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  • 倭姫大后の歌・・・巻第2-153

    訓読 >>> 鯨魚(いさな)取り 近江(あふみ)の海を 沖 放(さ)けて 漕ぎ来る船 辺(へ)付きて 漕ぎ来る船 沖つ櫂(かい) いたくな撥(は)ねそ 辺つ櫂 いたくな撥ねそ 若草の 夫(つま)の 思ふ鳥立つ 要旨 >>> 鯨を取るような大きな近江の海、その沖遠くから漕ぎ来る船よ、岸近くに漕ぎ来る船よ、沖船の櫂よ、ひどく波を立てないで、岸船の櫂よ、ひどく波を立てないで、夫がいとしんだ水鳥が飛び立ってしまうではないか。 鑑賞 >>> 夫、天智天皇の死後、「殯(もがり)」の期間に倭姫(やまとひめ)大后が作った挽歌です。まだ墓も定まっていない時期で、琵琶湖上をひろく展望し、沖からこなたへ向かって来る…

  • 天智天皇崩御を悼む歌・・・巻第2-150~152ほか

    訓読 >>> 150うつせみし 神に堪(あ)へねば 離(さか)り居て 朝嘆く君 放(さか)り居て わが恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣(きぬ)ならば 脱(ぬ)く時もなく わが恋ふる 君そ昨(きぞ)の夜 夢に見えつる 151かからむとかねて知りせば大御船(おほみふね)泊(は)てし泊(とま)りに標(しめ)結(ゆ)はましを 152やすみしし我ご大君(おほきみ)の大御船(おほみふね)待ちか恋ふらむ志賀(しが)の唐崎(からさき) 154楽浪(ささなみ)の大山守(おほやまもり)は誰(た)がためか山に標(しめ)結(ゆ)ふ君もあらなくに 要旨 >>> 〈150〉生身の体は神のお力には逆らえないので、遠く…

  • 大伴家持と紀女郎の歌(6)・・・巻第8-1510

    訓読 >>> なでしこは咲きて散りぬと人は言へど我(わ)が標(し)めし野の花にあらめやも 要旨 >>> なでしこは咲いて散ったと人は言いますが、私が標をした野のなでしこでしょうか、そんなはずはない。 鑑賞 >>> 大伴家持が、紀女郎に贈った歌。「標め」は、自分のものとしてつける目印。「あらめやも」の「やも」は、反語。あるはずがない。なでしこを女郎に譬え、「他人は心変わりのことを色々と言うけれど、あなたは心変わりするはずはないですよね」との意味が込められています。女郎の答えた歌は載っていません。 詩人の大岡信は、家持と紀女郎の関係を歌から推測し(とくに1460・1461)、笠女郎などの場合とは違…

  • 防人の歌(19)・・・巻第20-4426~4428

    訓読 >>> 4426天地(あめつし)の神に幣(ぬさ)置き斎(いは)ひつついませ我(わ)が背(せ)な我(あ)れをし思はば 4427家(いは)の妹(いも)ろ我を偲ふらし真結(まゆす)ひに結(ゆす)ひし紐(ひも)の解くらく思へば 4428我が背(せ)なを筑紫(つくし)は遣(や)りて愛(うつくし)しみえひは解かななあやにかも寝(ね)む 要旨 >>> 〈4426〉天地の神々にお供え物をして、お祈りしながらいらっしゃい、あなた。私のことを思って下さるならば。 〈4427〉家にいる妻は私のことをしきりに偲んでいるらしい、しっかり結んだ着物の紐が解けてくるのを思うと。 〈4428〉うちの人を筑紫へ遣って、い…

  • 大伴家持と紀女郎の歌(5)・・・巻第8-1460~1463

    訓読 >>> 1460戯奴(わけ)がため我が手もすまに春の野に抜ける茅花(ちばな)そ食(を)して肥えませ 1461昼は咲き夜は恋ひ寝(ぬ)る合歓木(ねぶ)の花(はな)君のみ見めや戯奴(わけ)さへに見よ 1462我が君に戯奴(わけ)は恋ふらし賜(たば)りたる茅花(ちばな)を喫(ほ)めどいや痩(や)せに痩(や)す 1463我妹子(わぎもこ)が形見(かたみ)の合歓木(ねぶ)は花のみに咲きてけだしく実にならじかも 要旨 >>> 〈1460〉あなたのために私がせっせと春の野で摘んだ茅花です。心して食べておふとりなさい。 〈1461〉昼に咲いて、夜は恋いつつ眠る合歓(ねむ)の木の花を、家のあるじだけが見て…

  • 大伴家持と紀女郎の歌(4)・・・巻第4-777~781

    訓読 >>> 777我妹子(わぎもこ)がやどの籬(まがき)を見に行かばけだし門(かど)より帰してむかも 778うつたへに籬(まがき)の姿(すがた)見まく欲(ほ)り行かむと言へや君を見にこ 779板葺(いたぶき)の黒木(くろき)の屋根は山近し明日(あす)の日取りて持ちて参(まゐ)り来(こ)む 780黒木(くろき)取り草も刈りつつ仕(つか)へめどいそしきわけとほめむともあらず [一云 仕ふとも] 781ぬばたまの昨夜(きぞ)は帰しつ今夜(こよひ)さへ我(わ)れを帰すな道の長手(ながて)を 要旨 >>> 〈777〉あなたの家の今造っているという垣根を見に行ったら、たぶん家へは上げず、門の所で追い返さ…

  • 大伴家持と紀女郎の歌(3)・・・巻第4-775~776

    訓読 >>> 775鶉(うづら)鳴く古(ふ)りにし郷(さと)ゆ思へどもなにそも妹(いも)に逢ふよしもなき 776言出(ことで)しは誰(た)が言(こと)なるか小山田(をやまだ)の苗代水(なわしろみづ)の中淀(なかよど)にして 要旨 >>> 〈775〉古さびた奈良の里にいた頃からあなたに恋焦がれていたのに、なぜお逢いする機会がないのでしょう。 〈776〉先に言い寄ったのはどこのどなただったかしら。山あいの苗代の水が淀んでいるように、途中で途絶えてしまって。 鑑賞 >>> 775は、大伴家持が紀女郎に贈った歌、776が、それに答えた紀女郎の歌です。775は、奈良にいた紀女郎が家持のいる恭仁京へ移り住…

  • 大伴家持と紀女郎の歌(2)・・・巻第4-769

    訓読 >>> ひさかたの雨の降る日をただひとり山辺(やまへ)に居(を)ればいぶせかりけり 要旨 >>> 雨が降る中、あなたのいない山裾でひとり過ごしていると、何とも心が晴れません。 鑑賞 >>> 大伴家持が紀女郎に答えて贈った歌とありますが、紀女郎から贈られた歌は載っていません。家持は、いまだ整わない新都の恭仁京にいて、奈良にいた女郎に贈った歌のようです。「ひさかたの」は「雨」の枕詞。「山辺」は、恭仁京における家持の宅があった場所ですが、どの山かは不明です。「いぶせかりけり」は、心が晴れない、うっとうしいことだ。 斎藤茂吉は、この歌について「もっと上代の歌のように、蒼古(そうこ)というわけには…

  • 大伴家持と紀女郎の歌(1)・・・巻第4-762~764

    訓読 >>> 762神(かむ)さぶと否(いな)にはあらずはたやはたかくして後(のち)に寂(さぶ)しけむかも 763玉の緒(を)を沫緒(あわを)に搓(よ)りて結(むす)べらばありて後(のち)にも逢はざらめやも 764百年(ももとせ)に老舌(おいした)出(い)でてよよむとも我れはいとはじ恋ひは増すとも 要旨 >>> 〈762〉もう年を取ったからって受け入れたくないわけではありません。でもひょっとして、拒んだ後になって寂しく思うのかも。 〈763〉お互いの玉の緒を、沫緒(あわお)のように縒り合わせて結んでおいたなら、生き永らえて、いつかお逢いできるかもしれないではありませんか。 〈764〉あなたが百…

  • 我が岡にさを鹿来鳴く・・・巻第8-1541~1542

    訓読 >>> 1541我(わ)が岡(をか)にさを鹿(しか)来鳴(きな)く初萩(はつはぎ)の花妻(はなづま)どひに来鳴くさを鹿 1542我(わ)が岡(をか)の秋萩(あきはぎ)の花(はな)風をいたみ散るべくなりぬ見む人もがも 要旨 >>> 〈1541〉我が家の岡に壮鹿が来て鳴いている。初萩の花を妻として訪ね来て鳴いている牡鹿よ。 〈1542〉我が家の岡の秋萩の花は、風が強いので今にも散りそうになっている。その前に来て見る人があればいいのにな。 鑑賞 >>> 大宰府に赴任している大伴旅人が詠んだ歌。1541の「我が岡」は、旅人が住んでいる岡の意で、大宰府の近くにある岡。「花妻」は、新婚時の妻の称で、…

  • 剣太刀身に取り副ふと・・・巻第4-604~606

    訓読 >>> 604剣(つるぎ)太刀(たち)身に取り副(そ)ふと夢(いめ)に見つ何の兆(さが)そも君に逢はむため 605天地(あめつち)の神の理(ことわり)なくはこそ我(あ)が思ふ君に逢はず死にせめ 606我(わ)れも思ふ人もな忘れおほなわに浦(うら)吹く風のやむ時もなし 要旨 >>> 〈604〉昨夜、剣太刀を帯びる夢を見ました。何の兆しでしょうか。あなたに逢える兆しでしょうか。 〈605〉天地の神々に正しい道理がなければ、結局私は、あなたに逢えないまま死んでしまうでしょう。 〈606〉私もあなたを思っていますから、あなたも私のことを忘れないで下さい。浦にいつも吹いている風のように止む時もなく…

  • さざれ波浮きて流るる泊瀬川・・・巻第13-3225~3226

    訓読 >>> 3225天雲(あまくも)の 影さへ見ゆる 隠(こも)くりの 泊瀬(はつせ)の川は 浦なみか 舟の寄り来(こ)ぬ 磯(いそ)なみか 海人(あま)の釣(つり)せぬ よしゑやし 浦はなくとも よしゑやし 磯はなくとも 沖つ波 競(きほ)ひ漕入(こぎ)り来(こ) 海人の釣船(つりぶね) 3226さざれ波(なみ)浮きて流るる泊瀬川(はつせがわ)寄るべき磯のなきがさぶしさ 要旨 >>> 〈3225〉空に浮かぶ雲の影までくっきり映し出す泊瀬の川は、よい浦がないので舟が来ないのか、それともよい磯がないので海人が釣りをしないのか。たとえよい浦がなくてもかまわない、よい磯がなくてもかまわない。沖から…

  • 中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(15)・・・巻第15-3775~3778

    訓読 >>> 3779我(わ)が宿(やど)の花橘(はなたちばな)はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに 3780恋ひ死なば恋ひも死ねとや霍公鳥(ほととぎす)物思(ものも)ふ時に来(き)鳴き響(とよ)むる 3781旅にして物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほととぎす)もとなな鳴きそ我(あ)が恋まさる 要旨 >>> 〈3779〉家の庭の花橘は、いたずらに散っていくままになっているのだろうか、誰も見る人もなく。 〈3780〉恋い死にしたいなら、そのまま死んでしまったらとでもいうのか、ホトトギスよ。物思いに沈んでいる時にやってきて鳴き立てるとは。 〈3781〉旅先にあって物思う時に、ホトトギスよ。わけもなく…

  • いつもいつも来ませわが背子・・・巻第4-490~491

    訓読 >>> 490真野(まの)の浦の淀(よど)の継橋(つぎはし)心ゆも思へや妹(いも)が夢(いめ)にし見ゆる 491川の上(へ)のいつ藻(も)の花のいつもいつも来(き)ませわが背子(せこ)時じけめやも 要旨 >>> 〈490〉真野の浦の継橋のように、絶えず私を思ってくれているからだろうか、夢にあなたが現れるのは。 〈491〉川のほとりのいつ藻の花のように、いつもいつも来てください、あなた。私に都合が悪いなどということがあるものですか。 鑑賞 >>> 題詞に「吹黄刀自(ふふきのとじ)が歌2首」とあるものの、490は男の歌で、491が刀自の答えた歌とされます。490の「真野の浦」は、神戸市長田区…

  • 隼人の薩摩の瀬戸を・・・巻第3-248

    訓読 >>> 隼人(はやひと)の薩摩(さつま)の瀬戸を雲居(くもゐ)なす遠くも我(わ)れは今日(けふ)見つるかも 要旨 >>> 隼人の住む薩摩の瀬戸よ、その瀬戸を、空の彼方の雲のように遙か遠くだが、私は今この目に見納めた。 鑑賞 >>> 長田王が筑紫に派遣され、薩摩国に赴いたときに作った歌。『万葉集』の歌のなかで、最も南の地で詠まれた歌とされ、船中にあって、海上遠く薩摩の瀬戸を眺望して詠んだ趣きです。当時の薩摩は、朝廷の影響力がなかなか及ばず、問題の多い所だったといいます。「隼人」は、大隅・薩摩地方の精悍な部族。「薩摩の瀬戸」は、鹿児島県阿久根市黒之浜と天草諸島の長島との間の海峡。 なお、巻第…

  • 神さびをるかこれの水島・・・巻第3-245~247

    訓読 >>> 245聞きしごとまこと尊(たふと)く奇(くす)しくも神(かむ)さびをるかこれの水島(みづしま) 246芦北(あしきた)の野坂(のさか)の浦ゆ船出(ふなで)して水島に行かむ波立つなゆめ 247沖つ波辺波(へなみ)立つともわが背子(せこ)がみ船(ふね)の泊(とま)り波立ためやも 要旨 >>> 〈245〉かねて話に聞いていたとおり、尊くて霊妙で神々しく見えることか、この水島は。 〈246〉芦北の野坂の浦から船出して、水島に行こうと思う。波よ、決して立ってくれるなよ。 〈247〉沖の波や岸の波が立とうとも、あなたの御船の着く所に、波が立ちましょうか、立ちはしません。 鑑賞 >>> 245…

  • 山辺の御井を見がてり・・・巻第1-81~83

    訓読 >>> 81山辺(やまのへ)の御井(みゐ)を見がてり神風(かむかぜ)の伊勢娘子(いせをとめ)どもあひ見つるかも 82うらさぶる心さまねしひさかたの天(あま)のしぐれの流らふ見れば 83海(わた)の底(そこ)沖つ白波(しらなみ)龍田山(たつたやま)いつか越えなむ妹(いも)があたり見む 要旨 >>> 〈81〉山辺の御井を見に訪ねると、はからずも、伊勢の美しい乙女たちに出逢うことができた。 〈82〉うら寂しい思いでいっぱいになる。天からしぐれが流れるように降ってくるのを見ると。 〈83〉海の沖に白波が立つ、その立つという名の竜田山、あの山をいつ越えられるのだろうか。早くこの山を越えて彼女の家の…

  • 我が背子は相思はずとも・・・巻第4-613~617

    訓読 >>> 613もの思(も)ふと人に見えじとなまじひに常(つね)に思へり在(あ)りぞかねつる 614相思(あひおも)はぬ人をやもとな白栲(しろたへ)の袖(そで)漬(ひ)つまでに音(ね)のみし泣くも 615我(わ)が背子(せこ)は相思(あふおも)はずとも敷栲(しきたへ)の君が枕(まくら)は夢(いめ)に見えこそ 616剣大刀(つるぎたち)名の惜(を)しけくも我(わ)れはなし君に逢はずて年の経(へ)ぬれば 617葦辺(あしへ)より満ち来る潮(しほ)のいや増しに思へか君が忘れかねつる 要旨 >>> 〈613〉物思いをしているのを人に気づかれまいと、無理に平気を装っています。でも本当は生きていられぬ…

  • 秋風の清き夕に天の川・・・巻第10-2042~2044

    訓読 >>> 2042しばしばも相(あひ)見ぬ君を天の川 舟出(ふなで)早(はや)せよ夜(よ)の更けぬ間に 2043秋風の清き夕(ゆふへ)に天の川舟漕ぎ渡る月人壮士(つきひとをとこ) 2044天の川 霧(きり)立ちわたり彦星(ひこほし)の楫(かぢ)の音(おと)聞こゆ夜(よ)の更けゆけば 要旨 >>> 〈2042〉たびたび逢えないあなたですのに、天の川に早く舟出して下さい。夜が更ける前に。 〈2043〉秋風がすがすがしい今夜、天の川に舟を出して漕ぎ渡っている、月人壮士が。 〈2044〉天の川に霧がたちこめてきて、彦星が舟を漕ぐ楫の音が聞こえる。次第に夜が更けてゆくと。 鑑賞 >>> 七夕の歌。2…

  • 柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(3)・・・巻第2-213~216

    訓読 >>> 213うつそみと 思ひし時に 携(たづさ)はり 我(わ)が二人見し 出で立ちの 百枝槻(ももえつき)の木 こちごちに 枝させるごと 春の葉の 茂(しげ)きがごとく 思へりし 妹(いも)にはあれど たのめりし 妹にはあれど 世の中を 背(そむ)きし得ねば かぎろひの 燃ゆる荒野(あらの)に 白たへの 天領巾隠(あまひれがく)り 鳥じもの 朝立ちい行きて 入り日なす 隠(かく)りにしかば 我妹子(わぎもこ)が 形見に置ける みどり子の 乞(こ)ひ泣くごとに 取り委(まか)す 物しなければ 男じもの 腋(わき)ばさみ持ち 我妹子と 二人わが寝し 枕づく 嬬屋(つまや)のうちに 昼は う…

  • 柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(2)・・・巻第2-210~212

    訓読 >>> 210うつせみと 思ひし時に 取り持ちて わが二人見し 走出(はしりで)の 堤(つつみ)に立てる 槻(つき)の木の こちごちの枝の 春の葉の 茂きが如く 思へりし 妹にはあれど たのめりし 児らにはあれど 世の中を 背(そむ)きし得ねば かぎろひの 燃ゆる荒野(あらの)に 白妙(しろたへ)の 天(あま)領巾(ひれ)隠り 鳥じもの 朝立ちいまして 入日なす 隠りにしかば 吾妹子が 形見に置ける みどり児の 乞ひ泣くごとに 取り与ふる 物し無ければ 男じもの 腋(わき)ばさみ持ち 吾妹子と 二人わが宿(ね)し 枕づく 嬬屋(つまや)の内に 昼はもうらさび暮し 夜はも 息づき明(あか)…

  • 柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(1)・・・巻第2-207~209

    訓読 >>> 207天(あま)飛ぶや 軽(かる)の路(みち)は 吾妹子(わぎもこ)が 里にしあれば ねもころに 見まく欲しけど 止まず行かば 人目を多み 数多(まね)く行かば 人知りぬべみ 狭根葛(さねかづら) 後も逢はむと 大船の 思ひ憑(たの)みて 玉かぎる 磐垣淵(いはかきふち)の 隠(こも)りのみ 恋ひつつあるに 渡る日の 暮れ行くが如(ごと) 照る月の 雲隠る如(ごと) 沖つ藻の 靡(なび)きし妹(いも)は 黄葉(もみちば)の 過ぎて去にきと 玉梓(たまづさ)の 使(つかひ)の言へば 梓弓(あづさゆみ) 音に聞きて 言はむ術(すべ) 為(せ)むすべ知らに 音のみを 聞きてあり得ねば …

  • あぢさはふ妹が目離れて・・・巻第6-942~945

    訓読 >>> 942あぢさはふ 妹が目(め)離(か)れて しきたへの 枕も巻かず 桜皮(かには)巻き 作れる舟に 真楫(まかぢ)貫(ぬ)き 我(わ)が榜(こ)ぎ来れば 淡路の 野島(のしま)も過ぎ 印南都麻(いなみつま) 辛荷(からに)の島の 島の際(ま)ゆ 我家(わぎへ)を見れば 青山の そことも見えず 白雲も 千重(ちへ)になり来ぬ 榜(こ)ぎたむる 浦のことごと 行き隠る 島の崎々 隈(くま)も置かず 思ひぞ我(わ)が来る 旅の日(け)長み 943玉藻(たまも)刈る辛荷(からに)の島に島廻(しまみ)する鵜(う)にしもあれや家思はざらむ 944島隠(しまがく)り吾(わ)が榜(こ)ぎ来れば羨…

  • 中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(14)・・・巻第15-3775~3778

    訓読 >>> 3775あらたまの年の緒(を)長く逢はざれど異(け)しき心を我(あ)が思(も)はなくに3776今日(けふ)もかも都なりせば見まく欲(ほ)り西の御馬屋(みまや)の外(と)に立てらまし 3777昨日(きのふ)今日(けふ)君に逢はずてする術(すべ)のたどきを知らに音(ね)のみしぞ泣く3778白栲(しろたへ)の我(あ)が衣手(ころもで)を取り持ちて斎(いは)へ我(わ)が背子(せこ)直(ただ)に逢ふまでに 要旨 >>> 〈3775〉長い間逢わないでいるけれど、不実な心など私は抱いたことなどありません。 〈3776〉都にいたなら、今日もまたあなたに逢いたくて、西の御馬屋の外に佇んでいることだ…

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