訓読 >>> かくしてやなほや退(まか)らむ近からぬ道の間(あひだ)をなづみ参来(まゐき)て 要旨 >>> こうまでして来てやっぱりむなしく帰って行くのかな、近くもない道のりを苦労してやって来て。 鑑賞 >>> 大伴家持が、娘子(おとめ)の家の門に着いた時に作った歌。「かくして」は、このようにして。「や」は、疑問。「なほや」は、やっぱり。断られるのではないかと来る道々予想していたが、その通りになったということ。「退る」は、貴人の許から退出する意で、相手に敬意を表して用いた語。「なづみ」は、苦労して。名門大伴家の御曹司として数多くの女性を魅了したプレイボーイ家持も、たまにはうまくいかなかったこと…