chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
骨董商Kの放浪 https://kottousho.hatenablog.com/

大学卒業後1年もたたずに退社し、その後骨董商をめざす主人公Kが、美しくそして妖しげな骨董品をとおして、それに関わるさまざまな個性的な収集家、同業者などの人たちと織りなす創作小説。魅惑的な骨董品を巡る群像劇をお楽しみください。

立石コウキ
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2022/03/17

立石コウキさんの人気ランキング

  • IN
  • OUT
  • PV
今日 04/24 04/23 04/22 04/21 04/20 04/19 全参加数
総合ランキング(IN) 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 1,034,326サイト
INポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
OUTポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
PVポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
美術ブログ 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 8,253サイト
創作活動・創作日記 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 433サイト
古美術・骨董 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 141サイト
美術鑑賞・評論 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 435サイト
※ランキング順位が「圏外」と表示される時は?
今日 04/24 04/23 04/22 04/21 04/20 04/19 全参加数
総合ランキング(OUT) 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 1,034,326サイト
INポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
OUTポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
PVポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
美術ブログ 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 8,253サイト
創作活動・創作日記 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 433サイト
古美術・骨董 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 141サイト
美術鑑賞・評論 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 435サイト
※ランキング順位が「圏外」と表示される時は?
今日 04/24 04/23 04/22 04/21 04/20 04/19 全参加数
総合ランキング(PV) 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 1,034,326サイト
INポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
OUTポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
PVポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
美術ブログ 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 8,253サイト
創作活動・創作日記 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 433サイト
古美術・骨董 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 141サイト
美術鑑賞・評論 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 435サイト
※ランキング順位が「圏外」と表示される時は?
  • 骨董商Kの放浪(44)

    骨董商Kの放浪(44)

    ロンドンに入り3日が経った。下見は今日と明日で終了。明後日は本番である。本日午後2時過ぎの下見会場は、参加者の急増とともに種々な言語が飛び交い、場の空気もいっそう熱を帯びたものになっていた。 「また、出張中ね」空になっている元染壺のガラスケースを前にSaeが口元を緩めた。昨日の午後から元染の下見者が一気に増したようで、時おり立ち寄るこのケース内には、ほとんどの確率で作品が置かれていなかった。奥にある五つの個室は満室で、昨日挨拶した英国人のヴァイスプレジデントが、個室から次の個室へと壺を抱えながら行き来している。今日の午後から続々と本命と目されるひとが集まってきているのだろう。Xiaの姿もみえな…

  • 骨董商Kの放浪(43)

    骨董商Kの放浪(43)

    5月12日のロンドンの朝はどんよりと曇っていた。三階建ての古めかしいホテルの二階の小窓からは、両脇の煉瓦壁に挟まれるようにして細長い石畳の路地が伸びていた。昨夜降った雨の影響か、路面がところどころ鈍い光りをはなっている。その風景を目にし、ぼくは顔を緩ませた。そうだ、自分は今ロンドンに来ているんだという実感が胸をつき、つい微笑んでいたのだ。ぼくは窓から入る冷たいが澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込むや、部屋を出ると階下へ向かった。 今日はB社で下見をすることになっている。昨夜のマダムの決意表明を受けぼくの気分は高揚しており、朝からなんだか沸々と力が湧き上がっている。早速一階にあるこじんまりとしたレス…

  • 骨董商Kの放浪(42)

    骨董商Kの放浪(42)

    ロンドンへ出発する前日の大型連休明けの月曜日。ぼくは月二回美術倶楽部で開かれる或る個人会に参加していた。この市場(いちば)は雑多なモノが大半を占めるが初生(うぶ)口が多いことで知られ、そのなかには一級品も混ざっていて時おり高値まで競り上がることもある。よって、百五十人ほど参加する業者たちにも幅があった。会場の床を覆う赤い敷物の上に足の踏み場もないほどの荷物が並べられていて、皆モノとモノとの僅かな隙間に足をつっこみ身体を折り曲げながら下見をしている。ぼくが低い姿勢で縄文土器の破片の一群を一つひとつ手に取って見ていると、後ろから声がした。 「明日から、ロンドンだろ?」才介である。「うまく買えるとい…

  • 骨董商Kの放浪(41)

    骨董商Kの放浪(41)

    三畳台目(だいめ)の茶室の京間一畳に座っていた。ぼくは下座。真ん中の次客の畳にはZ氏。つまりぼくの右隣りに座る。正客の席は空いている。ぼくの正面の点前畳では、Miuがお茶を点てていた。ライトグレーのパンツスーツが、一定のリズムを刻んで穏やかに動いている。この小間(こま)の右壁に設えた間口半間(はんげん)奥行尺五寸の床の間には、先ほど教授の家から持ち帰った仏手が飾られていた。Z氏は、もうかれこれ15分近く、射抜くような眼でそれを睨んでいるのだ。 現金5500万円と一緒にこの石彫を持ち運んできたのは、今から30分ほど前のこと。「自分の所蔵品を一つ合わせるから、それでなんとかしてもらえないかねえ………

  • 骨董商Kの放浪(40)

    骨董商Kの放浪(40)

    金曜日午後6時のエリタージュ・ハウス。まだ客はまばらであるが、スタッフの目配りや動作に、なんとなく嵐の前の静けさを感じさせる。Reiのあとに続いて、ぼくはあたりを伺いながら、正面のエレベーターへと向かいかけたとき、「上じゃ、ありませんよ」のReiの声にびくっとして足をとめる。いつもSaeとは二階の個室だったので、ついエレベーターに向かってしまっていたのだ。 「Kさん。初めてですよね? ここ?」Reiがやや訝しんで訊く。「あ、ああ。うん、もちろん」スタッフの一人が「こちらでございます」と左手の部屋へと先導した。初めて入る一階のメインルームは、150㎡ほどのスペースに大小十幾つかのテーブルが配置さ…

  • 骨董商Kの放浪(39)

    骨董商Kの放浪(39)

    ぼくは、両手で抱えた小さな風呂敷包みにぐいと力を込め、受付に向かった。二人の女性が座っている。その右側の短髪の女性の前に進み出ると、緊張した面持ちで名を告げた。黒髪の女性は口元に笑みをたたえ「はい」と答えてからデスクに目を落とし、すぐに顔をあげた。「お待ちしておりました」その瞬間ちらりとぼくの風呂敷に目を当てたが、一定の笑みを崩さずに「あちらのエレベーターで6階にお上がりください」と手のひらで示した。ぼくはこわばらせた顔を一つ縦に動かすと、ぎこちない動きで右奥のエレベーターへと向かった。途中、何人ものスーツ姿とすれ違う。実は今日、ぼくも一張羅のスーツを着込んでいるのだ。ぼくは、8基あるエレベー…

  • 骨董商Kの放浪(38)

    骨董商Kの放浪(38)

    「すみません。急いでないので、ゆっくりでお願いします」ぼくはやや身を屈めると、後部座席の両脚の間に置いた箱の位置を最終調整した。風呂敷に包まれたこの箱のなかには、Z氏から預けられたあの埴輪女子の頭が入っている。両方の脚で挟み込むと風呂敷の結び目にしっかりと手を添え、ぼくは万全の体勢をとった。「かしこまりました」ハイヤーの運転手はミラー越しに確認したのち、白い手袋をギアからハンドルへ移すと、静かに車を発進させた。「大丈夫ですか?」隣席の長い髪がなびくように揺れた。「うん。これで動かない」いつもの軽装とは違うグレーのパンツスーツが目に入る。ぼくの返答に、Miuはにこりと微笑んだ。 この車の行き先は…

  • 骨董商Kの放浪(37)

    骨董商Kの放浪(37)

    東京の桜がもうそろそろ開花するかという三月の下旬、ぼくは日本橋人形町のしゃぶしゃぶ屋にいた。ここは内科医あいちゃんの診療所近くにある先生行きつけの店。昭和初期の文豪の生家として知られている。先生の右横にはネエさん。ぼくの左隣りには才介が座っている。今日は、才介を励まそうと二人が企画した飲み会。 「さあ、才介くん。もうくよくよしない!」ネエさんが瓶ビールを片手に口火を切り、才介のグラスに注ぎ込んだ。「ここはね。しゃぶしゃぶのお店ですが、おつまみも美味しくてね」あいちゃんは「いつものやつ」と言って何品かを注文。先ずはだし巻き卵の乗った横長の器がテーブルの上に二つ置かれた。「さあさあ、どうぞ」あいち…

  • 骨董商Kの放浪(36)

    骨董商Kの放浪(36)

    新幹線で名古屋までいくと、地下鉄に乗り換え終点で下車し、そこからバスに乗り込んで30分ほど走った。時おり窓から見える桜は、まだ五分咲きくらいだろうか。ぼくの両膝の上には、風呂敷に包まれた箱が一つ乗っている。バスは、広大な敷地に入ると3分程走行し、やがて正面玄関の前で停まった。何人かが席を立つ。ぼくも風呂敷包みを片手にリュックを背負うと、彼らのあとに続いてバスを降りた。すぐに『中国古代の暮らしと夢』という展覧会の見出しが目に飛び込んできた。三十数年前につくられたのであろう巨大な建物は、高度経済成長期の名残をとどめた、ある種の堅牢さを漂わせていた。ぼくは、そのだだっ広いエントランスをくぐり、受付へ…

  • 骨董商Kの放浪(35)

    骨董商Kの放浪(35)

    宋丸さんは自分の手帳を取り出すとテーブルの上に置き、Reiに渡されたメモ用紙に書き込みを始めた。「ほら」と渡された紙には、なにやら電話番号が書かれている。「こちらに電話したらよいのですか?」「ああ。それが会社の秘書室の番号だ。宋丸の紹介といえば、すぐに室長に取り次いでくれる。それで日程を調整してもらって、行って来いよ」「ここの会社の社長さんですか?」「今は、会長職になってるんだろう。とにかく、その方に会ってご覧に入れたら喜ぶだろう」そう言って宋丸さんはカカカと笑ったが、まったく先の読めない話に、ぼくは口を半分開けたまま「はあ」とうなずくしかなかった。 先週は気温が20度近くになった日があったた…

  • 骨董商Kの放浪(34)

    骨董商Kの放浪(34)

    それは久しぶりに聞くReiの声だった。僕は才介から遠ざかりながら、「どうしたの?」「今、東京ですか?」「いや、実は九州に来ていて」「ごめんなさい。出張中に」「ああ、大丈夫」「じゃあ、手短に話すわ。宋丸さんが話あるみたいで、K君を呼んでくれって。いきなり」「なんだろう?」「まあ、いつも思い出したように突然言うから。ただそれだけで何の話しかはわからなくて」何となくそのときの様子が目に浮かんだ。「わかった。今日中に東京戻るから、また連絡するよ」「ありがとう。お仕事頑張ってくださいね」Reiはそう言って電話を切った。僕が才介の方へ戻りかけたとき再び電話が鳴った。今度は犬山からであった。「どうだった?」…

  • 骨董商Kの放浪(33)

    骨董商Kの放浪(33)

    二月上旬の午前9時、僕と才介は大分空港に着いた。ここからホバークラフトという何とも乗り心地の悪い水面を走る船を利用し、別府に着いたのが10時前。「何か、寒いなあ。東京より気温低いんじゃない?」才介が首をすくめ身体を縮めた。清らかな空気は、確かに冷たさを感じる。僕らは足早に、会場となる小さな市民ホールのような建物のなかに入った。 今日はここで、骨董商が俗に「温泉市(いち)」と呼んでいるオークションが開催される。オークションといっても、海外のような派手なものではなく、知る人が知る、ほぼ100%商売人が参加する小さな競り市。その参加者も「初出(うぶだ)し屋」と呼ばれる、店を持たない、リサイクルショッ…

  • 骨董商Kの放浪(32)

    骨董商Kの放浪(32)

    温泉市(いち)の情報を聞いた数日後の一月の下旬、僕は総長の家を訪れた。香港で買ってきた漢時代の蝉炉の代金を頂戴するためである。 正月三が日の過ぎた頃、僕は総長から電話をもらった。家に遊びに来ないかとのこと。そのとき僕は香港で仕入れたこの蝉炉を持って参じたのだった。案の定、総長はこれを大いに気に入り、値段を問わずお買い上げになったのである。僕とネエさんが想像していた、崩れるような笑顔が、このとき現出したのであった。 展示台の一箇所に作品を置き、二人してしばし見入ったあと、総長は優しいまなざしをそのままに、軽く首を傾げ訊いてきた。「Kさん、いったい、どんな味なんでしょうかねえ?」成虫か幼虫か判然と…

  • 骨董商Kの放浪(31)

    骨董商Kの放浪(31)

    年明け早々に、香港から雍正筆筒の代金が才介の口座に入金された。手数料を差し引き840万円ほど。「半分送るぞ」と、僕の口座に約420万が振り込まれた。そこから、Saeから借りた300万を返金する。手許には120万ちょい。300万を失ったことを考えれば上出来である。 年も改まり、美術俱楽部でブンさんの所属している個人会の初競りがあり、僕と才介はブンさんの店員ということで参加。そこで才介は、香港で仕入れた細々とした品を売ることに。品選びは、ブンさんを中心に当然才介も手伝う。「今、中国モノは上り調子だから、このあたりでも結構売れるぞ」ブンさんの太い腕がこまめに動き、才介が持ってきたなかから20点ほどを…

  • 骨董商Kの放浪(30)

    骨董商Kの放浪(30)

    翌日の午後、僕は宋丸さんの店に向かった。今日の目的は二つ。先ずは、今回仕入れたモノを見てもらうこと。定窯白磁碗と黒釉碗の二点。そして、Saeのところの万暦豆彩馬上杯について訊くこと、である。扉を開けると、Reiが笑顔で出迎えた。 「よかったですね。良い仕入れができて」今回仕入れたモノについてはすでにReiに知らせてあり。「良い仕入れなのかどうかは…」判決は今日、宋丸さんによってくだされる。その宋丸さんであるが、どうやらまだ来ていないようだ。「その黒い碗の方は、Kさん、どんな感じなの?」「うーん。僕は、変な新物(あらもの)には思えないけど。どうかなあ」ママの店で買った黒釉の碗について、Reiは、…

  • 骨董商Kの放浪(29)

    骨董商Kの放浪(29)

    帰国して翌日、僕は仕入れた品物を部屋のテーブルの上に飾った。葉(イエ)氏のところで買った定窯白磁の碗。現地で見るより一段と輝いて見えるのは気のせいであろうか。いや、気のせいではない。やっぱり良いモノなのだと、僕は再確認する。それと、ママから買った黒釉碗。素性はまだ知れぬが、宋時代の雰囲気があって面白い。そして最終日に、Lioのところで手に入れた漢時代の蝉の炉。これはあとで送金をしなければならないが、けっこうな珍品。 僕は独り悦にひたりながら、卓の上に置かれた三点を眺める。そして端に置かれたピンクのリボンに目を向けた。これは、Saeへのプレゼントのガラス玉。僕は、その小さな箱と、定窯を鞄に入れた…

  • 骨董商Kの放浪(28)

    骨董商Kの放浪(28)

    マダムは顔を震わせ、「本当に、日本にあるの?」と身を乗り出した。マダムの眼力(めぢから)に気圧され僕は口を閉ざした。考えてみれば、まだはっきりした答えができないことに改めて気づいたからだ。マダムの魂の込められた話しの流れに乗せられ、ふとそう発したが、Saeのところで見たあの馬上杯が、確実にマダムの祖父のモノという証拠など、まだどこにもないのだ。 「すみません。まだ、そうと決まったわけではなく…。もしや、あれかも、と思っただけで…」それを受けてマダムは再び椅子に座り、小さなため息を吐いた。そして、お茶を一口含んでから、気を取り直したように僕に尋ねた。「じゃあ、それは、あなたの知っているひとが持っ…

  • 骨董商Kの放浪(27)

    骨董商Kの放浪(27)

    10万で買ったモノが900万で売れたのだから、僕らは、はしゃがずにはいられなかった。オークション会場では、極力抑えていたものが、ホテルに帰ると爆発した。狭い部屋のなかで、何と枕投げが始まったのである。 「ぎゃっ、はっ、はっ!やったぜー!」「愛してまーす!Lioちゃーん!!」「誰だかわからない電話ビッド、セーンキュウー!」「禿寺ー、おまえが一番エライ!」「900マーン、俺は待ってるぜぇ!アッハッハ!」最後に思い切り投げた才介の枕が天井に突き刺さり大きな音を立てた。「やばいよ、おまえ、ここボロホテルなんだから、壊れるぜ」僕の言葉に、才介はまた「ぎゃはは」と笑い、ホテルの窓を開け「サイコー!ホンコー…

  • 骨董商Kの放浪(26)

    骨董商Kの放浪(26)

    食事が始まり、三皿目の料理が出されたあたりから、閑散としていた広間のテーブルはいつのまにか人で埋められ、周りの声が賑やかに耳に入り出した。芝エビか何かだろうか、小さなむきエビを茶葉で炒めたこの料理の優しい味つけに、僕と才介は前のめりになってレンゲを動かした。その様子を見てチャイナドレスのマダムが目を細める。「美味しいでしょう?杭州のお料理で、龍井蝦仁(ロンジンシャーレン)ていうのよ」「ロンジン…」才介は一瞬顔を上げたが、すぐにまたエビを口に入れた。「アハハハ、あんたたち、そんなに美味(うま)いか。あたしの、あげるよ」ママは自分の皿を差し出した。マダムも「どうぞ」と言って僕の目の前に置く。「あり…

  • 骨董商Kの放浪(25)

    骨董商Kの放浪(25)

    文武(もんぶ)廟(びょう)から東へ歩いて5分のところにある3階建ての大きなビルディングの前に僕らは立った。三代目が入り口の扉を開け、勝手知ったるというふうに、そのまま階段を上っていく。僕もあたりに目を凝らしながら後についていく。各階には、その途中の階段の脇や踊り場も含め、古い中国製の飾り台や陳列ケースが壁際はもちろんフロアのいたるところに置いてあり、そこには大量の品物が並んでいる。僕は先ずその景色に驚く。その様子を横で見ていた三代目が声をかける。「まだ、整理整頓されている方だよ。他の店なんか、床の上まで所狭しと品物が置いてある。そういった店がほとんどだ」 そして3階に到着。そこにも壁に設置され…

ブログリーダー」を活用して、立石コウキさんをフォローしませんか?

ハンドル名
立石コウキさん
ブログタイトル
骨董商Kの放浪
フォロー
骨董商Kの放浪

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用