骨董商Kの放浪(27)
10万で買ったモノが900万で売れたのだから、僕らは、はしゃがずにはいられなかった。オークション会場では、極力抑えていたものが、ホテルに帰ると爆発した。狭い部屋のなかで、何と枕投げが始まったのである。 「ぎゃっ、はっ、はっ!やったぜー!」「愛してまーす!Lioちゃーん!!」「誰だかわからない電話ビッド、セーンキュウー!」「禿寺ー、おまえが一番エライ!」「900マーン、俺は待ってるぜぇ!アッハッハ!」最後に思い切り投げた才介の枕が天井に突き刺さり大きな音を立てた。「やばいよ、おまえ、ここボロホテルなんだから、壊れるぜ」僕の言葉に、才介はまた「ぎゃはは」と笑い、ホテルの窓を開け「サイコー!ホンコー…
2022/11/25 21:33