骨董商Kの放浪(30)
翌日の午後、僕は宋丸さんの店に向かった。今日の目的は二つ。先ずは、今回仕入れたモノを見てもらうこと。定窯白磁碗と黒釉碗の二点。そして、Saeのところの万暦豆彩馬上杯について訊くこと、である。扉を開けると、Reiが笑顔で出迎えた。 「よかったですね。良い仕入れができて」今回仕入れたモノについてはすでにReiに知らせてあり。「良い仕入れなのかどうかは…」判決は今日、宋丸さんによってくだされる。その宋丸さんであるが、どうやらまだ来ていないようだ。「その黒い碗の方は、Kさん、どんな感じなの?」「うーん。僕は、変な新物(あらもの)には思えないけど。どうかなあ」ママの店で買った黒釉の碗について、Reiは、…
2022/12/29 15:53