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骨董商Kの放浪 https://kottousho.hatenablog.com/

大学卒業後1年もたたずに退社し、その後骨董商をめざす主人公Kが、美しくそして妖しげな骨董品をとおして、それに関わるさまざまな個性的な収集家、同業者などの人たちと織りなす創作小説。魅惑的な骨董品を巡る群像劇をお楽しみください。

立石コウキ
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2022/03/17

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  • 骨董商Kの放浪(32)

    温泉市(いち)の情報を聞いた数日後の一月の下旬、僕は総長の家を訪れた。香港で買ってきた漢時代の蝉炉の代金を頂戴するためである。 正月三が日の過ぎた頃、僕は総長から電話をもらった。家に遊びに来ないかとのこと。そのとき僕は香港で仕入れたこの蝉炉を持って参じたのだった。案の定、総長はこれを大いに気に入り、値段を問わずお買い上げになったのである。僕とネエさんが想像していた、崩れるような笑顔が、このとき現出したのであった。 展示台の一箇所に作品を置き、二人してしばし見入ったあと、総長は優しいまなざしをそのままに、軽く首を傾げ訊いてきた。「Kさん、いったい、どんな味なんでしょうかねえ?」成虫か幼虫か判然と…

  • 骨董商Kの放浪(31)

    年明け早々に、香港から雍正筆筒の代金が才介の口座に入金された。手数料を差し引き840万円ほど。「半分送るぞ」と、僕の口座に約420万が振り込まれた。そこから、Saeから借りた300万を返金する。手許には120万ちょい。300万を失ったことを考えれば上出来である。 年も改まり、美術俱楽部でブンさんの所属している個人会の初競りがあり、僕と才介はブンさんの店員ということで参加。そこで才介は、香港で仕入れた細々とした品を売ることに。品選びは、ブンさんを中心に当然才介も手伝う。「今、中国モノは上り調子だから、このあたりでも結構売れるぞ」ブンさんの太い腕がこまめに動き、才介が持ってきたなかから20点ほどを…

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