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月の爪痕 http://kurenai75.blog11.fc2.com/

「月の爪痕」は紅(くれない)が書いたオリジナルBL小説を掲載しているブログです。

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2022/05/07

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  • Calling Section2-7

    薫の『感覚』とやらをどう判断するのか ―― 警視庁内でも、意見は割れた。 これまで薫の捜査協力に直接関わってきたのは相馬や箕輪をはじめとする、ほんの一握りの捜査員だけだ。 実際に薫の能力を目の当たりにした相馬ですら未だその能力を信じきれずにいるのに、実際に接していない捜査員が薫の能力を疑問視するのは当然であった。 加えて今回、薫自身が『覚束ない感覚』であると言い切っているのだ。 そんな不確かなものを...

  • Calling Section2-6

    「・・・は?」、と相馬は言った、「『駄目』?・・・って、何が?」「被害者の女性、ここへ越してきてかなり日が浅いですね」 年頃の女性の部屋とは思えない、がらんとした1DKの部屋を眺めながら、薫は言った。 確かに被害者女性である野間ひかりは、かなり頻繁に引っ越しを繰り返していることが分かっていて ―― 恐らく父親の捜索の手から逃れるためであろう ―― 彼女がこのアパートに越してきて1ヶ月程しか経っていなかった。「...

  • Calling Section2-5

    相馬たちの必死の捜査を嘲笑うかのように、11月5日、五反田のラブホテルでデリヘル嬢の他殺体が発見された。 この法則でゆくと、12月の犯行日は4日である可能性が高い ―― 捜査員全員がそう予測していたにも関わらず、概当日、やはり事件は起きる。 8月は渋谷、9月は上野、10月は新宿、11月は五反田、と来ていたので23区内には厳重な警戒が敷かれていたが、それを避けたのか、12月4日に犯行が行われたのは東京都下、立川郊外に...

  • Calling Section2-4

    灼熱地獄のような夏が終り、漸く秋らしく過ごしやすい気温の日が増えてきた10月上旬。 季節の移り変わりに想いを馳せる余裕もなく、都内では立て続けに凄惨な事件が起こっていた。 20代前半のデリヘル嬢をターゲットにしているとみられる、連続殺人事件。 殺害現場は都内各所にあるラブホテルの一室で、犯人は出会い系アプリ経由、つまり店を通さずに女性と会ってホテルに連れ込み、刃物で胸を一突きして息の根をとめ、その後...

  • Calling Section2-3

    「で、神無月さんのことですけど」 と、箕輪は話を戻して言った。「日下浩二は明日の昼過ぎには東京に帰ってくるらしいので、とりあえずちょっと話を聞くという形で事情を聞きに行くつもりなんですけど、それに同行してもらおうかと思ってます。それでいいですか?」「ああ。よほどの無理難題でない限り、神無月薫のやりたいようにさせていい。上からもそう言われているしな。ただし・・・」「『直接日下浩二とは口を利かないよう...

  • Calling Section2-2

    ―― 神無月薫への依頼は、8割方断られる ―― 最初にそう聞いたとき、“解決するのが簡単そうなものを選り好んでいるのだろう”、“仕事なのに有り得ない。自由すぎだろ”と、思っていた相馬だった。 だが“解決出来そうなものを選り好んでいる”という説に関しては、早々に認識を改めた。 先の「連続『誘拐』事件」はどう考えても“解決するのが簡単そう”からは程遠い事件であったから。 一方、“仕事なのに自由すぎ”というのは事実であ...

  • Calling Section2-1

    「冗談じゃありませんよ・・・」 と、相馬は力なく言った。「もちろん冗談などではない」 と、警視庁捜査一課管理官、宮田は言った。 霞ヶ関にある警視庁本部庁舎の一室。 デジャブのように半年ほど前と同じやりとりをしている2人であったが、今回、室内には相馬と宮田しかいなかった。「彼はこれまで2年もの間、超能力を使って捜査協力をするという触れ込みで全国各地の警察を転々としていたんですよね?」 相馬は必死になっ...

  • Calling Section1-14

    神無月薫が車を停めたのは、街道沿いにあるシティホテルだった。「先に上に行っていてください。最上階」 と、神無月薫は駐車場の片隅を顎で指し示しながら言い、自らはフロントへと向かった。 黙って言われた通りの方向に進むと、恐らく従業員用なのだろう、狭い階段があった。 それを上がって扉を開けると、客用のエレベーター横に出ることが出来た。 相馬は小さく肩を竦め、エレベーターで言われたとおり最上階へと向かう...

  • Calling Section1-13

    事件の現場となった別荘の、規制線から十数メートルのところで神無月薫とキスするのがまずいことは、至極当然のことだ。 だがそこから徒歩数分のところに停められた車の中なら良かったのかと言うと、そういう話ではなかった。もちろん。 ―― と、相馬が思ったのは、それから半日近くが経過した後の事だった。 神無月薫のものだという車は、深紅のBMW Z4だった。 らしいと言えば、らしいのか ―― と、相馬は思った。 同時に、...

  • Calling Section1-12

    ベンチに座る相馬と、それを見下ろす神無月薫と ―― 見つめ合ったまま、暫しの時間が流れた。 やがて相馬が言う、「外れだ」「『外れ』?」、と神無月薫が言う。「ああ。残念ながら今度こそ、な」 相馬は言い、立ち上がる。 見上げる側と見下ろす側が、逆になる。 小さく首を傾げる神無月薫を見下ろして、相馬は続ける。「俺は、知り合いとは寝ない。事件や仕事関係者とは特に ―― それだけは絶対と決めてるんだ」「・・・それ...

  • Calling Section1-11

    足元が崩れ落ちる、とか。 目の前が真っ暗になる、とか。 空が落ちてくる、とか。 そういった比喩表現は、こういう経験をした人間が、崩れ落ちた土砂や空の残骸に頭まで埋もれ、真っ暗闇の中で考えついたに違いない。 ぐらつく頭の奥底で、相馬は悟った。『ウルフ』。 それは7ヶ月ほど前に、相馬がメッセージのやり取りをしていた人物だった ―― ゲイ専用の、マッチングアプリで。 義務教育が完了する頃には既に、相馬は自...

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