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骨董商Kの放浪 https://kottousho.hatenablog.com/

大学卒業後1年もたたずに退社し、その後骨董商をめざす主人公Kが、美しくそして妖しげな骨董品をとおして、それに関わるさまざまな個性的な収集家、同業者などの人たちと織りなす創作小説。魅惑的な骨董品を巡る群像劇をお楽しみください。

立石コウキ
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2022/03/17

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  • 骨董商Kの放浪(27)

    10万で買ったモノが900万で売れたのだから、僕らは、はしゃがずにはいられなかった。オークション会場では、極力抑えていたものが、ホテルに帰ると爆発した。狭い部屋のなかで、何と枕投げが始まったのである。 「ぎゃっ、はっ、はっ!やったぜー!」「愛してまーす!Lioちゃーん!!」「誰だかわからない電話ビッド、セーンキュウー!」「禿寺ー、おまえが一番エライ!」「900マーン、俺は待ってるぜぇ!アッハッハ!」最後に思い切り投げた才介の枕が天井に突き刺さり大きな音を立てた。「やばいよ、おまえ、ここボロホテルなんだから、壊れるぜ」僕の言葉に、才介はまた「ぎゃはは」と笑い、ホテルの窓を開け「サイコー!ホンコー…

  • 骨董商Kの放浪(26)

    食事が始まり、三皿目の料理が出されたあたりから、閑散としていた広間のテーブルはいつのまにか人で埋められ、周りの声が賑やかに耳に入り出した。芝エビか何かだろうか、小さなむきエビを茶葉で炒めたこの料理の優しい味つけに、僕と才介は前のめりになってレンゲを動かした。その様子を見てチャイナドレスのマダムが目を細める。「美味しいでしょう?杭州のお料理で、龍井蝦仁(ロンジンシャーレン)ていうのよ」「ロンジン…」才介は一瞬顔を上げたが、すぐにまたエビを口に入れた。「アハハハ、あんたたち、そんなに美味(うま)いか。あたしの、あげるよ」ママは自分の皿を差し出した。マダムも「どうぞ」と言って僕の目の前に置く。「あり…

  • 骨董商Kの放浪(25)

    文武(もんぶ)廟(びょう)から東へ歩いて5分のところにある3階建ての大きなビルディングの前に僕らは立った。三代目が入り口の扉を開け、勝手知ったるというふうに、そのまま階段を上っていく。僕もあたりに目を凝らしながら後についていく。各階には、その途中の階段の脇や踊り場も含め、古い中国製の飾り台や陳列ケースが壁際はもちろんフロアのいたるところに置いてあり、そこには大量の品物が並んでいる。僕は先ずその景色に驚く。その様子を横で見ていた三代目が声をかける。「まだ、整理整頓されている方だよ。他の店なんか、床の上まで所狭しと品物が置いてある。そういった店がほとんどだ」 そして3階に到着。そこにも壁に設置され…

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