帰りましょう」畳針をとりに。いわずもがなの目的ではある...ー銀狼ー15白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 14 白蛇抄第17話

    榛の木の焼け焦げた根方の脇の新しい芽が今の精霊の棲家である。その芽は鮮やかにのびあがり、澄明の胸元まで勢をあげていた。「いなづち・なみづち」澄明が精霊の名をよばわると、はたして「おお。澄明か」精霊がならびて、澄明のまえに浮かび上がった。「息災でおるな?」「無論じゃとて、なにもかも、おまえのおかげじゃ」にこやかに微笑む澄明をすかしみる精霊である。「して?我らを呼び出すとはいかに?」判りの早い精霊であると澄明のうしろで苦笑をかみ殺す白銅に目をうつすと「二人、並びて、くるのはそれ相応の仔細があろう?」早く話してしまえと澄明を促すのも、精霊が澄明たちに恩義をうけたせいもある。「雷神を知らぬか?」澄明の問いに精霊の顔が一瞬のうちにくぐもった。無理ない話しである。雷神のいかづちにより、榛の木の精霊はふたつに分かたれ邪...ー銀狼ー14白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 13 白蛇抄第17話

    ーいずな?-前世がひょいと顔をだすことがある。一瞬浮かび上がったいずなの言葉をかみ締めて澄明は雷神の胸中を慮った。確かに朋友であるいずなの姿をみつけられなくなった雷神はいずなをさがすに間違いがない。20年以上の月日を榛の木のなかですごし、現世にもどってきてみれば、いずながいない・・。ーそういえばー榛の木から雷神がいできてから、雷が鳴ったのは、何度あったろうか?雷を何度とどろかせても、いずなが現れない。雷神はあてどなく、いずなをさがしまわっているということか?だから、さして、雨もふらず、夏の盛りの日照りさわぎで渇水さえおきた。その時に掘り起こした木乃伊のことを銀狼は読み下したか?故に胸にしまった解決方法を引き読んだということか?無論、そればかりではない。いくつかの澄明の因縁からの解脱をよみくだしているのは間...ー銀狼ー13白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 12 白蛇抄第17話

    大岩を梃の要領で動かすとき、銀狼の側に傾かぬように大岩の転ぶ道筋をつくるためである。あたりに梃になる倒木がないか、探しにいくようにと、白銅が澄明に言う。「土の気は女子の手を傷める。手ごろな木があったら呼ぼうてくれ」気「はい」夫の心使いに素直に従うと澄明は倒木を探すため、その場を離れた。猩猩を見張っていた山犬の一匹が澄明に従った。「あのようになるまで・・お前たちはずっと、銀狼を守っておったのだな」「半月以上・・・交代でついておりましたが、猩猩も限界をこえ、烏どものひなから、烏までくいあさるようになり・・朝には、おどろしい紫雲が沸き立つ有様で・・」「それで、私もきがついたのだが・・・もっと、早く気がついてやればよかった。猩猩も烏も、呪詛に操られ、本来の本能を忘れ果てている。それも、さぞかしつらかったことだろう...ー銀狼ー12白蛇抄第17話

  • ー銀狼ー 11 白蛇抄第17話

    澄明の屋敷はむこう一里にわたる結界が施されている。むろん、結界の中は浄化されている。出口を求める怨亡が浄化された場所へむかえば、結界の外に吐き出される。この作用をしってか、単に出口を求めた結果、澄明のもとに浮かび上がることになったのか、定かではないが、雷神が知らずに生み出した怨亡は本来の目的である、いづなへの復讐にかりたてられ、銀狼のもとへ向かった。「あなたの言うとおりだ・・。ここしばらく、得たいの知れない鬼火が丑三つ時をすぎるころから、私をとりかこんでいた。それが、怨亡だったのだろう。だが、鬼火どもは、私に害をくわえようとせず、まわりをとりかこむだけだったが・・・?」銀狼の言葉をうけて、澄明が答え始めた。「無理はないでしょう。雷神が呪詛をかけたのは、いづなであって、あなたではない。呪詛の相手であるあなた...ー銀狼ー11白蛇抄第17話

  • つらい(辛い)のを、抱く

    白い朝に・・・書いてある所まで、揚げました。(意外と長い・・・)随分、前に書いて放置している間に世の中随分進んでしまい時代遅れになっていることや、逆に周知のことになってくどい、説明(と、いっても、説明文でなく物語の中に織り込む・・ので、なお、長くなる・・)になったり。当時、精神科というのが、気軽にいけると、いうのと人に知られたくないと、いうのとのちょうど、端境期だったように思います。精神病院というと鉄格子にかこまれた場所にー気が狂った人ーが収監されている病院というイメージがあり精神病院自体、働き手が少ない敬遠されるというパターンだったのか、逆に、給料が良かったとか。鬱病というのが、社会的に認められるようになってー例えば、鬱病の発症が会社に原因があると、なったら、療養補償がでる、とかーまわりに、鬱病の人が居...つらい(辛い)のを、抱く

  • 白い朝に・・37 ー此処ー

    瞳子の「基の傷」がどこにあるか、探す。と、いうことは逆に、言えば、瞳子が『基の傷』を奥深くに隠しこんだという事でもある。私は昨日の瞳子を思い返していた。基の傷にふれる存在である父親を父親と認識しない事で、基の傷にふれずにすむことになったのならば・・。昨日の瞳子の教授ヘの態度。教授の存在が目にうつらなくなったかのような瞳子。これは?教授を父親と認識しない。と、いうより教授を認識しない。え?それは?基の傷に触れるのは「教授の父親の部分」だけだったのが基の傷に触れるのは「教授全部」と、かわったとかんがえられまいか?それは?それは?一方で回復の兆しをみせながら、見えない部分、氷山の下では悪化している?いや、氷山?氷山自体が大きくなっている?脳世界の海にうかぶ異常という氷山が大きくなっている。水面に出た日のあたる部...白い朝に・・37ー此処ー

  • 白い朝に・・36

    私は車を発進させると、クリニックに急いだ。クリニックの駐車場に車をすべりこませた私の目に、女医の姿が移りこんできた。開院まえの清掃や準備などで、診察室に看護士がたちいるためだろうとも、思えた。車を止めると、女医は運転席側に歩み寄ってきて、窓ガラスが開かないうちから、喋り出した。「おはようございます。昨日の資料はもう、よんでくださいましたか」いきなりの切り口上だった。私も瞳子の回復に必死になっている。それは、女医もよくわかってることであるのに、そんな、私が資料だって、読むに決まっている。聞くまでも無い事をわざわざ、確認する女医が、妙で、一瞬、むっとした思いはすぐに消え去っていった。「それでは・・・場所を確保できないので、貴方の車をおかりしていいかしら?」「どうぞ」私の返事より先に、女医は助手席側に回り込み、...白い朝に・・36

  • 白い朝に・・35

    バスの本数はあるけど、それはそれで、たいへんだと思うと、今まで、疑問に思わなかったことが急に気になった。「教授、そういえば、瞳子は車の免許、とってませんよね」「うん。車の運転は怖いって、免許をとろうとしないから、無理じいはしなかったんだ。必要になれば、嫌でもとるだろうと思ったし、君との結納の後にも、免許はあったほうが良いとすすめたんだよ。でも、うんといわなかった。まあ、バス路線もしっかりしてるし、今頃は大きなスーパーもあちこちにあって、どこに、住んでも、はずれはないだろう?車がなくても、困りはしないよ・・」教授の説明を聞きながら、私は運転が怖いという・・その「怖い」に、なにかしら引っかかっていた。お父様が怖い・・・。それと同質にかんじるのは、私が神経過敏になっているせいなのかと思った。だが、此処にも、瞳子...白い朝に・・35

  • 白い朝に・・34

    翌朝、私が起きたときには瞳子はもう、ふとんの中にいなかった。かわりに台所から物音がきこえ、夫人のはずんだ声が聞こえた。私はパジャマのまま、台所に歩んでいった。「じゃあ、玉子焼きとお肉のソテーとほうれん草の胡麻和え、しゃけを一切れ」どうやら、お弁当をこしらえようと、瞳子はおきていったのだ。私の感激がいかなるものか。そして、夫人の声が弾むわけも解かる。お弁当をこしらえてもらえるなんていう単純な喜びじゃない。教授が言っていたことが、はやくも変化を見せている。「言われたことをする」「言われないとできない」その瞳子は、自分からお弁当をつくるといいだしたに違いない。私はやはり、教授の存在が瞳子の心の扉に暗い影をおとしているのだと思った。心という部屋から外にでることができなかったのは、一歩外が暗い闇だったからだろう。私...白い朝に・・34

  • 白い朝に・・33

    「家族」という閉ざされた扉の奥で、このような虐待行為が行なわれているのです。しかし、それでも、子どもたちは生きていかなければならないのです。どんなにひどい家族であっても、子どもたちはそこで生きていかなければならないのです。その環境の中で、なんとかして生きて行く方法を考えなければならないのです。そして、その生きて行くための方法のひとつが、「心を凍らせる」ということです。心が何も感じなくなってしまえば、もう苦しむこともないのです。たとえば、手術のときに麻酔をかけて、痛みの感覚を麻痺させてしまうように、子どもは、自分の心を凍らせて、感情を麻痺させてしまうのです。そうすれば、心をズタズタに切り裂かれたとしても、もう何も感じなくなってしまうのです。なにも感じなくなってしまえば、虐待にも堪えることが出来るのです。そし...白い朝に・・33

  • 白い朝に・・32

    教授とともに、教授宅に戻ると、昨日とうってかわって、瞳子がすがってくる相手が私に代わっていた。「おかえり。おかえり」嬉しくてたまらない繰り返しを聞きながら、私はそっと瞳子の頭をなでた。「うん・・」じわりと瞳子の目の端に涙がにじむ。それは、昨日の帰宅時、瞳子の教授への行動がどういう意味合いをもつものか、私に悟らせた。瞳子は父親を恐れている。恐れているからこそ、気に触るような行動や恐れている事が教授にばれてしまう行動をひかえ、教授に取り入る唯一の方法を処すしかなかったのだ。私という庇護者が現れ、瞳子は「父親が恐ろしい」と、いう思いを表明した。それは、私なら、守ってくれると感じ取ったせいだろう。だが、その一方で、教授に対する敵意をむき出しにしたに等しい行為は瞳子をいっそう不安におとしいれ、教授への恐怖が募る。そ...白い朝に・・32

  • 白い朝に・・31

    女医の見解はまだあった。「柚木先生の治療によって、篠崎さんは、自分がしでかしていることが、たいへんなことだときがつくまで、回復していったのだと思います。柚木先生の口からは、篠崎さんが虐待をおこなった事実は聞かされてはいません。篠崎さんも話すに話せなかったのだと思いますが、これが、逆にPTSDを発症させていると考えられるのです。何らかの事件の被害者や目撃者ばかりが、PTSDになるとは、限らないのです。精神錯乱によって、自分で加害者になったということは、、また精神錯乱の、被害者でもあるのです。自分の行動にきがついた時、柚木先生に話していれば、あるいは、瞳子さんのトラウマを奥底に隠させず、篠崎さんとともに、治療できたのかもしれません。ですが・・・」女医は悔し気に口元を固く、結んだ。結んだ口が開かれると、悔しみが...白い朝に・・31

  • 白い朝に・・30

    「貴方がおっしゃっていたように、「基の傷」が、なんであるかは、催眠療法でひきだしてこないと本当のことは解からないのです。ただ、私は往診にいった時に、瞳子さんの様子から、これは、虐待が弾きがねになってると感じたのです。それは、私がこの20年精神科にかかわって、色んな事例をみてきた医者の勘でしかなかったのですが、篠崎さんの顔をみて、通院の事実とか思い出して、いっそう「ありえること」だと、思えたのです。うかつに治療すれば、瞳子さんが廃人になりかねない。覚醒していく段階で、フラッシュバックや人格分裂や興奮で、瞳子さんが何をしゃべりだすか、わからない。それにより、事実を知ったお母様がショックで気が狂ったり、自殺。篠崎さんもどうなるか。瞳子さんをそのままの状態であの家においておくことも、いつ爆発するかわからない爆弾を...白い朝に・・30

  • 白い朝に・・29

    ーそんなことはありえない。おまえは妄想にとり憑かれているんだ。女医が何かを気づかせようとしていると思いこんだから、変なことを考え出したんだ。それに、今だって見ろ。おまえ、おかしいじゃないか?俺は誰だ?おまえの別人格だろ?おまえは気がつかぬうちに音叉現象にやられて、俺を浮上させてるんだー自分を客観視しようとするために、時に自分を対象に会話することはありえる。私は一瞬自分が狂った錯覚に陥っていた。だが・・・。教授の病名をきかなくても、性的虐待があったと考えれば、女医の言ったことがすべて、つじつまがあってくる。(貴方が聞くに辛い)。(二次的に周りの人間までだめにする)(瞳子さんが覚醒したら、廃人になる可能性がある)。確かにその通りだ。私も今まさに混乱している。(私にも危険)その通りだ。(瞳子さんが親をうとむ)そ...白い朝に・・29

  • 白い朝に・・28

    「え?」同意しないだろうと思っていながら、同意書を出した。いや?逆か?同意しないから、あえて、同意書を渡した?ところが、案に相違して、教授の了承の証拠となるものが目の前に提示された。同意しないはずの教授が同意している。女医は同意を突き崩す論理を考えた。こういうことだろうか?だが?何故?何故、そこまでして、治療を避けるのか?いや、それ以前・・・・。『何故・・同意してくれなかったのでしょう』再び私の頭の中に夫人の言葉が瞬いた。夫人でさえ、疑問に思うことだ。で、あるのに、女医は逆に教授が「同意しない」と踏んでいた。じっさい、女医の言うとおり、教授は同意していない。だが、これは結果論だ。女医はすでに予測していた。いや、むしろ、判断に近い。何故、教授が同意しないと判断したのか?考え込んでしまった私に女医は、何故、教...白い朝に・・28

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